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決闘バトルロイヤル part4

82Judge End ─アドバンス・カーニバル─ ◆ytUSxp038U:2024/09/12(木) 21:18:32 ID:/fKPqQI.0
とにかく互いの持つ情報は粗方話し終えた。
それぞれ水を取り出し喉を潤すなど、一息つくムードが漂う。

「あっ、ちょっと待って。遊戯と二人で話したいから、付き合って欲しい」
「俺か?別に構わないが…」
「んじゃ、俺も話が終わるまで見張りやっとくよ。チノちゃん達も、もう少しガールズトークを楽しんでて」
「そんなに長くはかからないと思うけど、遊戯の答え次第」

ロゼからの誘いに困惑を抱くも承諾、遊戯達と揃って零も部屋を後にする。
残ったのは三人の少女と愉快な魔術礼装。

「ガールズトークって場合でもない気がするんだけどなぁ…」
「いえ、きっと私達が煮詰め過ぎないように零さんなりの気遣いだと思います」

軽薄な態度や言動の裏では、常に自分とロゼを気に掛ける優しさがある。
出会ってからの零を間近で見ているだけに、チノが信頼を置くまで時間は掛からなかった。
ココアへの素直になれない気持ちに耳を傾け、支えてくれたロゼも同じだ。
殺し合いに巻き込まれたのに言うのは変かもしれないけど、自分は本当に運が良いのだと思う。
優しくて強い彼らと出会い、仲間として受け入れてもらった。
先の丸眼鏡の男の言葉に揺らいだ時も、支えてくれる二人の存在がどれ程心強かったか。
ロゼと零に感謝する反面、自分のようにならなかった少女の存在が棘となって突き刺さる。
たった一人で抗い、その果てに命を奪われた友の最期はきっと永遠に忘れられない。

「香風さん?顔色悪いけど大丈夫か?」
「す、すみません。ちょっと、マヤさんのことを考えて……」

チノの口から出た名前に、心配気な顔を作る。
放送で金髪の男に殺された少女が、チノの親友の一人なのは先程聞いた。
友達が巻き込まれているだけでなく、死ぬ瞬間を見世物のように扱われる。
それがチノの心にどれ程の傷を刻んだのか、想像も出来ない。
イリヤだってもし美遊が人質にされるのみならず、マヤのようになったら果たして正気を保っていられるのか。
ダリウスが世界を終わらせた時とは条件が違い過ぎる、クロだけでなく美遊も失い心はまだ奮い立たせられるか。

「チノさん……」
「大丈夫です、ロゼさんの胸でいっぱい泣きましたから。それに、私にはまだ守りたい人達がいます」

打ちのめされて塞ぎ込むのは簡単だけど、逃げる選択をチノは払い除ける。
ココア達を自分の剣で守る、ロゼとの誓いを嘘にするなどお断り。
自分が死ぬのは勿論嫌だけど、大切な人達が殺されるのはもっと嫌だから。

(凄いな、二人とも…)

親しい人が殺され、悪辣な者達に囚われても。
自棄を起こさず戦おうとする姿は、司にとって眩しいくらいだ。
最初はイリヤと同じ小学生かと勘違いしたくらいに小柄なチノだけど、心は自分よりもずっと大きく見える。
イリヤに守られ、無茶をさせてしまった自分がどうにも情けない。
無意識の内にため息が零れ――





『ッ!?イリヤさん!障壁を――』





視界を光が覆い尽くした。


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