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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13

251誕生、Hカイザー/神と聖王 ◆gFOqjEuBs6:2010/07/09(金) 19:51:34 ID:dR2I84lo0
 
 と、そんな状況下で、金居はすぐに次の作戦を立案した。
 金居の目的はスバル達と戦っている黒いライダーだけだという。
 他の奴と戦うつもりはないし、黒のライダーが居る以上、スバル達にも興味は無い。
 故に、ヴィヴィオがエネルを引き付けてくれている間に、金居がホテルに潜入。
 機を見計らって、黒いライダーに戦闘を吹っ掛ける。
 その際スバル達には、「外ではやてが待っている」などと伝えて貰う。
 そしてこの場での戦闘は金居に任せて、スバル達には先に離脱を促す。
 簡単な作戦だが、この状況ではこれが最善の策だと思えた。

 そして数分後、ホテルから出て来たのは、一人の少女を背負った男であった。
 まるで箒のような、黒髪トンガリ頭にサングラス。赤いコートを靡かせて、男は走る。
 何者かと目を細めるはやてに、先に声を掛けて来たのは男の方であった。

「やぁ、あんたが八神はやてかい!?」
「え……えぇ、そうですけど……」

 男はとても悪人とは思えない、ともすれば馬鹿とも思えるような口調だった。





 時は数分前に遡る。
 ヴァッシュを殺す為に、参加者を皆殺しにする為に。
 それだけを目的にホテルの目前までやってきたエネルは、一人の少女と出会った。
 全身を漆黒で塗り固めた、金髪の少女。緑と赤のオッドアイには、気味が悪い程の虚が宿っていた。
 闇に溶けるその姿は、まるで周囲を凍てつかせるような気迫を放って居た。
 そんな第一印象を抱いた後に、エネルは自分の考えを否定した。
 神たる自分が、こんな小娘一人に何を考えているのだ。
 一撃で殺して、終わりにしてやればいいだけの話ではないか。

 そう判断して、エネルは片腕を挙げた。
 同時に、エネルの腕は雷と化し、天を埋め尽くす雷雲へと昇って行く。
 それから間もなく、空全体がぴかりと光って――計り知れない威力を秘めた雷が、少女へと降り注いだ。
 ごろごろ、ごろごろと。周囲の電気を自分の電気を合わせた一撃は、生半可な威力では無い。
 アスファルトを焼いて拡散した電力は、再び自分の身体へと舞い戻る。
 無限ループの雷地獄。あんな小娘一人が耐えきれる訳が無い。
 そう思っていた。

「ほう……?」

 雷が止んだ後、小娘はそこに変わらず立ち尽くしていた。
 エネルが殺そうとした相手・聖王ヴィヴィオは、聖王の鎧という先天固有技能を持っている。
 それはあらゆる障害から聖王を守る、強固な盾となりて、雷からヴィヴィオを救った。
 エネルは知らない。ヴィヴィオの命を削るレリックが、同時にヴィヴィオを強くする事を。
 身体に深刻なダメージを与える一方で、ヴィヴィオの命の炎を燃やし尽くさんと稼働している事を。

「まずはお前から殺してやる……!」

 ヴィヴィオが、憎悪を吐き出すように絶叫した。
 瞳には僅かな涙を浮かべて、その表情を醜く歪ませて。
 虹色の魔力光を宿した鬼神・ヴィヴィオの命はもう、長くは持たない。
 消えゆく命の輝き。その恐ろしさを、出会った参加者全てに刻みつける。
 そして、愛する者を傷つけた全ての参加者を血祭りにあげてやる。
 例え死んでも構わない。例え地獄に落ちても構わない。
 それだけの決意が、ヴィヴィオを動かしているのだ。




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