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◆gFOqjEuBs6
:2010/11/10(水) 11:33:04 ID:kw7JXkBY0
『なのはちゃん……もう一度力を貸して欲しいんだ! 僕達の、未来を守る為に!』
「その声……ミライ君! ミライ君なの!?」
それは聞き覚えのある、心優しき男の声。
皆を守る為に戦い、散ったとばかり思っていた。
だけど、それは間違いだ。ミライは、散ってなどいない。
全ての参加者を守り抜くと誓ったミライが、こんな所で朽ちる訳が無かったのだ。
それを理解すると共に、なのはの意識が暗転した。
◆
ほんの瞬きの内に、なのはの意識は何処か別の次元に存在していた。
右も左も、上も下も、見渡す限り360度が黄金の光に包まれた異空間。
この空間では方向感覚など意味を成さず、自分が立って居るのか寝ているのかすらも解らない。
ここは何処なのかと考えるよりも先に、視界に入って来たのは、仲間の姿。
ウルトラマンメビウスとして戦った、ヒビノミライだ。
「ミライ君……どうして!」
「ナイトブレスは、奇跡の力を持つ伝説の超人、ウルトラマンキングから授かったものなんだ」
なのはが、自分の腕に装着されたナイトブレスへと視線を落とした。
ウルトラマンヒカリが持つナイトブレスは、ミライの言う通りウルトラマンキングから授かったものだ。
そもそもウルトラマンキングという存在は、ミライですらも完全には理解し得ぬ存在。
1から30まで、ありとあらゆる次元に同時に存在し、ありとあらゆる世界で万能を誇る存在。
宇宙の端から端であろうが、過去の果て、未来の果て……それどころか事なる世界の果てであろうと、一瞬で飛び越える。
全ての世界、全ての宇宙で起こったあらゆる出来事を同時に把握すると言われる、神にも等しき存在。
ウルトラマンキングと比べれば、歴戦のウルトラ警備隊員であろうが赤子にも満たない程度の戦力なのだ。
それ程の圧倒的力量差。その上で全ての世界のウルトラマンの能力を備えた、最強にして万能たるウルトラの神。
そんな伝説の超人・ウルトラマンキングが直々にヒカリに託したのが、このナイトブレスなのだ。
そのナイトブレスがどんな不可能を可能にしたとて、不思議な事では無い。
「それに、ヒカリは前に言っていた。来るべき戦いの時、このナイトブレスが必要になると」
かつてのエンペラ星人との戦いの時だってそうだ。
どうしようもないピンチを救ったのは、このナイトブレスだった。
メビウスの光と、ヒカリの光。それから、信頼出来る人間たちの心の光。
それら全てを一つにつなぎ合わせ、メビウスを無敵の超人へと変えた。
そして、無限の可能性を秘めたこのナイトブレスを今受け継いだのは、高町なのは。
今この瞬間、なのはこそがこの戦いに勝利する為のたった一つの可能性となったのだ。
頭の中に流れ込んでくるナイトブレスの情報。それを理解したなのはが、ミライに向き直る。
「私達にはまだ、出来る事がある……そうだね、ミライ君?」
なのはの表情には、最早恐怖も絶望も無い。
絶対に勝てる。絶対に守り抜ける。その確証が、勇気となってなのはの自信を裏打ちする。
この戦いに勝って、キングを倒す。そして、全ての参加者を守り抜くのだ。
ヴィヴィオも、スバルも、生き残った他の皆も……全員守って、帰還する。
その為にも、守り抜く為にも。なのはは戦わなければならないのだ。
こくりと頷くミライに、なのはがその決意を口にした。
「解った……一緒に行こう!」
そう叫んだ次の瞬間には、なのはは元の次元へと戻って居た。
傍らに居るのは、全身傷だらけになったアンジール。全身血まみれの天道総司。
二人とも、最後の最後まで、自分の持てる全力を出し尽くして戦った本物の戦士だ。
なのはの上空を飛翔するのは、眼前のコーカサスを睨み付ける飛竜、フリードリヒ。
彼も、自分の身体がぼろぼろになるまでなのはを守り、戦い抜いてくれた仲間。
他の二人と同じくらい大切な、掛け替えのない存在なのだ。
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