したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

没ネタ投下スレ

52 ◆gFOqjEuBs6:2010/11/10(水) 11:39:32 ID:kw7JXkBY0
 
「――未来を切り拓く力だっ!!」

 いつの日か、人間がウルトラマンと肩を並べて宇宙を飛べる日が来るまで。
 そんな未来が訪れるまで、ウルトラマンは人間達の心の光を信じ続ける。
 その為にも、こんな所で散っていい筈の無い命を、守り抜く為の力。
 信じた皆が一緒に居てくれる。だから輝くこの力。だから燃やせるこの命。
 最早この力に、不可能などあり得ない。

「あぁそっか……もういいよ! もうつまんなくなっちゃった!
 そんなに僕を消したいなら、お望み通り消えてあげるよ!」

 緑の血液を吐き出しながら、キングが嘯く。
 その声には、再び喜色が込められていた。
 まるで、新しい興味を見付けた子供の様に。

「でも、僕一人では死なない! お前らの心も連れて行く!」

 高らかに宣言し、キングがメビウスの肩に掴み掛った。
 最早、キングに残された力は残り少ない。
 装甲も武器も全て消失した今、戦力となり得るのはこの身体一つ。
 それでも、メビウスの身体に組み付いて、最期の足掻きを見せる。
 キングの身体から、アンデッドとしてのエネルギーが溢れ出した。

「お前が守りたかった人間たち、皆僕と一緒に逝っちゃえよ!」

 メビウスとなって戦う四人と一匹の間に奔る、緊迫。
 コイツはもう、生への執着を捨てている。
 元々“命を大切にする”など考えもしない男だったのだ。
 自分の命がここで消えると知った所で、それ程の執着はない。
 ただし、悪質な事に自分一人で死ぬつもりもないらしい。

「私達全員で生きて帰るって約束したんだ……! こんな所で――」
「無理無理! 僕だって命がけなんだ、お前らだけ生き残れると思うなよ!」
「そんな事は……させない! 皆の命は、僕が守る!」

 刹那、メビウスの中で、三人は感じた。
 自分達の意識が、徐々にミライから離れて行く事に。
 そして気付く。ミライが今、何をしようとしているのかに。

「総司さん。アンジールさん。なのはちゃん。フリード。
 ここまで僕と一緒に戦ってくれて……本当にありがとうございます!
 皆さんが居てくれるなら……僕はもう、何も怖くありません」
「やめろ、ミライ! 今際の言葉など聞きたくない……!」

 天道が、メビウスの光の中で手を伸ばした。
 だけど、その手は何も掴めず、ただ空を掴むのみ。
 次第にミライの光から、後の全員の意識が遠のいていくのが、自分達にも分かる。
 だけど、ここで意識を手放せば、掛け替えの無い者を失ってしまう。
 それが分かっているから、少しでも抵抗しようとする。

「本当に、ありがとうございます……皆さん!」

 されど、それ以上の抵抗は無意味であった。
 刹那、メビウスの身体から炎とも光ともつかない弾丸が飛び出した。
 メビウスの身体から強制的に射出されたその光は、メビウスの後方へと撃ち出された。
 それらは、キングの視界の奥でそれぞれの形を取り、三人の人と、一匹の竜の形を形成。
 全員で一緒に不死鳥となって、キングを倒す。
 その為に心を重ねたのに……今、彼らの心はもう一度離れ離れになった。
 それが何を意味するか。そんな事は、キングにもすぐに理解出来た。

「お前まさか……たった一人で死ぬ気で……!」
「これは“死”じゃない! 皆の命を……! 皆の未来を守る為の……!!」

 少しずつ、少しずつ。炎とメビウスが一つになって行く。
 何処までがメビウスで、何処からが炎なのか。その境界が揺らいでいく。
 それはまさしく、メビウスの身体が炎の中へと溶けて行く様に。
 やがて形を失い、黄金の光と灼熱の炎の境界が完全に消失。
 同時に、爆発的な灼熱がメビウスを起点に発生する。
 黄金の輝きを含んだ炎は、一気にキングの身を焼き尽くさんと燃え盛る。
 同時に、周囲のあらゆる建造物を巻き込んで、何もかもを灰に変えて行く。
 されど、守ると誓った仲間達には、瓦礫の一つたりともぶつけはしない。
 意識を失い横たわる仲間達へと迫る瓦礫や火の粉を、メビウスの輝きが振り払う。
 最期に残った力で、キングを焼き尽くし、仲間達を守り抜く。
 無限大の可能性を、未来へとつなげる為に。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板