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真贋バトルロワイヤル part5

1 ◆Drj5wz7hS2:2025/08/23(土) 03:19:46 ID:jdwq8Ri20
その絆、本物?贋物?



※前スレ
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1744629175/

90正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:11:14 ID:.I21kXzM0



『FORM RIDE WIZARD WATER STYLE!』

青い宝石を填め込んだ戦士、ウォータースタイルのウィザードが剣を片手に斬り掛かる。
自我の宿らない分身に手加減は期待出来ず、完全に力尽きるまで斬り刻まれるだろう。
変身者がそもそもシビトなので、襲ったのが本体でも変わらないが。

「やああああっ!」

殺意のみを宿す刃の到達を阻む、ハートマークをあしらった槍。
最も使い慣れた得物を手に、マジアマゼンタが剣を弾いた。
間髪入れずに踏み込み突きを繰り出し、一撃決着へ持っていく。

残念ながら、そう容易く打ち破れる相手じゃない。
踏み込む勢いをあえて押し返さず、槍に刀身を軽く添える。
自らへ向かう力の矛先を、ほんの少しだけズラし受け流す。
よろけて生じた隙へ切っ先を差し込むが、簡単に倒されないのはマジアマゼンタも同じだ。
槍を引き戻し、身を捩りながら防御へ翳し事無きを得た。

防がれたウィザードはバックステップで距離を取り、カードを取り出す。
操真晴人が変身した指輪の魔法使いと違い、魔法の使用にはライダーカードを用いるのだ。
何らかの技を使われる前に、阻止せんとマジアマゼンタが槍を投擲。
だが相手は軽やかな動きで蹴りを放ち、難なく叩き落とす。
カードの装填も終え、バックル両サイドのレバーが押し込まれた。

『ATTACK RIDE LIQUID!』

槍を蹴られた時点でマジアマゼンタも疾走し、片手には黒槍ウォーパイク。
駆け抜け様に得物を振るい、斬った感触が穂先から伝わる。

「えっ!?な、なにこれ!?」

分身を切り裂き砕く、富良洲高校で浅倉と戦った時のとは違う。
まるで水を斬ったような手応えの無さは、正に感じた通り。
ウィザードの全身が液体に変化し、マジアマゼンタの攻撃を物ともしない。
斬っても貫いても傷一つ与えられず、液体は宙をスイスイと移動。
自身に絡み付くや実体化し、一瞬で捕らえられた。

91正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:11:42 ID:.I21kXzM0
「や…!この……!」

背後から両腕と両足を絡ませ、ガッチリと拘束。
異性に抱きしめられてる、と言うには羞恥など微塵もなく。
肌に添えられた刀身への、警戒と戦慄が大半を占める。

「マゼンタから離れてよっ!」

とはいえ此度は相手が悪かった。
友を援護すべく、すかさず千佳が魔法を発動。
『拘束』という形であれば、イノセンスは効果を最大限に発揮。
不可視の魔力に弾き飛ばされ、ウィザードが地面へ転がる。
マジアマゼンタへの不埒な行為へ、怒り心頭の千佳へ何ら思うものはなく。

『FINAL ATTACK RIDE WI・WI・WI WIZARD!』

水流を斬撃に変え、一撃で屠らんと技を発動。
四つの形態の中で特に魔力が豊富な、ウォータースタイルだ。
幼い少女の薄い皮など、中の骨や臓器共々まともに残らない。

「させないよ!」

友達に危機が迫ると理解し、マジアマゼンタが動かない筈がない。
両手に構える二本の得物。
桃色と黒色、形状の異なる槍を手に跳躍。
敵意の矛先がこちらへ向かうも好都合、二槍を思い切り振り下ろす。

「翔舞槍月閃!!」

元々は黒槍一本で放つ技を、此度はマジアマゼンタ本来の得物も加えた二本で行使。
籠められた魔力が生み出す衝撃波が、頭上より叩き付けられた。
水の刃も放つ前に潰され、分身共々木っ端微塵。
後には地面へ破壊の痕だけが残った。

92正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:13:17 ID:.I21kXzM0



『FORM RIDE KIVA GARURU FORM!』

左半身の上部と、コウモリを象った瞳。
双方を青色に染めた仮面ライダーキバ・ガルルフォームが睨むは、MSを纏った剣士。
異名通りの黒い装束は見えずとも、培った剣術が如何程かすぐに思い知るだろう。
と言っても、近接戦闘を得意とするのはキバも同じ。
ウルフェン族がメタモルフォーゼを果たした剣、ガルルセイバーが妖しく光る。

獲物を見付けた狼さながらの俊敏性を発揮し、キリトへ飛び掛かった。
振り下ろす剣をビームサーベルで防ぐ。
やはりと言うべきか、物理攻撃にも関わらず焼き切れない。
科学の域では測定不能の、魔族の力が宿る故か考える余裕は無し。

「っと……!」

押し返す前に敵自ら剣を引き、位置を変え襲来。
こちらも片手剣で弾くが、反撃に出るより早く三撃目が迫る。
ビームサーベルを操り防御、装甲の耐久性を不要に削らせない。

「滅茶苦茶な振り方の割には……!」

随分剣筋が鋭いと、装甲の下で引き攣り笑いを浮かべる。
型も何もない荒々しさへ全振りしてるように思わせ、急所を的確に狙う。
暴風雨の如き斬撃を時折すり抜け、斬り付けた剣は反対に防がれた。
面倒な手合いと実感を抱く間に、キバは攻撃の手段を変更。
自身の顔の前に剣を翳し、狼の頭部を模した鍔がキリトを射抜く。

「なん……っ!?」

湧き上がった嫌な予感は、決して気のせいじゃなかった。
狼の瞳が輝いたと思った次の瞬間、発せられるは猛々しい咆哮。
口内部の音波砲が衝撃を放ち、ダメージこそ薄いがその場に留まっていられない。

平均的な人間の重量を超える、ファンガイアだろうと吹き飛ばすのだ。
汎用機とはいえデュエルガンダムの装甲ですら、両足が地から浮き掛ける。
力を籠めどうにか踏み留まるも、キバは手早くドライバーにカードを読み込む。
高威力の技の出し所は、キリトに隙が生じた今を置いて他にない。

93正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:13:47 ID:.I21kXzM0
『FINAL ATTACK RIDE KI・KI・KI KIVA!』

ファンガイアを始め、魔族のみに許された力。
魔皇力が刀身に付与、柄を仮面の口部分に咥える。
奇怪な構え方と侮るなかれ、キリトを襲う勢いたるや先の何倍も苛烈。

「っ!流石に、口に咥えて斬り掛かる奴は初めてだな……!」

苦笑いも知った事かと斬り続ける。
得物の差で一本負けているにも関わらず、双剣を寄せ付けない。
上半身を捻り繰り出す斬り上げが、ビームサーベルを弾き飛ばした。
取りに行かせる猶予は当然ながら、与えられない。

片方の得物を失った隙を突く、戦法は何も間違ってない。
自分だって仮に相手が同じ状態へ陥ったら、迷わずそこを利用する。
だからキバがどう出たかに驚きはなく、納得さえあった。

「本当に――狙った通りだ」

こっちの剣が一本弾かれれば、間違いなくその隙を突いて来る。
あえて作らせた敵の有利な展開は、逆に自身が決着へ持って行く為の誘導。
無手と思振るわれたガルルセイバーを、隠し持っていたシャドーセイバーで受け流す。
敵にとっては予想外の反撃で、逆に隙を晒した。
となれば、一気に攻める以外に選択はあるまい。

ガルルセイバーを防御へ回させはしない。
空一面に輝く流星の勢いで、斬撃が襲い掛かった。

94正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:14:47 ID:.I21kXzM0



<キバ!エンペラーフォーム!>

<執行!ジャスティスオーダー!>

刀身へ巨大蝙蝠が噛み付いた大剣、ザンバットソードがゼインの手に現れる。
ファンガイアの王以外に持つ事は許されず、関係者が知れば極刑は免れないだろう。
固い掟はゼインからすればどうでもよく、王の証も単なる道具に過ぎない。
刀身が血よりも濃い赤に染まり、魔皇力が最大まで高まった。
振り下ろし放つ斬撃もまた真紅、マザーサガークを一刀で斬り伏せた時以上の威力で飛来。

『COME ON!VEGAS!CAB!CIRCUS!』

『タイヤ!カキマゼール!アメリカンドリーム!』

高威力の技を使うのは、ゼインの専売特許ではない。
シフトトライドロンのパネルに表示された三台のタイヤを、合成し装着。
豪奢な装飾のタイヤで何をする気か、自分の目で確かめるまでゼインは待たない。
迫り来る真紅の刃へ恐れは見せず、チェイサーが片手を翳す。
能力の詳細は確認済だ、これならばいける。

出現するは、異次元と繋がったワームホール。
ディメンションキャブの能力で作ったものだが、生成した目的は攻撃吸収に非ず。
穴の向こう側から放出される、大量のカジノ用チップ。
更には賑やかな歓声と共に、ピエロ達が出現。
派手に踊れば踊る程、紙吹雪や風船が視界を覆い尽くさんばかりに溢れ出す。

「これは……!?ぐおおおおっ!?」

ロイミュードへダメージを与えるそれらが、ゼイン一人を対象に殺到。
ザンバットソードを振るい斬り刻んだ、しかし全部じゃない。
機関銃の掃射が生易しく思える程の、圧倒的物量で圧し潰す。
粉砕される末路はお断りだ、引力操作機能で走力を強化。
射程圏内へ逃れ、新たなゼインカードへ手を伸ばす。

95正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:16:11 ID:.I21kXzM0
<アルティメットバイス!>

<執行!ジャスティスオーダー!>

読み砕き効果が表れるも、これまでのカードとは違う。
武器や技ではない、ゼインの隣へ別のライダーが姿を見せた。
恐竜モチーフの装甲を纏った戦士、仮面ライダーバイス。
五十嵐一輝と契約した悪魔が、真に相棒でありライダーとしての進化を遂げた形態。

無論、ここにいるのは本物のバイスではない。
再現体(コビー)に過ぎないが、スペックはオリジナルと変わりない。
絆が入り込む余地のない、単なる暴力装置として顕現。
仮面ライダーゲンムを相手取った時同様、抵抗を許さぬ連携で仕留めるまで。

一輝とバイスの絆を踏み躙る行為だと、五十嵐家の者を始め二人を知る者は憤るだろう。
生憎ゼインに、そういった情を汲む気は微塵もない。
だからこそ、仲間という存在をゼインは甘く見過ぎた。

「果穂ちゃん!チェイスくん!」

分身の破壊者が消え、千佳が真っ先にやろうと思ったのは一つ。
元凶であるゼインと戦う仲間達へ、少しでも力になりたい。
それを可能に出来る方法を、自分は既に持っている。
他でもない、千佳にしか出来ないたった一つの戦い方。

「負けないでーっ!」

声援と共に放つ、青空のように自由奔放な少女の魔法。
痛みを与える力じゃない、けれどこれでいい。
何せゼインが最も望まない展開を、イノセンスは引き起こす。

『っ!!!??!!これはまたしても……!!』
「お、前ぇぇ……!勝手なことばっかりしやがって……!クソがっ!令呪まで使ったな……っ!」
『――っ!黙れ!今はそれどころでは……っ!』

パラドを助けようとした時とは、状況がまるで違う。
しかし、“最も自由を封じられた者の解放”は此度も発生。
有無を言わさず資格者になった、灯悟の意識が支配を逃れようと藻掻く。

必死に抑え付けるゼインの隣では、命令を受け損ねたアルティメットバイスが立ち尽くす。
追い打ちを掛けるように、攻撃のタイミングを見失った無防備な背へ激突するマゼンタ色のライダー。
キリトから連撃を受け、元の破壊者へ戻ったディケイドだ。
偶然か意図してか、倒すべき者達が一纏めに。

96正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:18:11 ID:.I21kXzM0
「チェイスさん!行きましょう!」
「ああ!」

『UNLIMITED EXECUTION TRIDORON』

『BOOST TIME』

ならば今しかない、終わらせるにはここ以外に有り得ない。
頷き合い、それぞれの変身ツールを操作。
ブレイクガンナーを押し込み、生成するのは赤いスーパービークル。
エネルギー体のトライドロンがエンジンを唸らせる。
隣に並ぶは、同じく赤い体の巨大な獣。
拡張装備、ブーストライカーをナーゴモチーフの形態で召喚した。

チェイサーとナーゴの意志に従い、一台と一頭が疾走。
ゼイン達の周囲を縦横無尽に駆け回り、真紅の檻を作り出す。
標的を閉じ込めるだけが目的じゃない。
二人揃って跳躍し、車体を蹴り反動を付けての蹴りを幾度も叩き込む。
ゼインに当たれば、蹴り貫いた先で車体に弾かれ。
ディケイドに当たれば、同様に弾かれの連続。
十を超えた時にはとっくにカード効果は切れて、アルティメットバイスは影も形も見当たらない。

「ぐ、が、あぁ……!」

ダメージに呻く声は、果たしてどちらのだったか。
カードを取り出す余裕はどちらも与えられず、装甲で殺し切れない傷が蓄積。
お互いの背が激突したタイミングで、真紅の戦士達も遥か上空へ跳躍。
決着(フィナーレ)の瞬間が、今正に訪れた。

97正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:18:59 ID:.I21kXzM0
『ヒッサツ!』

『FULL THROTTLE!CHASER!』

『BEAT BOOST GRAND VICTORY』

それは、欺瞞に満ちた善意を砕く鉄槌。
それは、太陽を背に闇を照らす希望。
それは、断ち切れぬ絆が紡ぐ英雄譚。

悪しきを貫く必殺の技(ダブルライダーキック)が。
善意の怪物と、シビトが纏いし破壊の鎧に敗北を下す。

「ごあがああああああああああああああああっ!!!??!!」

声を出せないシビトと正反対に、善意の装甲からは絶叫が上がる。
意識を急浮上させられた影響だと、灯悟に言っても何の慰めにもならないに違いない。
複数回のバウンドを経てようやく停止、衝撃でドライバーがいつ外れたかなど気付けなかった。

『マズい……!』

ゼインもまた、些事に構ってられない。
今の自分は無防備、器を早急に手に入れなくては。
想定外の敗北により、無機質な人格データへらしくもない焦燥感が生まれたのか。
人であれば血眼になったろう有様で、新たな資格者を求める。

誰でもいい。
黒の剣士、ホムンクルス、魔法少女、アイドル、ロイミュード。
目に付く者へ装着出来れば、全て片が簡単に済む。

『体を私に……!』

「いや、もう誰もお前の道具にはさせない」

聞こえた声に、人格データが覚えた感情は何だったのか。
分からない、分かる余裕なんて有る筈がない。
悉く自身の邪魔をしたロイミュードが、仮面越しに見つめていて。
その手に握る刀がギラリと光り、全てを察する。

『チェイス……!お前の体を寄越せ――』

悪足掻きは長続きしない。
器を求めた声も、最後まで言わせない。
邪悪を断ち切る鬼の刀が切り裂くは、魔化魍とは異なる悪。
大自然ではない、行き過ぎた善意は科学技術による忌子。

98正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:19:45 ID:.I21kXzM0
両断されたゼインドライバーは、一度だけ微かな光を灯し。
すぐにそれも消え失せ、完全に沈黙。
部品コードを晒すただのガラクタと化し落下。
散らばった複数枚のゼインカードが、虚しさを告げていた。

「……あっ」
「っ、果穂……!」

暫し見下ろしていたチェイスの意識は、傍らで膝から崩れ落ちた少女へ移る。
デザイアドライバーが外れ、生身に戻った果穂を抱き支えた。
目立った外傷はなく、フェザーサーキットの後遺症だってそう。
視線を合わせれば呼吸を若干荒くしつつ、見慣れた笑みを作った。

「えへへ……ちょっとだけ、疲れちゃいました……あっ、でも!羽があった所チェイスさんが助けてくれたおかげで、もう大丈夫ですっ!」

決着が付き、安堵からか気が抜けたのか。
元々の消耗も相俟って、傷はほとんどなくとも体力的には限界。
それでも、出会った時から変わらない表情を見せ。
果穂が戻って来た事を、改めて実感した。

「ゼインさんも、もう……」
「ああ……。そういえば、もう一つ奴と同じベルトがあったが……」
「えっと。あっちのベルトは変身出来ますけど、でもゼインさんはいないみたいでした」

精巧なコピー品ということか。
だとしても、よりにもよってゼインドライバーとは。

ふと顔を上げれば、仲間達が駆け寄るのが見えた。
全員消耗は見て取れるが、重症を負った者は皆無。
更に視線を移すと、捉えた先にはうつ伏せの状態からどうにか立ち上がろうと試みる侑斗。
但し傷の大きさが軽く見れるレベルを明らかに超えてるのもあり、動きは非常に緩慢だ。

99正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:20:16 ID:.I21kXzM0
「っ!?」

もう一人を見て、最初に驚いたのは誰だったか。
恐らくは全員が同じような反応だったろう。
表情を憤怒に歪ませ、二本足で立ち上がったセーラー服の少女に明確な異変が起きた。
腹部や太腿といった素肌の傷が、全て独りでに塞がっていく。

「えっ!?あ、あの人も傷を治す魔法を使ってるの……?」
「いえ、魔力を使った形跡はどこにも……」

目を白黒させる千佳の疑問へ、小夜も困惑を隠さず返す。
トレスマジアの魔法体系と違っても、魔法が行使されれば必ず分かる。
なのにあの少女、浅垣灯悟は魔法を使わず傷を塞いだ。
というよりは、勝手に再生したとの表現が当て嵌まる気がしないでもない。

「お前は一体……いやそもそも、お前は本当にキズナレッドの浅垣灯悟なのか……?」

イドラから聞いた話で、灯悟にこんな力があるとはなかった筈。
ヒーローに変身し続けた影響で、体に変化が表れた。
といった可能性もゼロでないとはいえ、頷くには躊躇が生じる。
自分達を襲った事といい、悪辣な言動の数々といい。
余りにもイドラの話と違い過ぎるのもあってか、本当に少女の正体が灯悟なのかも疑わしくなった。

「お前は、先生を殺してベルトを奪ったと言ったな。それも本当なのか?」
「……さあねぇ」

ネオディケイドライバーを持っていたのも、こうなると異なる理由じゃないか。
もしやと思って聞いてみたが、納得のいく答えとは程遠い。
本当に灯悟かどうかも怪しい異様なナニカへ、必然的に場の空気は引き締まり、

100正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:21:10 ID:.I21kXzM0
視界の端で、白い機械が浮かぶのが見えた。

「なにっ!?」

見間違えでないのを全員が思い知る。。
真っ二つになった方とは別、もう一つのゼインドライバーが浮遊。
誰一人触れていないにも関わらず、意思を持ったかの動きで飛来。
ようやく立ち上がり掛けた侑斗の腰へ装着、途端に動きは機敏性を取り戻す。
精巧な操り人形の動作でプログライズキーを差し込み、あっという間に変身完了。

「そんな……!?だってあのベルトにゼインさんは……」

愕然と震えた声を紡ぐ果穂だが、起きた事は変えられない。
再び現れたゼインが何をするにしろ、ロクなものとは思えなかった。
動きを封じようと、ブレイクガンナーを突き付けるチェイスを誰も止めない。
誰もが各々得物を構え、或いは技や術の発動を試みて、










気付いた時にはもう、事は起きてしまった。










「……っ?」

違和感がチェイスを襲う。
見ている景色が今の今でと違っている。
ついさっき、という表現すら当て嵌まらない。
瞬きを終えもしない内に、見ているものが変わった。

何故、ゼインがこうも近くにいるのか。
持っていなかった筈の支給品袋を、握り締めてるのか。

101正義Ⅵ:UNLIMITED DRIVE type CHASER ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:22:08 ID:.I21kXzM0





転がっているソレは。






レジスターを付けたままで、斬り落とされた手首は誰のものなのか。






視線を落とす。





見た。
見てしまった。





「果穂……?」





鎮静剤を失い、命のタイムリミットが尽き掛けた少女を。

102正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:24:28 ID:.I21kXzM0



これで終わった筈だった。
ゼインはドライバーを破壊され、殺し合いから脱落。
突き詰め過ぎた善意は悪意と何ら変わりなく、故にいずれは朽ち果てる宿命。
戦いはヒーロー達の勝利で幕を閉じ、これ以上誰もゼインの手には掛からない。

桜井侑斗のシビト化さえなければ、そうなっただろう。

仮面ライダーゼインの正体はベルトに宿った、ゼインと言う名の人工知能。
謂わば実態を持たないデータ、故に現実世界での活動には器が必用不可欠。

ゼインがやったのは実に単純、データである自分自身の転送。
ドライバーが破壊され、人格が完全に消失する寸前。
使い物にならなくなった、ジョージ・狩崎作のアイテムに見切りを付けたのだ。

とはいえ、何にでもデータを移せる訳ではない。
最初から自身の存在を宿せる機能が備わった、ゼインドライバーならともかく。
マッハドライバー炎やデザイアドライバー等の、変身“のみ”を目的にする物では不可能。
変わりの器が存在しなければ、ゼインの足掻きも結局は無意味。
消滅をほんの少しだけ、先延ばししたに過ぎない。

だがたった一つ、条件を満たす器がここにはあった。

侑斗のシビト化に伴い再現された、複製品のゼインドライバー。
変身機能のみならず、ゼインカードの使用や細かい装置までオリジナルと同じ。
唯一、ゼインの意識データが存在しない点もプラスへ働いた。
不要な抵抗を受ける事無く、己のデータを収められる。
主不在の屋敷へ我が身を滑り込ませ、支配下へ置いたのだった。

103正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:26:19 ID:.I21kXzM0
「果穂……っ!」

理解が現実へ追い付いたチェイスが呼びかけるも、既に遅過ぎた。
侑斗の肉体の主導権を奪ったゼインは、操り人形同然に動かし変身。
6時間中に三回までの時間停止能力、その最後の一回を使用。
僅かな猶予を得て、果穂へ急接近するやレジスターの付いた手首を切断。
同時にリュックサックとゼインカードを回収し、時が動き出す。

「――テメェ!!」
「お前は……!!」

何が起きたかはこの際どうだっていい、何をされたかの方が重要。
助かった筈の仲間を、確実な死へ追いやる一手を打たれた。
激情と焦燥に突き動かされ、キリトとジークが突撃。
双剣の餌食か大剣に磨り潰されるか、どちらの未来も訪れない。

ゼインへの道を阻むかのように、現れるは奇怪なナニカ。
亀裂の入った仮面が浮遊し、キリト達へ射出。
この程度の壁で押し留めるというなら、言語道断。
マクアフィティルの一振りで、陶器のように砕け散る。

<シン!>

<執行!ジャスティスオーダー!>

ほんの僅か、されど足止めは足止め。
ゼインカード裁断の時間稼ぎに、十分貢献した。
生体改造兵士(バイオボーグ・ソルジャー)レベル3、仮面ライダーシンの技を発動。
高出力の念能力を使い、接触せずとも二人の剣士を吹き飛ばす。
更には周囲一帯に破壊を齎し、煙と飛び散る破片が視界を塞いだ。

「くっ!待て……!」

制止の声に従う義理はない。
今しがた破壊されたモンスターカード、闇の仮面の効果は発動されている。
正規のデュエルでは墓地の罠カードを手札に戻す、リクルートの効果を持つ。
殺し合いのドロップアイテムとしての調整で、時間制限が解除される前の罠カードを再使用可能という具合に作用。
富良洲高校からの撤退で使った、強制退出装置を発動。
自身と侑斗を対象に、別のエリアへ一瞬で転移。
粉塵を斬り払った時にはもう、ゼインは煙のように消えた後。

104正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:28:01 ID:.I21kXzM0
『KAMEN RIDE RYUUKI!』

もう一人の敵対者、灯悟も今がチャンスと踏んだのだろう。
ネオディケイドライバーを拾い、急ぎ龍騎に変身。
一番近くの反射物へダイブ、ミラーワールドを経由し逃走を図った。
カードデッキを持たない以上、追跡は不可能だ。

「果穂ちゃん!お願いしっかりして……!」

目尻に涙を浮かべ、はるかと千佳が回復を試みる。
幾度も仲間を死の淵から掬い上げた魔法も、今回ばかりは無力。
効果があったのは、欠損部位の止血のみ。
バグスターウイルスの除去は叶わず、肉体を走るノイズは消えない。

「頼む……!もう一度果穂を……!」

一抹の望みを託し。チェイスがマッドドクターの能力を使用。
超進化態となったブレンの毒すら打ち消せたなら、望みはある筈。
そう信じるも、現実は何一つ変えられなかった。

バグスターウイルスは羂索達が設定した、プレイヤーへの枷。
プロトガシャットの支給や医療関係者の参加等、解毒の芽は存在する。
かといって、あっさり無効化されては興醒めだと相応に難易度が設定されたのも事実。
財前美智彦との戦いで、バグスターウイルスのデータを記録したドライブドライバーを用いたならまだしも。
如何に心意システムが作用し創造したシフトトライドロンでも、不可能の壁を超えられない。

「……っ!」

打つ手なし、どう足掻いても助けられない。
非情な現実に場が侵食される中、当の果穂も理解する。
自分は死ぬ、チェイス達と最後まで一緒に戦えない。
家族や283プロの皆の所へも、もう二度と帰れない。

悲しくないなんて有り得ない。
近付いて来る死の気配に、恐怖がないとは口が裂けても言えない。
W.I.N.G優勝まで支えてくれて、そしてこの先も力になると言ってくれたプロデューサー。
彼と共に、アイドルとして突っ走る道は途切れてしまった。
本当だったら、人目も憚らず泣いていただろう。

105正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:28:51 ID:.I21kXzM0
「ありがとう……ございます……」

だけど、果穂はヒーローだから。
自分なりのやり方で笑顔を届ける、ヒーローたらんとするアイドルだから。
悲観する少女じゃなく、最後までヒーローの小宮果穂でいる事を選んだ。

「あたし……嬉しかったんです……皆さんが助けてくれて……仲間として受け入れてくれて……」

きっとここで自分が泣き叫んだら。
死にたくない、こんな最期は嫌だと絶望を口にしてしまったら。
きっと仲間達の心に大きな傷が刻まれる。
だから、ほんの少しでも皆が痛くならないように。
最後にありったけの感謝を伝える。

「本当のあたしを……取り戻させてくれたから……あたし、は……っ、チェイスさん達に会えて……良かったって、思います……」

すすり泣く誰かの声が聞こえる。
俯く誰かの姿が見える。
もっとはっきり捉えたいけど、やけに朧気だ。
限界が近いのを察し、やっぱり恐いなと感じた時。
もう片方の失っていない手を、握り締める感触があった。

「俺は、お前の傍にいる。お前を一人にはさせない」
「――――」

会った時から変わらない淡々とした、でも優しさが籠められた声。
彼が一番近くにいる、それだけで恐怖が薄らいでいく。

「やっぱり、チェイスさんは……あたしの大好きな……優しくてかっこいい……ヒーローです…………」

終わりの時まで、頼りない視界で精一杯彼の顔を見て。
傍にいてくれるのを忘れないよう、強く手を握り返して。

淡く、だけどどんな星よりも輝く笑みで。
少女は天へ還って行った。

106正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:29:29 ID:.I21kXzM0



6人の参加者がそこにいた。
肩を震わせ悲しみに暮れる千佳とはるかを、小夜が慰め。
その彼女も唇を噛み絞めて、何かを堪えていて。
二人の少年は沈黙を貫いているも、どんな顔かは分かる。

では、自分はどうなのだろう。
作り物めいた鉄面皮へ、ほんの少しでも変化が訪れているのだろうか。
本当の自分ではない、白バイ隊員の擬態でしかない顔へ手を伸ばす。
頬に触れてみると、濡れてるのが分かった。
雨は全く降っておらず、空は変わらず午後の太陽が照らしてある。
自分が泣いていると、その時ようやく気付く。

涙を流すのはこれが二度目だ。
失恋の痛みを感じた時と違い、人間に近付けた喜びはない。
胸を刺す苦痛が誇らしいなど、誰が言えようか。

大事な誰かを失って、悲しみの雨を双眸から降らす。
人間だけじゃなく、ロイミュードだってそれは同じ。
ブレンを失ったハートとメディックが、頬を濡らすのはこの目で見た。
故に何も、不可思議ではない。

だとしても、今の自分を素直に受け入れられるかは別。
守ると誓った少女を、結局助けられず。
取り零し続けるだけの弱い己に、

「俺に悲しむ資格など……」
「資格とか関係無いだろ」

無意識の内に吐き捨てた言葉へ、返されるのは否定。
顔を上げれば、真剣な表情のキリトと視線が合う。
その目は自分を見ていると同時に、過ぎ去った過去を見つめてるようでもあった。

107正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:31:15 ID:.I21kXzM0
「自分自身をどうしようもなく見限りたくなるのを、理解出来ないとは言わない」

お前は俺達に会うべきじゃなかった。
嘗て言われた言葉は今も尚、消えない傷となってキリトの中に存在する。
世界が色褪せ、自分自身を無価値と断じてやりたくなった過去は忘れない。

「だけどチェイス、お前は彼女を救ったんだ。命を喪われたけど、それでも心は確かに救われた」

短い余命を、閃光のように駆け抜けた少女がいた。
待ち受ける最後を変えられはしなかった。
けれど満たされた人生だったと、心から告げて力尽きるのを見届けた。
助けられた筈の少女がいた。
自身の驕りが彼女を殺し、一度は道化に身を堕としたが。
それでも自分は、赤鼻のトナカイである彼女にとってのサンタクロースになれた。

助けられなかったけど、救われた少女達を知る者として。
チェイスが果穂を救った事実を、彼自身に否定させたくなかった。

「彼女の為に流すあなたの涙は間違いではないと、俺も思う」

もう一人、ジークもまたチェイスへ向けて言葉を紡ぐ。
自分以外の為に流す涙の理由を、知っている。
名も無きホムンクルスで終わる筈だった自身の無事に、泣いて喜んだ友の記憶は鮮やかに思い出せるのだ。

「そうか…………」

仲間達の言葉を受け、そっと自分の胸元へ手を置く。
ここに傷は付けられていない、しかし感じる痛みは本物。
大事なナニカが欠けた傷の癒し方は、まるで分からない。

「果穂……」

激情を露わに泣き叫びはしない。
我を忘れて、憎悪に身を焦がすなど以ての外。
それでも、名前を呼んでも彼女の声が返って来ない事に。
喪失の悲しみを拒絶せず、今だけは身を委ねていた。



【小宮果穂@アイドルマスター シャイニーカラーズ 死亡】

108正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:32:46 ID:.I21kXzM0



【エリアG-6/現代都市 浄水場前/9月2日午後3時40分】

【チェイス@仮面ライダードライブ】
状態:ダメージ(中)、無力感(大)、喪失感
服装:紫のライダースジャケット(いつもの)
装備:マッハドライバー炎&シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ、ブレイクガンナー&チェイサーバイラルコア@仮面ライダードライブ、シフトデッドヒート@仮面ライダードライブ、シフトトライドロン@仮面ライダードライブ、鳴刀音叉剣
令呪:残り三画
道具:トレーラー砲@仮面ライダードライブ、メカ救急箱(使用回数3/5)@ドラえもん、野晒@BLEACH、亜空間物質転送装置@遊戯王OCG(1時間40分使用不可)、シフトチェンジ@遊戯王OCG(1時間40分使用不可)、給食部のトラック@ブルーアーカイブ、大量の購買部の商品、ホットライン
思考
基本:人を守り、殺し合いを止める
00:……、……
01:ゼインはどこへ逃げた?このままテレビ局へ向かうべきか?
02:久留間運転免許試験所へ向かう傍ら、協力可能な参加者を探す。
03:俺達を襲った先生は偽物だったのか……?
04:キリトたちと共に行動する。
05:蛮野もこの島にいるのか?
参戦時期:死亡後。
備考
※制限により重加速は短時間で強制的に解除。連続使用は不可。
※心意システムにより仮面ライダードライブ・タイプトライドロンのゼインカード(複製)からデータを読み取り、シフトトライドロンへ再構築しました。

【ジーク@Fate/Apocrypha】
状態:疲労(大)、ダメージ(小)
服装:本編の服装
装備:浅打@BLEACH→幻想大剣(バルムンク)@ロワオリジナル(BLEACH+Fateシリーズ)
令呪:残り二画(竜告令呪)
道具:缶コーヒー@現実(残数2本)、???
   N・Sワッペン(N×10、S×4)@ドラえもん
   ホットライン
思考
基本:可能な限り被害を少なくゲームを終了させる
01:大聖杯はどうなっているのだろうか...
02:ユメたちは無事だろうか?
03:ノワルに宇蟲王はどこかで倒しておかなくては。
04:小鳥遊ホシノは明らかに大丈夫でなかった。
  もう一度合流しなくては。
05: ギラたちと情報交換を行い、出来れば協力も取り付ける。
06:うてな、ディアッカ……本当にすまない。
参戦時期:本編終了後
備考
※FGOコラボイベントのイベントの記憶も有しています。
※時系列的には邪竜の姿が正しいですが、ホムンクルスの姿をしています。本人は羂索の制約によるものだと考えています
※うてなからノワルについての情報を得ました。またノワルと対立した面々を信頼できる人物として認識しています。

109正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:33:37 ID:.I21kXzM0
【花菱はるか@魔法少女にあこがれて】
状態:疲労(大)、精神的疲労(大)、ダメージ(中)、ノワル戦のトラウマ(極大)、悲しみ
服装:学生服/マジアマゼンタのコスチューム
装備:トランスアイテム@魔法少女にあこがれて
令呪:残り二画
道具:ウォーパイク@テイルズオブヴェスペリア、ランダムアイテム×0〜1、ホットライン、通り抜けフープ@ドラえもん
思考
基本:魔法少女として殺し合いを止める
00:果穂ちゃん……
01:千佳ちゃん達と行動。
02:うてなちゃん、皆……ごめんなさい
03:ノワル、赤い服の男の人(宇蟲王ギラ)に対して最大限警戒
04:マジアベーゼはいつか仲間になってくれると思ってるよ!ここで正体は探らないって約束する!
05:小夜ちゃん……本当に良かった。
06:あたしが気絶してからとんでもないことになってる……
参戦時期:少なくともマジアマゼンタ フォールンメディックに覚醒前
備考
※真化形態に覚醒しました。
 原作同様真化中の記憶はないようです。

【水神小夜@魔法少女にあこがれて】
状態:ダメージ(小)、疲労(大)
服装:錬金アカデミーの制服(青)@仮面ライダーガッチャード
装備:トランスアイテム@魔法少女にあこがれて
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、???
   ホットライン、アビドス高校の体操服
   N・Sワッペン(S)@ドラえもん
思考
基本:今度こそ『マジアアズール』の矜持を貫く。
01:冥黒の五道化……あれだけ強くて参加者じゃないなんて。
02:今となってもシェフィちゃんと一緒にマイさんを庇ったのは間違ってないと思う。
03:シェフィちゃんは必ず守る。
04:左虎さんもシェフィちゃんもこの様子だと操られたままなのよね?
05:もしまたマイさんに会ったら……。
06:ディアッカさん、柊さん……そんな!
07:マジアベーゼの正体ってまさか――
参戦時期:アニメ7話、原作2巻Episode10の終盤
備考
※マイの編集(エディット)により、バトルロワイヤルのルールを把握しました。
※マイ=ラッセルハートの"削除"及び"編集"の影響で欠落した記憶が回復しました。
 植え付けられた偽の記憶も残っていますが偽の記憶と理解しています。

【横山千佳@アイドルマスターシンデレラガールズ U149(漫画版)】
状態:疲労(中)、精神的疲労(大)、ダメージ(小、処置済み)、ノワル戦のトラウマ(極大)、悲しみ、魔力残留
服装:普段着
装備:イノセンス@魔法少女ルナの災難、まどうしのつえ@ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:怖いけど、殺し合いになんて負けない!
00:あたしまた、大事な友達を助けられなかった……
01:はるかちゃん達と一緒にいる。
02:イドラちゃん……レッドくん……。
03:マジアベーゼのこと、あたしは信じたい。
参戦時期:サマーライブ編(原作14巻)終了後以降
備考
※まどうしのつえでスクルト、ピオリム、ルカニ、ホイミ、メラ、マジックシールドが使用可能なようです。
 他にどの呪文が使えるかは後続の書き手に任せます。
※マジアマゼンタ・フォールンメディックに授乳された影響で、マジアマゼンタの魔力が体内に宿っています。
 もしかしたらマジアベーゼの魔力も混ざってるかもしれません。

110正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:34:09 ID:.I21kXzM0



一つ、どうも引っ掛かる事があった。

果穂の死をおざなりに扱うつもりはない。
共有した時間はほんの僅かだが、喪われた命を悼む気持ちはある。
にも関わらず意識を割くのは、キリトにとってどうしても捨て置けないからだった。

浅垣灯悟と斬り合った時、吐き捨てられた内容を思い出す。
「ウザってぇ真似されて女になった」と、確かにそう言った。
あれが真実だとすると、やはり灯悟は元々男性。
殺し合いに巻き込まれた後、何らかのアクシデントで性転換し女性になった。
元の性別に戻れないまま、自分達の前に姿を見せたということか。

ではその灯悟が女になった原因は何かだが、心当たりがない訳でもない。
発電所でホシノ達が降ってきた後、一悶着を経て間もない時、
集めた支給品の見分と分配を行った際、該当する道具を見付けたのだ。
ころころダンジョンくんと言う名のアイテムは、解説書曰く時間制限付きで性別を変える。
灯悟の肉体的な現状と結び付けても、何らおかしくない。

更に付け加えるなら、自分達が出会った灯悟は果たして本人だったのだろうか。
イドラの仲間を疑いたくない私情を抜きにしても、不可解な点は少なくない。
襲って来た灯悟を偽物だと仮定した場合、一つの説が浮かび上がる。

本物の浅垣灯悟はころころダンジョンくんで、体が女になってしまった。
それを見た何者かが灯悟の姿を偽り、自分達を襲った。
装備から考えるに、その何者かは灯悟だけでなく先生の姿も偽ったんじゃないか。
肝心の姿を変える力が、固有能力か支給品かまでは現状不明だが。

上記の説が正しいとすれば、灯悟は自分の外見を利用された被害者。
人間性についても、イドラが言った通りの人物と見てほぼ間違いない。

111正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:34:51 ID:.I21kXzM0
と、簡単に言い切れたらどれ程良かったか。
キリトが覚えた疑問は、ここからが本番。

灯悟の性転換の原因が、ころころダンジョンにあると仮定した場合。
問題となるのは、アレをそもそも誰が持っていたか。
イドラやレッドの支給品ではなく、所持者の正確な名前も知らない。
自分が気を失ってる間、デクとやみのせんしが戦っていた時。
何処からか現れた、三色模様の怪人(ヴィラン)のリュックサックにあったらしい。

デク曰く、やみのせんしとの戦闘中に奇声を上げ乱入。
イドラの死体へ、脇目も振らずに飛び掛かろうとした。
餌とでも思ったか、或いは唾棄すべき欲の捌け口に狙ったか。
理由は何にしろ、件の怪人はもういない。
イドラへ手を出すのはデク達に妨害を受け、最終的にはやみのせんしが殺害。
結局、怪人が何者だったかは不明だという。

だが偽物らしき灯悟との戦闘を経て、キリトの中で線と線が結び付く。
ころころダンジョンくんを持っていた、正体の分からない怪人。
デク達を無視し、真っ先にイドラの方へ向かった行動。
既に起こった事実が、ある可能性を導き出す。

(デクが言ってた怪人は、本物の浅垣灯悟だったんじゃないか……?)

そのように考えると、別の見方も生まれて来る。
実際にはイドラを襲ったのではなく、変わり果てたイドラに錯乱し駆け寄っただけじゃないか。
外見のみならず、人語もロクに喋れないせいで誤解され。
襲って来た怪人(ヴィラン)と勘違いされた、それが真相ではないのか。

112正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:35:31 ID:.I21kXzM0
(もしそうなら、デクは……)

確実にその通りだとは言えない。
しかし強く否定出来るだけの根拠もない。
直接怪人を殺したのはやみのせんしだからといって、デクがあっさり切り替える淡白な少年でないのを。
キリトはもう知っている。

喪われた仲間は少なくなく、生きてる仲間にも苦難が降り掛かる。
立ち行かない現状に、キリトは歯痒さを感じるしか出来なかった。


【キリト@ソードアート・オンライン】
状態:ALOアバター、疲労(大)、ダメージ(中)
服装:いつもの服装
装備:マクアフィテル@SAOシリーズ
   デュエルガンダム(核動力型)の起動鍵@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
令呪:残り三画
道具:ホットライン、???
   シャドーセイバー(短)@仮面ライダーBKACK RX、ライドチェイサー@仮面ライダードライブ
思考
基本:このゲームを攻略する。
1:茅場晶彦……今回で完全に決着をつけてやる。
2:ギラ達との協力は取り付けられた、今はチェイス達と行動。
3:アスナたちや逸れたデクたち、ガッチャードなどの協力できそうな者を探す。
4:PoHやダークマイトは死んだらしいがギギストにグリオンにノワルにアルジュナ・オルタは健在……休む暇なしかもな。
5:シノン、亜里紗……また、間に合わなかった。
6:この短剣、もう投げるのはやめとこう。
  なんか毎回敵に拾われる。
7:デクが言ってた怪人の正体は、浅垣灯悟なのか……?
参戦時期:少なくともマザーズロザリオ編終了後
備考
※アバターはALOの物です。

【全体備考】
※鮮血@キルラキルと同様にキズナレッドのデイパックとホットラインは焼失しました。
※以下のアイテムをキリト、デク、小夜、シェフィ、ホシノ、薫、ジーク、学郎で分配しました。
誰にどのアイテムが行き渡ったかは後の書き手様にお任せしますが、少なくともキリトは通りぬけフープ以外にアルカイザーが元々持っていたいアイテムを受け取っていないようです。
以下、分配したアイテム
キズナブレス@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
片太刀バサミ@キルラキル
アナザーオーズウォッチ@仮面ライダージオウ
ころころダンジョくん@Toloveるダークネス
ライドベンダー@仮面ライダーオーズ/OOO
なんでもそうじゅう機(飛行機タイプ)@ドラえもん
セルメダル数枚@仮面ライダーオーズ/OOO
イドラのランダムアイテム×0〜2
イドラのホットライン
ジャンプ強化のエナジーアイテム×2
アルカイザーのランダムアイテム×0〜2
アルカイザーのホットライン

※付近にデザイアバックル&コアID(ナーゴ)&ビートレイズバックル@仮面ライダーギーツ、ブーストレイズバックル@仮面ライダーギーツ、レジスター(小宮果穂)、裁断されたゼインカード(X(複製)、V3、鎧武(複製)、カイザ、ZO、G-3、イクサ、キバ、バイス、シン)、破壊されたゼインドライバー、ゼインプログライズキー@仮面ライダーアウトサイダーズが落ちています。

113正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:36:57 ID:.I21kXzM0
◆◆◆


「ったく、ほんっとに苛つかせてくれるよあいつら……」

性転換した灯悟の見た目で、エンヴィーは四肢を投げ出す。
ミラーワールドを潜り抜けた先、適当な民家へ侵入。
家主不在なら遠慮は無用、仮にいたら殺して黙らせたろう。
二階の寝室のドアを乱暴に開け、質素なベッドへ寝転がった。
質が良い家具とは言えないが、疲れた体には非常に効く。
どっとため息を吐き出し、ストレスの元となった先の戦闘を思い浮かべる。

黒き最後の神が猛威を振るった場から撤退後、改めてアビドス高校を目指し出発。
となったのは途中まで。
やたらと湧き出るNPCに足止めされたか、或いはマシンディケイダーの慣れない運転のせいか。
到着を待たず察したのだ、放送までに間に合わないと。

どこでもドアを使えば一瞬で行けるも、利用機会の多い破格の移動アイテムだ。
使い所に悩んだ結果、勿体なさが勝ったのか温存を選択。
案の定、アビドス高校へ着く前に定時放送が流れた。

先生の見た目でやれる遊びは大きく減ったが、それならそれで構わない。
むしろ新しい試みへ出るのに丁度良いと切り替え、灯悟の外見へ変身。
善人の皮を被った時に聞いた情報を元に、『イドラの死で優勝を選んだ』風を装ったのだ。
尤もいい具合に掻き乱せたかと言うと、腹立たしい事に首は横に振る他ない。
手痛い反撃を受け、しかも自分の正体へ勘付かれたのだから不愉快極まる。

「本当に令呪減っちゃってるよ……」

手の甲を見れば、ウロボロスの印とは異なる模様が刻まれている。
リミッター解除の切り札にして、寿命を削るに等しい諸刃の剣。
貴重な令呪一画が、ゼインのせいで失われた。
勝手に自分の体を動かし、挙句令呪まで無駄に切られ怒るなと言う方が難しい。

114正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:37:29 ID:.I21kXzM0
「ま、あいつらの惨めなとこを見れたのは良いけどさ」

不愉快気な顔から一転、仲間を殺された参加者達の姿へ嘲笑が浮かぶ。
自分を苛立たせた二人組の片方、果穂はまず助からない。
無力感に打ちのめされるだろうチェイスを含め、多少溜飲が下がるというもの。
次に会う事があったら、果穂の姿になって嘲るのも面白いかもしれない。

先生の退場が発表されたとて、遊びに何の支障をきたさない。
イシュヴァール内戦の引き金を引いたように、人間達を弄ぶ悪辣さは健在。
真に絆の破壊者として、嫉妬のホムンクルスは自由気ままに殺し合いを謳歌するだろう。



―『エンヴィー、おまえ…人間に嫉妬してるんだ』



己の根底を鋼の錬金術師に理解された、鬱屈とした最期を振り切れぬままに。


【?????/?????/9月2日午後3時40分】

【エンヴィー@鋼の錬金術師】
状態:浅垣灯悟(TS)@戦隊レッド、異世界で冒険者になるに変身、疲労(大)、苛立ち(大)
服装:鮮血を真似たセーラー服
装備:ネオディケイドドライバー@仮面ライダージオウ
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0〜1、マシンディケイダー@仮面ライダーディケイド、どこでもドア@ドラえもん、ホットライン(簡易プロフィール付き名簿@オリジナルがインストール)
思考
基本:好きにやる
01:次はどうやって遊ぶかねぇ。
02:纏流子に会ったらお友達の最期を伝えてやるのも良いかもな。
参戦時期:死亡後
備考
※先生の支給品はエンヴィーが回収しました。
※ネオディケイドライバーは戦闘を重ねる毎に、一枚ずつライダーカードが解禁されるよう細工されています。
 少なくともウィザードまでのカードが使用可能です。

115正義F:サヨナラの向こう側まで ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:38:52 ID:.I21kXzM0
◆◆◆


こうして、今宵の物語は語り終えられる。
ヒーローの再起と死、書き換えられない苦い結末で以て。
しかし始まりの先に終わりが待つように、終わりの次には新しい始まりがある。
良いか悪いかで決められるものでなく、必然的にそうなる仕組みとしてだ。
小宮果穂の物語はここで終わり、次は必ず新たな物語のページが開く。

たとえそれが、誰にも望まれない醜悪な復活祭だとしても。

116 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:40:13 ID:.I21kXzM0



運が良かった。
超高性能な技術を用いて生み出されたゼインにしては、らしからぬ一言。
本人も自覚はあるが、今回ばかりはそう思わずにいられない。

桜井侑斗共々、ゼインドライバーの複製品がなかったら。
自分はオリジナルのドライバーと最期を共にしただろう。
ディケイドに変身した者の存在で、チェイス達の意識を引き付けていなければ。
複製品のゼインドライバーも危険と見なし、破壊された可能性は低くない。

ボタンが掛け違えば、自分は今も現世に留まっていられなかった。
よりにもよって、排除すべき悪意が結果的に助けとなった事実は屈辱であれど。
過ぎた事だと切り替えるのが最適、長々とは引き摺らない。
転移先でまた一つ幸運が巡り、回復のエナジーアイテムを使いそうゼインは思う。

(最善の結果とは言えませんが、巻き返しは幾らでも可能でしょう)

ゼインドライバーはある、資格者として選んだ侑斗も問題無く操れる。
複製品も含め、ゼインカードは回収済。
裁断した分だけは置いて来てしまったが、仕方ないと割り切る他ない。

現在位置をホットラインで確認しながら、一先ずは移動。
運が良いのか、ランドマークは目と鼻の先。
参加者が集まる可能性が高く、そうでなくとも一応調べて損はない。
至極当然の理由で立ち寄ってみると、早速複数の人影を発見。
ファーストコンタクトはどう出るかを暫し考え、

ゼインの意思とは無関係に、侑斗が彼らへ襲い掛かった。

(馬鹿な!?急に何を!?)

驚愕し制止を試みるも、侑斗を止める効果はゼロ。
駆け出しながらプログライズキーを起動、ドライバーに差し込む。
純白の装甲を纏った者が駆け寄るのを、向こうも気付いたのだろう。
警戒する参加者達へ向けて、拳が突き出された。

117 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:40:42 ID:.I21kXzM0



サビルバラとレンが外に出ていたのは、全くの偶然だった。
中等部〜大学部までに加え、学生用の寮。
ランペルージ兄妹が住まうクラブハウスなど、アッシュフォード学園は非常に広大だ。
神と魔女の闘争の舞台に選らばれる、憂き目に遭ったコーカサスカブト城にも引けを取らない。

そんな広い施設である為、探索にも時間は掛かる。
集まった全員で固まり動くのは、安全性はともかく効率は悪い。
よって家康と堀北、サビルバラとレンに蛮野を加えた二手に分かれ行動。
クラブハウスの方へ足を運んでいた時、自分達以外の存在が見えたのだった。

「挨拶も抜きに問答無用たぁ、穏やかじゃありゃせんのぅ!」

不躾な登場へ眉を顰めながらも、抜刀に躊躇は無い。
襲撃の可能性は常に視野に入れていた為、十分予想出来たこと。
迫りくる拳を防ぎ、逆に押し返す。
性別が男なので刀使の術は使えないが、単純な強度と切れ味だけでもお釣りが来る。
岩をも砕き兼ねない鉄拳を防いで尚、刀身に亀裂一つ見当たらない。

かといって、敵も一発で諦めてはくれないらしい。
反対の拳で殴り掛かり、時には蹴りも交え殴打を繰り出す。
サビルバラも刀で以て応じ、打撃を悉く弾く。
対格差を考慮しても、一撃一撃の重さは向こうが上か。

(妙な奴じゃの……。けったいな鎧が仮面ライダーちゅうのは分かるぜよ。しかしこいつ、“空っぽ”じゃありゃせんか?)

とある流派の一門に生を受け、復讐の旅路で刀は常にサビルバラと共にあった。
故に斬り合いや屠り合いを通じ、相手が攻撃に何を宿すかは言葉以上に感じ取れる。
だからこそ現在鎬を削る敵から、全くと言って良い程何も読み取れないのに首を傾げざるを得ない。
バルバトスのような、狂気染みた闘争心は勿論。
暗く淀んだ目をした鎧の青年の、自暴自棄に似たのともまるで異なる。
真実何もない、外見だけを人に似せた人形と言っても過言ではないだろう。

118 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:41:36 ID:.I21kXzM0
「あれって……仮面ライダー……!?」

自身の記憶にある赤龍とは別物だが、似通った存在に思えてならない。
散々痛め付けられ、ある程度塞がった筈の傷が再び疼きを覚える。
奥深くまで刻まれたトラウマは鎖となって、レンを拘束。
何も出来ずに怯えて、ただ恐怖が過ぎ去るのを祈る以外にやれなかったろう。
数時間前までは、だ。
全く恐くないと言い切れはしないが、震えていたって何も解決しない。
戦いに挑む気概ならとっくに取り戻しており、サビルバラを援護すべく銃を構える。

『待つんだレンくん。ここは私に任せてくれないか』

やる気へ待ったを掛けたのは、レンが最も信頼を向ける者。
タブレットへ映る顔へ、思わず疑問を瞳で問うのも束の間。
弾かれ合い、サビルバラから距離を取った襲撃者が新たな手に出た。

「カード!?じゃあもしかして……」

腹部の機械からカードを取り出す動作は、嫌でも龍騎を思い出す。
見た目は全く違うが、何らかの特殊な能力を使う気と見て間違いない。
脅威を知るだけにレンの緊張も高まるが、傍らで急発進するバイクへ目を剥く。

「蛮野さん!?」

制止の声も虚しく、蛮野は襲撃者目掛け突撃。
幾ら改造を施されたバイクとて、敵は仮面ライダーだ。
拳一発で返り討ちにあってもおかしくなく、蛮野がそれを分からない筈ないだろうに。
レンの困惑を無視しバイクは疾走、驚くサビルバラの横を取り抜け襲撃者の元へ到達。
人であろうとなかろうと、近付く者に容赦する気はないらしい。
振り被った拳がスクラップに変えるまで、一刻の猶予もない。
堪らず駆け出そうとしたレンは、

タブレットから伸びた触手が、襲撃者の腹部へ巻き付く光景に。
違う意味での驚愕を露わにした。

119 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:42:18 ID:.I21kXzM0



『馬鹿、な……!』

もしもゼインに感情を表せる顔があったら、きっと愕然とした表情を浮かべただろう。
ゼインドライバーのデータベースへの侵入を許し、プログラムが書き換えられていく。
善意を為す己の玉座が、悪意を為すモノへ腐り果てる。
抵抗に出ようにも、防衛機能が全く働かない。
自身の力を急激に削ぐ張本人の名を、怒りを籠めて呼ぶ。

『蛮野天十郎……!羂索はお前をも参加させたのか……!?』
『ほう?私を知っているのか?』

声色に籠めた驚きは本心からだ。
会場にいる者で前々から蛮野を知るのは、プロトゼロことチェイスただ一人。
当然このようなドライバー内のデータと、生前知り合った覚えはない。
まさか、クリムが密かに研究していたのでもあるまいに。

『まあいい。お前の正体は後々、保存データをじっくり調べれば済む事だ』
『貴様……!』
『感謝しているぞ?私の為にわざわざ、自由に動く体を運んで来るとはなぁ!』

データで構成された触手を伸ばし、干渉を試みたのに特別深い理由は無い。
自分の知らないライダーシステムの技術が、今後何らかの役に立つかもしれない。
その程度のつもりだったが、全く良い意味で予想を裏切ってくれる。
ゴルドドライブと同じ、意思をインストール済のベルトとは。
これはつまり、自分の為に役立ててくださいと言ってるようなもの。
利用しないのは、それこそ馬鹿以外に有り得ない。

『消え、る……私が消えるなど、そんな馬鹿な……!』

どれだけゼインが必死の抵抗に出ようと、全て等しく無駄に終わる。
参加させられた直後だったら、蛮野の干渉を跳ね除け逆に消し去っただろう。
しかしゼインはここに来るまで、余りにも資格者を変え過ぎた。
本人も気付いていない特殊な制限により、支配力は徐々に低下。
遂にはシビトの侑斗の、『大道克己以外の参加者の殲滅』という自我ですらない思考すら制御下を離れる始末。
蛮野と出会ってしまった時点で、既にゼインは詰んでいたのだ。

120 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:43:32 ID:.I21kXzM0
『認めない……!お前のような悪意に私の力を明け渡してなるものか……!』
『やれやれ、随分と往生際の悪い。私に体を届けたその時点で、お前はもう用済みだ。いらぬ手間を掛けさせるな、この……クズがぁっ!!』
『あ――あああああああああああああああああっ!!!!!』

崖から落ちまいとしがみ付いた手を、強く踏みつけられるように。
ちっぽけな足掻きは何の意味もないまま、大口を開けた終焉へ落ちて行く。
何故こうなった、こんな筈じゃなかったと繰り返しても最早手遅れ。

『こんな最後……私は、みと、め、な――――』

消滅を受け入れられぬ声は、虚しく溶けて消えた。
唯一聞き届けた蛮野は、頭の悪いピエロを見るような笑みを一つ。
数分後まで覚えてるかも怪しい、塵の最期としか思わないだろう。
アウトサイダーズに敗れる正史の末路と、一体どっちがマシだったか。
聞いた所で答えを返す者はもう、どこにもいない。

『これはこれは……プログライズキーに、バイスタンプ?ラウズカードだと?実に興味深い!だが、カラーリングはどうも気に食わんな』

ゼインドライバーに用いられた複数の技術は、コアドライビアとは全く異なるもの。
研究者の欲望へ大いに刺激を受けるが、不満点が皆無とも言えない。
ベースとなった色が白なのは出来損ないの息子を思い出し、少々頂けない。
やはり自分が使う力と言ったら、アレしかないだろう。
装甲のデータを弄り、求めるままに作り替えた。

121 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:44:10 ID:.I21kXzM0



何が何だか分からない。
レンとサビルバラの心情は、その一言に集約される。
蛮野が触手を出したと思ったら、敵が動かなくなって。
触手も消えて、痛々しい沈黙が流れること数秒。
襲撃者、仮面ライダーゼインの全身が眩く輝き始めた。

「こっ、今度はなに!?」

混乱しっ放しで思わず目を瞑り、ややって開く。
視界に飛び込んだのは、10秒も経たない内に様変わりしたライダー。
装甲や各部の意匠は同じだが、カラーリングが明らかに違う。
金色で彩られた派手な、悪く言えば悪趣味な姿。
頭の中がこんがらがるも、ライダーは見た目と不釣り合いな落ち着いた口調で言葉を発す。

『済まない、二人共驚かせてしまったね』
「ば、蛮野さん!?えっ?じゃあこっちは……』

聞き覚えのある声にタブレットを見るも、画面は電源を落としたように真っ暗。
表示されていた顔はどこにもないが、蛮野が消えてしまった訳でないと。
金色に染まったライダーが告げて来る。

『私も驚いたが、このベルトには私のデータを移せるスペースが運良くあってね。今はこっちが私の体という訳だよ』
「……取り敢えずおんしが消えたっちゅーんでないのは分かったぜよ。だが、体を勝手に使われてそいつは何も言わないのか?」
『そのことは直接見て貰った方が早いだろうね』

訝しく問うサビルバラの疑問にも動じず、変身を解除。
見覚えのない男の姿が露わとなり、蛮野の言った意味を即座に理解する。
レジスターが装着されていない。
参加者を苦しめるバグスターウイルスによる消滅回避には、鎮静剤が必用不可欠。
他の者達、ルルーシュをも追い越し解除に成功。
といった可能性もゼロでないが、説得力のある理由は他に思い付く。

122 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:44:48 ID:.I21kXzM0
『恐らく彼は会場に解き放たれた非プレイヤー、NPCの一種だと私は考えている』
「NPC……あれ?でもこの人、私達と同じリュックサックを持ってますよね?」
『そこは私も気になるが、追々考えるとするさ。とはいえ、私自身も戦う力を得られたのは大きい収穫だ。
 ……済まなかったね、レンくん。私がもっと早くに戦えていれば、君達の被害を防げたかもしれないのだが……』
「そんな!蛮野さんは何も悪くないですよ……!」

悔しさを滲ませた様子の蛮野へ、慌てて首を横に振る。
蛮野が仮面ライダーの力を得られたのは、全くの偶然。
どうしてもっと早くとか、そういった文句をぶつけるのはお門違いもいい所だ。
それに蛮野はこれまでずっと、自分を真摯に気遣ってくれた男。
信頼は変わらないし、大事な仲間だと思ってる。

(悪い気がしてならんぜよ……)

レンとは正反対に、サビルバラは内心危惧を抱かずに得られない。
もし蛮野が信頼の置ける者であったら、今回の件も心強いと受け入れられたかもしれない。
だが実際に蛮野は出会った当初からどこか疑わしく、極めつけはリュージからの質問。
自分達の味方と言い切るには、きな臭い部分が多い。
タブレットに封じられてる以上は、何らかの強硬策に出ても対処はそこまで難しくなかった。
しかし自由に動ける体を得てしまい、悪い予兆に思えてならない。

家康はともかく、堀北もまた同意見で頭を痛めるだろう。
一体全体、蛮野に体を乗っ取られた男は何者なのやら。

ゼインをここまで追い詰めたのが因縁深いチェイスであると、蛮野は知らない。
ゼインが人格を完全に消去されて力を蛮野に奪われたことを、チェイスは知らない。

泊ノ介も詩島剛も、ハートもこの地には不在。
しかし終わった筈の、仮面ライダードライブとロイミュードの物語は再び動き出す。
車輪のように回る因縁を止める術は、誰の手にもなかった。

123獰悪EX:黄金の悪魔はなぜ蘇ったのか ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:46:16 ID:.I21kXzM0



【仮面ライダーゼイン@仮面ライダーアウトサイダーズ 退場】
【蛮野天十郎@仮面ライダードライブ 新生】



【エリアG-4/租界 アッシュフォード学園敷地内/9月2日午後3時40分】

【レン@ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン】
状態:疲労(小)、ダメージ(中)、精神疲労(小)、戦いへの恐怖心(ほぼなくなった)、蛮野に若干依存、全身に軽度の火傷、左目失明、左目や至る所に包帯、髪がそこそこ焦げてる、ずぶぬれ
服装:綾小路武芸学舎の制服@刀使ノ巫女
装備:無限バンダナ@メタルギアソリッドシリーズ、Vz.83@メタルギアソリッドシリーズ、ブレンのタブレット@仮面ライダードライブ+渋井丸拓男のバイク@DEATH NOTE、治療キット×1@ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン
令呪:残り三画
道具:予備マガジン×30、ホットライン
思考
基本:生き残ることを優先
00:怖いけど逃げない。生きるために。
01:家康さんたち。蛮野さんと共に行動する
02:松坂さとうと出会ったら警戒する
03:怖いけど、自分の不甲斐なさの方がよっぽど許せなくなった。
04:私本当に生きて帰れるのかな……左目、治るかなぁ……
05:SAOの人、生き返ってるんですけど……
06:蛮野さんが仮面ライダーになっちゃった!?
参戦時期:第一回スクワットジャム終了以降
備考
※GGOのシステム(バレット・サークル、バレット・ライン)は制限なく使用できます。
※仮面ライダーとの戦いで強いトラウマを植え付けられました。
※松坂さとうを危険人物として認識しました。また仮面ライダーへの変身能力を持っている可能性があると判断しています。
※ブレンのタブレットの所有者になりました。ブレンのタブレットはレンに危害を加えることはありません。
※家康が自分の知っている歴史の家康とは別人だと理解しました。
※自分の不甲斐なさにキレたことで浅倉に対する恐怖はほぼなくなりました。
 が、常時キレてるわけではないので噛み千切ったりとかをいきなりはしません。
※隆二、アンクと情報交換しました。

【サビルバラ@グランブルーファンタジー】
状態:ダメージ(中)、疲労(小)、蛮野に対する警戒
服装:いつもの(ゲーム上における火SSRの恰好)
装備:蛍丸@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3(ロトの防具なし)、ホットライン、アレフのレジスター、ロトの剣@ドラゴンクエスト
思考
基本:汚れ仕事はやる。だが殺し合いには乗らん。
00:アッシュフォード学園へと向かう。
01:バルバトスは早く倒しておきたい。
02:三人のサポートに回る。それがわしの役割ぜよ。
03:バンノには要警戒。必要なら斬る。ちと悪い展開になっとるのう。
04:リュージ、気ぃつけとくんだぞ。
参戦時期:「待雪草祈譚」終了後以降。
備考
※男性のため御刀の力は引き出せません。
※ギアスコラボ、ドラえもんコラボ、ヒロアカコラボ、プリコネコラボには出てないため、
 ルルーシュやドラえもんの名前はうろ覚え程度の扱いになってます。
※蛮野と情報を交換しましたが、信用ならぬと感じています。
※隆二、アンクと情報交換しました。
※リュージの異能について把握してます。

124獰悪EX:黄金の悪魔はなぜ蘇ったのか ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:48:44 ID:.I21kXzM0
【蛮野天十郎@仮面ライダードライブ(非参加者)】
状態:侑斗(シビト)へ憑依中
服装:侑斗(シビト)と同一
装備:ゼインドライバー(複製)@仮面ライダーアウトサイダーズ、ゼインプログライズキー(複製)@仮面ライダーアウトサイダーズ、ゼインカード一式(純正・複製)@仮面ライダーアウトサイダーズ、ゼインカード一式(二号ライダー)@仮面ライダーアウトサイダーズ
道具:メダジャリバー+オースキャナー@仮面ライダーオーズ、強制退出装置@遊戯王OCG(6時間使用不可能)、闇の仮面@遊戯王OCG(6時間召喚不可)、マイティアクションXガシャット@仮面ライダーエグゼイド、裁断されたゼインカード@仮面ライダーアウトサイダーズ、檜佐木修兵のバイク@BLEACH、グレードアップえき(2/5)@ドラえもん、桜井侑斗のレジスター、ホットライン×3
基本:どんな手を使ってでも生き残る。
01:家康達のグループを利用。特にレンはこちらを信用し切っていて都合がいい。
02:機を見てチェイスもどうにかしておきたい。
備考
※自身の意識データをタブレットからゼインドライバー(複製)に転送しました。
※裁断された仮面ライダー2号、仮面ライダースーパー1、スカイライダー、仮面ライダー龍騎、仮面ライダーカブト、仮面ライダーダブル、仮面ライダーオーズプトティラコンボ、仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル、仮面ライダービルドジーニアスフォームのゼインカードは回収されました。
ゲーマドライバーとランダムアイテム=マイティブラザーズXXガシャットは『ゼインカード(仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルXX(量産型脳無))@オリジナル』になりました。

※使用済ゼインカード『ストロンガー、ゴースト、ダブル、カブト、スーパー1、エグゼイド、スカイライダー、龍騎、2号、ウィザード、オーズ、ビルド、響鬼、BLACK、ファイズ、アギト、ウィザード(複製)、カブト(複製)セイバー、ライダーマン、電王、ダブル(複製)、龍騎(複製)、ブレイド(複製)、X(複製)、V3、鎧武(複製)、カイザ、ZO、G-3、イクサ、キバ、バイス、シン』

【桜井侑斗(シビト・非参加者)@仮面ライダーアウトサイダーズ】
状態:ダメージ(中)、蛮野が憑依中
服装:私服
装備:
道具:なし
基本:蛮野が憑依中の為なし
00:……
備考


『支給品解説』

【給食部のトラック@ブルーアーカイブ】
…水神小夜に支給。
ゲヘナ学園の給食部の保有車両。美食研究会の愛車(大嘘)。
オレンジ色と白色に塗装された車体のボンネットに「給食」の二文字を冠したバナーを括りつけた、オープントップの四輪駆動車。
ブルアカでのカーアクションの代表格。

【マシンディケイダー@仮面ライダーディケイド】
…先生に支給。
仮面ライダーディケイドの専用マシン。
車体はディケイドの装甲と同じく、未知の鉱石ディヴァインオレで構成されている。
ディケイドがライダーカードを使用した際に他のライダーマシンに変形するほか、ディケイドの意思に感応して無人走行を行う。

125獰悪EX:黄金の悪魔はなぜ蘇ったのか ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:49:19 ID:.I21kXzM0
『ドロップアイテム解説』

【ゼインカード一式(二号ライダー)@仮面ライダーアウトサイダーズ】
…仮面ライダーゼインが入手。
EPISODE7で存在が確認された二号ライダーのゼインカードを、アギト〜ギーツまで纏めたもの。
ゼインドライバーに読み砕かせる事で技を発動可能。

【闇の仮面@遊戯王OCG】
…仮面ライダーゼインが入手
リバース・効果モンスター
星2/闇属性/悪魔族/攻 900/守 400
(1):このカードがリバースした場合、自分の墓地の罠カード1枚を対象として発動する。
そのカードを手札に加える。
本ロワでは時間制限が解除されていない罠カードを、使用可能に出来る。
一度召喚されると6時間は使用不可。

【天国への回数券(ヘブンズ・クーポン)@忍者と極道】
厳密にはドロップアイテムでないがここに記載。G-6の浄水場に保管されていた。
輝村極道が密造しているペーパードラッグの一種で、強い幻覚作用によって服用者に「幸福な世界」を見せる。
ただし、高い中毒性と副作用を持ち、禁断症状が出ると歪な笑顔を浮かべ、最悪そのまま死に至る。
オリジナルは怪獣医<ドクター・モンスター>の兄で「麻薬の父」とも呼ばれた繰田美伴が造ったとの事。
海外で大々的に売り出しているとの事で、その利益は数十兆円にも及ぶとされる。
孔富率いる救済(すくい)なき医師団は特別に濃度を高めた『天国への回数券ヘヴンズ・クーポン』を大型ダンプの荷台に満載し、そのまま浄水場の水の中に荷台から大量混入することで完成した麻薬入り水道水、
麻薬水(ヤクみず)を使った大テロを引き起こした。


『NPC解説』

【くまぐるみ@魔法少女ルナの災難】
魔女のお茶会の一人、メアの空間結界内に出現する魔物。
胴体にチャックの付いた、巨大なぬいぐるみの見た目をしている。
チャックを開けると中には触手が蠢いており、標的を絡めとる。

126 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 21:50:24 ID:.I21kXzM0
投下終了です。>>116からが『獰悪EX:黄金の悪魔はなぜ蘇ったのか』となります

127 ◆ytUSxp038U:2025/08/24(日) 22:27:15 ID:.I21kXzM0
すみません、エンヴィーの状態表の道具欄に
万能手綱@ドラえもんを追加し、ドロップアイテムの解説の所にも

【万能手綱@ドラえもん】
…エンヴィーが入手。
ひみつ道具ではなく、ドンジャラ村の小人族が使用するアイテム。
襟巻上で小動物に付けると、思いのままに操れる。
本ロワでは等身大サイズに調整され、主に生物タイプのNPCに対し有効。

を追加します

128断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:56:13 ID:hT4yge/Q0
書き手の皆さん、投下お疲れ様です! 投下します。

129断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:56:34 ID:hT4yge/Q0
ただいかなる時にも己の決意をひるがえさぬ者が、真の勇者の名に値する。
トゥキディデス

130断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:56:56 ID:hT4yge/Q0





「は…はは!」

笑いが漏れる。
眼前には見覚えのあるNPCのモンスター
スライムにドラキー。それぞれ二体ずつ。
いつもなら一対一(タイマン)だが、今は違う。
あえて混戦に臨んでいる。

「…ちっ!」
慣れていたいのか、いつもなら問題ないモンスターだが、頭突きや体当たりを受けてしまう。
冒険をはじめたときぐらいだろう。
ここまで自分が追い詰められたのは。
デクとの闘争に横やりしてきたモンスターを討伐した結果MPは0。
体力も激戦につぐ激戦からダメージに疲労と半端ない。
あの頃だったら、トヘロスを唱えて戦闘をやり過ごしたり、キメラのつばさでラダトームの城へ撤退していただろう。
それでも、俺はあえて戦う。
それも一体一(タイマン)ではなく、混戦を。
さらなるレベルアップをするために。

「ん……?」
気づけば、戦闘音に釣られたのかキメラに見覚えがない木のモンスターとまほうつかいみたいな目ためのモンスターもいた。
じりじりと歩み寄っているが、様子を窺っているみたいだ。
なんだ?怖気づいているのか?なら、こっちから襲うまでだ!
はかいの剣でモンスターを一体蹴散らして俺は叫ぶ

「どうした!さっさとかかってこい!」

やみのせんしの言葉が火花を切ったのか、モンスター達は一斉に襲い掛かる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

131断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:57:20 ID:hT4yge/Q0
―― ■■■■の幼少期 ――

「やーい、お前の歩き『カニ歩き〜♪』」

幼いころの俺は、原因不明な奇病にかかっていたのか体の向きを変えることができず、歩行に苦労した。
近所のガキたちはそんな俺を『カニみたいだ』と馬鹿にしてきた。
今だったら、そんなこといってきたら右ストレートで黙らせる。
だが、その頃の俺は自分でいうのもなんだが、母の言いつけを守るよい子ちゃんだった。
いや……正確に言えば母の言うことにすべて『はい』としか答えられない子だったが正しいな。
とまぁ、そんな俺は、虫一匹も殺せないほど心身ともに弱かった。
そんな俺の姿に対して母は――

「しっかりなさい。あなたはあの勇者ロトの血を引き継いでいるのです」
「はい」

慰めることはなかった。
いつも母の叱責があった。
それと母の決まり文句“勇者ロトの血“
母曰く、母は、勇者ロトの子孫だそうで、それを誇りにしていた。
だから、ことあるごとに勇者ロトの血を口にする。
勇者ロトの子孫である自分の子なら、勇者で違いないと。

「いい?貴方には、母の……勇者ロトの血を引き継いでいるのです。ただの村人なんかで終わる一生なんて、ありえないことなのよ?」
「はい」

オレは『はい』と答えるしかない。
あらゆることに『はい』と答えるのがロトであるそうだ。
『はい』以外を選ばせてくれなかった。

“疑問”を口にすることができなかった。

「お誕生日おめでとう……今年も王様から呼び出しがなかったわね。どうして……やはりカニ歩きで、人とも満足に会話ができないのが原因なのかしら?」

前述の奇病(カニ歩き)の弊害か、自分から人と会話するには方角をいわなきゃならないということもあり、母からは、むやみやたらに人と会話するなと厳命された。

当然、それに対する俺の返事は『はい』だ。

「だけどいい?必ず貴方が必要とされる日がくるわ。なにしろ勇者ロトの血を継いでいるのですから」
「はい」
誕生日がくるたび、同じ言葉を贈られる。
それが母からの誕生日プレゼント。
俺に脳内に一つの疑問が生まれる。

自分は本当に勇者なのか? 町の子どものように大人になったら他の職業で生活してはいけないのだろうか?…と

だが、俺はその“疑問”を口にすることができなかった。

月日が流れ――

「おお!勇敢なる若者よ!そなたはあのロトの血を引きし者らしいと聞いているぞ」

奇病にかかっていたのが噓のように俺は成長した。
歩行もカニ歩きではないし、いちいち人と会話するまえに『方角』を言う必要もなくなった。

ちなみに母からは『ようやく人並みになれたのね』と有難い言葉を授かった。

そして、俺は王から呼び出しを受けた。

「その昔、勇者ロトがカミから“ひかりのたま“を授かり魔物たちを封じ込めたという」
「しかし、いずこともなく現れた悪魔の化身“りゅうおう”がそのたまを闇に閉ざしたのじゃ」
「この地に再び平和をっ!勇者■■■■よ!“りゅうおう”を倒し、その手から“ひかりのたま”を取り戻してくれ!」
「はい」

今、思えば『はい』と答えた俺はなんとまぁ道化だったのだろう。
幼少期に抱いた疑問を必死に心の奥へ追いやり、与えられた“勇者”という役割を果たそうとしていたのだから。

「わしからの贈り物じゃ!そなたの横にある宝の箱をとるがよい!」
箱には“たいまつ”と“かぎ”と“G(お金)”が入っていた。
つーか、“ひかりのたま”を取り戻してくれというわりには、120Gはケチりすぎだろ。
町一番の武器(どうのつるぎ180G)が買えないとかクソにもほどがある……
それとも何か?ロトの血を引いているなら問題ないというのか?
ふざけるな。大体、俺は奇病のせいもあり、ろくに戦闘経験もない。レベルは1。
もう少し手厚い支援ぐらいしろ。そのくせ、口には出さないくせに愛娘(ローラ)を救ってほしい空気を醸し出すのだから性格が悪い。

「そしてこの部屋にいる兵士に聞けば旅の知識を教えてくれよう」
はじめてのおつかいかよ。……ま、実質、同じようなもんなのが笑えねぇんだけどな。
青年になっても、とびら一つ開けるのに指南を受けなければならない俺への兵士たちのあきれた顔が今でも夢に出る。

「では、また会おう!勇者■■■■よ!」
こうして俺の冒険の幕が上がった。
ステインに話した選ぶことができない冒険が。

☆彡 ☆彡 ☆彡

132断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:57:41 ID:hT4yge/Q0

「ふぅ……ふぅ……流石に休憩が必要だな」
周囲のモンスターをせん滅し終えた。

「だが、コツはつかんできた」
そう、今回このような戦いをしたのは多人数との戦闘に対処するためだ。
この殺し合い、先のステインや決着がつかなかったがエトウカナミのように慣れた一対一(タイマン)なら、よいが、一対一(タイマン)じゃない場合は、アスラン・ザラとライオットのコンビのときみたいに翻弄されて終わる可能性がある。
デク達だけじゃない……あのルルーシュのように、パーティはすでにいくつもできているのが予測できる。
今後、この殺し合いが激化すれば、イドラ達のように多人数から一対一(タイマン)に持ち込むのが難しくなるだろう。
故にNPC相手だが、混戦の経験値を貯めたのだ。

だが、体力気力ともに限界に近い。
幸いランドマークの一つ。雄英高校本校舎が近くにある。
そこで休息をとろうとする。
だが、そこで俺はまさかの人物と対面する。
そうーー
あの売女(ローラ)の父であり、国王のラルス16世がいた

☆彡 ☆彡 ☆彡

133断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:58:03 ID:hT4yge/Q0

「てめぇは……!」

多数の兵士に護衛されしNPCラルス16世
まさかの人物の登場にやみのせんしも目を疑う。

「うむ、息災のようだな」
ラルス16世は、そんなやみのせんしの様子に関係なく話しかける。
今のやみのせんしの風体は勇者というより、ケチな盗賊(カンダタ)と見間違えてもおかしくないのだが、NPCなのもあるのか勇者の認識をしているみたいだ。

「正直、驚いたが、よくよく考えればこれは僥倖だな」
「なにしろ売女(ローラ)だけでなく、ここでクソ王(ラルス16世)も殺れるんだからな」
やみのせんしは、はかいの剣をギュッと強く握りしめる。
そんなやみのせんしの態度を前にしてもラルス16世は落ち着いている。

「それにしても、ずいぶんと身なりが変わったものだ……」

134断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:58:38 ID:hT4yge/Q0
ラルス16世はやみのせんしの風貌に嘆きつつ口を紡ぐ。
















「勇者だいすけよ」

135断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:59:11 ID:hT4yge/Q0
「……あ?」

まさかの呼び名に時が止まった。

「いや……まこと。いやいや、たつや…けんたか?たくや…おっと、かずやもおったな……」
やみのせんしの唖然とした様子を脇目にぶつぶつと様々な人名を口にするラルス16世

「……アルス」
やみのせんしはふと、もう一人の名を口にした。

「おお!あるす!そのような者もおった!あとは、しょうたもか」
もう一人のオレの名(アルス)に反応するが、直ぐに別の名も口にする。

……なんだ?ついに耄碌したか?

「はっ!前からイカれていたと思ってたが、ついに狂っちまったというわけか」
「……ふむ。どうしてわしが狂っておるといえるのだ?」
「そりゃそうだろ。意味わからない名前をつらつらと並べやがって、狂ってなきゃなんだっていうんだ」
「ん?まさか……そなた」

「己が“アレフ”だと思い込んでおるのか?」

再び時が止まる。

「……何を言ってやがるんだ?名簿には勇者アルスと記載されている。そして、俺は二人いる。だったら「確かに名簿には、勇者アレフと記載されておる。だが、お主は“違う”じゃろ?」

ラルス16世は、さも当然という風に答える。

「……」

嫌な記憶が想起される。

『まことの勇者なら、盗みなどせぬはずだ』
『お前が本当にロトの子孫なら、そのしるしになるものがあるはずだ』
『そなたがロトの血を引くまことの勇者なら、 そのしるしがあるはず。 愚か者よ!立ち去れい!』

おれは……オレは……俺は……

「お主は、自身の名がアルスと思い込んでいる参加者。なんとまぁ滑稽じゃ」
「おお!思い出したぞ!本当のお主の名「話にならねぇな。もういい、とっとと死ねよ」
これ以上、耳を呪われたくない。
所詮、こいつもNPC。斬り捨てるだけだ。

「王には指一本触れさせん!」
兵士たちが立ちふさがる。

本当にイラつくぜ……好き放題言いやがったアスラン・ザラ以上に。

おい……俺はロトの血が流れているんだろう?
だったら、その真価を見せやがれッ!!!

そんなやみのせんしに心意システムが応えた。

136断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/02(火) 23:59:27 ID:hT4yge/Q0
「……来たれ、■■の雷」

やみのせんしの周囲に雷が降り注ぐ。

「おお……!それは!?」
ラルス16世は驚嘆する。
なぜなら“それ”は、彼の御世には目にかかれない呪文だからだ。

来たれ、○○の雷。

それは、勇者の血を引く者が使用できる雷。
だが、勇者の血を引かなくても勇者の職業によってそれに準ずる技が使える。
例えば、とある漁村の少年は「来たれ、義勇の雷」といったように。

「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
全員まとめて殺してやるぜ――

「来たれ、無冠の雷」

それをはかいの剣に身に纏わせる。
それは、王にも勇者にもならぬ者。冠を拒絶せし雷。

「ギガストラッシュ!!!!!」
「……これで、わしの役目は果たした」
ラルス16世は抵抗することなくお供の兵士とともに焦げ斬り殺された。

今際の際に笑みを残し――

☆彡 ☆彡 ☆彡

137断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/03(水) 00:00:26 ID:s3ryN1rQ0

「羂索、感謝するぜ。俺が望む願いが決まった」
NPCとはいえ、ラルス16世との問答は己のケツイを定めることとなった。

“ロトをこの手で殺す“というケツイを。

そして、クソ王(ラルス16世)を屠った特技の『ギガスラッシュ』は先のデクとの戦闘中に習得した『ギラグレイド』に匹敵する。
やみのせんしは知る由もないが、この一連のレベルアップは、やはり茅場が施した心意システムの恩恵だろう。

「……ふぅ」
NPC共からドロップした強力傷薬をはじめとしたアイテムでダメージは回復した。
疲労はまだ完全に回復しきれていないがこれで、まだまだ戦える。
本当なら、ここで休息しようと考えていたが、さっさと拠点候補の蛇喰病院へ行き、休息しよう。
やはり、ヒーローを育成する場所は勇者を捨てた者には、居心地が悪すぎる。

――ザッ……ザッ……ザッ

「おい、ロト(勇者)」
「オレはお前を殺し、本当の意味での自由を得る。だから……首を洗って待っていろ」

願いは決まった。
あとは叶えるために前進するだけだ。

【エリアC-8/雄英高校本校舎/9月2日午前2時00分】

【やみのせんし@ドラゴンクエスト】
状態:疲労(大)、MP消費(小)、『忍者』『刀使』に興味(小)、決意(大)、
服装:邪樹右龍の忍装束姿(覆面+マント)
装備:はかいの剣@ドラゴンクエストIII、邪樹右龍の忍装束@忍者と極道
令呪:残り三画
道具:黒嵐剣漆黒&骸骨忍者伝&聖剣ソードライバー@仮面ライダーアウトサイダーズ、ジャッ君と土豆の木@仮面ライダーセイバー、ピーターファンタジスタ@仮面ライダーセイバー、ジョーカーのラウズカード@仮面ライダー剣
思考
基本:殺し合いに乗る。他ならぬ自分自身の意思で。そして、優勝してロトを殺す
0:俺は生きる。……もう一人の俺(アレフ)
1:二度と迷わない。方針は変わらない。だが使えるものは使い、ギギストの云うエターナルや魔王グリオン、ルルーシュのような、俺の掲げた『自由』を奪う力を持つ連中相手なら──
2:過去との決別を証明するため、アスラン・ザラは次会った時に殺す。そしていずれはギギストも。
3:蛇喰病院を目指し、拠点に構える。
4:デクとの決着はひとまず休憩
5:忍者?聞いたことの無い名前だが、恐らく強い者なのだろうな。
6:エトウカナミ……だったか。次にあのシビトやクロガネスパナ、ついでにあのドラゴン(ジゴワット)、それにキラ・ヤマトとやらを見つけたらその時は終わらせてやる。
7:俺自身の自由の為に、願いを叶えた後主催者共も殺す。特にケンジャクは。
8:ライダーの力については過信しない。不覚を取るのはゴメンだ。
9:多人数と戦闘するコツはつかんだ。
10:願いは決まった。ロトをこの手で殺す。それでオレは本当に自由となる。
11:俺の本当の名前?そんなのどうでもいい。俺はやみのせんしだ。
参戦時期:竜王の誘いに乗った後
※レベルアップにより全ステータスが向上しました。
※冥黒王ギギストにより力を付与され更に全ステータスが向上しています。
※シビトと化した衛藤可奈美の剣術を一通り視ました。再現可能かは後続にお任せします。
※数々の戦闘を経て以下の特技、呪文を習得しました。
※乱入してきたアナザ―オーズは、参加者ではなくNPCのモンスターだと思っています。(放送で読み上げられたアレフに対する怒りでレジスターに気づかなかった。
※彼の本当の名前は……
※多人数との戦闘センスが高まりました。
しっぷうづき、はやぶさ斬り、いなずま斬り、だいぼうぎょ
バイキルト、ギラグレイド、ギガスラッシュ

138断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/03(水) 00:01:04 ID:s3ryN1rQ0
ラルス16世@ドラゴンクエスト1
やみのせんに関連する五道化に限りなく近い個体のNPC
本来、戦闘する人物ではなく、やみのせんしへの影響を与える目的で用意された。
おお ○○○○よ しんでしまうとはなにごとだ!
しかも のろわれているではないか のろわれしものよ、でてゆけっ!byラルス16世

へいし@ドラゴンクエスト1
ラダトームの城の兵士。
ラルス16世は戦闘向きではないため、護衛として用意されたNPC。
これは ○○○○どの。 まるで 見ちがえるようですぞ。
はじめて この城に来たときは たよりなげな気も しましたがな。
おっと これは しつれい わっ はっ はっ はっ。Byへいし

スライム@ドラゴンクエスト1
おそらく日本でスライムといったら上位にはいるモンスター。
ちなみに某コンビニで肉まんとして売られていたことがある。
勇者といっしょに魔王と戦ってきたbyスラきち

ドラキー@ドラゴンクエスト1
コウモリのモンスター。
スライムと並び旅の序盤に遭遇するモンスター。
なにげに初代の箱のイラストに描かれている。
パタパタパタ…byドラきち
キメラ@ドラゴンクエスト1
ハゲタカとヘビの合成獣(キマイラ)
ルーラの呪文と同じ効果で有名なキメラのつばさだが、ラルス16世の御世では、移動手段というより帰還手段のためか、値が張る。
勇者といっしょに魔王と戦ってきたbyスラきち
キメキメ! もうすぐ すみかに着くラー!byキメラ

げんじゅつし@ドラゴンクエスト1リメイク?
じんめんじゅ@ドラゴンクエスト1リメイク?
ともに本来なら、りゅうおうの時代(ドラクエ1)には出会わなかったモンスターだがHD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』発売日告知トレーラーに登場していたからおそらくドラクエ1で戦うはず。
間違ってたらすみませんッ!bys5t

139断血の勇者 〜やみのせんしオリジン〜 ◆s5tC4j7VZY:2025/09/03(水) 00:04:00 ID:s3ryN1rQ0
投下終了します。
◆07JJdXWj.Mさん いえいえ、こちらこそ私に考えへの表明への返答ありがとうございます。
こちらではなく俺ロワ・トキワ荘玄関口の方で返事をさせてください。よろしくお願いします。


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