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決闘バトルロイヤル part4
402
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:43:45 ID:LPbpj4TY0
◆◆◆
自分の背より高い目線も、両手足が浮く感覚も、密着した体勢も。
全部この島に連れて来られてから、覚えのあるもの。
唯一違うのは、見上げた先にある顔。
数時間の間に幾度も見た六眼はなく、代わりに青い大きなレンズの仮面。
視線を動かしてみると、自分の知る彼のとは全く異なる外見と気付く。
着物は見当たらず、黒のボディスーツに真っ白な鎧。
胸元に填め込まれた宝石が淡く輝き、触れていないのに熱を感じた。
「黒死牟さん?」
「ああ……」
低い声で短く肯定され、ホッとする。
彼が腕を掴んだ感触はハッキリ記憶してるけど、その後が少々曖昧。
シェイクされたみたいに頭がグラ付き、気付けばこの体勢。
自分が吸い込まれたせいで彼の手を患らわせたらしく、眉を八の字にして言う。
「ごめんなさい…もし太陽に当たっちゃったら、黒死牟さんは危ないのに……」
「不要な気遣いをする暇があるなら……自分と身内の事へ……頭を回せば良かろう……」
「皆のことは勿論心配してます。でも黒死牟さんのことだって、助けたいって思うのは変わらないですよ?縁壱さん…弟さんのことも、含めて」
「……」
困ったような、それでいて迷いなく言い切られ口を噤む。
数秒の沈黙を経て、礼を言いいろはが地に足を着ける。
今更ながら黒死牟も天津達のような、変身する道具を持ってたのに少々驚く。
日を避けるのに全身を装甲で覆うのは、理に適っている。
不思議なのは先の戦闘の際、日光がロビーへ入り込んでも使わなかった理由について。
403
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:44:23 ID:LPbpj4TY0
「これまで私が触れても……一切反応はなかった……使えぬ物と放置していたが……」
「じゃあ、今急に使えるようになったんですか?」
思わず腹部のベルトらしきパーツへ視線を落とす。
青いプレートに描かれた、自身の尾を飲み込む蛇。
不思議そうに見つめるいろはに反応してか、一瞬光を帯びた気がした。
黒死牟が姿を変えた際の名は、仮面ライダーサガ。
ファンガイアの王を守る為に作られたメカ生命体、サガークが我が身をベルト状に変え鎧を纏わせた戦士。
キバット族のようにベルト自体が意思を持つ都合上、所有者と認められなければ本来変身は不可能。
サガークの存在は黒死牟も早期に把握したが、お眼鏡に適わず無反応を貫かれた。
しかしいろはと共に別エリアへ飛ぶ寸前、独りでにデイパックから飛び出し腰へ装着。
激しい戦闘の影響もあってデイパックの口が半分ほど開いていたと、そう気付く暇もなく。
詳しく考えるより先に変身を実行、鎧を纏い太陽を遮断し今に至る。
ファンガイアの王の為の剣、ザンバットソードを振るったからか。
強引な方法なれど、魔皇力を我が物とし操れるようになったが故か。
或いは、登大我に仕えた過去から兄である黒死牟に思う所があった為か。
サガークにしか分からない理由が何にしろ、先の闘争が切っ掛けとなりサガの鎧の資格者に選ばれた。
そういった事情は知る由もなく、ただ日を避ける術が手に入ったと受け入れる。
次に考えるべきは、ここからどう動くか。
聖都大学附属病院からは強制的に離され、他の者もどこに転移させられたかは不明。
殺し合いに抗う者だけでない、乗った者達もだ。
当然その中には縁壱もおり、現在位置が分かる筈もない。
傍らの娘へふと視線をやる。
「たぶれっと」なる絡繰仕掛けの板を取り出し、地図を見ようと奮闘の最中。
取り敢えず自分達の居場所の確認から始め、向かう先を決める気か。
「お前は……」
太陽を遮る道具がある自分を置いて、本来の仲間の捜索を優先すれば良いだろうと。
そう口にしかけ、放って置けないと返すのが安易に想像でき口を閉じる。
「どうかしましたか?」
不思議そうに小首を傾げるいろはへ、何でもないと言うように視線を外した。
404
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:45:06 ID:LPbpj4TY0
【?????/一日目/朝】
【環いろは@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、魔力消費(中)、悲しみと怒り
[装備]:ストライクマーク@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
0:皆は大丈夫かな……。
1:黒死牟さんを放って置けない、助けになりたい。
2:やちよさん達を探す。
3:もし灯花ちゃんとねむちゃんがまた間違いを起こすのなら、絶対に止める。
4:フェリシアちゃんを殺した男の人(滅)には怒ってる。でも、我を忘れたりはしない。
5:真紅の騎士(デェムシュ)を警戒。
6:どうしてドッペルが使えたんだろう?
7:縁壱さんは、黒死牟さんの弟さん……。
8:キャルちゃんに渡したメダル、本当に良かったのかな…?
[備考]
※参戦時期はファイナルシーズン終了後。
※ドッペルは使用可能なようです。
【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:魔皇力継承、首へ斬傷(微小・再生中)、精神的疲労、縁壱への形容し難い感情(大)、黎斗への怒り、いろはへの…?、サガに変身中
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃、木彫りの笛@鬼滅の刃、ザンバットソード@仮面ライダーキバ、サガーク&ジャコーダー@仮面ライダーキバ
[道具]:基本支給品一式、闇(3時間使用不可)@遊戯王OCG、ランダム支給品×0〜1
【思考・状況】
基本方針:分からない。
1:この娘は本当に何なのだろうか……。
2:縁壱……お前は…………。
3:無惨様もおられるようだが……。
4:日を避ける道具は手に入ったか……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※無惨の呪いが切れていると考えています。
※魔皇力が使用可能になりました。キバット族のサポート無しで活性化出来るようです。
※サガークの資格者に認められました。
405
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:46:02 ID:LPbpj4TY0
【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(大・処置済み)、右腕に痛み(処置済み・動かす分には問題無し)
[装備]:ホカクカード×30枚@スーパーペーパーマリオ、何かしらのモンスターカード×40(メイン37、エクストラ3)@遊戯王OCG、オベリスク・フォースのデュエルディスク@遊戯王ARC-V、サテライト・ウォリアー@遊戯王OCG、レッドアイズ・トランスマイグレーション+ロード・オブ・ザ・レッド@遊戯王OCG、ウィザードライバー+ドライバーオンウィザードリング+ウォーターウィザードリング+キックストライクウィザードリング+ディフェンドウィザードリング@仮面ライダーウィザード
[道具]:基本支給品、城之内のデッキとデュエルディスク(ヘルモスの爪入り)@遊☆戯☆王、クリボー@遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ版)、ナイトサイファー@グランブルーファンタジー
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗の野望を止める、俺達の手で。
0:?????
1:結芽と行動する。
2:蛇王院と協力する。第一放送終了後指定の場所(有事に備えて三か所のどれか)に集まる。
3:ジャック、遊戯さんを探す。
4:デッキを作る。カードは今拾った。平行して自身のデッキも探す
5:海馬コーポレーション……どういうことだ?
6:主催者は一枚岩ではないかもしれない……?
7:司波……城之内……牛尾……。
8:カードが生成されるシステムを知っておきたい。
9:俺だけでなく遊戯さんもデッキを支給されていないのか?
[備考]
※参戦時期はジャック戦(4戦目)終了後(原作で言う最終回)。
※何のモンスターをホカクカードによってカード化したかは後続にお任せしますが、
モンスターカード、或いは罠モンスター等効果でモンスターカード扱いになれるカードのみが対象です。
現時点で判明してるのはセイクリッド・アクベス、BKベイル、星見獣ガリス、ジェット・シンクロン、シグナル・ウォリアー、スター・ボーイ、レッド・ミラー、ファイヤークラッカー、工作列車シグナルレッド、ジェット・ウォリアー、レボリューション・シンクロン、燃える藻、タスケルトン、波動竜フォノン・ドラゴン、ジャンク・フォアード、スカー・ウォリアー、サテライト・シンクロンのメイン13、エクストラ4(サテライト・ウォリアー込みで5)です。
サテライト・ウォリアーは心意によって作成されてるので除外されます。
また城之内のデッキからもカードを投入しているようです。
※デッキの代わりにホカクカードが割り当てられています。
※蛇王院、明石、達也、病院にいる参加者と情報交換しました。
【燕結芽@刀使ノ巫女(漫画版)】
[状態]:疲労(大)、結構楽しい、自分でもよく分からない喪失感
[装備]:九字兼定@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、フレックの手袋@終末のワルキューレ、大尉の首輪
[思考・状況]基本方針:生きて帰る。
0:?????
1:遊星おにーさんに付き合う。多分これで良いんだよね?
2:カードで人は戦えるんだ。不思議。
3:強い人とは戦いたいけど、面倒なのはやだ。
4:群れるのは嫌いだけど、今はちょっとだけ別かも。楽しい。
5:あの面倒な奴(デェムシュ)、もっと面倒くさくなってない?
6:紫様の流派、楽しい! 見様見真似だけど!
7:カイトって人とおにーさんの知り合いを探す。
8:あの人(ポセイドン)も強いのかな。
9:黒死牟おにーさんが使ってた力、頑張れば結芽も使えるかな?
10:にっかり青江を見付けないと厳しいかなぁ…。
11:黒い手袋はズルみたいでいや、使いたくない。
12:主催者を倒せばおにーさんを生き返らせられる…?
13:黒死牟おにーさんの弟の人(縁壱)、ヤバ過ぎて笑うしかないんだけど!
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※九字兼定でも写シなどは使えますが、能力は本来の御刀より劣化します
※万病薬@ドラえもん の効果で病気が治りました。また飲んだ分は没収されてません。
荒魂がどうなっているかは現時点では不明。後続にお任せします。
※強者との戦い、一人で戦うことの執着が少し薄れています。
※遊戯王の世界の情報を得てます。
※透き通る世界に一瞬だけ至りました。より感覚に慣れていけば習得まで到達するかもしれません。
406
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:47:45 ID:LPbpj4TY0
【キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
[状態]:疲労(絶大)、ダメージ(中)
[装備]:ウルトラゼットライザー+ウルトラアクセスカード@ウルトラマンZ、怪獣メダル(ゴルザ、メルバ、超コッヴ、ガンQ、レイキュバス)@ウルトラマンZ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、詳細地図アプリ@ロワオリジナル、ウルトラマンベリアルメダル@ウルトラマンZ、NPCモンスターの残骸×??
[思考・状況]
基本方針:クロトや覇瞳皇帝からコッコロたちを守るために更なる力を求める。
0:?????
1:予定通りメダルガッシャ―を目指す。
2:途中誰かに出会ったら、覇瞳皇帝に関して警告し、コロ助への伝言を頼む。
3:エボルト、里見灯花、柊ねむ、カイザーインサイトを警戒。
4:こんな力、強さじゃないってわかってる。けどこれで守れるものがあるなら……。
5:ヤバいってのは十分承知。でもあたしに力を貸しなさい、ベリアル。
6:あの茶色野郎(野獣先輩)ふざけんじゃないわよ、次会ったらタダじゃおかないわ…。
[備考]
※ウルトラゼットライザーは、アクセスカード、
ファイブキングを構成する怪獣のメダル5枚で一個の支給品扱いです。
※ウルトラアクセスカードは、一番最初に支給された参加者の物のみ支給されています。
※ウルトラゼットライザーは変身の際に、
インナースペース(安全圏)にいる時間が短くなる様に、
怪獣の力が本来のスケールで出せない調整されています。
恐らく、ウルトラマンに変身する際も、同様であると考えられます。
※回収したNPCの残骸の詳細は、後の書き手様にお任せします。
【滅@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:ダメージ(中)、激しい怒り
[装備]:エボルドライバー(複製)+エボルボトル(コブラ、ドラゴン、ラビットライダーシステム)@仮面ライダービルド、オーソライズバスター@仮面ライダーゼロワン、スティングスコーピオンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:人類滅亡。迷いは無い。
0:?????
1:飛電或人は自分が殺す。
2:天津垓を含めた参加者の殲滅。
3:絶滅ドライバーとアズから与えられたプログライズキーを取り戻す。
4:マゼンタ色の仮面ライダー(士)と環いろはに苛立ち。
5:触手を操る男(無惨)は次に会えば殺す。
6:天津の言動に違和感。
[備考]
※参戦時期は43話終了後。
【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(大)
[装備]:ブレイバックル+ラウズアブゾーバー@仮面ライダーブレイド(キングフォームに2時間変身不可)
[道具]:基本支給品一式×5、デュエルディスク+デッキ@???、ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ、緑へものスタンガン@おちこぼれフルーツタルト、風間大介のギターケース@仮面ライダーカブト、どこでもドア(6時間使用不可)@ドラえもん、まあまあ棒@ドラえもん、戒の首輪、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:勝ち残り遠野を生き返らせる。
0:?????
1:殺りますねぇ!(尚も衰えぬ殺意)
2:白コートの剣士(鋼牙)や厄介そうな参加者は悪評を流して同士討ちを狙う。
3:仮面ライダーブレイドの名を利用する。
4:後でデッキの力も試しておきたい。
5:遠野を殺した奴は絶対に許さない。
[備考]
※バトル淫夢みたいな戦闘力があります。
※野獣先輩新説シリーズで対象キャラへの変身や能力・技能の獲得が可能になりますが、新説シリーズを使う度に体力が消費されるようです。
参戦作品以外のキャラクターの説は使用不可能に制限されています。
他にも天体説@現実など、殺し合いを破綻させるような説の使用も制限により禁止されています。
[全体備考]
※いろは&黒死牟、遊星&結芽、キャル、滅、野獣先輩はブラック・ホール@遊戯王OCGの効果で禁止エリア以外の異なるエリアにそれぞれ転移しました。場所は後続の書き手に任せます。
407
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:48:52 ID:LPbpj4TY0
◆◆◆
『これからどうれば良いのかな…?』
不安そうに尋ねるポッピーへ、天津もすぐには答えられない。
ブラックホールに飲み込まれた仲間の捜索は、勿論行うつもりだ。
しかし肝心の居場所の手掛かりはゼロ、虱潰しに探してすぐ見つかる程会場は狭くない。
となると、彼らが元々目指していた場所へ行けば合流出来る可能性はゼロじゃない。
「環達はともかく、不動は蛇王院と明石って連中と合流場所を決めてたんだろ?」
「ああ。加えてキャルくんもG-6に設置された施設へ行くつもりだったらしい」
もしブラックホールの先が、それらに近いエリアだった場合。
わざわざ病院へ戻るより、本来の移動先を優先するんじゃないか。
ブラックホールを出現させた薄汚い男が、魔法カードを逃走手段として用いたなら。
恐らく全員揃って同じ場所へ転移、とはなっていない筈。
それぞれ異なるエリアに飛ばされたと、考えて良いだろう。
「ともかく、我々も一旦腰を下ろして考えよう」
戦闘での疲労回復も兼ね、CRに戻り一度落ち着いた方が良い。
屋外で立ち話を続けるよりも、危険回避に繋がる。
天津の提案に異論はなく、破壊痕が真新しいロビーから離れる。
正面の出入り口がこの状態では、非常口か何かを通る他ないだろう。
ポッピーに案内を頼み歩き始め、
408
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:49:59 ID:LPbpj4TY0
「……っ!?スタープラチ――」
心臓を鷲掴みにされる錯覚を覚え、本能が警鐘を鳴らす。
脅威に備えろ、でなければ全員死ぬだけだ。
姿も見ぬまま自らの直感に従い、スタンドが時を止める。
「がっ……」
されど遅い。
世界がほんの一時鼓動を止め、時が凍り付く瞬間はやって来ない。
代わりに承太郎を襲ったのは、火炎を身に受けたかの熱さ。
スタープラチへ深く刃が食い込み、斜めに一文字を刻む。
視界を塞ぐ赤が全て己の血だと、察した時には意識が急激に奪われる。
「変身……っ!!」
目の前で起きた光景へ、数秒掛けてようやっと理解が追い付く。
遅過ぎる己への罵倒は後回し、サウザンドジャッカーを激しく振り回し牽制。
襲撃者は木の葉が舞うように跳び、あっさりと回避。
パープルのカメラレンズが標的を捉え、緊張に全身が強張った。
409
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:50:45 ID:LPbpj4TY0
「馬鹿な…!?お前もブラックホールに吸い込まれた筈だ……!?」
驚愕を露わに問い質す天津へ、敵は沈黙を返すのみ。
構えた日輪刀が答えの全てと言わんばかりに、縁壱は眼前の『鬼』を睨み付けた。
いろは達と同じく、縁壱も魔法カードの効果を受け別エリアへ飛ばされた。
天津自身が確かに見ており、実は近くへ潜んでいたのは有り得ない。
だというのに、現実にこの男は目の前に現れ承太郎を斬った。
他エリアから戻って来たのだとしても、流石に早過ぎる。
別のエリアに飛んだのは間違いないが、直前で縁壱はある物を使っていた。
回廊結晶、元はソードアート・オンライン内に存在したアイテム。
予め任意の地点を記録させ、瞬時にその場所への移動を可能とする。
日輪刀以外に主催者が持たせた支給品であり、これで転移先から即座に戻って来れたのだ。
そういった説明を行う気はなく、殺意を露わに剣を向ける。
兄を含めた他の鬼は見当たらないが、見逃す理由にはならない。
最悪の展開へ天津も焦燥感を抱き、どっと冷や汗が流れた。
戦う以外に切り抜けられない、かといって勝てる確率はゼロに等しい。
腹を括るしかないのかと思い掛けた時、デイパックが放られる。
誰がやったと訝しむまでもない。
夥しい血を流し続ける仲間が背を向け言い放つ。
「そいつはアンタが持って行け。この侍野郎に拾われでもしたら、一海に顔向けできねぇんでな」
「承太郎君…?まさか君は…!?駄目だ!認められる訳ないだろう!」
「俺からすれば、ここで全滅する方がよっぽど気に食わねぇ。一番マシな方法を取っただけだ」
「だからといって…!残るなら君ではなく私が……!」
「天津」
言いたいことは分かる、助かる確率の低い者が残るのは合理的だ。
嘗ての自分なら迷わず頷いたろうが、今はもう違う。
絶対に受け入れられず食い下がるも。静かに名前を呼ばれる。
410
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:51:36 ID:LPbpj4TY0
「後は、頼んだぜ」
「――――――――――――――」
一度も振り返らず、短くもハッキリと伝わる言葉をぶつけられ。
そこへ彼なりの信頼が籠めらていると、気付かない訳がない。
長ったらしい遺言なんかじゃあない。
後を任されたとあってはもう、頷く以外に何が出来るという。
「……必ず、檀黎斗を倒し殺し合いを終わらせると誓おう。君と一海君の信頼を、裏切る真似はしない」
そう言うとサウザンドジャッカーにプログライズキーを装填。
エネルギー体のバッタを生み出し、我が身を隠す。
一時的に敵の視界から消え、バッタが霧散するとそこに黄金のライダーは影も形も見当たらなかった。
天津の撤退を気配で確認、承太郎も残る最後の仕事をやり遂げる。
ポケットに手を突っ込み、瀕死の身ながら普段通りの構えを取った。
立っているだけでも抜け落ちる力を、気力のみで支える。
侍が迫る。結局母の待つ家には帰れなかったと苦笑いを浮かべる。
侍が迫る。思った以上に早く花京院やアヴドゥル、イギーとの再会が叶うらしい。
侍が迫る。自分らしからぬセンチな想いはここまでだ。
侍が迫る。拳を解き放つ。
411
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:52:17 ID:LPbpj4TY0
――壱の型 円舞
「オォォォォォラァァァァァーーーーーーーーーーッ!!!!!」
決着は一瞬、赫刀に手応えはあり。
動かなくなった相手を静かに見やり、薄く裂けた頬から一筋の血を垂らす。
死して尚も、逃げた仲間の元へは行かせまいと、立ったまま力尽きた『鬼』を。
滅ぼさねばならなかった強き『鬼』を。
「……」
この地で斬ったどの鬼も、同胞を逃がす為に命を散らして行った。
兄もまた、自分へ他の鬼を殺させまいと立ち塞がった。
人を止めても仲間を守らんとする姿は、自身が尊敬を抱く継国巌勝と何ら変わりない。
家族を守れず、始祖を逃した己なぞよりもずっと立派だ。
「兄上、あなたは……」
しかしそれでも鬼なのだ。
悲しみを生み、憎しみを誘発し、命を壊す。
存在してはならない生物である以上、滅ぼす以外に道はなし。
412
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:53:07 ID:LPbpj4TY0
「……?」
ふと、奇妙なことに気付く。
鬼は太陽に嫌われており、日の光を浴び消滅を免れるのは有り得ない。
そうでなければ日中から大手を振って、人々を食っているだろう。
だが今、天を見上げれば眩しい太陽がこちらを見下ろしていた。
闇が覆っていた先程ならまだしも、日光が降り注いでいながらどうしてあの鬼達は無事なのか。
おかしいと言えば、自分がここへ戻って来られた道具もそう。
あんな血鬼術にも等しい奇怪な結晶を、いつ己は手に入れた。
微塵も不可解に思わず使ったのかが、我が事ながら不思議でならない。
「……行くか」
抱いた疑問は膨らむ前に、空気の抜けた風船のように萎む。
神に弄られた影響は如実に表れ、明らかな矛盾を些事以下と認識。
そんなものより一刻も早く鬼を斬らねばと、白亜の宮殿へ背を向ける。
自分自身が幸せを壊す悪に成り果てたと、気付きもせず。
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【D-6(島・聖都大学付属病院前)/一日目/朝】
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(中)、胸部に裂傷(中)、肩に切り傷(微小)、頬に傷(微小)
[装備]:継国縁壱の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:鬼狩り
1:鬼である(と縁壱には見えている)紅渡(名前未把握)が死ぬ寸前、柔らかな笑みを浮かべたことに違和感
2:兄上、あなたは鬼となって尚も……
[備考]
※首輪による制限が行われていません
※思考が矛盾を感じた場合、それを疑問に思わなくなるようプログラムを受けています。
413
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:54:01 ID:LPbpj4TY0
◆◆◆
『ねえガイ!待ってよ!』
画面越しに何度叫んでも、聞き入れる様子はない。
前方に視線を固定し駆ける天津は、病院を離れてから一度もポッピーの方を見なかった。
聞こえてない訳がないだろうに。
『あのままだとジョータローは……ガイは本当にそれで良いの!?』
「良い訳がないだろう…!」
立ち止まり堪らず叫び返した。
思わずビクリと震えるポッピーへ、視線を寄越さないまま。
俯く顔は仮面で隠れてるけど、どんな表情かは察せられる。
「良い訳が……ないんだ……」
ああするしかなかったと、分からないとは言わない。
誰が見たって、最善の選択だ。
承太郎が言うように、意固地になって残って全滅に陥るよりはずっとマシ。
だからといって、納得なんて到底不可能。
自分の過去を知っても仲間と受け入れてくれた承太郎を、見殺しにしたのと何が違う。
未来ある若者の命をこんな形で終わらせてしまい、後悔してないなんて有り得なかった。
『ガイ……』
項垂れる天津へ何を言って良いか分からず、痛い沈黙が流れる。
黎斗は自分をお助けキャラと言ったけど、この様で何を助けると言うのだろう。
こんなにも近くにいるのに、何一つで出来ない己が恨めしい。
蝕み続ける無力感という名の病の治療法は、ポッピーにも分からなかった。
【D-6/一日目/朝】
【天津垓@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大・処置済み)、無力感(大)
[装備]:ザイアサウザンドライバー&アウェイキングアルシノゼツメライズキー&アメイジングコーカサスプログライズキー@仮面ライダーゼロワン、バグルドライバーⅡ&ときめきクライシスガシャット@仮面ライダーエグゼイド
[道具]:基本支給品×2、滅亡迅雷フォースライザー&プログライズキーホルダー×7@仮面ライダーゼロワン、ゲネシスドライバー(破損)+チェリーエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武、みーたんの抱き枕(破損)@仮面ライダービルド、パンドラパネル@仮面ライダービルド、スクラッシュドライバー+ロボットスクラッシュゼリー@仮面ライダービルド、オレンジロックシード@仮面ライダー鎧武、一海の首輪
[思考・状況]基本方針:檀黎斗とその部下を倒し、罪を償う
0:承太郎君……すまない……。
1:何処かへ飛ばされた仲間達を探す。彼らの元々の目的地へ向かうのも手か?
2:CRの関係者らしい花家大我とも合流しておきたい。
3:ポッピーから聞いたガシャットを見付ける。本当にあれば良いのだがな…。
4:出来る限り多くの人を病院に連れて来て治療したい。が、今戻るのは危険か
5:飛電或人と合流したい。もしアークに囚われていた時にこの場に来ていたのならば必ず止める。
6:滅は次に会えば必ず止める。たとえ力づくでも。
7:これ等のプログライズキーに映っている仮面ライダー達は誰なんだ?知っている人に会えたらいいが…
8:猿渡一海の仲間達を探し彼の最期を伝える。氷室幻徳とは随分離れているか…。
[備考]
※参戦時期は仮面ライダーゲンムズ スマートブレインと1000%のクライシス終了後
※ハイパームテキガシャットなど主催者撃破・会場からの脱出を安易にする強力なガシャットは、ゲームに乗っており尚且つ上位の力を持つ参加者の支給品にあると考えています。(現在の有力候補はポセイドンと縁壱)
※殺し合いの会場が仮想現実の可能性を考えています。
※現在バグルドライバーⅡにはポッピーピポパポが閉じ込められています。
414
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:54:51 ID:LPbpj4TY0
◆◆◆
「おノれ…猿どもメェ……!」
支給品に救われたと言うべきだろうか。
逃げた先の民家へ乱暴に押し入り、中を荒らしながらデイパックに手を伸ばした。
MNRから奪った支給品にあった、複数セットの回復アイテムをがぶ飲み。
どうにか死なない程度には治った為、家具を壊し八つ当たりする程度には元気だ。
尤も、刻まれた傷は決して浅くない。
残った分も使い回復に充てようと考えたが、治療手段は貴重。
寸での所で合理的に今後を見据え、温存を選択。
戦闘に支障はないので、取り敢えずはこのままで良しとする。
「ふザケルナ猿どモ!何度俺をコケにスれバ気が済ム…!!」
傷の痛みすら、受けた屈辱への怒りで塗り潰される。
札使いの小僧や黄金のアーマードライダーらしき者はいなかったので、どこかで野垂れ死んだのだろう。
だが他の連中は未だ健在。
特に胸部の傷をより深く抉った六眼の剣士と、小憎たらしい小娘。
加えて連中に力を齎した桜色の髪のガキに、甲殻類のような髪の札使い。
何より、見ているだけで虫唾の走る薄汚い汚物同然の猿。
奴らは絶対に生かしておけない。
必ずやこの手で殺さねば、怒りで気が狂いそうだ。
野獣先輩はデェムシュの怒りを鎮め、協力関係を築いたと思ってるが大間違い。
複数回使い戦闘を回避した道具の名はまあまあ棒。
対象の口に当てればどれだけ激怒していても落ち着かせられる、と野獣先輩は勘違いしていた。
実際には無理やり我慢させてるに過ぎず、怒りを消し去った訳ではない。
フェムシンムの自分をこき使った男への殺意も上乗せし、改めて猿への怒りを燃やす。
未だ誰も殺せていない鬱憤を、一刻も早く晴らしたいと願いながら。
415
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:55:57 ID:LPbpj4TY0
【D-5 民家内/一日目/朝】
【デェムシュ@仮面ライダー鎧武】
[状態]:疲労(中)、胸に刀傷(大)、全身に細かい斬傷、怒りと屈辱(極大)、高揚感
[装備]:両手剣シュイム@仮面ライダー鎧武、水の主霊石@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式、基本支給品一式×3、回復ポーション×2@ソードアート・オンライン、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本方針:ハ・デスも参加者も皆殺し。
1:今は体力の回復に努める。
2:自分をコケにした猿ども(承太郎、遊星、結芽、いろは、黒死牟、戒斗、野獣先輩)は必ず殺す。
3:逃げた小娘(やちよ、桃)もいずれ殺す。が、2の連中より優先度は低い。
4:猿共に負けるぐらいならば主霊石を使っていく。
5:使える猿を探す。
[備考]
※参戦時期は進化体になって以降〜死亡前。
※水の主霊石を手にしたため水、氷の攻撃が可能になりました。
制御はうまくできてない為自分が巻き添えになる可能性はあります。
代わりに制御と言うブレーキがないため、強めの力を放つことができます。
なお、彼が凍ってもダメージはありません。
※ドラゴンフルーツエナジーロックシードを食べ進化した為、オーバーロードの能力が強化されました。
『支給品解説』
【ストライクマーク@テイルズオブアライズ】
尖鋭鉱と1500ガルドの費用で入手可能なアクセサリ。
装備すると貫通力が30%上昇。
【サガーク@仮面ライダーキバ】
ファンガイア族に伝わる「命宿すゴーレム」の生成法に則って作られた人工生命体。
ファンガイアの王を守護するという使命に従い、2008年では登太牙に仕えている。
古代ファンガイア語で話す為、ファンガイア以外との意思疎通は困難。
サガークに認められた資格者はサガの鎧を纏った、仮面ライダーサガへの変身が可能となる。
【ジャコーダー@仮面ライダーキバ】
上記のサガークとセットで支給。
縦笛型武器。サガークの側面にあるジャコーダースロットに差し込むことで、サガへの変身の意思を伝えるキーとしても機能する。
サガの意思に呼応して剣状のジャコーダーロッドと、鞭状のジャコーダービュートの2通りに変形可能。
ウェイクアップフエッスルも付属。
【闇@遊戯王OCG】
フィールド魔法
フィールド上に表側表示で存在する悪魔族・魔法使い族モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントアップする。
フィールド上に表側表示で存在する天使族モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントダウンする。
使用すると周囲一帯を太陽が見えなくなる程の闇で覆い隠す。
一度使うと3時間使用不可。
【レッドアイズ・トランスマイグレーション@遊戯王OCG】
儀式魔法
「ロード・オブ・ザ・レッド」の降臨に必要。
(1):自分の手札・フィールドから
レベルの合計が8以上になるようにモンスターをリリース、
またはリリースの代わりに自分の墓地の「レッドアイズ」モンスターを除外し、
手札から「ロード・オブ・ザ・レッド」を儀式召喚する。
遊星が心意システムで創造したカード。
【ロード・オブ・ザ・レッド@遊戯王OCG】
儀式・効果モンスター
星8/炎属性/ドラゴン族/攻2400/守2100
「レッドアイズ・トランスマイグレーション」により降臨。
(1):1ターンに1度、自分または相手が
「ロード・オブ・ザ・レッド」以外の魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(2):1ターンに1度、自分または相手が
「ロード・オブ・ザ・レッド」以外の魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、
フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
遊星がレッドアイズ・トランスマイグレーションと共に心意システムで創造したカード。
アニメ版よろしく、プレイヤーか仲間に装備させる形での召喚が可能な模様。
416
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:56:39 ID:LPbpj4TY0
【ラビットエボルボトル@仮面ライダービルド】
エボルトが桐生戦兎に憑依した際に使ったエボルボトル。
エボルドライバーに装填する事でフェーズ3の、仮面ライダーエボル・ラビットフォームに変身が可能
【どこでもドア@ドラえもん】
22世紀のひみつ道具の一つ。片開き戸を模している。
目的地を音声や思念などで入力した上で扉を開くと、その先が目的地になる。
本ロワでは一度使うと6時間使用不可。
【まあまあ棒@ドラえもん】
22世紀のひみつ道具の一つ。先端に×形の板が付いた棒。
人(ロボットや動物含む)がどんなに怒っていても、×形の部分で口をおさえて「まあまあ」と言えば怒りを鎮められる。
仕組みとしては×形を相手の口に塞いで怒りを腹の中へ飲み込ませ強引に我慢させる。
その為同じ相手に何度も使用して我慢させすぎると、積もりに積もった怒りエネルギーが火山のように大爆発する。
【ケロンパス@ドラえもん】
22世紀のひみつ道具の一つ。
これを体に貼ると全身の疲れをとることができ、それを他人に貼るとその疲れを移すことができる。
【ブラック・ホール(ゴールドシリーズ)@遊戯王OCG】
通常魔法
(1):フィールドのモンスターを全て破壊する。
本ロワではブラック・ホールを出現させ、吸い込まれた者をそれぞれ禁止エリア以外のエリアへランダムに転移させる。
417
:
progressive -漸進-
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:57:10 ID:LPbpj4TY0
【バグルドライバーⅡ仮面ライダーエグゼイド】
ガシャコンバグヴァイザーⅡとバグスターバックルⅡを合体させる事で完成する変身ベルト。
ライダーガシャットとの併用で装着者を仮面ライダーに変身させる。
檀黎斗がバグスター用に設計したものであり、普通の人間が使用すると大量のバグスターウイルスに感染して消滅する。
本ロワでは上記の制約は取り払われており、バグスターではない全参加者が使用可能。
また神檀黎斗同様にバグスターを封じ込める機能も搭載されている。
【ときめきクライシスガシャット@仮面ライダーエグゼイド】
上記のバグルドライバーⅡとセットで支給。
ライダーガシャットの一つであり、ラブリカ曰く「自分を魅力的にアピールし、異性からの好感度を上げてハートを射止めるゲーム」。
バグルドライバーⅡと組み合わせれば仮面ライダーポッピーに変身可能。
【回廊結晶(コリドークリスタル)@ソードアート・オンライン】
濃紺色のクリスタル。
『任意の地点』を記録させ、そこを出口にすることが出来る。
【回復ポーション@ソードアート・オンライン】
ポピュラーな回復アイテムで、レモン味(のような)不思議な味がする液体が詰まった小瓶。
初期のプレイヤーではこれ一個で全快する。
5個セットで支給。
『施設解説』
【飛電製作所@仮面ライダーゼロワン】
D-5に設置。
お仕事5番勝負に敗北し、飛電インテリジェンスを自主退職した飛電或人を代表取締役社長として新たに立ち上げた株式会社。
社屋は普通の町工場となっており、本編第40話でアークによって破壊されてしまった。
ヒューマギアの修理・再起動を請け負っているだけあって、内部の設備は充実している。
418
:
◆ytUSxp038U
:2025/03/16(日) 19:57:48 ID:LPbpj4TY0
投下終了です
419
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 13:54:02 ID:IgssC/qU0
投下します
420
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 13:54:51 ID:IgssC/qU0
デェムシュ達との戦いのあと、
Lのダメージが割と深刻なのもあり、
一度休憩を挟まなければ今後の彼の身に問題が起きてしまう。
幸い、ヴォルカザウルスの効果を諸に受けて肉体的な損壊がないのは、
流石アーマードライダー、もとい仮面ライダーと言ったところだろうか。
それでも肉体的なダメージは決して無視できるものではなく、近くの民家に身を休める。
休むのは休息も兼ねているが、別の理由もあった。
『御機嫌ようプレイヤー諸君。』
休息から程なくすると空のモニターから顔を見せる檀黎斗。
Lは重い身体を上げ、戒斗は鋭い眼差しを向け、ベクターはおーおーと額に手を当て眺める。
派手な主催の登場。しかしモニター越しでは決して彼に関与しきることはできないだろう。
各々が見届ける中、告げられていく禁止エリアや死者の名前を聞き、静かに時間が過ぎていく。
『さらばだ諸君!6時間後にまた会おう!無事に生き延びられたらの話だがな!ヴァーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!』
尋常じゃないやかましい発言と共に放送は終わる。
静かになった空を一瞥し、本当に何もなくなるとLがソファに寝転がる。
だらんとした腕が床をコツンと叩く程度に彼の疲労は大きいものになっていた。
「お二人とも。寝てる間も時間を、無駄にしたくありません。
今できる情報をまとめますが……二人とも大丈夫ですか?」
肩で息をしながら軽く上半身を起こし、背もたれに身体を預けるL。
手段は善良ではないにせよ、その志は間違いなく正しい白の中の人間だ。
だからこんな状態になろうとも、自分のするべきことをやめることはしない。
死人だから、と言う自棄は僅かに含まれているかもしれないと言えば嘘になるが、
だからと言って、考えなしに無為に死ぬようなつもりは毛頭なかった。
「死人が出ておいて吉報と言うのはおかしな話ですが、月君が……キラが死亡しました。」
別に不思議とは思わなかった。
Lとて戒斗やベクターと出会わなければ、
デェムシュ達とはとても戦えるものではなかった。
だから彼が仮に頭脳で立ち回り続けたものだとしても、
此処ではそれ以上に理不尽な暴力と言うものがいくらでも待ってるのだろう。
先のオーバーロードなんてものもそれだ。あれを知略で攻略しろ、
そんなもの土台無理な話である。
「彼は私の悪評をばらまくことはないでしょうから、
後顧の憂いは絶てたと言えます……非常に残念ですがね。」
キラを殺すつもりなどなく、
あくまでキラを逮捕するつもりで活動していた。
だから彼とは生きて邂逅を目指していたつもりだったが、
それすら叶わず、どこの誰かも分からない相手に殺されてしまったようだ。
宿敵でありつつも似た者同士。どこか奇妙な友情を持っていたような気もするので、
ひょっとしたら、そういうところが僅かながらにあったのかもしれないとも推理しておく。
良くも悪くも、この場で最も生きる意味を失っていると言うことに繋がってしまうものの、
別にそれで不貞腐れたりどうでもよくなったりはしない。事態の解決には尽力を尽くすつもりだ。
「それと死者ですが、やはり予想通りの人数でしたね。」
およそ、二、三割を想定していたが事実その通りになった。
やはりあまり悠長にことを構えていられる余裕はないだろう。
最悪、デスノートと言う極悪支給品がまだ眠っている可能性もある。
早急に処分、最悪利用することも視野に入れておかなかければならない。
「……それで、現状一番の問題ですが。真月さん。大丈夫ですか?」
現状一番精神的な影響は、間違いなくベクターにある。
一番敵対し、同時に複雑な感情を抱いていた少年も何処かへと消えた。
「ハッ、そうかよ。」
はっきり言うと『知ってた』の一言に尽きる。
その一言が出てくる程度には予想されていたことだ。
分かりきったことだ。あいつが此処で長生きできるはずがない。
かっとビング? そんな甘いものが此処でどれだけの力が作用するのか。
いや、作用はした。困難へと突き進み、最終的に稲妻の勝利を勝ち取った自分がその証左だ。
そうやって、かっとビングとは伝播していくもの。ある意味では既に意味を成しておる。
けれども。そのかっとビングの始祖はもういない。何処とも知れず、死んでいった。
ガン、と家屋の壁をベクターは強く叩いていた。
無意識だ。彼はそんなセンチな心は持ち合わせてはいない。
ああ、そう。それだけで済ませられそうなことが済ませられなかった。
かっとビングをしたからか、希望を手にしてるからかは定かではない。
「……何死んでんだよ、てめえは。」
421
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 13:55:23 ID:IgssC/qU0
だが、そうごちることをせずにはいられなかった。
この人の心がない奴を伸ばす手はいったい何処へ行った。
どいつもこいつも、味方につけていくその真っすぐさは何処に消えた。
底抜けのお人よしの笑顔は、もう決して今後二度と見ることがないのだろう。
返答とは呼べない返答と共に、後頭部を掻くベクター。
三勇士で最も仲間を先導し、勝利へと導いた男はもういない。
だったらどうする? 生き返らせるか? まあ、やろうと思えばやれる。
ヌメロン・コード。万物の事象を書き換えるそれに手を出せば、誰でも生き返る。
もっとも、それが主催の言う願いを叶える力を行使する際に持っていたなら別だが。
「名探偵様よ……私怨はありか?」
どうせなら殺したやつを拝んでおきたい。
そいつが死んでいた場合でも構わなかった。
あいつのことだから殺したやつにも手を伸ばしてそうだ。
だから気になる。殺した相手がどんな奴だったのかを。
「……構いませんが、程ほどに。我々の目的は変わりません。」
推奨はしない。しかし否定をするつもりもない。
やむなく殺してしまった、とかそういう可能性もありうる。
その場合であればLは善側として全力で止めに入るつもりだ。
そうでないならば、敵である可能性が高いので止めるつもりはなかった。
「ああそうかい。そりゃどうも。」
まあどこの誰かも分からないし、
さっき考えた通り既に死んでる可能性もある。
そう簡単に探せるものではないし、あくまで目的の一つ程度だ。
「……で、お前も大概怒りを隠しきれてねえな。」
無言を貫きながら壁を背に立つ駆紋戒斗。
そこにあるのは純粋な怒りの表情だ。
「当たり前だ。戦った戦士に敬意も払えん神だ。」
すべての死者がそうとは限らないだろう。
しかし、己の矜持を以って戦い抜いた者達は必ずいるはずだ。
それを一緒くたに侮辱するような発言をし、楽しんでいるその様。
度し難いし、許し難い存在となるのは性格上無理からぬことではある。
もしこの家のテレビから彼が映っていれば、殴り壊していただろう。
「さーてと、名探偵様。瀕死の状態でありますがいかほどに?」
見下すように、
しかしそれは急かすかのような表情だ。
彼としては仇討ち、ないし仇を何としても拝みたいのだろう。
今までダウナー気味であった彼が、行動的になってるのがその証左だ。
「首輪の回収(麻耶と牛尾)を放置したのは痛いが、
今更戻る気にもならねえし、E-5へ向かってみるかぁ?」
此処はC-5。南下すれば程なく主催の言う目的地だ。
ただし、あくまで何事もなければの話である。
敵だって向かってくる可能性の高い場所に、瀕死の名探偵を連れて向かう。
中々リスクのある行動だ。この勢力がそれなりの水準に達してるのは、
強化されたオーバーロードと参加者を前に勝利を勝ち取ったので十分だ。
しかし、やはりLの体力の消耗が激しい。変身はできても戦闘は満足にできないだろう。
「いいえ、向かいましょう。」
ヒョイ、と身体を大きく動かして一気に立ち上がりだす。
「本気か?」
「時間がありませんので。最悪、
その中の支給品で傷を治す方がいいでしょうし、
それが敵に渡ったとなればまず我々が不利になるだけです。」
ごもっともな話である。
少なくとも支給品に興味がないであろう、
NPCの侍(縁壱)と槍の男(ポセイドン)はないとしてもだ。
善悪問わず他の参加者がこぞって狙いに行く可能性は決して否定できない。
ならば立ち止まってる暇などなく、歩く程度には復帰できるようになる。
「ですがその前に。我々の捜索対象が増えました。」
「あ? 今の死人だろ? いたか?」
「いえ、厳密には増えたと言うよりは、重要度が増しました。
花家大我です。名簿には宝条永夢と戒斗さんの間にいるのは説明してますよね。」
「それは分かる。だが何が理由だ。」
「明らかに彼は宝条永夢に対する呼び方だけが違いました。
恐らくですが、彼のことを期待か、彼のことを知ってるのではないでしょうか。」
422
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 13:56:04 ID:IgssC/qU0
名簿が知り合い云々は確定であり、
戒斗の手前にあるが彼は大我のことを知らない。
となれば、彼が永夢の関係者である可能性は十分にある。
そのことは死体漁りでも説明はしたが、重要度は別になっていた。
「だが味方と言う保障はなくねえか?」
「ええ。ですが、檀黎斗の情報は持っているかと。」
攻略の糸口を見つけるには、
彼がいかような人物かを知る必要がある。
既に彼の人柄と言うものは大分見えてはいるのだが、
何気ない情報をかき集めることが地道な推理に繋がるのだから、
出会って損はないだろう。少なくとも生存してる時点である程度の実力は保障されている。
敵であった場合は、無論容赦するつもりはなく最悪拷問する気でいるが。
「なるほどね……しっかし、ふらふらの奴が無理しちゃってまあ。」
立ち上がったはいいがLの足はおぼつかない。
仕方がねえな、とでも言わんばかりにデュエルディスクにカードを置く。
希望の戦士が外にて召喚され、形を変えてモンスターの姿へと変えていく。
「てめえが歩くより断然速い、違うか?」
「……そうですね、感謝します。
ですが、振り落とされる可能性もあるのでほどほどに。」
常に平静を装うような無表情のLではあるが、
足の震え【D-5/一日目/朝】
【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:夜空の剣@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを力で叩き潰す。
1:殺し合いに乗っている参加者は潰す。
2:首輪を外せる参加者を見つける。
3:L、ベクターと共に行動する。
4:槍の男、デェムシュは要警戒。
5:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※クラックを開き、インベスを呼び出すことは禁止されています。
※Lの考察については半信半疑です。
※攻撃の消滅、反射に制限がかかってます
どの程度の制限かは後続にお任せします
【L@DEATH NOTE】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(中)
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武、真中あおの杖@きららファンタジア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1(確認済み、武器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:駆紋戒斗、ベクターと共に行動する。
2:他の参加者を探し、情報交換をする。
3:無暗に犠牲を強いるつもりはないが、綺麗な手段だけで終わらせられるとも思ってない。
4:槍の男。デェムシュには要警戒。
5:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
[備考]
※参戦時期は死亡後です
※この殺し合いにドン・サウザンドが関係してる説を考えてます。
(関係してるだけで関与してない可能性も高く、現時点では推測程度)
※永夢と大我、遊星と牛尾とジャック、遊戯と海馬(両方)と城之内と御伽が知己であると考えてます
遊星達と遊戯達が同一の世界かどうかまでは確定できていません。
423
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 13:56:15 ID:IgssC/qU0
【真月零(ベクター)@遊戯王ZEXAL】
[状態]:大分センチな気分、疲労(中)、ダメージ(中)、
[装備]:ショット・オブ・ザ・スター@グランブルーファンタジー、九十九遊馬のデュエルディスク@遊戯王ZEXAL、No.39希望皇ホープ@遊戯王ZEXAL、牛尾デュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s、不動遊星のデュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s
[道具]:基本支給品一式×3(牛尾、麻耶、自分)
[思考・状況]基本方針:主催にとって良からぬことを始めようじゃねえか。
1:……まったく、とんだお人よしだったぜ。てめえはよ。
2:ナッシュがいることだし少しだけ協力は考えて……いややっぱやめとくか?
3:帰宅部ねぇ。ま、いたら声はかけるか。
4:Lに駆紋、アウトローで構成されてるねぇ。ま、俺らしく外道な手段でやってやるさ。
5:ドン・サウザンドの復活ねぇ……どうだか。
6:槍の男には要警戒。
7:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
8:エクシーズ召喚できるデッキをくれ。と言うかなんだよシンクロって。
9:ホープ・ザ・ライトニングねぇ……まさか俺が新しいホープを手にするとはな。
[備考]
※参戦時期はドン・サウザンドに吸収による消滅後。
※ドン・サウザンドの力、及びバリアン態等の行使は現状できません。
力が残っていて、バリアンスフィアキューブがあれば別かも。
※Lの考察については半信半疑です。からやはりまだ体力が本調子ではないのが分かる。
これでは世界一の名探偵ではなく、世界一の安楽椅子探偵になりかねない。
もう少し甘いものを控え、運動をするべきだったかと頭の片隅に追いやりながらホープへと乗る。
ベクターと戒斗も乗り、水平に移動するようにホープは空中を駆けだして突き進んでいく。
既に希望の担い手はいない。されど希望と、かっとビングを受け継いだ男はここにいる。
それは彼が望んだ形か、望まなかった形か、或いはそうあれかしと願った形なのかは、
少なくとも誰にも分からないだろう。
424
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 13:56:35 ID:IgssC/qU0
以上で投下終了です
425
:
◆7PJBZrstcc
:2025/03/18(火) 23:29:54 ID:xjLroEPA0
エボルト、イリヤ、チノ、遊戯、ロゼ、凌牙、空也 予約します
426
:
Successor Soul
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/18(火) 23:50:02 ID:IgssC/qU0
拙作ですが途切れてた部分があったので修正しておきます
> 常に平静を装うような無表情のLではあるが、
足の震え【D-5/一日目/朝】
修正後
足の震えからやはりまだ体力が本調子ではないのが分かる。
これでは世界一の名探偵ではなく、世界一の安楽椅子探偵になりかねない。
もう少し甘いものを控え、運動をするべきだったかと頭の片隅に追いやりながらホープへと乗る。
ベクターと戒斗も乗り、水平に移動するようにホープは空中を駆けだして突き進んでいく。
既に希望の担い手はいない。されど希望と、かっとビングを受け継いだ男はここにいる。
それは彼が望んだ形か、望まなかった形か、或いはそうあれかしと願った形なのかは、
少なくとも誰にも分からないだろう。
427
:
◆QUsdteUiKY
:2025/03/19(水) 03:42:52 ID:wVv/QNyE0
直見真嗣、クウカを予約します
428
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:45:36 ID:h5j6.Tts0
投下します
429
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:46:30 ID:h5j6.Tts0
空域。
生身の人間では決して到達しうることのできない領域。
もし飛べるとするならば、そこは安全圏と多くの者が思うだろう。
あくまで、空中と言う領域が何かを知らぬ者からすればの意見だが。
「ABC-ドラゴン・バスターで攻撃!」
「チィ!」
「XYZ-ドラゴン・キャノンで攻撃!」
「フン!」
「XYZ-ハイパー・ドラゴン・キャノンで攻撃!」
「おのれぇ!!」
「ABCードラゴン・バスターの効果発動!
手札を一枚コストに、貴様の戦車を除外する!」
「させんぞぉ!!」
それはもう戦いと言っていいのだろうか。
牛車、基神威の車輪に乗ったDIOが死に物狂いで避けていた。
砲撃、ビームを筆頭とした圧倒的なまでの弾幕は一個人には過剰すぎる火力だ
まさに殺意の塊。一撃でも受ければDIOでなくても大概の参加者は昇天が確定する。
何故、このような展開になっていると言うと時は少々遡る。
空中を飛び交う赤き機竜、Y-ドラゴン・ヘッド。
口から雷光を放ち、空を飛び交うモンスターを撃墜していく。
難なくしのいでいる海馬ではあるものの、空も安全圏ではないのが分かる。
もっとも、この程度は予想済みだ。ゲームと称しているのであれば、一方的なゲームバランスは避ける。
無論、最初に憤った通りお世辞にもバランスがいいとは言えないのがこの舞台の特徴でもあるのだが。
(空を飛ぶのは余りあてにするべきではないな。)
カイトの時のように大型モンスターや、
何かしらのアクションがあればそこを目指しやすい。
だが空高くではいかに参加者が大人数だとしてもフィールドの広大さでは余りにも小さい。
もう少し高度を下げていれば、近くのエリアに里見灯花の姿も確認できたかもしれないが結果論である。
どうにもほかの参加者との接触がないまま時間がただ流れていく中、事態は急変していく。
「!」
ドラゴン、鳥獣、機械、いずれの飛行型のモンスターにあらず。
迫るは獣族と言うべき牛。雷光を轟かせて迫るそれは並のモンスターとは別格。
迎撃など考えず、旋回しながら上空よりその牛の引く戦車を海馬は見やる。
傲岸不遜な態度で座る、漆黒のスーツと鎧に包まれた人物。何者か知る由もない。
だが言葉は不要。海馬にとって蹴散らすべき敵。その認識だけで十分だ。
DIOは予めメタルビルドへと変身していた。
元より太陽の遮断が目的だったわけだ。地上全体に太陽が行き届く前に、
空中は諸に太陽光を浴びるのだからあらかじめ変身しておくのが当然ではある。
「無駄だと分かっているが貴様、何者だ?」
スーツ越しでは相手の容姿は一切分からない。
太陽の光を浴びる漆黒の鎧は、地上の黒点のような存在感を放つ。
「突然の無法な行動に挨拶はすまないな。
何分牛車……いや戦車の扱いには不慣れなものでな。
私はDIO。今は仮面ライダーの姿をしていることについては、
太陽光アレルギーなものでね……顔を見せられないことは理解してもらおう。」
「……海馬瀬人だ。二人いるが、名簿上のどちらが俺を指してるかは知らん。」
機械竜と戦車。
二つの存在が並走しながら空中で語らう姿は、
いささかシュールと言わざるを得ない光景だった。
語らうと言っても簡潔な情報交換……と言いたいところだが、
海馬が出会ったのはもう一人の自分以外はカイト達だけなので情報は乏しく、
そしてDIOはその三人とも出会ってるため殆どDIOからの提供ばかりになる。
「誰も彼も殺し合いには懐疑的な存在だった。
ただ或人は少し気を付けた方がいいだろうな。
奴は滅と言う男への復讐を望んでいる……ああ、
言っておくが善悪の概念で言えば滅の方が悪らしい。
私にとって復讐の議論などするつもりは毛頭ないのだが、
彼の場合は復讐のためであれば手段を選ぶか怪しくはあるからな。」
カイトの時と同様に、人物情報について『だけは』真実を語っていく。
とは言え、今回の相手についてはこの策は余り役に立ちそうにないと思っていた。
或人やミカンのように精神が不安定な人物ならば、危険人物である自身からの情報を、
簡単に信じることはなく承太郎が安全な人物と言う言葉にも疑念を持つだろう。
しかし目の前の男は余りにも冷静だ。成功率が低い手術を前にしても冷静に、正確にメスを入れる。
嘗てホル・ホースに撃たれそうになったが、あの時の彼以上だ。一歩間違えれば即死間違いなしで、
命綱も手綱もなく空の世界でモンスターの上で仁王立ちしている彼は、極めて強靭な精神力を持っていることが伺える。
悪意の種を蒔いたところで、果たして本当に芽吹くかどうかについては懐疑的な部分があることは否めない。
「復讐か。誰が何をしようが、勝手ではあるがな。」
430
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:47:20 ID:h5j6.Tts0
此方の海馬はバーチャル世界で海馬剛三郎による復讐にあった。
もっとも、剛三郎が自殺した世界のの海馬と違ってこちらの海馬は、
株の争奪戦によって失脚と言う形で勝利を収めている海馬にとって、
海馬剛三郎と言う存在については余り大きな存在ではないのだが。
言葉通り、心底どうでもいい。最後の戦いを見届けなかったことで、
アテムに執着するもう一人の海馬と同様、好き勝手やってくれればいい話で終わる。
「それでDIO。貴様は……」
互いに移動手段があるわけだ。
こうして並走するのは効率、時間共に無駄になる。
承太郎とやらに合流するのかと尋ねようとしたが、海馬は咄嗟に飛びのく。
弾丸の如く迫るザ・ワールドの右ストレートを無傷で躱すにはそれしかなく、
空中をそのまま落下と言う選択肢を取らざるを得なかった。
海馬と会話しても、取り込むことはまず不可能だろうとDIOは判断した。
そして悪意の種も同様。ザ・ワールドを前に飛び降りるを躊躇せず選択している。
では何故先程万丈や承太郎を善良な参加者と、あえて真実を吹聴する無駄をするのか。
それは、この舞台においてイレギュラーが多すぎることによる慎重さがある。
ジョナサンを超える素晴らしいボディ。ジョースターの血筋でもない連中による時の静止時間への入門。
ザ・ワールドの時間停止の封印。不死身・不老不死・スタンドパワーを兼ね備えても危険視せざるをえないドラゴン。
更には時間停止ができないことも含め、人間どもから撤退を余儀なくされた先の出来事と多くの出来事が舞い込んでいる。
今ここで海馬を突き落としたことには成功した。しかし海馬は地面にそのまま落ちてくれるとは到底思えない。
DIOにとってデュエルディスク、ひいてはデュエルモンスターズは何があるのか全くの未知数の存在である。
デュエリストに恐怖しているのではない。デュエリストはジョースターの血統同様に侮ってはならぬと言うこと。
「来い! 漆黒の闘龍(ドラゴン)!」
DIOの予見通り、海馬は漆黒の龍を空中で召喚し、
身を翻しながらドラゴンに着地、上空のDIOの戦車を見据える。
此処は地上より遥か上空。バトルシティの決勝戦の対戦を決める戦いや、
ダーツとの最終決戦の時のようにモンスターが空中に浮いてくれるかどうか。
部の悪い賭けなど城之内のやることであり、Y-ドラゴン・ヘッドと共に退却するように逃げる。
無論、逃がすつもりなどない。追走するように戦車が迫りくるも、二体のモンスターは更に上空へと旋回していく。
そうして始まることとなった、海馬VSDIOのデュエル。
しかし海馬はもう一人の海馬と違ってブルーアイズこそを切り札にしてるが、
どちらかと言えばXYZのユニオンモンスターを筆頭としたものを駆使していく。
そして、その展開力はでたらめなものだ。空中でのカーチェイスは決して優劣はないが、
移動しながら海馬は短いターンでユニオンモンスターを次々と展開しそれらを融合、
もとい合体させて強力なモンスターを召喚すると言うのが海馬のデッキのセオリーの一つ。
砲台を背負ったモンスターを上部に、赤い機械龍を腹に、黄色いキャタピラーを脚部にしたモンスターである、
XYZ-ドラゴン・キャノン、更にそれ酷似したモンスターであるXYZ-ドラゴン・ハイパー・キャノン、
紫と緑の双頭の機械竜、ABC-ドラゴン・バスターと一切の呵責も良心もないモンスターを展開し続け今に至った。
だがこれでも仕留めきれないのは流石DIO、もといイスカンダルの宝具とでも言うべきだろう。
一発の被弾すらすれば撃墜し、そのまま総攻撃で死に直結するのは間違いないのだから、
これをなんとか回避に至れている戦車もだがDIOの精神力も相当なものになる。
(チィ!! カイトと違って物量なのが腹立たしい!!)
431
:
◆4Bl62HIpdE
:2025/03/23(日) 01:47:56 ID:AE2/TlsI0
閃刀姫-レイ、門矢士、七海やちよ、千代田桃、保登心愛、風祭小鳩、桐生戦兎、深海マコト、土部學、モニカ、肉体派おじゃる丸、コッコロ、奈津恵、デェムシュで予約します。
延長申請もしておきます。
432
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:48:08 ID:h5j6.Tts0
先の戦いでは銀河眼の時空竜には少しばかりだが手を焼かされてはいた。
しかしあれは一体だけだ。だから一体を注視していればそれほど脅威ではない。
……時間を止める能力を無効にする、などと言う無法の効果があったのは想定外の出来事だが。
しかし海馬はデュエリストの弱点を理解している。だから逃げと言う道を躊躇せず選んだ。
逃げるなど海馬らしくないように見えるが、無謀な行為をするようなどこぞの凡骨とは考えが違う。
此方はモンスターと言う壁がなければ銃やナイフと言ったものですら致命傷になりえるものだ。
海馬は銃を相手にもカードで叩き伏せたりしているが、それが此処でうまくいくとは限らない。
だから慎重に、漆黒の闘龍に乗りながら着実に勝利への布石を準備してモンスターを揃えていた。
お陰で攻撃力2800のXYZ、3000のABCとXYZの三体を短時間で揃えることに成功する。
カイトのタクティクスは決して低いものではない。アストラルつきの遊馬に勝利するだけの実力を持つ。
しかし、精神的なコンディションや状況も相まって僅かばかりにタクティクスは劣っていたことは否めない上に、
何より海馬と言う男はあの武藤遊戯に数少ない食らいつくことのできる、文字通り指折りのデュエリストの一人だ。
そんな彼が冷静に物事を見据えてデュエルを行えば、カイトとの差が開いてしまうと言うのも無理からぬことである。
しかもDIOには遠距離攻撃の手段がザ・ワールドのみと言うのも手痛いところだった。
この弾幕の嵐の中、フィードバックするスタンドを向かわせるなど自殺行為に等しい。
(戦車を落としたいが中々うまくいかんな。)
戦況は圧倒的なまでに海馬が有利だ。
DIOはメタルビルドに変身して宝具もあるものの、
肝心の飛び道具を持ち合わせていないと言うのが大きい。
いや、持ち合わせているのかもしれないがこの弾幕の嵐だ。
とても支給品を漁るような暇がない、とでも言うべきだろう。
しかし海馬は油断しない。さっきから足を奪おうとしているのに、
未だ戦車にはかすり傷すら与えられずにいるというこの状況がその証左である。
加えて余り攻撃を過剰にすれば地上に砲撃が、もとい余計な被害が出てしまう。
だから全弾発射と言うわけではない弾幕がDIOを生かしてる部分はあるか。
「X・Y・Zハイパーキャノンの効果でY-ドラゴン・ヘッドを戻しドロー。」
海馬のデッキは基本的に攻撃的なデッキになる。
ウイルスによるデッキ破壊、ブルーアイズによるパワーカードの制圧。
だが小技も十分にあり、発動している罠の効果で手札を増強していく。
「俺のターン、ドロー。」
一斉掃射ではなく継続的に攻撃をすることで反撃の暇を与えさせない。
その間に手札を補充して、この勝負を早期に決着をつけることを考える。
「光線と言った方法で除去効果を行うABCやXYZでは、
必然的に攻撃を回避される可能性があるか。テキスト通りの効果は発揮できない。
ならば、これならばどうだ。手札を一枚捨てることでブラック・コアを発動する!」
「!?」
目の前に現れるブラックホールのような黒い球体。
ブラック・コア。手札を犠牲にすることでカードを除外できる魔法カード。
言ってしまえばABCの除去効果と同じ。寧ろブラック・コアの消費の分も合わせればマイナスだ。
しかもABCの除去が当たらないのだ。ブラック・コアも当てられるものだとは思っていなかった。
なので、デュエルと言う基本概念を海馬は捨てた。
(回避すれば間に合う! だが確実に、
その方角に攻撃が狙うように砲口が狙っている!
この男……デュエルを殺し合いとして理解している!!)
カイトの時の戦いでは全体的にモンスター効果を使ったり、
カードの効果の範疇に収まった、いわば型にはまった戦いをしていた。
しかしこれは別だ。避ければ攻撃が待っている。普通の戦いと同じ形式だ。
数メートル先に点在するブラック・コアは確実に戦車を飲み込む、除外するだろう。
そうなればDIOの敗北は確実。仮に回避できても軽く数十メートルの落下だ。
間違いなく落下の隙を狙ってくるのは目に見えている。だからDIOのとった判断は───蹴った。
戦車を思いきり蹴り飛ばし、強引に軌道を変えてブラック・コアに飲み込まれるのを回避したのだ。
無論それだけではとどまらない。仮面ライダーの力で跳躍した勢いで豪速でABCへと迫る様に蹴りを、
433
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:49:06 ID:h5j6.Tts0
「ABCの効果は発動! このカードリリースし、
除外されてるアサルト・コア、バスター・ドレイク、クラッシュ・ワイバーンに分解する!」
叩き込めず、合体していたモンスターがそれぞれの形へと戻り完全に空振りに終わる。
このままでは完全な隙だらけだ。XYZの二体の攻撃を避けれる状態ではなかった。
「ザ・ワールド!!」
だから、殴った。
ザ・ワールドを顕現させたDIOは、
何と自分のスタンドで自分自身を殴りぬけたのだ。
パワーAのスタンドは、迫りくる自動車ですら一撃で鎮める。
いかに仮面ライダーで防護してると言えども胃液が逆流しそうな威力に顔をしかめざるを得ない。
だがそうするしかなかった。確かに承太郎との戦いではスタンドもなしに飛行していた気がするが、
少なくともこの舞台ではそのようなことが容易にできるわけではないことは今ここに明記しておく。
ザ・ワールドに殴り飛ばされたDIOは承太郎に殴り飛ばされたときのように勢いよく飛んでいき、
海馬が登場していた漆黒の闘龍に乗り込むことに成功し、そのままスタンドの拳を叩き込む。
既にその手は見ているので飛び降りると同時に、A-アサルトコアへと着地し仁王立ちする。
「デュエルモンスターズ……此処まで面倒なものだとはな。」
言うなれば無数のスタンド、スタンド能力を内包してるようなものだ。
何が飛んでくるか分かったものではないのは、スタンドバトルにおけるセオリーでもある。
だが一個人にそこまでの思考を割くと言うのはまずない。チェスやトランプの比ではない。
主催が主軸に捉え、制限するというのは十分に納得できるものだと言うことがハイな思考でもよくわかる。
「このままでは千日手だ。いい加減終わりにする。」
「ほう。未だこのDIOを仕留めきれずにいる貴様がいったい何をする?」
「ABC、再度合体するがいい!!」
海馬がXYZ-ハイパー・ドラゴン・キャノンへ飛び移り、
ばらばらになったアサルト・コア達がドラゴン・バスターの姿へと戻っていく。
「更に、ABCドラゴン・バスターとXYZードラゴン・キャノンを除外!」
「何!?」
少なくとも数の利は圧倒的だ。
デュエルモンスターズに浅いDIOでも理解できる。
それを捨ててまで出すモンスターに警戒しつつ、
漆黒の闘龍を殴り倒し、戻ってきた戦車に飛び乗りながら様子をうかがう。
「合体せよ! これぞユニオンモンスターの頂点! AtoZドラゴン・バスター・キャノン!」
元々が三体で構成されていたモンスターが分離していき、
Zーメタル・キャタピラーを中心に姿形を変形させていく。
三つ首の龍のように突き出た顔、何者も逃がさないであろう無数の砲。
もはや決戦兵器。そう例えるしかないような超巨大兵器が空中に漂う。
ユニオンモンスター三体を二種類融合させ、更にその二体を融合させると言う、
圧倒的な高難易度の召喚条件を以って出されたモンスター。当然DIOは警戒するが、
今までと同じか、それ以上の迫る弾幕を避ける以外に全く対抗策と言うものが取れない。
(下手に近づけば残ってるXYZとやらが邪魔をしてくる! このDIOにできるのは……)
先ほど漆黒の闘龍に乗ったり降りたりした際に支給品をぎりぎり確認を終えた。
これならば対処できる。デュエルモンスターズに二度も辛酸をなめさせられている。
いい加減、カードの重要性も覚えると言うものであり、
「魔法カード『サンダー・ボルト』発動!!」
緑のカードを翳し、歯をぎらつかせながらDIOは宣言する。
サンダー・ボルト。相手フィールドの全てのモンスターを破壊する、
余りにも単純にして強力なカード。素人でもその強みは十分理解できるものだ。
これならばAtoZだけではない。海馬の足場となるモンスターも消し去ることが可能。
海馬は攻撃を常に避け続けていた。落下に耐えられるような体はしてないことは伺える。
全てのモンスターを破壊すれば、海馬はただ死ぬだけの存在となる。確実な勝利を掴める。
───はずだった。
「……甘いわぁ!! AtoZのモンスター効果発動!
相手がカード効果を発動したとき手札を一枚捨てることでその効果を無効にし破壊する!」
「何ィ!?」
だがDIOは敵を知らない。勉強不足だ。
いや、一万種類を超えるデュエルモンスターズを把握しろ、
などいかに名探偵でデュエルの知識も蓄えたLであっても把握はまず不可能だろう。
逆転の一手となる雷光は、AtoZが跳ねのけて消し飛ばす。
「それが貴様の逆転の一手か……フゥン。なるほど、
バトルシティで禁止カードに指定したカードならば逆転は可能か。
だがカードプールは増えた。今となっては完全な脅威とはなりえん。」
434
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:49:56 ID:h5j6.Tts0
『御機嫌ようプレイヤー諸君。』
檀黎斗の放送が始まる。
だがそんな暇などどこにもない。
ABCが消失したことで数自体は減っている。
しかしAtoZの攻撃力はABCを超え、オベリスクに匹敵する力だ。
迫りくる弾幕を死に物狂いで戦車を走らせることで躱していくが、
弾幕の量は尋常じゃなく、いずれ被弾するのは時間の問題だった。
(おのれ、おのれおのれぇ!! このDIOが、
たかが札遊びの、小僧如きにこのDIOが負けるだと?)
次々と苛立つことばかりが続く。
優れたボディ、次々と時の世界に入門する矮小な人間ども、
百年前に不老不死を手に入れ、四年前にスタンドを手に入れ、
これだけの力を以てして、人間に負けるなどあってたまるか。
人間を超越した存在が、このDIOが敗北するなどあってたまるか。
そう苛立つものの現実は覆ることはない。
(畜生、あの太陽が最後に見るものなんて、おのれぇ海馬ぁーーーーーー!!)
百年ぶりに見ることのできる太陽。
それに大した感慨はない。あくまで草稿をまとってごまかしてるだけだ。
ダイバースーツを着て深海へ潜っても『まあそういうものだろう』となるのと同じである。
できて当然、その程度のことだ。故に感動も感涙も、何も感情は湧くことなどない。
しかし、しかしだ。百年前の死を悟ったあの時のように。死の間際に見るのがあの太陽。
自身を焼き滅ぼす太陽を眺めながら死にゆくなど、納得できるわけがなかった。
「……何?」
静寂。
何が起きたか、一瞬だけ戸惑った。
すべてがスロウ───否。止まって見えるのだと。
いや、見えるのではない───時が止まっている。
まるで、かつてスタンドを試すためにヌケサクにショットガンを撃たせたときのような。
あの、静寂の中を静かに動き、弾丸を摘まんだ時のような、新しい感覚を。
時空竜のモンスター効果の無効。
それが、放送を迎えたことでタイミングよく切れた。
効果時間があったのか、或いは強く願った結果なのか。
DIOにとってはそれは定かではないが、行動は迅速だった。
短い時間だ。八秒にまで伸びたはずの時間は僅か五秒にまで縮んでいる。
だがDIOにとって短い時間を駆け抜けることは、余りにも慣れた行為だ。
戦車を蹴り、AtoZの上に仁王立ちで構える海馬へと拳を叩き込む。
メタルビルドとなったことでその動きは更に素早いものになっており、
頭部を殴りぬける。花京院の時とは違うが、破壊力Aの右ストレートを受けた。
頭蓋が砕けて、まず死ぬだろう。即座に戦車へと戻り、静かに呟く。
「時は動き出す。」
「!?」
衝撃により頭部から血を噴き出し、宙を舞う海馬。
当然理解できるはずがない。時間を止める、
それを知る者などこの世界には余りにも少ないのだから。
「ようやく、ザ・ワールドの力を取り戻したか。」
放送を軽く聞き流しながら、墜落していく海馬を見届ける。
理解できない、そんな風な顔をしておりこれで勝利したと確信を持てた。
いくらデュエルモンスターズが何でもありなものだったとしてもだ。
頭蓋を砕きまともな思考ができない中、それができるとは到底思えない。
何にせよ時を止める力を取り戻せた。これでいい。これでこそDIOだと。
後は時を支配する主催を倒し、時の支配者は一人だけになればいい。
「まったく、デュエルモンスターズにはちと手を焼かされたが───」
「X・Y・Zハイパー・ドラゴン・キャノンの、効果、発動……」
435
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:50:11 ID:h5j6.Tts0
だが、海馬は普通のデュエリストではなかった。
尋常じゃない精神力を持つ。もう一人の海馬の方ではあるが、
攻撃力が精神力に左右される超次元領域のフィールドにおいても、
一切攻撃力を下げることなく高い攻撃力を維持できるだけの精神力を持つ。
ならば、もう一人の海馬とてそれができない道理はないだろう。
いや、海馬ならば自分には負けられないと躍起になるはずだ。
手札をコストに、相手のカードを一枚破壊するのが新たなXYZの効果。
最後の手札を消費し、XYZが輝き一斉掃射を放った。
「こいつ! まだこんな力を───!!」
回避に徹するが間に合わない。
掃射の何発かが戦車の牛を突き貫く。
空中を走る能力を失ったことで、DIOも海馬と同様に墜落する。
(今の能力は、あの男と同じ……か。
原理は分からんが、瞬間移動のようなものを使ってきた。
グッ……思考が纏まらん。完全に頭をやられているか……!)
頭蓋を砕かれ、地上と言う名の死に場所が待っている中。
海馬は何が起こったのかを薄れる意識の中で考え込むも満足に働かない。
寧ろ、そんなになってもなお意識を保ててることの方が奇跡とも呼べるだろう。
(凡骨め、逝ったか……まさか、貴様の後を追うことにあるとはな。)
落下しながら聞き届ける、死者の名前。
その中で聞き覚えがあるのはミカンやカイトから聞いた人物もいるが、
彼にとってはいつも見下していた、城之内ぐらいしかいなかった。
御伽も知った名前だが、ほぼほぼ縁がないので想起することはない。
デュエリストとしては認めたが、どうやらここではダメだったようだ。
まあ、凡骨なら仕方あるまいとも思ってる節があるといえばあるのだが。
(腹立たしいが……このゲーム終わらせるのは、俺ではなかったらしいな。)
こんな形で中途脱落することになるとは。
乃亜の時のように、結果的に遊戯に託すことになるとは。
やはり、頼れる……と言うよりは信頼できるのはドーマの時に肩を並べ、
三千年前から続く、自分が認めるライバルの遊戯だけである。
「……すまんな、モクバ。」
最期に思うは弟のモクバ。
しっかりした弟ではあるから問題ないが、
こんな兄を慕い続けてきた弟を一人残すのは心残りだ。
それは、奇しくも家族を思い出した城之内と同じ、最後の胸中だった。
【海馬瀬人@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 死亡】
「ザ・ワールド!!」
エンパイアステートビル、
とまではいかずとも高所からの落下。
いくらDIOが不死身の吸血鬼でも。
いくら仮面ライダーに変身していようとも。
余りの高所からの落下では最悪足を砕くことになる。
戦いの場において足を喪うのは余りにも致命的であり、
ザ・ワールドの拳のラッシュを地面にたたきつけることで、
落下のダメージを大幅に軽減することで五体満足……とまではいかず、
ザ・ワールドに添えていた右腕がスーツの中でつぶれ、血飛沫を上げている。
「おのれデュエリストめぇ……!!
このDIOに何度も辛酸を舐めさせよって!!」
いずれ再生はするだろうが、
此処までデュエリストにこけにされるとは。
いかに反省をしないことに定評のあるDIOでも、
今回ばかりは認めざるをえない。デュエリストは厄介だと。
運よくか運悪くか、戦車が消滅するだけで済んだのが救いだと。
「……しかし、此処はどこだ?」
激しい空中戦の末に、DIOは自分の位置が分からない。
とりあえずと、現在位置を照らし合わせるように地図を確認した。
436
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:51:19 ID:h5j6.Tts0
※F-6を中心として9エリアのどこかに海馬瀬人(アニメ版)の死体があります
落ちてるものは基本支給品、海馬瀬人のデッキ&デュエルディスク@遊☆戯☆王デュエルモンスターズです
※神威の車輪の死体と残骸がどこかに墜落しました。
【?????/一日目/朝】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(小)、苛立ち(大)、精神的動揺、時間停止不可、搭乗中
[装備]:特殊名簿@オリジナル、
[道具]:基本支給品(食料・水・ルールブック・筆記用具無し)、ビルドドライバー+メタルタンクタンクフルボトル+ハザードトリガー@仮面ライダービルド、右手が潰れている、デュエリストに対する苛立ち、腹部に痛み
[思考・状況]基本方針:「神」を追い落とし、すべてを手に入れる「王」となる。
1:東洋人(鬼舞辻無惨、名前は知らない)の弱点を見つけ出し、ボディを奪う。
2:次から次へとこのDIOの静止時間に入り込むか。同じ能力を持つものは必ず仕留める。
3:ザ・ワールドの効果を戻さなければならぬ。
4:肉の芽を植え付けられればいいのだが。
5:仮面ライダーとやらの道具は手に入れた。日光を防げるだろう。
6:承太郎はあえて味方と言い張る。取るに足らぬ人間は混乱させておく。
7:おのれデュエリストめぇ……!!
[備考]
※承太郎との最終決戦最終盤からの参戦。
※時間停止の時間は少なくとも5秒未満です。
具体的な時間は後続にお任せします。
※銀河眼の時空竜の効果で効果を無効にされ時止めができません。
何かしらの手段で無効効果がなくなるか、遅くとも第一放送後に戻ります。
肉の芽も無効かは不明です。
【サンダー・ボルト(ゴールドシリーズ)@遊戯王OCG】
DIOに支給。ゴールドシリーズは他参照
テキストは以下の通り。本当にこれだけ。
通常魔法
①:相手フィールドのモンスターを全て破壊する。
437
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 01:51:43 ID:h5j6.Tts0
以上で投下終了です
438
:
◆4Bl62HIpdE
:2025/03/23(日) 01:54:06 ID:AE2/TlsI0
投下乙です。改めて
閃刀姫-レイ、門矢士、七海やちよ、千代田桃、保登心愛、風祭小鳩、桐生戦兎、深海マコト、土部學、モニカ、肉体派おじゃる丸、コッコロ、奈津恵、デェムシュで予約します。
延長申請もしておきます。
439
:
スカイ・ハンター
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 02:07:08 ID:h5j6.Tts0
すいません、DIOの状態表ミスってました
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(小)、苛立ち(大)、精神的動揺、時間停止不可、搭乗中
[装備]:特殊名簿@オリジナル、
[道具]:基本支給品(食料・水・ルールブック・筆記用具無し)、ビルドドライバー+メタルタンクタンクフルボトル+ハザードトリガー@仮面ライダービルド、右手が潰れている、デュエリストに対する苛立ち、腹部に痛み
[思考・状況]基本方針:「神」を追い落とし、すべてを手に入れる「王」となる。
1:東洋人(鬼舞辻無惨、名前は知らない)の弱点を見つけ出し、ボディを奪う。
2:次から次へとこのDIOの静止時間に入り込むか。同じ能力を持つものは必ず仕留める。
3:ザ・ワールドの効果を戻さなければならぬ。
4:肉の芽を植え付けられればいいのだが。
5:仮面ライダーとやらの道具は手に入れた。日光を防げるだろう。
6:承太郎はあえて味方と言い張る。取るに足らぬ人間は混乱させておく。
7:おのれデュエリストめぇ……!!
[備考]
※承太郎との最終決戦最終盤からの参戦。
※時間停止の時間は少なくとも5秒未満です。
具体的な時間は後続にお任せします。
440
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 13:48:45 ID:h5j6.Tts0
短いですが投下します
441
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 13:49:36 ID:h5j6.Tts0
惨状とも言うべき戦場。
数多の参加者が集い、戦い、そして散った。
いかにそういった惨劇に見慣れた者達であろうとも、
人が消え、死臭のする場にいつまでも居座る気などなかった。
気がないだけであり、不快感などを特別感じることもないのだが。
リンボの先導の下、四人は軽く移動を続けている。
最後尾は無論、優子と良子と苺香の三名が横並びだ。
いや、優子はふらついており、それを甲斐甲斐しく良子が支えながら、
なんとかではあるものの、二人のゆっくりとした行進についてきていた。
「お姉、大丈夫? 私がついてるよ?」
「……お願いですから目を覚ましてください、良!」
支える妹に対し、正気に戻るように願う姉。
しかしその訴えは届くことなく、無理矢理押されて連れていかれるだけ。
逃げることは可能だ。良子の力は特別強化されているわけではない。
けれど。妹を捨てて逃げてどうなる。と言うより、逃がしてくれるわけがないのだ。
だから受け入れるしかない。必死に訴えながら、しかしそれが徒労に終わるとしても、必死に。
腕を失った少女、その少女を殺めて傀儡にした妹、そしてその妹を守るべく、人を殺めてしまった姉の姿。
この中で唯一正気なのは優子であり、当然疲弊しているのも優子だ。何故、こんなことになっているのか。
理解したいようで理解したくなかった。理解すれば、妹の殺人を、自分の殺人も認めることになってしまう。
悪いことをしたら素直に謝れる。それが優子ではあるが、その謝る対象は恨みつらみと共に弾けて死んだ。
呪詛のように顔と声が脳裏に焼き付いており、まともな精神状態でいられない中、イベントは待ってくれることはない。
「よぉ。」
最初だけは桃のような、
窮地を脱してくれるヒーローを期待した。
バフォメットと遭遇した時に登場した小鳩のように。
けれど、とてもではないが、それは堅気の人間の顔つきではない。
人は見かけで判断するなかれ。バクの店長のような、そんな期待もした。
無論、そんな希望は容易く打ち砕かれてしまうのだが。
「これはこれは。御客人殿、お待ちしておりましたぞ。
拙僧、今はキャスター・リンボと言う名で通っておりますれば。
此方は最上啓示殿、吉田良子殿と優子殿。彼女は……まあ、動く死体なのでお気になさらず。」
「本来なら揃いも揃って猿共、なんて思うところだが……やっぱ、
こうして面と向かうとテメエが人間じゃねえのがよく分かるぜ。」
月と同様。自分の目的のために他者を蹴落とす。
しかも月と違い彼の場合は、先の様子を見るに悦楽のためだ。
凡そまっとうな存在ではないのは分かっていたが対峙すると中々に違う。
陰陽師の癖に露出した筋肉は常人を超えた、鍛え抜かれたものであり、
東洋人でありながらその身長はPohをも超えるほどの高身長を誇る。
一目見れば異質な存在だと分かるが、改めて確認しても異質さが伺えた。
『ああ、こいつぁ選択肢を間違えれば危ういな』、内心でPohは少しだけ厄介に思う。
仮面ライダーになれるのは別にいい。しかし、果たしてこの男は決裂した際に暇をくれるか。
ノーだ。シフトチェンジを用いれば誰かを犠牲に一瞬逃れることはできるだろうが、
果たしてその後もうまくいくか。さすがの彼も少しばかりこの状況は賭けに出ていた。
「まあ何だ。折角放送もちけえところだしな。
茶でも飲みながら、話し合いにでもしようじゃねえか。」
「……とのことですが?」
「構わん。身体の都合食事はいるからな。」
「作戦のためには空腹は天敵だよ。お姉は?」
「私、は……」
声は届くことなく、しかし日常会話のように接してくる。
心神喪失。その一歩手前に近しい彼女の返事は曖昧になりつつあった。
特に反対意見もなければ、良子が手を引いても抵抗はなかったため、
近くの家屋へと我がPohが蹴りでドアを蹴破るように入り込み、苺香以外の全員が席に着く。
情報交換をしていると、第一回放送も流れていき、さらに情報は集まっていく。
「ろくな情報がないな。」
「ま、否定はしねえけどな。つまんねえ男だったぜ、あれは。」
442
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 13:50:29 ID:h5j6.Tts0
Pohからの提供された情報は何とも乏しいものだ。
知り合いであるキリト、それとついでにどっかの誰か(月)だけ。
今も生きてるか死んでるかも分からない。と言うより、興味がない。
同じ殺人者でありながらそれを認めない、哀れな猿。その程度の認識だ。
つまるところ、キリトしか満足に得られるものがなく、不快そうな顔で窓際を見やる。
「いいではありませぬか。アインクラッド、ソードアート・オンライン!
世界を形作り、我々をでーた化したと言う可能性、或いはそれらを現実へ落とし込む技術力!
ンンン、愉快愉快。カルデアにあるシュミレーターと言えども、此処までの再現は困難でありましょう。
我々がいかに掌で踊らされているかが伺えましょうぞ。」
一方、リンボは大変な状況でありながらも楽しそうにしていた。
短い付き合いで最上はこの男の人となりは理解している。
だからこの程度の反応に一々気にするような感情は持ち合わせてない。
所詮は互いに互いを利用するだけのビジネスパートナー。その程度なのだから。
「嘘、です……」
この中で最も今の状況に強く反応していたのは、優子だ。
彼女の精神は既にぐちゃぐちゃだ。妹が人を殺し、自分が人を殺し、
そこに追い打ちをかけるように学友である小倉しおんと母の死を告げられる。
他にもこの殺し合いでかかわった人物の死も、淡々と告げられていく。
桃が、ミカンが生きている。それに歓喜する余裕などどこにも存在しなかった。
家族は崩壊した。母は死に、姉妹は共に人殺しの業を一生背負わなければならない。
いかに魔法少女と共に町を守ると言う途方もなく、しかし諦めない精神力を持つ彼女でも。
基本的にはのんびりとした生活の最中にいた彼女にとって今の状況を前にしては、
余りにも凄惨な状況を前に耐えきれるはずもなかった。
「ウグッ、オエ……ッ!!」
こみ上げる吐き気。
台所へ向かおうと席を立つも、
覚束ない足では躓いて、逆流したい液を床へとぶちまける。
それを見た者達の反応はさまざまであり、良子は姉を心配するべく駆け寄り、
最上はどうでもよさそうに、リンボは愉快そうにクツクツと笑い、Pohは憐みの目で見る。
可哀そうに、とかの意味合いではない。こんなの生かして本当に役立つかと言う意味合いのものだ。
話には聞いている。こいつを堕落させ、文字通りの魔族へと仕立て上げると言う話にはPohは瞳を輝かせる。
彼と言う男は言ってしまえば対立煽り大好き人間である。善良な参加者であったのならばキリトはどうするか。
斬れるのか、斬れないのか。或いは人知らず斬らせてみてからその正体を教え、同じ人殺しに墜としていく。
どれであっても彼にとっては最高の玩具ではないかと。
「で、そのやり方は?」
「無論、これを使いまする。」
443
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 13:50:42 ID:h5j6.Tts0
提示された札。
陰陽師が使うような札ではない、カードゲームのカード。
RUM-バリアンズ・フォース。ギラグ、もといバリアンの御用達のカード。
そして、吉田良子を最も狂わせてしまっている最大の要因ともなる存在。
ある意味、これを所持していたことでまぞく達は狂い始めたと言っても過言ではない。
「だがそれは一人につき一人しか洗脳できない制約がかけられてたはずだが?」
「ま、これ以上の利用価値はねえってわけだな。」
友の死、母の死、となれば次は妹の死だ。
ただでさえ今、現実を受け入れられない程に彼女は疲弊しきっている。
そこに妹の首でも差し出してしまえば、完全に彼女は壊れてしまうだろう。
彼女に守れるものなど何もない。誰一人その手からこぼれて落ちて消えていく。
皆が仲良くなれますように、などという切なる願いすら遥か遠き泡沫の理想。
そんな絶望を糧として、バリアンの力で墜とせば、完全な魔族の出来上がりである。
そうなったとき、何が起こるのか。まったく予想がつかない。だから楽しみで仕方がない。
英霊剣豪達のような一切塵殺を目指すか、或いはアルジュナ・オルタのような変質を遂げるのか。
リンボにすら予想がつかない。デュエルモンスターズ、まぞく。理知的な彼と言えども、
あまりに知らない要素が多いからだ。それ以上のとてつもないものが視れるかもしれない。
「じゃ、用済みってことならいいよな?」
さっきは面白みのない男だったから斬る価値もなかったが、
キリトの剣で斬る相手が、善良な存在であるならば別だろう。
ようやくキリトの刃を、誰かの死によって染め上げることができる。
こっちは六時間も待たされた。ようやくその機会が来ると思い笑みを浮かべるのだが、
「ンンン、残念ながらそれはもう少し先か、お預けになってしまいますな。」
「なんで……あ?」
窓際から見えた、低空飛行するモンスター。
何人かは確認し損ねたが、まず参加者とみていいだろう。
ベクターが召喚して移動に使われたホープの姿を、三人の視界が捉える。
「低速とは言え移動速度はそれなりですな。
じゅうたんがあれば問題はありませぬが……流石に、
魔族の誕生を先延ばしにするような理由もありますまい。」
是非とも誕生の瞬間を見届けてみたかった。
妹の死に慟哭する姉の姿を見届けてみたかった。
それらは真実ではあるものの、あの移動の方角を考えるに、
放送で言っていたエリアに向かっている可能性は高くある。
自分の術に自信はある。しかし、万が一と言うのもあり得るだろう。
少なからずここには英霊だけには留まらない、様々な要素が絡むのだから。
「で、俺は? その様子だとついて来いってか?」
「ええ。此処は最上殿御一人いれば十分。
となれば、ぷー殿には拙僧と同伴していただきたく。
是非ともらふぃん・こふぃんで培った殺人術とやらを披露してもらえればと。」
「また先延ばしってーのは癪だが……まあ、いいか。」
どんな奴かは知らないが、今度こそ戦いが楽しめる。
見えた人数は少なくとも二人はいた。シフトチェンジも使用可能ならば、
味方同士の斬り合いが発生する。先の男のようなつまらない結果はごめんだ。
今回のようなお預けも限界に近い。いい加減、キリトの剣で誰かを斬らせてほしい。
そんな欲望を抱きながら、Pohはリンボと共に外へと出ていく。
「……本当に、いかれた連中だな。」
人のことはたいてい言えないが。
そんな風にごちりながら席を立つ最上。
やることは決まっている。リンボから渡されたカードと良子の首。
それらを貢物として、吉田優子を魔族として堕落させる。それだけだ。
未だにせき込む優子と、背中をさする良子。それに接近する最上。
二人の運命のカウントダウンは、すぐそこまで迫っていた。
444
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 13:55:46 ID:h5j6.Tts0
【D-5/一日目/朝】
【PoH@ソードアート・オンライン】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン、カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト、シフトチェンジ(現在使用不可)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:この決闘を楽しむ。
1:陰陽師一味に接触して、一時休戦&手を組むのを交渉する。
2:あのアジア人(月)は今後どうなるやら。楽しみだ。
3:この剣でキリトだけなくその相棒或いは同行者も殺す。
4:アジア人は優先的に殺すか扇動していく。
5:手を組めた場合はメスガキ(良子)の姉(シャミ子)をレッドプレイヤー側にさせるのも悪くない考えだ。
6:主催も皆殺しにするのも視野に入れる。
7:猿共と手を組むのは癪だが、こいつらは化け物連中で悪くねえな。
8:謎のモンスター(ホープ)に乗ってた参加者を狙う。
[備考]
※参戦時期はラフィン・コフィン討伐戦より後です。
※コーカサスの資格者に選ばれました。
※アニメ版で披露した扇動の心意は問題なく作用します。
【キャスター・リンボ@Fate/Grand order】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(中)、上機嫌
[装備]:
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0〜3(シャミ子の分含む)、RUM-バリアンズ・フォース@遊戯王ZEXALシリーズ、光の護封剣(ゴールドシリーズ)@遊戯王OCG、空飛ぶじゅうたん@ドラえもん、小倉しおんの首輪、フグ田タラオの首輪
[思考]
基本:ただ、己の衝動と欲望の赴くままに
1:最上啓示、悪霊の集合体であろうかの御方の行く末、見届けて差し上げましょう。
2:吉田良子、どう利用してやりましょうか……ンンンンン。
3:里見灯花、まあそちらは式神の方に任せておきましょう。
4:吉田優子、こちらで目覚めを促してやるのもまた一興。
5:件の生物に乗った参加者に接触、或いは戦闘。
[備考]
※参戦時期は地獄界曼荼羅、退場後
【吉田良子@まちカドまぞく】
[状態]:疑似英霊剣豪化?、疲労(中)、疑念
[装備]:死者行軍八房@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、スパイセット@ドラえもん、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:姉とこのひと(リンボ)のためにみんなころす
1:お姉は見つかった。桃さん、ミカンさんも探したい。その後は――?
2:灯花ちゃん、ちゃんとねむちゃんやいろはちゃんと会えるといいね。
3:お母さん……あれ? 何で悲しくないんだろう?
[備考]
※リンボの術式とバリアンズ・フォースの影響で、擬似的な英霊剣豪の様なものとなっております。
英霊剣豪特有の不死性は存在しませんが、バリアンズ・フォースの影響もあって身体能力その他が強化されております。もしかしたら魔術等を使用できるかも知れません。
【最上啓示@モブサイコ100】
[状態]:疲労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:世界の『世直し』を為す。
1:リンボはいい具合に手綱を握って利用する。裏切るなら殺す。
2:あの娘(良子)は哀れであるが、別にどうでもいい。
3:里見灯花、同じくあの女も哀れだ。
4:吉田優子に利用価値があるなら、リンボの案に乗るのも手か?
5:さて、吉田良子を殺すか。
[備考]
※参戦時期はモブ達と出会う前。
※ボディは浅桐美乃莉のものです。ボディの入れ替えは不可能となっております。
【吉田優子@まちカドまぞく】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(極大)、タラオを殺した事への激しいショック
[装備]:魔王のぶき(リンボの魔力で汚染)@きららファンタジア
[道具]:
[思考・状況]
基本方針:みんなが仲良くなりますように
1:良が苺香さんを…どうして……
2:私人を殺して……
3:桃やミカンさんだけじゃなくて、なんでお母さんと良まで……
4:なんか強くなりました!まぞくは進化した!
5:小鳩さんの知り合いと皆を捜します!
[備考]
※参戦時期は夏休み(アニメ2期7話、原作43丁目)以降です。
※魔王シャドウミストレスに変身していますが、特殊な出来事が無い限り精神に異常をきたすことはありません。
【桜ノ宮苺香@ブレンド・S】
[状態]:骸人形、、右手首欠損、空飛ぶじゅうたんで移動中
[装備]:桜ノ宮苺香専用ㅤクリスタル@きららファンタジア
[道具]:基本支給品一式、ハーブティー@かぐや様は告らせたいㅤ天才たちの恋愛頭脳戦
[思考・状況]
基本方針:……
[備考]
※良子に八房で刺殺された為、骸人形になりました。
445
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 13:56:06 ID:h5j6.Tts0
以上で投下終了です
446
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/23(日) 16:13:55 ID:???0
野獣先輩を予約と延長をします。
447
:
◆7PJBZrstcc
:2025/03/23(日) 19:58:20 ID:TjkXfF1U0
申し訳ありませんが
>>425
の予約を延長します
448
:
醒めない悪夢
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/23(日) 23:26:30 ID:h5j6.Tts0
あ、すみません
状態表でバリアンズ・フォースがリンボが所持したままになってました
正確には最上です
449
:
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:10:52 ID:D5SjCnKw0
投下します
450
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:14:43 ID:D5SjCnKw0
「クウカ――すまない」
クウカ達が上空に飛んでいる時――マサツグさんはそうクウカに謝ってきました。
その声は今までのマサツグさんからは想像が付かないくらい弱くて、儚くて、今にも消えてしまいそうで――すごく……心が痛みます。
でも……そんなマサツグさんになんて言葉を掛ければいいのか、クウカにはなかなかわからなくて。
それでも――クウカはマサツグさんを失いたくないのです。
だから必然的にマサツグさんを抱き締める力が、ギュッと強くなって……
「クウカ……お前は、こんな俺でも見捨てないんだな……」
マサツグさんがどうしてそんな言葉を呟いたのか……クウカにはわかりません。
もしかしたらマサツグさんは……過去に誰かに見捨てられたのかもしれませんが、クウカには何もわかりません。
でも。
それでも――
クウカは、マサツグさんのことが――。
「クウカは、マサツグさんを見捨てないですぅ。だってマサツグさんはクウカにとって――」
まだ一緒に過ごした時間は短いですが。
マサツグさんはクウカやメグちゃんを、本気で守ってくれようとしてくれました。
そんなマサツグさんの姿を見て。
クウカは――。
クウカは――。
「鬼畜なドSさんですから……。ぐふふ……」
451
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:16:34 ID:D5SjCnKw0
本音を口に出すのが恥ずかしくて――つい誤魔化してしまいました。
マサツグさんは、クウカにとって大切な仲間で――
たった数時間しかまだ行動してないですが、クウカはマサツグさんのことが――大切な存在になっていました。
だから……なんとかしてマサツグさんを元気付けたくて。
でも……その方法が思い浮かばなくて。
それにメグちゃんを見捨てるようなことをしたクウカの心は、実は罪悪感でいっぱいで……。
――どうして私は、こんな大事な時に役に立てないのでしょう……
「鬼畜なドS……か……」
マサツグさんは空虚な声でそう呟いた後――
「そういえば、お前と出会ったばかりの頃もそう呼ばれてたな」
そんな言葉を、発しました。
「た、たしかにクウカはマサツグさんを最初は鬼畜なドSさんと呼びましたね」
そんな恥ずかしいことを思い出して、思わず苦笑してしまいます。
いつもなら勝手に「ぐふふ……」という声も出ちゃいそうですが……そうならなかったのは、きっとマサツグさんが哀しい表情(かお)をしているのが簡単に想像出来る状況だからです……。
――マサツグさんの気持ちを考えるだけで……クウカの心はズキズキしてしまうのです。
「……懐かしいな」
マサツグさんが、ポツリと呟きます。
その声は本当に小さかったですが……クウカはしっかりと聞きました。
「そうですね……。あの時はまだ、メグちゃんがあんなことになるなんて思わなかったですぅ……」
「そうだな……。俺は結局、メグの心を守れなかった――」
悔しさと哀しさが込められたマサツグさんの声。
そんな声を聞いて、咄嗟にクウカは口を開きます。
「それは……マサツグさんだけの責任じゃないです……。あそこから逃げたのは、クウカですぅ……」
「……それは俺を助けるためだろう。クウカ、お前は何も悪くない。悪いのは――弱い俺自身だ」
「そ、そんなことありません!マサツグさんは鬼畜なドSさんみたいな態度ですが本当は優しくて、モニカさんみたいな心の強さもあって……」
「ふっ……。誰も守れなければ、そんなものに意味はない」
自分自身を嘲笑うようなマサツグさんの言葉。
た、たしかに……メグちゃんは守れませんでした。実力は……相手の方が上でした……。
あの後、メグちゃんがどうなったのか……わかりません。
でも――
「そ、そんなこと言わないでほしいです。マサツグさんの優しさは無駄なんかじゃありせん」
「クウカ……お前は相変わらず、お人好しだな……」
「クウカは別にお人好しじゃないです。……マサツグさんを助けるためにああするしかなかったですが……それでもメグちゃんを見捨てるようなことをしてしまいましたから……」
452
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:17:07 ID:D5SjCnKw0
「メグを見捨てたのは、俺の責任だろう……」
クウカの言葉が、マサツグさんを責めてしまったみたいです……。声がさっきまでより更に弱々しくなっていて。
だから、クウカは――
「ち……違いますっ!」
「……何が違うんだ?俺が強ければお前もメグも守れたはずだ」
「マサツグさん。……一人で、背負い込まないでください。あの場にはクウカも居ました。クウカだってヴァイスフリューゲルの一員で……色々と戦ってきたつもりです」
だから――
「だから――クウカだって戦えます!マサツグさんだけで背負い込まないで、クウカのことも頼ってくださいっ!」
「ふ……。そうか。クウカ、お前はそうやって俺の心まで守ってくれようとしてるんだな」
マサツグさんの声が……少しだけ、さっきより調子を取り戻したような気がしました。
それがクウカには嬉しいです。メグちゃんを救えなかった罪悪感が……少しだけ洗い流された気もします。
――しかしながら、メグちゃんを見捨てた罪悪感は完全には消えません。
メグちゃんも私達の仲間ですから。
でも今は――
「はい。クウカにとってマサツグさんも、メグちゃんも大切ですから……」
「大切、か……。それならメグも……助けなくてはな。今はあいつが無事で居ることを願うしか出来ないが――」
「はい!私達で助けましょう、メグちゃんを――」
メグちゃんはきっとまだ生きてると信じて、クウカが精一杯返事をするとマサツグ様は「フッ……」と微笑んで。
そのままクウカを……抱き寄せました。
「ま、マサツグさん!?そんな大胆なことをされれるとクウカは、クウカは――」
「落ち着け、馬鹿。もうすぐ、地面だ」
「――えっ!?」
こんな空高くから落下したら――クウカ、切羽詰まってなにも考えていませんでした!
「――このまま落下したら、お互いに死ぬだろうな。だから俺が〝守る〟それだけのことだ……」
そして――地面に激突する瞬間、ふわりと下から風が吹いて何の衝撃もなく地面に立てました。
「……やれやれ。クウカも、メグも、エリンも――俺が守るしかなさそうだな」
いつもの調子でそんなことを呟くマサツグさんに――クウカは少しだけホッとしたのでした
453
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:18:13 ID:D5SjCnKw0
○
俺が地面に着地した後、クウカは支給品の応急処置セットを使って俺の左目を眼帯で覆い隠した。
それ以外にも、俺が怪我した箇所へ丁寧に包帯を巻いたり、ガーゼを貼ったりしてくる。そうしてるうちに包帯は無くなって、クウカも怪我をしてるというのにクウカの分はなくなった。
「今は、これくらいしか出来ませんけど……」
「……お前も怪我をしてるというのに、何をしてるんだ?」
「……クウカよりマサツグさんの方が酷い怪我ですし、クウカは頑丈ですから。これくらい大丈夫です。それにクウカはドMですから、ぐふふ……」
……やれやれ。クウカは気丈に振る舞ってるが、これは明らかに強がりだ。まったく、本当にお人好しなバカだ。
だがクウカが包帯を巻いた結果、左目や全身の痛みは多少マシになった。……そこは感謝してやらんこともない。
だが――
「まったく……お前は本当にド変態だな」
きっとクウカは、こいつが強がってることを見抜かれるのを嫌う。こんなお人好しな奴だ、当然だろう。
だから俺は……あえてこいつの強がりを言及しない。
……本当ならばあんな化け物と遭遇して怯えても仕方ないのに。
メグを見捨てるような行為の罪悪感に押し潰されても仕方ないのに。
こいつは――どうしてここまでお人好しなんだ?
善意は受け取っておく。拒絶はしない。
それに何故か正直――俺はクウカを守りたいという気持ちが、さっきよりも強くなっていた。
こいつが命懸けで俺を助けてくれた命の恩人だから――というのもあるだろう。俺はただの孤児院長だ、正義感なんてものは微塵もない。
だがまあ――こいつがあまりにもお人好し過ぎて、メンタルまでケアしようとする姿勢も大きいのかもしれない。
俺は守ると言ったメグも、クウカも守れず情けない醜態を晒したというのに――こいつは何も嫌な顔をせず、むしろ心配してくる。
やれやれ……。コイツは本当にお人好しなバカだ。大馬鹿だ。
だがそんなコイツだから、さっきよりも強く〝守ってやる〟という気持ちが強くなったのかもしれない。
『マサツグさん。……一人で、背負い込まないでください。あの場にはクウカも居ました。クウカだってヴァイスフリューゲルの一員で……色々と戦ってきたつもりです。
だから――クウカだって戦えます!マサツグさんだけで背負い込まないで、クウカのことも頼ってくださいっ!』
……この一言を聞いた時、何故か重い肩の荷が降りた気がした。
俺は正直、クウカはあまり戦力として期待してない。頑丈さはたしかにすごいが、それくらいの奴だ。
だがこいつは自分のことも頼れと言ってきた。まったく……まともな戦力になるか怪しいのに、口だけは達者だ――と言いたいところだが、コイツの命懸けの行動が無ければ俺は死んでた。
そんな奴が頼れ――と言ってきたんだ。不本意だが、多少は頼ってやってもいいかもしれん。
――本当にそれが俺の本心か?
「フッ……」
まあ――本心じゃないことは正直、自覚してる。
本当は、嬉しいだとか――そんな俺らしからぬ感情もあるんだろうな。女に頼るなんて不甲斐ないが――思えば俺はリュシア、エリン、シーと共闘したことがある。
その時も不思議と――嫌な気はしなかった。
俺が守るべき孤児たちなのに。
アイツらと共にルーナ孤児院ファミリーとして戦うことに、心地良さすら感じていた。
だからあの時、俺は――あんな途轍もない力を発揮出来たのかもしれん。我ながら迷走した考えだけどな……。
――そして今の俺は、あの時と同じ心境だ。
『ルーナフリューゲル』として、クウカやメグ、エリンとこのふざけた殺し合いを潰してやりたい。
……こんなところで死ぬなんてお断りする。クウカやメグやエリンを失うのも……嫌だと感じている。
だからこそ、俺はラスボスを倒してこの殺し合いを脱出するんだ。クウカやメグやエリンと共に、な。
まあエリンと再会した時――どんなふうに声を掛けるか迷うが……。
……フッ。やはりなんだかんだエリンのやつに多少は悔いがあるんだろうな。リュシアや、シーもだ。
俺なんかより里親の元に向かう方があいつらのためだろうから、ただの俺のワガママだがな。まったく――あいつらに会う前は。異世界に召喚されて孤児院長になるまでは、こんな感情なかったというのに。
とりあえずエリンに再会したら――必ず無事に脱出させてやる。あいつがこんな悪趣味な殺し合いで死ぬなんて、気が済まん。
しかしクウカやメグは流れで偶然、出会っただけなのに――ここまで入れ込むとはな。俺らしくもない。
454
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:19:07 ID:D5SjCnKw0
『そんなことないですよ。ご主人様は、お優しいですから』
――そんなリュシアの声が聞こえた気がした。
……やれやれ。俺が優しいだと?そんなわけがないだろう。
俺は涙を流して懇願するお前を――……。
『御機嫌ようプレイヤー諸君――』
俺のくだらない感傷を遮るように、やけに不快な声が聞こえてきた。
「マサツグさん、この声は……」
「黎斗とかいう自称神の、ふんぞり返ってる奴の声だな……」
やれやれ。本当に他人を煽るのが好きな自称神だ。こいつの声を聞くだけでもイラつくが……この放送は貴重な情報源だ。聞き逃すわけにもいかない。
とりあえず禁止エリアを発表すると聞いて、タブレットのメモ帳アプリを開き――自称神が発表していく禁止エリアをメモする。ここに入ったら問答無用で死亡だ。万が一のためにメモするしかないだろう。
――が、結局地図に印が付いてるからただの徒労だった。
ふん。神からの慈悲だとか喚いてるが、本当に慈悲があるなら最初からこんなクソゲーを開くな……!それかさっさと脱出させろ。シー以上に身勝手な自称神だな。
『続いては君達が最も気になるだろう情報…そう、脱落者達の発表だァ!
まずは神である私が最初に行った放送すら聞けず、ゲームオーバーとなった負け犬ども!こいつらから教えてやろう。』
いちいち煽らなければ気が済まないのか、こいつは。
そもそもボーちゃんってなんだ?名前からしてふざけてるが、これも誰かを煽るためか?
一応、名簿を改めて確認してみたが――
(なん……だと……!?)
たしかにボーちゃんという名前があった。ボー、ならともかく〝ちゃん〟まで名前に含めるってどんな親だ。まあ……親は俺も大概だから、あまり他人のことも言えないが。
455
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:20:04 ID:D5SjCnKw0
他にも苗字だけの〝遠野〟やら名前だけの〝ひで〟やらよくわからん異物が混ざる。よくわからん。
いや……ひでは異世界人ならばあり得なくないか。ひで、ではなくヒデなら――
『エリン』
――――!?
待て。こいつ、今なんて言った?
「マサツグさん……」
クウカが俺を憐れむように見てくる。……こいつとメグとは出会った時の自己紹介で軽くエリン達のことも教えてたな。
つまり今の言葉は聞き間違いじゃない……ということか……?
「クウカ。あの自称神は、さっきなんて言ったんだ?」
聞き間違いかもしれない。
……そうであれば、良いが。
「エリンちゃんの名前を……呼びました……」
「――――」
言葉が出てこなかった。
死んだ?エリンが?
あのやかましいガキが……死んだと言ったのか?
だが――妙な納得はあった。
「やはり、な……」
エリンは正直、そこまで強くない。この過酷な殺し合いで生き抜くのが厳しいなど――わかっていた。わかっていた、はずだが……。
それなのに心の何処かで、エリンなら大丈夫だと考えていた。……甘い考えだ。
「俺などでは……守れなかったか……」
胸がチクチクと、妙に痛い。
身体から一気に力が抜けたような虚脱感。
ルーナ孤児院ファミリーはこの瞬間――本当に終わってしまった。
もう連れ戻せない。
もう家族として一緒に生活出来ない。
もうあいつの笑顔を――――。
「クウカ……。俺は一番守りたい参加者を……エリンを失った。ならば俺は、これから――」
『 そんなに悔しいかァ?
CRの戦友が!
みかづき荘の魔法少女が!
決闘(デュエル)で繋がった友(ライバル)が!
新世界へ渡った筈の命が!
ヴァイスフリューゲルのメンバーが!
ザルバ(友)である魔戒騎士が!
ラビットハウスで共に過ごした友人が!
彼ら彼女らの死が!』
――――。
聞きたくもないノイズが俺の耳を劈く。
ヴァイスフリューゲル。
クウカの友人も――更に死んだということか。
たしかニノンという名前を、自己紹介の時に聞いた気がするが……。
クウカの顔を見たら、今にも泣きそうな情けない顔になっている。
――まあ、きっと俺もみっともない表情になってるのだろうな。
やれやれ。
やれやれ……。
エリンとはもう会えなくなるとはな。
孤児院を終了すると。
あいつらに里親が出来た時点で、会えなくても良いとは……仕方ないとは思っていた。
だがそれは――俺なんかより里親の元で暮らした方があいつらのためだと思ったからだ。
それなのに……神を自称するこの忌々しい男はエリンを殺し合いに巻き込んだ。結果的に、エリンは死んだ……。
クウカの友人も――更に死んだ。
守るはずだったものが――崩れ去っていく。
クウカを守る気持ちが高まっていたのが、嘘のように。
神を自称する悪魔は、ほんの少しの時間で――俺達を地獄に叩き落とした。
456
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:24:24 ID:D5SjCnKw0
「マサツグさん。クウカも大切な仲間のニノンさんを、殺されてしまいました……」
クウカの瞳が、大きく揺れる。
今にも泣きそうな目で、クウカは続けた。
「でも……クウカは屈しません。きっとニノンさんは、ニノンさんらしく平和のために命を散らしたので……」
「……正義感の強いやつだな、お前は」
「それは……ちょっと違います。クウカはヴァイスフリューゲルの一員なので……アユミさんやニノンさんの死を無駄にしたくないだけですぅ……」
「死を無駄にしない、か――。
ふん。そんなものはただの綺麗事だろう。これから何をしても、もうエリンは……帰ってこないからな……」
死を無駄にしない。
そんなのは、世迷言や綺麗事だ。
生憎と俺はそんな綺麗事を吐いて、現実逃避する気はしない。
――エリンは、死んだ。
それだけが、真実だからな……。
「たしかに綺麗事かもしれません。エリンちゃんもクウカの仲間も……みんなもう、帰ってきません。でも……ここでクウカがへし折れたら、それこそみんな〝無駄死〟になってしまいますから……」
「……そうだな。エリンはたしかに無駄死したのかもしれんな……」
「……マサツグさんは、それでいいんですか……?」
「俺はエリンを救えなかった。現実は変わらない。もう、どうしようもないだろう」
「たしかにエリンちゃんはそうだったかもしれません。……でも、マサツグさんには他にも待ってる子がいるんじゃないですか?」
『お願いです。リュシアを捨てないでください……』
リュシアの泣き顔が――脳裏を過る。
エリンは死んだが……俺にはまだリュシアとシーがいる。
……あいつらは里親の元で、幸せに暮らせてるだろうか?
「そうだな……。だがあいつらと再会出来たとして、俺にはエリンの死をなんて伝えれば良いのかわからない……」
「エリンちゃんが死んだのは……不幸なことです。でもマサツグさんは悪くないと、クウカは――」
「そうか……」
クウカが必死に立ち直らせようとしてるのは、わかる。こいつは本当にお人好しの馬鹿だ。
たしかに俺は悪くない。それはわかってる。
だがエリンを救えなかったことが……無性に虚しい……。
「マサツグさん。お願いです。クウカやメグちゃんのために――生きるのを諦めないでください」
生きるのを諦める、か……。
俺は別に自殺志願まではしてないのだが……そう見えるくらい今の俺は虚脱感に襲われてるのかもしれんな……。
「安心しろ、クウカ。別に俺は生きることを諦めてない」
……俺にはまだリュシア達がいる。クウカやメグもいる。……ただ虚しいだけで、死ぬ気はない。
「マサツグさん……。クウカはとりあえず、メグちゃんを助けたいです……」
「メグを助ける、か――」
あれだけ強力な敵に遭遇しながら……仲間を更に失いながら……それでもクウカは前を向いている。
またあんな化け物に襲われたら次こそ命はないだろうが、それでもこいつは――。
「クウカはメグちゃんを一度見捨ててしまいました……。しかしながら、メグちゃんの名前は放送で呼ばれてません」
「そうだな。たしかにメグは、まだ生きてる」
「はい。だからクウカはメグちゃんに謝って……そしてまた優しいメグちゃんに戻せるように頑張りたいですぅ……」
やれやれ。こいつは本当に……。
だが……こんな奴と一緒に居るから、俺はまだ……こいつを守りたいと思ってるのかもしれんな。
エリンは死んでしまったが……今の俺を見たら、あいつは腑抜けた俺に不機嫌になるとは思う。
「やれやれ……」
クウカは、まったくバカな女だ。
が、だからこそ俺の感情を多少は和らげる。……理由は謎だがな。
「わかった。今度こそメグを救って――あの自称神を倒すぞ、クウカ」
「……!はい、マサツグさん!」
「それにしても――メグの居場所はわからない。俺達のように何らかの手段で逃げたとは思うが……虱潰しに探すしかないようだな」
そんなことを口にした俺を、クウカは何故か嬉しそうに眺めてくる。
このお人好しのバカ女め。……が、悪い気は不思議としなかった
『しかし、貴殿が持つには不釣り合いなようですな。この程度も避けられぬとはたかが知れる。風魔の小童の方がまだマシな動きが出来た事でしょう』
化け物染みた男の言葉が脳裏を過る。
俺達はあれだけ大人数居たのに、敗北した。
――だが、もう二度と不釣り合いとは言わせない。俺がリュシアやエリン、シーやクウカと紡いだこの想いを――もう二度と、あんな薄気味悪い化け物に否定させはしない。
「マサツグさん……ありがとうございます」
「別に礼を言われる筋合いなどない。俺は……俺のやりたいようにやるだけだ。ただ俺が守りたいからお前達を守るんだ」
457
:
kaleidoscope
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:24:47 ID:D5SjCnKw0
○
マサツグは見上げた朝焼けの空に、一つのことを誓う。
紡いだこの絆は、もう離さないと。
涙も、笑顔も――すべてを守る強さで。
今、二人なら回りだす――新しい未来
【C-7/一日目/朝】
【直見真嗣@異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件(漫画版)】
[状態]:ダメージ(大、包帯、ガーゼなどにより処置済み)、疲労(大)、左目失明(眼帯により処置済み)、クウカを守りたいという想い
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:ラスボスを倒す。殺し合いを脱出するには、これしか手段がないようだな
1:クウカ、メグとその友人を守る。
2:もう一度メグを探して取り戻す
3:もう失うことは御免だな。
4:エリン……
[備考]
※「守る」スキルは想いの力で変動しますが、制限によりバランスブレイカーになるような化け物染みた力は発揮出来ません
※参戦時期はリュシア達が里親に行ってから。アルノンとも面識があります
【クウカ@プリンセスコネクトRe:Dive】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(大)、魔力消費(中)
[装備]:ガーディアン・エルマの短剣@遊戯王OCG、フライングランチャー@遊☆戯☆王ZEXAL
[道具]:基本支給品、応急処置セット@現実
[思考・状況]基本方針:こ、困ってる人を助けます……
1:メグちゃんに謝った後、連れ戻します
2:モニカさん達と合流したいです
3:クウカ、マサツグさんのことが気になりますが……今はそれどころじゃないですね
4:マサツグさんの心の支えになりたいです
[備考]
※頑丈です。各種スキルも使えますが魔力を消費します。魔力は時間経過で回復していきます
※応急処置セットの包帯は使い切りました
『支給品解説』
【応急処置セット@現実】
クウカに支給。包帯、眼帯、ガーゼ、軟膏、熱ピタ、ピンセット、ハサミ、痛み止め、湿布など応急処置に必要なものが色々と入ってる。
458
:
◆QUsdteUiKY
:2025/03/26(水) 02:25:10 ID:D5SjCnKw0
投下終了です
459
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:00:51 ID:???0
投下します。
460
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:02:19 ID:???0
「ふあー疲れたどおおん」
アプリを閲覧しながら野獣先輩は寝転がっていた。
何故、彼は雪がある中でこういう姿勢を取ったのか、時は遡る。
彼はD-6にて狐島での大乱戦を得て、何とか離脱出来た後、ワープした場所は正面を除いて辺りが真っ白な景色に覆われている。
その正面も水面に写る綺麗な湖が目印だ。
地図を確認するとB-3という雪原で遠い地点に飛ばされたようだ。
正直、こんな寒い場所はお断りだが、戦況が劣勢に傾けられた事情から強引に撤退するしか道はなく、文句も言えない。
戦闘ばかりでそろそろ休息が必要なのも、いいタイミングでもある。
湖も最適で悪くはないし、人が寄ってこない場所は好都合。
それにいい加減にある道具の試運転もしなければいけない。
此の道具を使いこなすには、丁度いい場所である。
そろそろあの道具の効果が本物か試さなくてはならなくなる。
宝の持ち腐れにして、此のままにしておくのは勿体ない。
其の道具の名はデュエルディスクで所持するデッキはマジェスペクター。
元は御伽に支給されたデッキ。
だが、本人のデッキでないが故に御伽が知らない要素と単語が多すぎたのだ。
時間がないのもあって、手に余っていたのが真相。
野獣先輩はこの事実を知る由もないが。
「手数を増やすからね。しょうがないね」
デュエルのルールや活用する方法を覚えていくのは率直に言ってしんどい。
説明書とアプリでルールブックも拝見して見たが、素人が理解するには複雑な構成だ。
繁雑すぎて、今の今まで後回しにしていた。
此れまでは真正面や漁夫の利で戦闘を行って来た。
しかし、一時的にブレイバックルを奪われて、日本刀が折れる事態が起きてしまい、最強クラスのフォームチェンジのはずのキングフォームでも誰一人殺せなかった。
止めを刺すかのように狐島で初めてカードを使用する者との戦闘で決定的になった転機が訪れる。
カードの力で翻弄された挙句、答えられない質問に対処出来ず馬鹿にされた気分。
屈辱を晴らすべく遂にデュエルの使用に舵を切ったのだ。
複雑な手札でも、使いこなせば有能な武器に変わる。
デュエルは黎斗が余程、推しているので、優勝する道のりの鍵になり得るかもしれないからだ。
脳筋なやり口ではまた同じ失敗を繰り返すだけ。
少しばかりデュエルで頭を使った作戦を練ろう。
早速、先ずはデュエルのルールと基礎的なやり方を自分のものにしようとする。
デイパックからアプリと長らく放置したデュエルディスク&デッキを取り出す。
おまけでOCGのルールブック、ペンデュラム召喚&ペンデュラムゾーンの専用説明書、このデッキ専用の説明書、エクストラモンスターゾーンの資料がセット付きもあった。
アプリにもルールブック等が記されているが、セットで配布していない物もあると知った。
言ってみれば四つの資料を見なくても全部アプリの方が手っ取り早い。
改めて、自分が所持するデッキはマジェスペクターらしい。
ペンデュラムが何やかんやで素人の野獣先輩はさっぱり理解できない。
面倒臭いが一から知識を深めないと話にならない。
「やるんだ?(やりますやります)ふーん...」
461
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:03:42 ID:???0
先ずは、初級レベルでデュエルの基礎知識を理解しておく。
アプリを起動し、最初になくてはならない三つのカードの種類の理解は必須。
野獣先輩はモンスターカード、魔法カード、罠(トラップ)カードの其々の役割があるのを知る。
前者は通常モンスターと効果モンスターの違いは効果を持つのと持たないのに分かれているそうだ。
後者二つの魔法と罠は使い方が異なり、本人のプレイング次第で戦略を大きく左右するので、注意するべし。
次にデュエルフィールドに関して。
旧型と新型があるらしいが、アプリの最後尾の資料によるとペンリュダム召喚とリンク召喚するデッキに一枚以上所有する人は救済処置として、新型のデュエルフィールドで戦闘が可能になるらしい。
そうでない者は旧型のフィールドのままらしい。
旧型と新型のフィールドが両方ある矛盾に野獣先輩は困惑するが、一々考えてもキリがないからだ。
マジェスペクターがある限り、後者さえ覚えておけば言う事ないだろう。
さて、此処からが本題。
其々決められた位置に置かないといけない大事な要素だから。
メインモンスターゾーンと魔法&罠ゾーンは基本中の基本だ。
前者は出せるモンスターの数と後者は魔法と罠カードを置ける数が五枚までと限られている。
マジェスペクターの使用に重要なペンデュラムゾーンの詳細はかなり後だ。
墓地は倒されたモンスターと使い切った魔法と罠を置かれ、デッキゾーンは自分のメインデッキを置き、其処から引いて自身の手札に加える。
フィールドゾーンはフィールド魔法と言うカードを置くのを許されている場所。
その代わりに魔法&罠ゾーンへの設置は不可らしい。
肝心なモンスターカードの召喚はいくつか種類がある。
通常召喚、セット、反転召喚、特殊召喚とただ単純に出せばいい話ではなかった。
野獣先輩はこれ等を覚えるのに苦戦してしまった。
特に特殊召喚はこのデッキに取っては欠かすことが出来ないからだ。
其のメインデッキの組まれる枚数は四十〜六十枚、因みにエクストラデッキは十五枚が規定を定めている。
エクストラデッキの詳細はペンデュラムゾーン同様に以下同文とする。
「じゃけん次のステップに行きましょうね」
今まではデュエルに大事な基本的な要素は修得した。
次の段階からはより複雑に覚える事が沢山あるだろう。
面倒だが、腹は括った。
続いて、モンスター効果の知識の習得に取り掛かるも素人には少し手こずらせた。
何せ起動効果、永続効果、誘発効果、誘発即時効果(効果モンスター)、そして、四つの種類に分類しない効果と実質五つも学習せねばならないのだ。
四つの効果が其々異なり、メインモンスターゾーンにある限り継続し、効果が自分のメインフェイズに発動したり、カードの召喚に成功したら発動出来るし、更に相手のターンでも任意に発動が可能など色々な種類があり、しっかりと頭に中に記憶する。
四つの種類にない特別な効果のモンスターは何通りも分類するらしい。
マジェスペクターにも特別な効果のモンスターが存在するかもしれない。
あるのなら、後で回し方を習得しつつ確認する。
「いきますよ〜、いきますよ〜イクイク」
其の次はマジェスペクターの主役と言っていいペンデュラム関連。
デッキの中心であるペンデュラムモンスターを出すにはペンデュラム召喚が必要だ。
ペンデュラム召喚を行うには魔法&罠ゾーンに一番左右の両端にペンデュラムゾーンが存在し、其々一枚ずつ配置する。
ペンデュラムモンスターは魔法カードとして置くことが出来るのだ。
発動条件を満たすには、ペンデュラムスケールと言い、書かれている数字次第でより強いモンスターの召喚が不可能ではない。
1ターンに一度だけは玉に瑕だが、その分、大量のモンスターの召喚が可能なのだ。
おまけにペンデュラム効果或いはスケールとしての使用も出来る。
462
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:04:44 ID:???0
「何であんなんきついんすかね〜も〜」
ただし、ペンデュダムの情報量の多さと複雑に入り組んでちんぷんかんぷんになりかける。
此のデッキのメインはペンデュラムだというのに最大の難関になってしまった。
悪戦苦闘するも何とか覚え切ったのだ。
気を直して、次にエクストラ関連の事だ。
マジェスペクターの真価を発揮するらしい必要不可欠な要素。
先ず、エクストラデッキとはメインデッキとは別の特殊な方法で召喚して、枚数上限は上記の通り。
様々な種類の召喚方法があり、融合、シンクロ、エクシーズ、リンクといった色々なモンスターの存在に野獣先輩は頭を悩ませかけるも此のデッキは最低限後者二つさえ、覚えればそれでいい。
前者二つはどうでもいいだろう。
余談であるが、野獣先輩に取っては初めて戦ったカード使いの遊星こそがシンクロ召喚の使用者。
ところが野獣先輩はそこまで意識を向ける余裕はなかったが故に見落としてしまった。
きちんと聞き取っていたら、念入りに覚えていただろう。
其の前に後回しにしたエクストラデッキゾーンに関してだ。
メインのモンスターとは別にエクストラデッキを置く場所として決められている。
其れにペンデュラムモンスターは破壊しても墓地に送られずにエクストラデッキゾーンに表に置かれるらしい。
しかし、まだ残っているペンデュラムの複雑さに頭を抱えたくなった。
比較的に知識も吸収し易いエクシーズから。
エクシーズモンスターはカードが黒色で、一部を除くモンスターのカードテキストにレベルを表しているが、エクシーズの場合は代わりにランクを示してある。
此の召喚方法は同じレベルのメインモンスターを最低二体の素材が必要になる。
メインモンスターゾーンに揃ったら、宣言を忘れずに重ねる。
条件によっては三体以上の場合も追記しておく。
野獣先輩でも割とまだ理解し易い。
次は複雑だろうリンク。
リンクモンスターはペンデュラム程でないにしろ、大概だ。
その上、エクストラモンスターゾーンでリンク召喚が必須条件になる。
エクストラモンスターゾーンとは、エクストラカードを特殊な方法で召喚可能な時に置くことを許された場所。
ただし、両方の配置は禁じられていて、片方のみである。
でも、エクシーズは設置しなくても問題ないが、ペンデュラム、リンクは別になる。
実はペンデュラムもある二点だけはエクストラモンスターゾーンに置く制約があるらしい。
便利な反面、ペンデュラムのややこしさに野獣先輩はまたしても頭を抱えた。
話を戻して、本題のリンク召喚に入ろう。
リンクモンスターはレベルや守備力は疎か、エクシーズのみ存在するランクも持たない。
召喚方法はエクシーズ同様にモンスターの素材を条件次第で何体か提示する。
リンクとの相異な点はテキストにLINKいうリンクマーカーの数値に合わせて素材のモンスターの数での召喚が可能。
また、リンクモンスターを素材にする事も不可能ではない。
当然、テキストの無視と見誤りはプレイングミスと捉えるので注意する。
リンクは面白い要素が詰まっているが、少々複雑だった。
ペンリュラムよりはマシなのは事実。
エクストラモンスターの必要な知識を頭に叩き込んだ。
最後にチェーンとスペルスピートに際して。
チェーンはカードの発動や効果に合わせて別のカードを発動させる行為で、スペルスピードはカードの効果や発動にはスピードが設けられているらしい。
チェーンには発動する順序があり、其の順番ごとに積み重ねるのだ。
その為には、上記にスピードが設定されて、スペルスピードには1〜3まであり、規定に則って対応できるカード以上のスピードがないと如何しようもない。
テキストをきちんと見分ければ戦況を自分の方へと傾けられるのだ。
見落としてしまったら、折角の好機を不意になりかねない。
大事な時にプレイングミスをしてしまわないよう留意する。
463
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:06:02 ID:???0
「大丈夫でしょ」
いよいよ、応用の時間がやって来た。
アプリでマジェスペクターの回し方を身につける。
最初にデュエルの知識を頭に叩き込まないとデッキの力が発揮しないからだ。
故に説明書を確認した際は、意味不明でしかなかった。
素人の野獣先輩でも、マジェスペクターは有力なデッキと今では分かる。
ペンデュラムの重要な要素を手こずりながらも諦めずに無理矢理でも頭に入れる事が出来た。
マジェスペクター。
日本及び東洋の妖怪と幻獣をテーマとしたデッキ。
いずれも全て動物型をモデルとしている。
属するモンスターは魔法使い族、風属性のペンデュラムモンスターで統一されている。
御伽はペンデュラムの知識量の多さとエクシーズ、リンクを含む三種のモンスターの召喚方法を本人は覚えるのもきつく、扱い切れずに拳銃で戦う羽目になってしまった最大の原因。
今はマジェスペクターのデッキを最低でも八割くらいは引き出せるようにしたい。
デッキの試運転用のアプリを開き、デュエルの模擬実習を始めた。
デュエルの知識を蓄えても実習形式とは言え、当初こそ慣れない部分も少なくない。
散々苦戦したペンデュラムは時間を掛けてまでコツを掴んでマスターした。
他は複雑でも慣れたら其処までではなかったのだ。
立ち回りや回し方は無事修得した。
此れでスキルを学ぶ試運転を終了する。
「ふあー疲れたどおおん」
現在に至るのだった。
真剣にデュエルの座学と模擬実習を成し遂げた野獣先輩は大の字になる。
地面が雪で覆われて、背中が冷たい感触がしたので起き上がる。
従って、彼はある意味お疲れであるのだ。
「朝腹減んないすか?」
あれだけ集中していたので、お腹が空いたサインに気付かなかった。
朝食を取るのも丁度いい時間帯だ。
終始頭を使った。なので、今は糖分を摂取したい。
「もっと美味しそうに食べるよ」
デイパックの中から現したのは、一枚の白い丸い皿に収めている大量のドーナツ。
ザっと見て、二十五個くらいだろう。
野獣先輩は一つを手に取り、食す。
見た目は何処にでもあるピンク色のドーナツで、味も甘く美味しかった。
湖の景色を眺めながらの食事も悪くない。
その後も十二個程頬張り、残りの半分は取っておく。
流石に食べ過ぎたけど、この後も殺戮しに行き、其のついでに運動エネルギーで燃焼すれば心配ない。
464
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:07:00 ID:???0
食事を終えた野獣先輩はある武器を再度確認するべくデイパックの中身に手を突っ込む。
中身から得物を取り出した。
「お ま た せ」
その正体は青白い透明な刀身と鍔に青い薔薇が特徴的な刀剣。
名は青薔薇の剣。アンダーワールドに存在する高級の名剣。
野獣先輩から見てもあんな折れた日本刀なんかより、此の剣のほうが上位互換だ。
加えて、武装完全支配術と記憶完全術というおまけ付きの能力が備わっている。
日本刀の替えになる剣が改めて早々に発見して良かったと汚い顔を晒す。
同時にデェムシュには迂闊でもこの剣を出さない判断を下して良かった。
青薔薇の剣の価値を知られたら強奪されかねない。
その結果、病院前での戦闘では使用することはなかった。
ブレイドの力がある分、今後は使用する機会があるかは不明でデイパックに仕舞った。
「FOOっ〜↓」
だけど、良い事ばかりは都合良く起きない。
ブレイドをパワーアップするのに必須なラウズアブゾーバーという道具。
当初こそ有頂天になったが、説明書を読んだ途端、時間制限を掛けられていたのを知って、落胆した。
二段階分の強化変身は喜ばしいが、ジャックフォームは十分、キングフォームに至っては僅か五分経過すれば変身が強制解除されるらしい。
はっきり言って、ポセイドンが反則級の強さなら時間制限は不平等だ。
只でさえ、キングフォームを以てしても誰一人殺せなかった。
野獣先輩は不満一杯で仕方なかった。
白いコートの男は疎かあのポセイドンを出し抜く対抗手段は其れしかないし、他に当てがない。
ジャックフォームは使えないまでもないけど、欠点は恐らく、キングフォームより性能は格段に劣る。
勝ち残るには、地道に手数を増やし、頭を使うのも視野に入れている。
「逃げんなよ!ほらほら」
一回目の放送までの行動を思い返してみるとあのメスガキ(ねむ)とはエンカウント率が高すぎた。
一度目は逃走を許してしまい、二度目と三度目は次々と邪魔が入り、何れも決着が長引いている。
四度目の対峙の際は、さしでケリを付ける状況を作れないかと思いつつ、邪魔だてするお約束のワンパターンを都合良くメタれないものか。
だが、黎斗の放送で心当たりが一つある。
『首輪や所持した支給品を引き換えに、アイテムや情報の売買を行うNPCだ』
自称神様はお得すぎる情報を開示した。
つまり、首輪を接触的に集めればお約束のパターンを対処するアイテムの存在を手に入れられるということになる。
ただし、例のNPCは何処にいるか不明なのが残念な点ではある。
ねむとまたかち合いが起きれば決着の時だろう。
五度目の機会を訪れさせたりはしない。向こうも同じ考えのはずだ。
そういえば、ねむは妙な能力を隠していた。
三度の戦闘で見ていたが、本から無数の異形を呼び出している。
彼女はもう一人のメスガキ(みふゆ)と魔法少女?に分類していいだろう。
同時に矛盾が生じる。
そんな力を持っているくせに一、二度の戦闘で使用しなかった?
その答えは思考を巡らせると誰でも導き出す真実。
465
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:08:05 ID:???0
要するにあのメスガキは他者を使い捨てるクズ女と確信する。
一度の戦闘で力を活用せずに最初に殺した男を見捨てたのが確たる証拠。
野獣先輩でも余程の見落としがなければ素人でも簡単に辿り着く。
メスガキは別の能力をひた隠しにした可能性が高いだろう。
直接、決着を叶えるにはこういうことにも警戒を強めるべき。
執着はしない。勝手にくたばれば労力が減ると嬉しいが。
「行きましょうよ」
デュエルのルールやデッキの回し方は確認したし、雪原に何時までも残る気はない。
準備を整い、野獣先輩は立つ。
しかし、何かが近づいて来た。
周囲に総勢二十体程の初級インベスのNPCが現れる。
今か今かと襲いかかろうとする。
対する野獣先輩はニヤニヤと笑っていた。
彼は相手が大量のNPCだろうと関係なく格好の獲物になる。
「いいすかぁ?はぁい」
手に取るのはブレイバックルではない。
代わりにデュエルディスクを腕に装着する。
こんな雑魚退治はブレイドであれば片付けるのも容易い。
だけど、マジェスペクターの力を引き出す絶好のタイミングだ。
デュエルの卒業試験と言う名の命のやり取り。
初級インベスを当て馬にデュエルモンスターズを試す。
野獣先輩はデュエルディスクを起動し、デッキから五枚引き、戦闘を開始する。
「マジェスペクター・ラクーンを通常召喚!マジェスペクター・ラクーンの効果発動!
マジェスペクター・ラクーンの召喚に成功した時、デッキからマジェスペクターモンスターを一枚サーチして手札に加える!」
野獣先輩は狸の容貌をしたマジェスペクター・ラクーンを召喚し、デッキからマジェスペクター・ポーキュパインをサーチする。
「手札からサーチしたマジェスペクター・ポーキュパインを特殊召喚!その瞬間、召喚条件は効果モンスター2体以上!マジェスペクター・ラクーンとマジェスペクター・ポーキュパインの2体をリンクマーカ―にセット!エクストラモンスターゾーンにリンク2 マジェスペクター・オルトをリンク召喚!」
ヤマアラシをモチーフとしたモンスター、マジェスペクター・ボーキュパインを召喚したと同時に二体のモンスターをリンク召喚の素材となる。
オルトのリンクマーカ―が2でオルトの矢印の向きに合っており、ラクーンとボーキュパインが召喚しているので条件を満たす。
代わりに最前線に鵺のようなモンスター、マジェスペクター・オルトがリンク召喚を果たす。
「続いて、エクストラデッキからマジェスペクターモンスター二体を回収して手札に加える!更に回収したスケール2のマジェスペクター・ラクーンとスケール5のマジェスペクター・ポーキュパインをペンデュラムスケールでセッティング!」
条件が揃い、ペンデュラムスケールを発動させる。
だが、まだ準備は終わりではない。
「これによりレベル3と4のモンスターの召喚が可能!マジェスペクター・フォックスとマジェスペクター・クロウをペンデュラム召喚!」
早速、ペンデュラム召喚を発動させて、二体のマジェスペクターモンスターを一気に召喚する。
これで準備は整い、野獣先輩はニヤリと汚い口角を上げた。
466
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:09:20 ID:???0
「マジェスペクター・オルトは7体の雑魚モンスターを攻撃!」
オルトは攻撃を仕掛け、初級インベスを7体蹴散らす。
攻撃力は1500でもNPCを纏めて倒す力はある。
「続いてマジェスペクター・フォックスは同じく8体の雑魚モンスターを攻撃!」
狐みたいな風貌のモンスター、マジェスペクター・フォックスは初級インベスを片付ける。
フォックスは下級モンスターの中でも攻撃力が高い方なのだ。
「最後にマジェスペクター・クロウは5体の雑魚モンスターを攻撃でフィニッシュ!」
三本足の烏、マジェスペクター・クロウが止めとばかりに残りの初級インベスを纏めて葬り、全滅させた。
これにて、卒業試験版デュエルのやり方とマジェスペクターの立ち回りと試運転を終了する。
△
「ま、多少はね」
実はマジェスペクターモンスターのポーキュパインとフォックス、クロウにはまだまだ戦術がある。
使おうと思えば何時でも出来たが、今回だけはあくまで数の暴力での肩慣らし。
本来のデュエルは魔法カード、罠カードなどを使用し、ちゃんと考えながら勝負を制さなければならない。
先程の幼稚園じみた脳筋なやり口では青い髪のメスガキ(マヤ)のような二の舞の末路を辿るのは御免葬る。
これからはこのデッキの特性を生かしつつ本当のやり方に戻す。
マジェスペクターの強みは『モンスターゾーンに存在する限り、相手の効果対象にならず、相手の効果では破壊されない。』らしい。
相手に取っては初見殺しのデッキで耐性を持ち、対処してもサーチ効果が必ず付く便利なカードだ。
攻守共に安定感があると言える。
通常なら、ペンデュラム召喚したマジェスペクターのポーキュパインとフォックス、クロウは当然、サーチ効果はあるのだが、今回だけNPC相手にマジェスペクターの力試しの確認のみ行っただけで、野獣先輩もこの事は理解している。
ただし、このデッキも無敵ではなく、弱点の存在も把握済みで魔法カード、罠カードで補って行けばいい。
(その為には、また手を組みたいなぁ〜)
病院での戦闘を見ていた限りでは、後衛だとデュエルの真価を問われているように見えた。
勿論、誰とも組まずに使用は可能。
カニ頭との対峙を見たら、前衛の存在が力を何倍も出せるだろう。
再び殺し合いに乗っている参加者と組むのを思考する。
もう二度とデェムシュみたいな暴れ馬に近い者や戦況が悪ければ自分勝手に逃走する者とは組みたくない。
きちんと利害関係を了承した上で、まともな者と同盟を結ぶ。
仲良しこよしする気など毛頭ないが、抵抗する連中が多く、いずれ自分だけでは始末に負えなくなる。
潰し合うのは後回しにすればいいが、自分が見限られる事態に直面しないようにするのも忘れない。
デッキを使用する際は、手を組むのを前提で自分が必ず後衛に回る。
カードを使う者と再び相見えればデュエルはデュエルで対抗する。
いずれにせよ、状況次第で組み込むが、マジェスペクターの力を使用するのは最後の手段も考慮しておく。
後はデッキの力を完全に十割引き出すだけだ。
「そーですね・・・」
467
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:10:15 ID:???0
束の間の休息にデュエルのルールとやり方、このデッキの力も把握した。
準備は万全で、次の行き先を決める。
川を沿って行くのは確定事項だが、どの方向に歩き出そうか?
少し考えて、その川沿いの向きを決定する。
【B-3 湖前/一日目/朝】
【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:ブレイバックル+ラウズアブゾーバー(キングフォームに2時間変身不可)
[道具]:基本支給品一式×5、デュエルディスク+デッキ(マジェスペクター)@遊戯王OCG、ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズ、風間大介のギターケース@仮面ライダーカブト、どこでもドア(6時間使用不可)@ドラえもん、まあまあ棒@ドラえもん、青薔薇の剣@ソードアート・オンライン(アニメ版)、ステフの手作りドーナツ×12@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版)
[思考・状況]
基本方針:勝ち残り遠野を生き返らせる。
0:川を沿って、左右どちらに行こうか?
1:殺りますねぇ!(尚も衰えぬ殺意)
2:あのメスガキ(ねむ)はかち合えばもう”五度目”はない。
3:白コートの剣士(鋼牙)や厄介そうな参加者は悪評を流して同士討ちを狙う。
4:仮面ライダーブレイドの名を利用する。
5:デッキの力は状況によるが、同じデッキを持つ奴或いは最後の手段として使う。
6:遠野を殺した奴は許さない。
【備考】
※バトル淫夢みたいな戦闘力があります。
※野獣先輩新説シリーズで対象キャラへの変身や能力・技能の獲得が可能になりますが、新設シリーズを使う度に体力が消費されるようです。
参戦作品以外のキャラクターの説は使用不可能に制限されています。
他にも天体説@現実など、殺し合いを破綻させるような説の使用も制限により禁止されています。
※遊戯王OCGのルールとマジェスペクターの回し方を大分把握しました。
更に経験を積めばデッキを十割程、使いこなして、成長するでしょう。
『支給品解説』
【デュエルディスク+デッキ(マジェスペクター)@遊戯王OCG】
元は御伽龍児に支給。
マジェスペクターを中心としたデッキ。
殆どのモンスターがペンデュラムで構成され、魔法使い族・風属性で統一している。
最近、制限解除されたばかりのエースモンスターのマジェスペクター・ユニコーンも付いている。
【ステフの手作りドーナツ@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版)】
元は吉田清子に支給。
ステファニー・ドーラが自作で作ったドーナツ。
見た目はピンク色で味は保証されるくらい美味しい。
25個セットで支給。
【青薔薇の剣@ソードアート・オンライン(アニメ版)】
元は吉田清子に支給。
アンダーワールドに存在する高級の名剣。
元は北の守護竜に認められた者に与えられる専用武器。
本ロワでは魔力がない者でも武装完全支配術と記憶完全術の使用が可能。
468
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:11:23 ID:???0
時刻は第一回放送直後に遡る。
覇王十代との対談を終えた黎斗はその後、ハ・デスに呼ばれたらしい。
ハ・デスによると疑問を残した点があるので二人で話す場を授けて貰っている。
「何の要件かね。私は忙しいから早くしたまえ」
今から参加者の監視或いは様子を見に行こうとする最中にハ・デスに呼び止められたのだ。
一回目の放送後はより一層盛り上がる要素があり、楽しみで仕方ない。
持ち場に行こうという時にハ・デスに呼び出しを受けた。
ハ・デスが疑問をぶつける心当たりは一つしかないと分かっているからだ。
「黎斗様は先程の放送で何故、ペンデュラム召喚とリンク召喚専用のフィールドを公表しなかった?」
本来なら、放送用の本番で書かれた原稿では事実上の第0.5回放送で話していなかった2つの召喚方法を救済するべく、ペンデュラムとリンクの新設フィールドが一回目の放送後には、通達するはずだった。
ところが、黎斗はアドリブを入れて、デュエルの新情報は一切、開示せずに勝手に一回目の放送を終了した。
突然の勝手な行動を起こした事でハ・デスは疑問を抱いた。
ハ・デスはどうしても、腑に落ちなかった。
すると黎斗は口を開く。
「ペンデュラムとリンクのカードを持つ一部の参加者の救済措置として、予定通り、開示しようと思ったのだがな・・・」
「もしかすると気が変わられたのでは?」
「そうだ。急に矛盾が生まれてな。わざわざ一部の者の為だけに伝えるのは不公平だからだ」
現時点で、いくら、ペンデュラムとリンクを大半が知らないとはいえ、一々放送で開示するのは首を傾げる。
最終的に連絡しない事にしたが、代わりに後付けの仕掛けを施した。
「ただし、完全に救済しない訳ではない。ペンデュラムとリンクのカードを一枚以上、デッキに所持する者のみ新型のデュエルフィールドになるが、それ以外は旧型とする」
「それが正しい判断だな」
「一応、アプリに新型のフィールドの仕掛けの資料を載せている。ただし、最後尾にな」
「それでは参加者はアプリを開かないでだろうし。気づかないのでは?」
「そんなの彼らの自己責任と自業自得だ。この程度で気付かなければ神である私に挑む権利すらない!」
黎斗は人知れず設置作業を取り掛かっており、第一回放送前のシステムとは新たに改良したシステムで、新型デュエルフィールドを出す事に成功し、放送後は改良システムに採用となった。
前のシステムでペンデュラムゾーンやエクストラモンスターゾーンを突如、出現する事もない。
余談だが、前の仕掛けと今の仕掛けに関して今はまだ機密事項だ。
もう一度アプリの確認を怠らなければ追加要素を認識するが、放送での情報がなく、ノーヒントであるが故に全て理解した気になっている大半の参加者は確実に落とし穴に嵌るだろう。
おまけにアプリにその事に関する資料も一番ケツの方に載せる意地悪で簡単なからくり。
ハ・デスは腑に落ちたと並行して、黎斗のこの行為に相変わらずの人だと思ったのだった。
(とはいえ、先に把握するのはあの二人だな)
既に別世界の其々の特殊召喚を認識した武藤遊戯と決闘者ではないが、ルールは疎か全ての特殊召喚を把握、熟知した天才ゲーマーの空くらいだろう。
野獣先輩?彼は旧型と新型のデュエルフィールドの資料を拝見しても疑問に思う訳がなく、除外する。
前者は運が良ければこのシステムの資料を発見するかもしれないし、後者はリンクカードを所有しているため、逆に違和感を覚えて、このシステムの資料を必ず見つけ出す。
遊戯と空、それ以外の者でもこれくらい気付けないようでは神に辿り着く資格はない。
「要件がそれだけなら、とっとと君の仕事に戻りたまえ。私は暇ではない」
「そうだな」
話を終えた二人は解散し、各自の持ち場に戻って行った。
【新型のデュエルフィールド(マスタールール11期)について】
※第一回放送後はペンデュラムとリンクのカードを片方だけでも一枚以上、デッキに所持する者は新型デュエルフィールド(マスタールール11期)が出現する。
※ペンデュラムとリンクを一枚もデッキに所持しない者は今まで通り、旧型デュエルフィールド(ZEAELまで)とする。
※第一回放送後には、アプリに追加要素として、上記の資料を載せてあります。
※上記の以上の事は黎斗の独断で全参加者に一切、伝えていません。
469
:
◆2fTKbH9/12
:2025/03/27(木) 22:13:08 ID:???0
投下を終了します。
タイトルは教えろ!野獣先輩が学ぶデュエル教室 です。
470
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:24:17 ID:o/DhURPE0
投下します
471
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:25:25 ID:o/DhURPE0
デュエルと称した舞台を駆け抜ける、赤きバイク。
遊星号と名付けられたDホイールはバイクのように快速に進む。
殺し合いの場で安全運転を心がけると言うのも変な話ではあるが、
仮にもDホイールと言う未知なる存在を運転しているわけでもあり、
本来ならばもっと速度を出してもいいところではあるが多少緩やかに走らせていた。
もっとも、快速に走らせたとしても飛電或人個人を探し続けてるのだから、
人を探すのにスピードを出しては探せない可能性もあるので当然なのだが。
「だーくそ!! 見つかんねえ!」
走りながら頭を掻きむしろうとするが、
ヘルメットが邪魔をしてそれに至らない。
分かってはいた。或人ともDIOともあれから時間が経ってたし、
何処へ行ったかもわからない。しかもこちらはDホイール、向こうは仮面ライダーの足。
移動ルートが必ずしも同じとは限らないし、岩山を飛んで行った可能性だってあるのだ。
道なりに進まざるを得ないDホイールで人を探すと言うのは、どうしても難しくなってしまう。
「けどどっちか見つけねえとやべえ……」
或人もだが、DIOもただものではない。
時を止める力。カイトからその情報は伝わっている。
脳みそが筋肉でできてるようなバカの万丈でも意味は理解できる。
要するにこっちに一切認識されることなく、一方的に攻撃されると言うことだ。
ボクシングで言えば自分が問答無用でサンドバッグ確定と考えればわかりやすい。
普通に無茶苦茶な能力だ。しかもそれを、檀黎斗も持ち合わせているという状況だ。
或人は危険、DIOは面倒、檀黎斗はそれ以上に厄介と問題が山積みである。
「ま、考えるのは俺よりアイツだがな。」
勝利の方程式を決めるのはいつも戦兎の役割だ。
自分は愚直に、その力で誰かを助けていけば戦兎の力になれる。
だから見捨てない。嘗ての自分のように重なる彼を、絶対に。
しかし時間は待たない。当然、あの男も待つ気などどこにも。
『御機嫌ようプレイヤー諸君。まずはおめでとうと言わせてもらおう。』
憎たらしく、賞賛と言うよりは嘲笑の入り混じった声。
流石に聞きながら運転をしてやらかしました、では笑えない。
放送の隙をついて参加者を狙う人物やNPCにも警戒しつつ、放送を聞き届ける。
淡々と、何処で死んだかもわからないような人物を次々と羅列していき、やがて放送は終わっていく。
十秒ほどだろうか。警戒こそしているが、何もせずに無為に時間を過ごしているのは。
それをやめたのは、Dホイールに再び乗り始めるところから始まった。
「……実感、湧かねえもんだな。」
宝条永夢に猿渡一海。
後は遊馬と言った、カイト達からのまた聞きの仲間達。
また聞きなので、やはり印象的になるのはその二人になるだろう。
どちらも立派な仮面ライダーだ。此処で支給されたかどうかは定かではないが、
こんなふざけた殺し合いに抗おうとする、強い意志は間違いなくあったはずだ。
けれど、それでも死ぬ。特に一海の場合は二度目だ。しかも、同じように又聞きの形で。
その目で見ることなく、ただ告げられる形で消える。今度はふざけた大馬鹿野郎の存在により。
だから美空から告げられた時のように叫ぶことはせず、どこか実感が沸かなかった。
ただ心では分かっている。放送が真実でなければ殺し合いが成り立たないのだから。
思うところがないわけではないが、すぐにDホイールを走らせ、或人の捜索を優先する。
最初の時もそうだ。あの後エボルトがやってきての実質的なクライマックスの突入だ。
悲しみにくれている暇などどこにもなかった。此処でも同じだ。この一分一秒の間に、
あいつが共に戦った仲間や守ろうとしたものが失われようとしているのかもしれない。
この件に一海は関係ないが、或人も何とかしたい相手の一人だ。
猶更暮れているわけにはいかず、遊星号を走らせて突き進む。
……のだが。
「うおおおおお!?」
車道に突如現れるのはブラックホールのような球体。
彼からすれば嫌でも思い出させる。エボルトのブラックホールだ。
咄嗟にハンドルを切って直撃は回避したものの、流石に無理な曲がり方にDホイールが点灯する。
派手にとまではいかずとも、Dホイールから転倒して数度アスファルトの上を転がっていく。
速度はDホイール故の警戒とヘルメットも相まって大した怪我には至ってはいない。
しかし即座に起き上がり変身の準備は怠らない。相手はエボルトならばこれぐらいは当然。
そう思っていたのだが、
472
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:26:06 ID:o/DhURPE0
「イタタタ……此処何処よ!?」
ブラックホールはブラックホールでも、
野獣先輩のブラック・ホールに巻き添えにされたキャルであった。
クッソ汚いホモ……なんて表現の仕方は当然キャルが思うはずもないので、
薄汚れた茶色のおっさんに色々面倒なことをさせられて怒り心頭と言った状態だ。
あの状況だ。誰がどうなったかなんてものは分からないし、
場所を見るに南東よりだ。いくら怪獣に変身したところで、
こうして自分がどこかへ飛ばされた以上、他の仲間も飛ばされただろう。
運良く残っていたとしてももう病院にいる理由がないので移動も始めてる。
要するに、行くだけ無駄な状況と言うことになってしまっている。
「と言うか何なのよ!? いきなり竜になったり、
ブラックホール作ったり! 七冠以上に無法じゃない!!」
わけがわからない。
あの男は一体何なのだ。
神が面白半分で作り上げたミームの化身など、
誰がどうやったって理解できるはずがないので普通の反応である。
「……ってあんた大丈夫!?」
そしてようやく万丈の姿に気づき、
転倒してるDホイールも相まって状況を察する。
「いやお前が出てきたからこけたんだけどな!?
交通事故とか俺に冤罪増やすのマジでやめろよ!?」
冤罪で刑務所に入れられた見だ。
こんなところでも誤って人を轢く、
なんて洒落にならないことはしたくない。
まあ、幸いなことにお互い大事にはならなかったのだが。
「ってか、ひょっとしてだけどゲントクが言ってたバンジョウ?」
「! 誰かに会ったのか!?」
本戦が始まって間もないころ。
怪獣となって暴れていた時にみふゆと出会い、
それと一海とも交流があったらしい承太郎達との情報を交換する。
或人一人に執着して竜郷どうしても情報が乏しくなっていたところだったが、
ここにきてどっと押し寄せてくる情報は朗報、
「悪い、頭整理させてくれ。」
なわけがなかった。
万丈はお世辞にも頭がいいとは言えない。
だから鬼だ魔法少女だデュエリストだの謎の男だの、
情報過多になれば当然この男ではパンクを起こすに決まっている。
「……でもまあ、あいつらしいか。」
一海の最期。
承太郎からの又聞きの、キャルからの又聞き。
だから具体的な情報が与えられているわけではないものの、
あいつらしく真っすぐに戦って散っていったのは、納得がいった。
それでも、できることなら会いたかったと言うのが本音ではあるが。
「このDホイールの持ち主もいたのか……合流できりゃよかったんだがな。」
別の乗り物で代用してはいるようだが、
やはり馴染んだ乗り物の方が快適に乗れるだろう。
そういう意味でも合流を果たしたかったが今となっては栓なきこと。
今から病院に向かっても、もういないと見た方がいいのだろうと。
「で、此処どの辺?」
「地図的にみりゃ多分G-7だ。」
「幸か不幸か、近づいたってわけね……」
メダルガッシャーの場所はG-6。
隣のエリアにいけば当初の目的地に辿り着ける。
「あたしG-6の研究所に行かなきゃなんないけど、そっちはどうするわけ?」
「ゲ、逆走か……けどあいつがいねえとも限らねえし、行ってみるのもありか?」
研究所で有用なものや、
滅を探すために時間をかけてる可能性もある。
それならば逆走と言う形になってしまっても探すメリットはあるかもしれない。
少し苦い顔をしていたものの、キャルを乗せる……とは言うがおぶる状態になり、
より安全な運転で目的地へと向かう。
「なんつーか、いかにも悪党の秘密基地って感じだな。」
「怪獣のメダルが作れるってこと考えたら、そんなもんじゃないの?」
薄暗い、緑の光が不気味さを漂わせる地下施設と言ったところだろうか。
スマッシャーの研究施設とか、そんな風に言われても一切の違和感がない場所だ。
「で、何しにきたんだ?」
「いや話聞いてなかったの? 此処で変身用のメダルを作る為よ。」
473
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:26:21 ID:o/DhURPE0
意思疎通はできるのだが、微妙に物覚えが悪い。
説明したはずよねと逆にキャルが疑問を持ってしまう。
漫才のようなやりとりを交わしながら歩いていると、見つかるのは一つの釜だ。
手回しハンドルがついてたり現代よりではあるが、此処が目的地の最終地点だと確信を持つ。
「えーっと材料入れてこのハンドル回すんだったわよね。」
『本当にこんなんで怪獣になれんのか?』と興味深そうに釜を眺める万丈。
子供かアンタはと突っ込みたくなるような行動にツッコミを入れる気すら失せながら、
回収したモンスターの材料を釜へと放り込み、近くにあった液体の便の中身を流し込む。
丁寧に手順があったので操作に手間取ることはなく、手回しハンドルを回転させると
カランと、パイプのを伝ってメダルが出てくる。
何とも奇妙だ。
ファンタジーの錬金術とかそういう類の行為から、
出てくるのは現代的なメダルと言うこの謎の光景は。
物珍しそうにメダルを万丈が拾い上げると、それをキャルが取り上げる。
後は同じことの繰り返しだ。メダルを生成を間違えないよう丁寧にやっていく。
結構素材は集めたつもりだったが、サイズが小さすぎたか何かしらの制限か、
できたメダルは十五枚、組み合わせしだいでもあるが基本は五種類だろう。
「じゃ、試すから……念のため大分離れておきなさいよ。でかいから。」
「でけえのか!」
念のためそれなりに距離を取りつつ
最初の時のように変身の準備を行う。
『モモチ・アクセスグラッテド!』
「グリムフュージョン!」
『ギアソルジャー! ワイバーン! ギアボックス!』
新たなに作ったメダル。
機械的な兵士や竜、箱をベースとしたモンスターをメダルにセット。
スロットをスライドさせメダルを読み込み、最後に天高く掲げる!
「チェンジ・モンスターフォーム!」
『アンティーク・ギア・メガトン・ゴーレム!!』
「でっけぇ……」
仮面ライダーは基本的には人とガーディアンと、
全体的には人か、一回り大きい敵と戦うのが殆どだ。
ガーディアンが合体させて巨大化したりといったことはあるが、
生身の人間(ケモ耳はあるが)がいきなり巨大な怪物に変身できる。
特別驚きはしないものの、すげーと感嘆の声を上げるのは万丈らしくもあった。
「後の奴も試しておこうかしら……」
いくら新しい力を得ても、
肝心な時に使い方が分からないでは困る。
だから他の変身も試しておくことにした。
因みにギガトン・ゴーレムは外見の巨体さとは裏腹に、
承太郎のスター・プラチナにも劣らぬ連続攻撃ができた。
加えて魔法・罠を封じることで安全な攻撃を通せる手段になりうる。
二体目はキャル以上に獣人になった、獣戦士の剣士。
月光舞獅子姫。こちらも二回攻撃できるのは魅力的だが、、
それ以上に強みなのはカードへの耐性、及び戦闘を行えば、
モンスターを一掃できる。NPCや支給品の一層にもつながる手段
三体目は人型によった、白を基調としたモンスター。
E・HERO Core(エレメンタルヒーロー コア)。
このカードは全体的に守備向けで、攻撃的なものより悪くはない。
他の二体も試して、
ひとまず最低限のことは覚えておく。
結果としては大正解だ。十分に戦える。
これでもカイザーインサイトと言った上位に位置する、
危険人物に対抗できるのかは怪しくあるのが恐ろしいところだが。
「終わったのか?」
「ええ、ひとまずね……って、アンタなんでいるのよ。人探ししてるんでしょうが。」
「いや変身途中に妨害されたらあぶねえだろうが。」
「……それもそっか。そこは礼をいっとかないとね。」
キャルの変身はメダルを三枚セットする工程だ。
どうしても変身に長引くし、危険な敵がそれを待つ暇を与えないだろう。
転がりながら変身、も最悪メダルを落としてしまう可能性もあるので納得だった。
「でもまあ、大丈夫なら俺は行くぜ。
或人にあったら、無理は言わないが止めてくれると助かる。」
「ええ、分かったわ。」
移動手段は怪獣やモンスターになれる。
それならば、移動は困らないだろう。
研究所から出てDホイールに跨ると、快速で走りだす。
キャルもCoreへと変身して、警戒に壁を上っていく。
【G-5/一日目/午前】
474
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:26:41 ID:o/DhURPE0
【万丈龍我@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、運転中
[装備]:龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、遊星のDホイール@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品一式、フルボトルバスター@仮面ライダービルド、クローズドラゴン@仮面ライダービルド、火炎剣烈火&聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、ガトリングフルボトル@仮面ライダービルド
[思考・状況]
基本方針:主催の奴ら全員倒して殺し合いを潰す。
1:或人を追い掛ける。急いで見付けねえとヤバいだろ
2:遊戯って奴が心配。
3:檀黎斗はもう絶対に許さねぇ
4:戦兎ならクレヨンの腕も直せる筈だ
5:戦兎、玄さん、絶対生きてろよ
6:エボルト、滅、DIOを警戒、特にエボルトは一度共闘したからって信用出来るわけねぇ
7:爆発頭野郎(パラダイスキング)は次に会ったら絶対に倒す。
8:他にも仮面ライダーがいるのか知りてぇな
9:俺のフルボトル(ドラゴンフルボトル)はどこいったんだ?出来たら知りてぇな
[備考]
※参戦時期は『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』以降。
※キャルと情報交換しました。
※万丈がどの方角へ向かったかは後続の書き手に任せます。
また或人やDIOの正確な位置を把握していない為、同じ方へ向かったとは限りません。
【キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
[状態]:疲労(絶大)、ダメージ(中)
[装備]:ウルトラゼットライザー+ウルトラアクセスカード@ウルトラマンZ、怪獣メダル(ゴルザ、メルバ、超コッヴ、ガンQ、レイキュバス)@ウルトラマンZ」、E・HEROCoreに変身中
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、詳細地図アプリ@ロワオリジナル、ウルトラマンベリアルメダル@ウルトラマンZ、メダル(古代の機械兵士、古代の機械飛竜、古代の機械箱、月光???、月光???、月光???、E・HERO??? E・HERO??? E・HERO??? ???×6)
[思考・状況]
基本方針:クロトや覇瞳皇帝からコッコロたちを守るために更なる力を求める。
0:とにかく移動して皆を探す。
1:メダルは手に入った。あとはやるだけよ。
2:途中誰かに出会ったら、覇瞳皇帝に関して警告し、コロ助への伝言を頼む。
3:エボルト、里見灯花、柊ねむ、カイザーインサイトを警戒。
4:こんな力、強さじゃないってわかってる。けどこれで守れるものがあるなら……。
5:ヤバいってのは十分承知。でもあたしに力を貸しなさい、ベリアル。
6:あの茶色野郎(野獣先輩)ふざけんじゃないわよ、次会ったらタダじゃおかないわ…。
[備考]
※ウルトラゼットライザーは、アクセスカード、
ファイブキングを構成する怪獣のメダル5枚で一個の支給品扱いです。
※ウルトラアクセスカードは、一番最初に支給された参加者の物のみ支給されています。
※ウルトラゼットライザーは変身の際に、
インナースペース(安全圏)にいる時間が短くなる様に、
怪獣の力が本来のスケールで出せない調整されています。
恐らく、ウルトラマンに変身する際も、同様であると考えられます。
※回収したNPCの残骸の詳細は、後の書き手様にお任せします。
※万丈と情報交換しました。
※キャルの他の変身できるモンスター、怪人が何かは後続の書き手にお任せします
475
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:27:04 ID:o/DhURPE0
投下終了
476
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:27:17 ID:o/DhURPE0
です
477
:
融合準備
◆EPyDv9DKJs
:2025/03/28(金) 23:29:10 ID:o/DhURPE0
すいません場所間違えました
【G-6/一日目/午前】
478
:
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:32:19 ID:aeZHeRXk0
投下します
479
:
スタンバイフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:32:46 ID:aeZHeRXk0
『仮面ライダービルドこと桐生戦兎の相棒である俺、エボルトは単独行動から戦兎の元へ戻ろうとしたとき、わるーい魔女に襲われている可憐な少女たちと遭遇した。
俺は咄嗟にその少女たちを庇って魔女と戦い、華麗に撃破。
おいおいこれってひょっとしたら、女っ気のない戦兎と違って俺はいわゆるハーレムルートって奴に入ったか?』
『多分ですけどあなたハーレムとか別に欲しくないですよね』
『しかし少女たちに俺は刺激が強かったのか、どうにも避けられているようで。つれないねえ。
とはいえ仲良しこよしはともかく情報交換くらいはしたいもんだ』
『どう考えてもあなたのムーヴの問題なんですよね……』
『さてどうなる第88話』
『ずっと無視ですか!? このルビーちゃんを!?』
◆
戦いは終わった。
復讐の魔女と希望の魔法少女の戦いは、途中から現れた地球外生命体の手によって終わりを迎えた。
そこに横たわるは首から上が切り離された魔女の肉体。
首輪を取るために、エボルトによって斬られたルナの遺体だ。
エボルト―この場にいるイリヤとチノは未だその名前を知らないが―の振る舞いに文句をつけることはできない。
ルナ―これまたイリヤ、チノ、エボルトが名前を知ることは永遠にないだろう―は理由がどうであれ殺し合いを是として動き、イリヤ達に殺意と攻撃を向けていた。
ならばこれも因果。この決闘で氷室幻徳が持つスカルメモリの、本来の所持者の言葉を借りるなら「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけ」ということだろう。
だからと言って救いの手を伸ばしてはならないということではない。
イリヤはルナを、名前も知らない少女を救いたかった。
されどその望みはもう叶わない。
それをエボルトのせいだと責めることもできない。
そうしなければ己の命はもとより、隣にいるチノの命も危うかっただろう。
イリヤは、救いの手をと叫ぶほど身勝手にはなれなかった。
そして首輪を手に入れる為に首を切り落としたことも、殺し合いの打破を考えるなら仕方のないことだ。
文句をつけるのは、少々無作法というものだろう。
「……」
それらを差し引いてなおイリヤは、いや彼女のみならずチノもルビーも、目の前の地球外生命体に対し警戒心を解けなかった。
『オイオイ。いくらなんでもそりゃないだろ。俺は命の恩人だぜ?
どっかのてんっさい物理学者みたいに正義のヒーロー、仮面ライダー扱いしろとは言わねえけど、カワイ子ちゃんにはもうちょっと愛想よく接して欲しいなあ?』
エボルトはそんな二人の対応に対し軽口を叩くが、当の二人は何も返さない。
彼の言葉にこちらを安心させようとか、宥めようという意図はないのが伝わってくる。
彼は言葉とは裏腹に何一つ気にも留めていない。
あるのはただ、まるでこちらを見定めるかのような不躾な感覚だけだ。
するとそこに――
「大丈夫か二人とも!?」
遊戯とロゼが飛び込んできた。
零という犠牲を出しつつもジャンヌを退けた彼らは、悲しみに暮れる間もなく仲間であるイリヤとチノの援護にやってきたのだ。
しかし目の前の光景は想像と少々違っていた。
熾烈な争いが行われた形跡はある。
しかしそこにいるのは二人の仲間と、得体のしれない人型の怪物としか言いようない何か。
そして最後に、見覚えのない服を着た、首が切り離された少女の死体。
「どういうこと……?」
情景だけでは今一つ把握できない現状に、思わず戸惑いの声を漏らすロゼ。
それに答えたのはルビーだった。
『平たく言うなら、こちらで亡くなっている方が最初にイリヤさん達を襲ってきて、それをそこの得体のしれない地球外生命体に助けられた、という感じですね』
『そう思ってるならもっと感謝してもバチはあたらねえぜ?』
ルビーの棘のある物言いに軽く苦言を呈すエボルト。
本来ならエボルトの言い分の方が通りそうだが、誰も反論をしない。
しかしいつまでも無言でいる訳にも行かず、代表して遊戯が口を開く。
「仲間を助けてくれたこと、一応礼は言っておくぜ!
だから忠告だ。そのあからさまに人を自分に都合がいいかどうかでしか判断してない態度をやめないと、痛い目を見ることになるぜ!!」
『はいはい。忠告どうも。武藤遊戯くん』
名乗っていない自分の名前を呼ばれ、一瞬虚を突かれる遊戯。
しかし最初の場で自分の名前が呼ばれているのは、おそらくほぼすべての参加者が見ているはず。
それと名簿を合わせれば名前を特定するくらいは難しくない、と遊戯は結論を出す。
一方、遊戯の忠告を軽くいなしたエボルトは、諦めたように息を吐く。
そもそもエボルトは遊戯の言う『痛い目』を、既に一度見ている。
しかしなお変わらずこうなのだから、彼は微塵も変わるつもりはない。
それをいっそ言ってやろうかと考えた所で――
480
:
スタンバイフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:33:06 ID:aeZHeRXk0
『御機嫌ようプレイヤー諸君。まずはおめでとうと言わせてもらおう』
その前に、檀黎斗の放送が空気を裂く。
ここから始まるのは神を語る男の、無慈悲かつ苛立ちを感じさせる情報の羅列。
聞くに堪えない嘲笑が誰の耳にも聞こえるが、誰もが聞き逃すことを許さない。
『続いては君達が最も気になるだろう情報…そう、脱落者達の発表だァ!』
禁止エリアの発表もそこそこに、腹立たしくも正しい分析をする檀黎斗の発表を、エボルトすら黙って聞いていた。
『御伽龍児』
『城之内克也』
「……っ!!」
遊戯が反応したのはこの二人。
最初こそいがみ合ったものの中を深めた御伽と、決闘者として、友として絆を深めた城之内の死に、遊戯は思わず動揺を隠せない。
『猿渡一海』
「おっ」
エボルトは己が知る仮面ライダーの死に反応するも、何を思っているのかは外から読み取れない。
ただ強いていうなら、面倒そうな顔を浮かべたようにその場にいた面々には見えた。
『白鳥司』
『涼邑零』
「「「「……」」」」
仲間である二人の名前が聞こえ、遊戯、イリヤ、チノ、ロゼの四人は神妙な顔を見せる。
遊戯とロゼは司が、イリヤとチノは零がなぜこの場に顔を見せていなかったのか、薄々察していたとはいえここで確定してしまうのは、やはり辛い。
『天々座理世』
「リゼさん……」
そしてチノは追い打ちの様に、ラビットハウスで共に過ごした友人ともう会えないことを知った。
『以上30名。ン素晴らしいッ!!君達は私の予想を超えて、実にゲームを盛り上げてくれたッ!』
「何で、そんなこと言えるの……!!」
檀黎斗のプレイヤーに対する言動について、命をなんだと思っているのかとイリヤは怒りを燃やす。
この世の全てが自分のゲームの為にあるとでも思っているのか。
そんなことを本気で考えているから、こんなことが出来て、そんなことが言えるのか。
しかし放送は彼女の怒りなど聞き届ける筈もなく、無慈悲に続く。
『優勝者への褒美を、死をも覆す権利を、ゲームマスターにして神の私が約束しよう』
「随分豪華賞品じゃねえか。どっから調達してきたんだか」
エボルトは檀黎斗の語る内容に思わず零す。
死者の蘇生などそう簡単なものではない。なにせ自身の蘇生ですら不完全もいい所なのだから。
それも万丈に自分の遺伝子があるからであり、他者となればするしないは別として、できるかどうか不明である。
にも拘わらず檀黎斗はすると宣言している。
本当である保証はどこにもないが、仮に本当ならどうやって実現するのか疑問は尽きない。
なので、その答えに辿り着くべく少しでも情報が欲しいので、エボルトは目の前の集団から情報を引き出したいのだが――
(無理だなこりゃ)
エボルトは、それを無理と考えた。
理由は、さっきの放送にある。
放送で呼ばれた人数は40人。参加者が112人なので実に三分の一近く。
それだけいれば、知人の一人や二人呼ばれていても不思議ではない。
事実、この場で元の世界の知人が呼ばれているのはエボルト含めて三人いる。
そしてエボルトはともかく、残りの二人はその事実に動揺する類のお人よしだ。
その二人が落ち着くまで宥めるなり待つなりして話をするという手もあるが、そこまで待つ気にはなれないし、戦兎の印象が待たせ杉で最悪になる。
元々最悪ではあるが、行動を縛り無駄にとどめるせいで決定的な仲たがいをするのはエボルトとしても不本意だ。
ここは首輪一つにラストパンドラパネルブラックと六つのブラックロストフルボトルを戦果として一度撤退し、情報交換は後に回すとしよう。
481
:
スタンバイフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:33:29 ID:aeZHeRXk0
『んじゃ、俺帰るわ』
「えっ?」
『おや、あなたはイリヤさんを何やら舐めるように見つめていたと思ったのですが』
『俺にそんな趣味ねえよ』
『えっ……じゃあまさか、私を?』
『構造的な意味なら興味はあるなあ。解剖していいか?』
『ダメに決まってるでしょう! ルビーちゃんはお触りNGです! 握手会出禁にしますよ!!』
『手どこだよ』
ルビーの軽口をエボルトは切って捨て、疑問符を浮かべたイリヤに対し軽く意図を説明し始める。
『本音としちゃ情報交換したいんだが、今のお前らには少々時間が必要そうだからな。
俺はオーエド町に戻るから後でもう一度会おうぜ。
いや、時間がかかるようならこっちに来てくれてもいいぜ。首輪解除の当てもあるしな』
そう言ってエボルトは地図を広げ、ある場所を指差す。
そこはやちよと合流を約束した場所である。
エボルトはどちらの場所を教えるか考え、結局両方教えるのだった。
首輪解除のあてがあると聞けば無視はできないだろうし、また会えるのなら今はそれでいい。
「……驚いた」
『何がだよ、剣持った嬢ちゃん』
するとロゼが言葉を零す。
それは本当に思わず出てきた言葉だったが、彼女は構わず続けた。
「あなた、気遣いとかできるんだ」
『心外だねえ』
ロゼの言葉にエボルトは肩をすくめるも、即座に背を向けてこの場を去っていこうとする。
しかし、すぐに足を止めると彼はこういった。
『おっと、名前を言っていなかったな。
俺の名前はエボルトって言うんだ。よろしくな。
せっかくだしお前らの名前も教えてくれよ。あ、武藤遊戯くんは別にいいぜ』
エボルトの唐突な自己紹介と、名乗りの要求に少し戸惑う一同。
しかし要求に従わず黙っているのにも危険があるように感じたので、遊戯以外は結局名乗ることにした。
「イリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」
「私はロゼ」
「香風、智乃です……」
『オッケー覚えたぜ。
じゃ、また会おうぜ武藤遊戯と嬢ちゃんたち。チャオ♪』
それだけ言ってエボルトは今度こそ去っていく。
その姿に、その場にいる誰も声を掛けることはなかった。
【D-3/一日目/朝】
【エボルト@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、ブラッドスタークに変身中
[装備]:トランスチームガン(ワープ機能6時間使用不可)+ブラックコブラロストフルボトル@仮面ライダービルド、ラストパンドラパネルブラック+ブラックロストフルボトル×6@仮面ライダービルド、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品一式、じわじわキノコカン@スーパーペーパーマリオ、ブレイクスルー・スキル@遊戯王OCG((1)の効果6時間使用不可能)、ルナの首輪
[思考・状況]
基本方針:生存優先。あわよくば未知の技術や檀黎斗の持つ力を手に入れる。
1:戦兎達の元へ戻る。ここでこいつらから情報聞き出してたら、いくらなんでも時間をかけすぎでキレられそうだ。
2:戦兎と共闘しつつどこまで足掻くのか楽しむ。仲良くやろうぜ?
3:エボルドライバーを取り戻す。元は内海の?知らねぇなァ。
4:ロストボトルを回収しパンドラパネルを完成させる。手間を掛けさせないで欲しいんだがな。
4:正攻法じゃあ檀黎斗を倒すのは難しいか。
5:カイザーインサイトを利用。2回目の放送後に桜ノ館中学校で合流。戦兎には何て言おうかねぇ。
6:やちよの声はどうにも苦手。まぁ次に会えたら仲良くしてやるさ。
7:また会おうぜ、武藤遊戯に嬢ちゃんたち。
8:猿渡死んじまったか。戦兎の奴どうなるかな。
[備考]
※参戦時期は『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』で地球を去った後。
※環いろはの姿を写真で確認した為、いろはに擬態可能となりました。
※トランスチームガンのワープ機能は一度の使用後、6時間経過しなければ再使用不可能になっています。
482
:
スタンバイフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:34:01 ID:aeZHeRXk0
◆
『エボルトさん、アバンであらすじしてた割にあっさりいなくなりましたね』
「ルビーは何の話をしてるの……?」
エボルトとの邂逅を終えた遊戯達は、一度エーデルフェルト亭のまだ壊れていない部分に移動した。
心の整理をするにしても、外に居たままではNPCしかり他の参加者に襲われる可能性が高くなる。
なのでとりあえず適当な一室に移動し、たどり着いて最初の発言がルビーのとぼけた言動とイリヤのツッコミだった。
しかし内容に反して二人の声色に元気はない。
当座の脅威が消えて、この場にいる一同が感じるのは仲間、友人を失った悲しみ。
もし幸いなことがあるとしたら、今この場であるD-3を禁止エリアに選ばれなかったので、そそくさと移動する必要がないことくらいだろうか。
「なんで……」
静寂が漂うエーデルフェルト邸にて、チノのささやくような声が響く。
マヤの死を見た時に流れた、一度拭われた涙がもう一度溢れる。
その涙と共に堰を切って溢れるのは、血を吐くような叫びだった。
「なんで私達がこんな目に遭わなきゃいけないんですか……!
マヤさんが、リゼさんが、零さんが、司さんが……何か悪いことをしたんですか……!!
私達が一体、あの檀黎斗って人に何をしたっていうんですか……!!」
「チノ……」
感情のまま泣き叫ぶチノに対し、ロゼは前の放送の時の様にまた抱きしめて頭を撫でる。
チノの問いに対し答えを出せないロゼができるのは、これくらいしかない。
答えが出せないのはイリヤも遊戯も同じだ。
とはいえ、その答えは今ここで出せるものではない。
ならばやるべきは次どうするかの行動を決めることだろう。
そう考えたイリヤは遊戯の方を見る。
「すまない皆。少しだけ、俺を一人にしてくれ……」
だが遊戯の口から出た言葉は、憔悴したものであった。
しかしそれも無理はないとイリヤはすぐに思い直す。
何せ、遊戯から聞いていた友達が二人も放送で呼ばれているのだ。
本当は、チノと同じ様に泣きたくてもおかしくないはずだ。
なのでイリヤが何かを言おうとするも――
『遊戯さん、行っちゃいましたね』
それより先に遊戯は部屋を出て行ってしまった。
「待ってよっか。ルビー」
『その間、少し考えることもありますしね』
こうなればイリヤとルビーにできるのは待つことのみ。
とはいえ考えるくらいはできるだろうと、二人は思索を始めるのだった。
483
:
スタンバイフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:34:34 ID:aeZHeRXk0
◆
部屋を出て行った遊戯がいるのは、部屋から少し離れた場所の廊下だ。
仮に部屋で何か大きな物音がすれば即座に戻れるような位置に彼は立つ。
そして――
ガン!
「檀、黎斗……!」
遊戯は近くの壁を殴りつけた。
彼が浮かべるものは怒り、憎しみ。
友の、いや友を含む四十という多数の人間の死をエンターテイメントの様に扱う檀黎斗への、猛烈な怒り。
『もう一人の僕……』
そんな遊戯を、精神の内側でもう一人の彼、表の遊戯が見つめている。
表の彼が浮かべるのは悲しみであると同時に、闇遊戯への心配だ。
「分かってるぜ相棒。檀黎斗は許せない。
だけど憎しみや怒りに囚われたまま進んだりはしないさ」
そんな表遊戯を安心させるべく、闇の遊戯は声に出す。
檀黎斗に対して怒りはある。憎くないかと言われれば嘘になる。
だがそれでは駄目だ。
『憎しみ、怒り、そんなもの束にしたって俺には勝てないぜ!』
『憎しみを重ねてもそれは……脆い!!』
『憎しみと怒り、そんなもので勝利の重圧を受け止められるか!』
バトルシティ準決勝第二戦においてライバル、海馬瀬人に己が語った言葉が蘇る。
『相棒! 相棒おおおおおおおおお!!』
『速攻魔法発動! バーサーカーソウル!!』
『相棒……! やめてくれ!!』
憎しみに囚われた結果、どうなったかも己の経験が語っている。
「あの時は相棒や周りのみんながいたから何とかなった。
だけど同じ間違いを二度も繰り返したりはしないぜ」
『うん! 信じてるよもう一人の僕!!』
二人の遊戯は対話を経て、決意を新たに固め直す。
(見ていてくれ城之内君、本田君、御伽君。それから牛尾さん。
俺は真の決闘者として戦い、必ず殺し合いを止めて檀黎斗を倒してみせるぜ!)
ザッ
「出遅れちまったようだな」
「だけど誰かいるぞ……って、あいつはもしかしたら……」
するとどこからか聞き覚えのない二人の声が聞こえた。
二人は警戒することなく遊戯の元へ近づき、声をかける
声を聴いた遊戯が心持ち警戒するが、次の言葉を聞いて警戒を解く。
「あんたが武藤遊戯か。話は不動遊星から聞いてるぜ」
「遊星くんに会ったのか!?」
現れた二人のうち、海賊のような服装をした異形の右腕を持つ男、蛇王院空也の言葉は、遊戯から警戒を消すに足るものだった。
空也はそんな遊戯に対し話を続ける。
484
:
スタンバイフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:35:03 ID:aeZHeRXk0
「ま、今は別行動中だがな。とはいえ随分あんたを買ってたのは間違いねえさ。
それにさっきの態度を見てたら信用できるのも納得はいくってなもんだ」
「そうか。遊星君が世話になったようだな。
それで、そっちの君も仲間なのか? 決闘者なのはすぐに分かったが」
「神代凌牙、決闘者だ。空也とはさっき会って共闘したってだけで、その遊星って奴とは別に会ってねえよ。
それはそうと、てめえが相当やる決闘者ってのは見れば分かるが、デッキはどうした? 支給されてねえのか?」
凌牙の質問は酷く当然だ。
遊戯がどれほどの決闘者なのか、凌牙レベルの実力者ならある程度の察しは付く。
「つくのか?」
「決闘者には特有の殺気があるからな。凌牙もそれを感じたんだろうぜ」
「そんなところだ」
「そんなところなのか?」
カードゲーマー特有の殺気ってなんだよ、と空也はツッコミを入れようかと思ったが、迷っている間に二人の話は進んでいた。
「話を戻すが、そうだ。俺のデッキは支給されてない」
「俺には支給されてるんだがな……いや、遊馬にも支給されてなかったな」
「そういや遊星もそんなこと言ってたぜ。代わりにかなり使いにくそうな代物だったけどな」
そう言って空也は遊星に支給されていたホカクカードとデュエルディスクについて説明をした。
すると説明を受けた二人は思わず顔をしかめる。
「確かにこの決闘なら多少は何とかなるだろうが……デュエルモンスターズはモンスターだけじゃない。
魔法や罠とのバランスが大事なんだ。そんなデッキじゃいくら遊星君でも満足に戦えないぜ!」
「全くだ。フルモンデッキって構築もあるにはあるが、あれは練りに練ってやるもんだ。
この決闘に出てくるNPCでくみ上げるにしてもかなりキツイだろうな」
単にデッキを支給しないだけならまだしも、そんな特殊な代物を代わりに寄越し、挙句下手をすればそれ以外の支給品を奪われているかもしれない。
最早恨みでもあるのかと言いたくなる采配である。
「どうにも自分で実装した決闘を持て余してるようだし、その弊害が出たってところか」
「なんだそりゃ。大した神様もいたもんだぜ」
遊星の処遇について遊戯が推察すると、それに対し空也が軽口を叩く。
自分で実装した要素に振り回された挙句プレイヤーに不利益を押し付けるなど、ゲームマスターとしては三流もいい所だろう。
もっとも、そもそも始めたゲームからしていささか一流とは言えないと遊戯は付け加えるだろうが。
一方二人の話に対し、凌牙は神妙な顔で口を挟む。
「神様なんて大したもんじゃねえよ。真の決闘者三人がかりなら倒せる程度のもんさ」
「そうだな。真の決闘者にとって力なんてまやかしにすぎない」
凌牙の言葉に同意する遊戯。
とはいえ凌牙にとっての神はドン・サウザンドであり、世界の支配すら間近だった存在である。
たいして遊戯の語る神は三幻神。資格こそ必要なものの、決闘の中で従える存在だ。
この決闘の中では支給品として扱われたり、ネットの情報の集合体である参加者が変身したりしている程度のものである。
そんな認識の隔たりが二人の間にあるが、それが埋まるかどうかは現状分からない。
別に埋まらなくてもそこまで支障はない。
「なあ、ゲーマー二人。仲いいのも結構だけどよ、そろそろ話し進めていいか?」
「……ああ悪ぃ。なあ遊戯、こうして話をしてると分かんねえかもしれないけど、こいつ結構怪我やばいんだよ。
何か治療できそうなカードか何か持ってないか?」
「あいにく俺の手持ちにそういった物はないが、仲間が持っているかもしれないな。
ついてきな! 案内するぜ!!」
遊戯はそれだけ言って二人に背を向け歩き始める。
その背を二人は追うが、一人空也はある疑問を覚えていた。
(どう見ても遊戯より遊星の方が年上だよな。
なのになんでどっちも遊戯が目上ってノリで話してんだ?)
485
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:35:34 ID:aeZHeRXk0
◆
「おかえりなさい遊戯さ……」
チノ、ロゼ、イリヤの三人の元へ戻って来た遊戯を最初に迎えたのは、イリヤの途中で途切れたおかえりだった。
しかもそれも無理はない。
何せ遊戯と共に知らない男が二人もやってきたのだから。
しかも一人はどこかタコを思わせる奇天烈な髪形をしており、もう一人はいかにも海賊と言わんばかりの恰好をしている上に右腕は異形の物と化している。
正直戸惑いを超えて警戒心すら湧く二人組だった。
『フック船長にでも憧れてるんですか?』
「誰が好きで腕をこんなにするんだよ」
そんな相手に対しルビーはいつも通りのノリで絡むも、空也は呆れたようにツッコミを入れるのだった。
ちなみに彼は杖が喋ることに驚いてはいない。
元の世界がまんぼうや埴輪が内政をするような魔境であることと、異世界を早々と認識しているのでそういうこともあるんだろくらいで流していた。
一方、そんなやりとりを見ていたチノたちは、見た目に反して少なくとも悪い人ではないのだろうと少し警戒を解く。
その頃合いを見計らって遊戯は話しかけた。
「皆、ちょっといいか?」
ここで遊戯は空也の傷を説明し、回復できる支給品がないか確認を求める。
とはいえ傷だらけ、ダメージを負っているのは皆も同じ。
なので時間もあることだし、一度アイテムを検めることにした。
とはいえ空也も凌牙も回復アイテムの持ち合わせがないことは確認済み。
必然、調べるのは遊戯達四人となる。
「こんなのあったんだ……」
最初に支給品を取り出したのはイリヤ。
彼女の手にあるのは、さながらRPGの回復アイテムのようなビンに入った液体。
否、これは事実ゲームの回復アイテムだ。
彼女が持つアイテムはハイポーション。ソードアート・オンラインにて高い効果を誇る回復アイテムである。
早速見つかった回復アイテムだが、いくらなんでも自身より重症としか思えないイリヤから譲ってもらう気など空也には無い。
これは支給されたイリヤ自身が使用した。おかげでダメージはかなり回復し、疲労も少しだけマシになる。
「これならイケますね。私は魔法カード、ご隠居の猛毒薬を発動します!」
次に支給品を取り出したのはチノ。
彼女の手にあるのはデュエルモンスターズのカードであり、彼女は効果を見るや否や即座に発動した。
すると、いきなり虚空から老婆が現れた。
老婆は無言で試験管に入った二つの薬を取り出す。
片方は緑色で、もう片方が濃い紫色の薬だ。
「あ、あの……回復させる薬をください」
チノが老婆に頼むと、老婆は緑色の薬を手渡しそのまま姿を消す。
「……どうぞ」
「いや、お前が飲んだ方がいいだろ。お前結構ボロボロだぞ」
貰った薬を即座に渡そうとするチノに対し、空也はやんわりとそれを止める。
事実、チノはなれない戦闘で体も心もボロボロだ。
しかし彼女としても、イリヤほど傷ついているならまだしも目の前で大怪我している相手を無視して自分を選ぶ気持ちにはなれない。
「なら私がこれをあげる」
するとロゼが空也に向けて支給品を投げる。
それは一見するとただのシリアルのチョコバーだが、その実回復アイテムである。
これはリドゥという仮想空間にて、二代目帰宅部と名乗る集団が回復に使っていたもの、名をプレミアムクランチという。
486
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:35:55 ID:aeZHeRXk0
「いいのか?」
「いい。私にはこれがある」
そう言ってロゼは手にあるカードを見せる。
それはモウヤンのカレーというカードで、効果は僅かながらライフを回復させるものだ。
なので安心しろと言わんばかりの態度に、空也は少々思うところがあるもののここは大人しく厚意に甘えることにした。
モグモグ
「……おお!?」
空也がプレミアムクランチをあっさり食べ終えると、なんと胸に真一文字の傷が塞がった。
痛々しい傷跡こそ残るものの、命の危機は脱したと言っても過言ではないだろう。
その様子を傍目で見ながらロゼは考える。
あのシリアルは零の支給品だ。
もしアレを彼が死ぬ前に食べることができたら、彼は助かったのではないか、と。
しかしそれはもう叶わない。
食べたとて助からなかったのかもしれない、あるいは回復するとは思ってなかったのかもしれない。
事実が何であれ、死という事実は変わらないのだから。
「モウヤンのカレー発動」
思考を止め、ロゼは手にあるカードを発動させる。
モウヤンのカレーは自分、相手のどちらかのライフを200回復させるカードだが、この決闘では本来自分を回復させるカードでも他者を回復させることができる。
ならこのカードの特別性は何かというと、まず複数人を同時に回復させることができる。
具体的には使用者と、それ以外の参加者を一人回復させることができる。
なので彼女は自身と遊戯を回復させた。
これにより疲労こそ取れていないものの、二人の傷と出血を止めるのだった。
◆
『では、情報交換とこれからの行動方針について話し合いましょうか』
「お前が音頭とんのかよ」
各々傷を回復させたところでルビーがこれからの話し合いを始めようとするも、そこに凌牙がツッコミを入れた。
なんで杖が音頭を取っているのかという意味で。
とはいえそれはそれとして、情報交換が始まった。
まずは空也と凌牙から、これまで出会った相手と知っている参加者について話す。
とはいえ空也の語る遊星についてはジャックや遊戯から聞いており、明石は参加者に面識のある者はいないのでそこまで大きなリアクションはない。
ただ話が元の世界で因縁のあるジャンヌになると話は別だ。
「その女なら俺達は戦ってるぜ」
「私は最初に遭っただけだけど、遊戯さんは二回も戦ってたんですね……」
「マジかよ。あいつ俺らともやり合ってんだぞ。どんなスパンで戦ってんだ」
イリヤと遊戯、ロゼはジャンヌと一戦交えているので、必然話はそれに移る。
彼女の余りに頻度の多い戦いっぷりに、決闘が始まってから一度しか戦っていない空也が驚く。
実の所、ジャンヌはこれらに加えて、イリヤと遊戯が面識のあるジャックや遊馬とも戦っているので更に増えるのだが、それを知る術を今の彼らは持たない。
「次は俺か。
俺が知ってる中で生きてるのは、天城カイトとベクターだな」
「そのカイトっていうのは、初めて檀黎斗が出てきた放送に出てた、あの葛葉紘汰って仮面ライダーが言ってた人?」
「いや、生憎だが仮面ライダーなんて聞いたことねえよ。
だからあの男が言ってたカイトってのは、おそらく名簿の俺らより少し下の所にあるこの駆紋戒斗だろうな」
途中、ロゼが疑問を挟むも凌牙は即座に答える。
情報交換するとなった時にこんな質問が飛んでくることは、ある程度予想できたことだからだ。
なので彼はよどみなく答え、そのままの流れで次はロゼが話す。
487
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:36:19 ID:aeZHeRXk0
「私が元々知っているのは閃刀姫-レイだけ。名簿の横にある深淵の冥王については何も知らない」
「その冥王さんなら私達が会いました。向こうもロゼさんやレイさんのことは特に何も言って無かったです」
途中、イリヤが口を挟んだ話は決闘で出会った相手に移る。
決闘の始めにチノ、次に零と出会い、その次には殺し合いの乗った筋骨隆々の男、おそらく名前は野比のび太。
もっとも、野比のび太は死亡しているので確かめる術はない。
そしてイリヤ、遊戯、司、ジャンヌ。
そして犬吠埼と呼ばれた金髪の少女と――
「……衛宮さんと呼ばれてた少年が、殺し合いに乗っていた」
「シロウさん、が……」
『美遊さんの為、ですよねえ』
ロゼの話を聞いたイリヤはショックを受け、縋るような目で遊戯を見る一方、ルビーはどこか達観したような言葉を口にする。
一瞬自分の兄の方かとも考えたが、殺し合いに乗る筈もないし、そもそも戦闘能力もないので除外してもいいだろう。
「遊戯さん、それ、本当ですか……?」
「ああ。もしかしたら支給品か何かで、誰かがその衛宮という男の姿に変わっている可能性もあるが……」
イリヤの問いかけに推測を口にするも、すぐに噤んでしまう遊戯。
確かにないとは言えない可能性だが、あまりにも希望的観測すぎた。
そこに今度は凌牙が口を出す。
「話をぶった切って悪いがロゼ、こいつに見覚えはあるか?」
そう言って凌牙は閃刀姫-カガリのカードをロゼに見せる。
すると彼女は驚愕の表情を露わにした。
「この娘は確か、レイの……」
驚きを隠せないロゼだが、カガリについて彼女が知ることは少ない。
その昔、ロゼがレイと剣を交えている間に他の相手と戦っていた、レイのかつての仲間と言うことくらいの知識しかない。
「仲間か?」
「私にとっては仲間じゃない。けど……」
レイは、戦場から逃げた今でも仲間と思っているかもしれない。
向こうがどんな感情をいだいていてもおかしくないとしても。
「なんだかよく分からねえが、思うところがあるなら渡しとくぜ。そいつは好きにしろよ」
凌牙の言葉にロゼは大いに逡巡するも、結局受け取ることにした。
実力のほどは知っているし、もし自分と敵対するとしても一般人を見捨てるようなことはしないだろうから。
もっとも、このカードのカガリが自分と同じ世界のカガリである可能性はそれほど高くないだろうが。
「最後は俺達か」
トリを飾るのは遊戯。とは言っても話すことはそう多くない。
今までの会話で情報が出ている部分も多いので、話すことと言ったら遊星の仲間であるジャック、彼のライバルであるこの決闘には二人いる海馬瀬人。
後は――
「衛宮士郎と美遊って奴のことを教えてくれ」
「えっと……」
凌牙に促され、イリヤは話す。
まずは美遊について。
自身の友達で、自分と同じ魔法少女であること。
生まれた時から完全な聖杯で、願いを叶える能力がある代わりに行使すると魂が削れ、いずれ死に至ってしまうこと。
そしておそらくこの決闘に参加している衛宮士郎は彼女の兄であること。
妹を守るために世界を見捨て、ただ一人の為に戦う人間であること。
なのでおそらく、この殺し合いの商品である願いを叶えるというは美遊を行使して行うことであり、士郎はそれを防ぐために殺し合いに乗ったのではないか、と。
488
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:36:50 ID:aeZHeRXk0
「成程な。自分が優勝すりゃ他の奴らには絶対手を出せないってことかよ。
もしくはダチのイリヤに託すって選択肢もあるか」
イリヤの説明に納得する空也。
そこにルビーが補足を入れる。
『自分の事を最低の悪とか言っておきながら、自分の事は割とどうでもいいタイプなんですよね〜。
多分ヒーローの方が向いてますよ』
「どうだかな。本物なら大切な奴も世界も両方救うって叫ぶだろうぜ」
『確かにそれはそうでしょうけど、そういう人は稀ですよ。世に何人いるやら』
イリヤさんみたいに、と凌牙と話していたルビーは付け加える。
凌牙はそんな奴が二人もいたのかこの殺し合いは、と少々驚愕した。
別の世界とは言え、遊馬みたいな奴がいるという事実に。
「……ところで皆、放送で言ってた本来なら使えない力やアイテムを、死闘を経験し手に入れるってことあった?」
一方、これまでの話し合いの中で出なかった話で、類似する現象に遭遇していないことについてイリヤが思わず問う。
内容は彼女が経験した、バーサーカー(マグニ)のクラスカードの創造。
おそらく檀黎斗が放送で語ったもの。
しかしこの面々でそれを経験しているのはイリヤだけである。
とはいえ、同一かどうかは分からないが似たようなものを凌牙は知っている。
「よくわからねえが、シャイニングドローやバリアンズカオスドローみたいなもんか?」
「それは?」
「ああ、俺や遊馬はドローカードをデッキの好きなカードにしたり創造できるんだが」
『おおよそカードゲームで言っちゃいけないこと言ってません?』
「俺もデッキに入れていないカードをドローならしたことはあるが、流石に作り出したことはないぜ」
「それはそれで大概じゃねえか?」
「それに俺のバリアンズカオスドローもいざという時にしか使わねえし、今使えるかもわからねえよ」
「そういう問題ならじゃないような……」
「でも、創造って意味なら近いのかも……」
シャイニングドローについて各々言いたいことを言うなか、一人思いをはせるイリヤ。
そもそもこれが何か分からない以上、どうやっても推測しかできないのだ。
今はここでこの話は終いにして、次の話題に移ることにした。
「仮面ライダーを探すべきだぜ」
その口火を切ったのは遊戯だ。
ここまでで心意と同じく話題に出なかった、しかし殺し合いにおいては決して小さくない意味を持つであろう仮面ライダー。
それを探し見つけることは、きっと大きな意味を持つだろう。
『なら、さっき話したエボルトさんに会うべきでしょうね』
「うっ……」
「どうして?」
エボルトの名前を聞き思わず顔をしかめるチノと、純粋な疑問を浮かべるロゼ。
彼女の中では仮面ライダーとエボルトが結びつかないのだが、それも無理はない。
『遊戯さん達が来る前にエボルトさんがごく自然に仮面ライダーってワードを出してたんですよ。
だからおそらくあの人……もとい地球外生命体には馴染みのある物なんでしょうきっと』
「となると、名簿でエボルトの横にある名前の奴らが仮面ライダーってこと?」
『おそらく』
ルビーの言葉にロゼが返す。
桐生戦兎、万丈龍我、猿渡一海、氷室幻徳、このうち猿渡はさっき放送で呼ばれていたのでこれで三人。
「そういや、放送で一人だけ妙な呼ばれ方してる奴いたな。
確か、宝生永夢だったか」
「仮面ライダーを知ってそうな檀黎斗と何かしら因縁があるのかもな。
だったら、横にある花家大我も仮面ライダーに関わりがありそうだぜ」
空也と遊戯の会話で更に一人加わり四人。
更にさっきの会話で出てた駆紋戒斗を含めれば五人。
もしかしたらまだ仮面ライダーかその関係者もいるだろうが、現段階の情報で推測することはできない。
なのでここはこの五人を追加で探すことにして、次はこれを決めねばならない。
489
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:37:25 ID:aeZHeRXk0
「で、誰がそのエボルトとかいう改心する前のベクターみたいな奴に会いに行くんだ?
ちなみに俺は行ってもいいぜ。そういう奴にはまあまあ慣れてんだ」
凌牙が代表して口を出す。
四人なら全員で行くのだろうが、六人である。一塊で動くには少々重荷を感じる人数だ。
ならリスクはあるがここは二組で分かれるべきだろう。
「そのエボルトって奴はこっから西にあるオーエド町に行くんだろ。
元々俺は西に行くつもりだったんだよ。だったらそのついででエボルトに会ってもいいぜ」
「なら俺も行くぜ! 空也は遊星君と合流するつもりなら、俺もついて行かせてもらおうか」
こうして希望を出した男性陣が西、女性陣がそれ以外の場所に向かうことになる。
かと思いきや――
「なんかバランス悪くない……?」
『男女別なのはいい感じですけどねぇ』
この面子だと、女性陣の構成が剣士二人と後衛一人ということになる。
魔法少女のイリヤが万全ならそれでもいいだろうが、彼女はまだ疲労もダメージも残っている。
「そう考えるなら俺とイリヤが入れ替わった方がいいか」
『まあイリヤさんはともかく、エボルトさんと会おうと言った私がいないのもなんですしね』
「それだと私巻き添え!!」
こうして凌牙とイリヤが入れ替わり、最終的にエボルトと会いに行くのは遊戯、イリヤ、空也の三人。
イリヤと空也はそれぞれジャンヌと士郎がどこに行ったのか気にはなっているが、探すにしても当てがないので今は目的地をシンプルに目指す。
別の方向に行くのはロゼ、チノ、凌牙の三人となった。
決めるべきを決めた六人は各々移動するための準備を始める。
彼らは檀黎斗の打倒の決意を固め、迷いなく進もうとしていた。
唯一人を除いて。
『優勝者への褒美を、死をも覆す権利を、ゲームマスターにして神の私が約束しよう』
(死んだ人が生き返る……マヤさんもリゼさんも……)
チノだけは、蘇生の可能性に縋りつきかけていた。
放送だけなら信じなかった。
だがイリヤの話を聞いた時、現実味の帯びた話だと思えてしまった。
皮肉にもここまでの積み重ねが、チノのイリヤへの信頼が、彼女を蘇生の可能性に縋りたくさせていた。
しかしそれを誰が責められる。
決闘が始まった直後の遊星みたいに、願いを叶えるという言葉を現実のものと捉えながら、取り戻したいものがあるのに突っぱねられるのか。
あるいは、この決闘の参加者は誰も知らない別の世界の衛宮士郎みたく、過去を変えられるやもしれぬ聖杯を間近にして「死者は蘇らない。起きた事は戻せない。そんなおかしな望みなんて、持てない」と言えるのか。
そんなことを、つい六時間前まで日常を過ごしてきた少女に求めるのか。
結束の中に生まれた小さな綻び。
それはやがて大きな解れとなって結束を砕くのか。
はたまた綻びは気付かぬ間に直るのか。
今それを推察できるものは、神であろうと居やしない。
【D-3 エーデルフェルト邸/一日目/朝】
【武藤遊戯@遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ版)】
[状態]:疲労(中)、無力感、主催者への怒り
[装備]:千年パズル@遊戯王デュエルモンスターズ、ガーディアン・エアトス@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品一式、結束 UNITY@遊戯王OCG(3時間使用不可)
[思考]
基本:ハ・デスを倒し、殺し合いを止める
1:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)とチノ、凌牙の仲間を探す
2:仲間達との合流と、デッキも取り戻したい。
3:衛宮士郎は殺し合いに乗っているのか…?
4:ロゼはデュエルモンスターズが存在しない平行世界の人間なのかもしれない。
5:相棒の言うように、神(ゲームマスター)も完璧じゃない。そこに攻略法があるかもしれないぜ。
6:このカード…何で相棒や城之内くん達が描かれてるんだ?
[備考]
※参戦時期は最低でもドーマ編終了後。
490
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:37:56 ID:aeZHeRXk0
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中・治療促進により回復中)、悲しみと悔しさ
[装備]:マジカルルビー@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード『セイバー』@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ(2時間使用不可)、クラスカード『バーサーカー(マグニ)』@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ(2時間使用不可)、光の主霊石@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。元の世界に帰ってやることがある
1:司さんもあの子(ルナ)も、私は……。
2:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)とチノ、遊戯、凌牙の仲間を探す
3:美遊を必ず助けに行く。
4:エボルトを警戒。何がしたいの…?
5:シロウさん殺し合いに…?
6:ジャンヌを警戒。
[備考]
※参戦時期はドライ!!66話、6千年前に向かった直後
※心意システムによりバーサーカー(マグニ)のクラスカードを創造しました。
【蛇王院空也@大番長 -Big Bang Age-】
[状態]:胸に真一文字の傷(治療済み)、疲労(大)
[装備]:ティアドロップ@Caligula2、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(薄緑ほど使えないかつ回復系ではない)
[思考・状況]基本方針:普段どれだけキレても殺しはしないが、てめえらは別だ。
1:うちの傘下や同じ考えの奴がいるならなるべく優先する。
2:九時間後に指定されたエリアの一つに向かい、再度作戦会議。
3:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)とチノ、遊戯、凌牙の仲間を探す
4:明石、いい女なんだが残念だな。
5:ジャンヌとは必ず決着をつけてやる。
6:今はこいつら(イリヤ、遊戯)と一緒に動く。明石が無事だといいんだがな。
7:西へ向かい明石と合流する。エボルトについては俺もいたほうがいいか?
7:村雨を持った奴を警戒
[備考]
※参戦時期は扇奈ルート、狼牙に敗北後。
※異形の腕はそのままです。そのためゲーム上の攻撃で使ってる砲撃も可能です。
細い触手を切られてもダメージはありません。
※遊星、明石と情報交換しました。
【閃刀姫-ロゼ@遊戯王OCG】
[状態]:疲労(大)、左肩に斬傷(治癒済み)、悲しみ
[装備]:閃刀姫-ロゼの剣@遊戯王OCG、
[道具]:基本支給品×2、涼邑零の魔戒剣@牙狼-GARO-、チームみかづき荘のロケット@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)
モウヤンのカレー@遊戯王OCG(2時間発動不可)、閃刀姫-カガリ(現在召喚不可能)@遊戯王OCG、、ランダム支給品×0〜2(零の分含む。)
[思考・状況]
基本方針:檀黎斗やハ・デスを斬り、大切な人(レイ)の待つ平和な日常に帰る
1:零……司……。
2:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)とチノ、遊戯、凌牙の仲間を探す
3:レイを見つけて守る。
4:私やレイがカードに?どういうこと? それに彼女(カガリ)ってレイの……
[備考]
※遊戯王カードについての知識はありません。
※どの方角に向かったかは次の書き手氏にお任せします
【香風智乃@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(小)、悲しみと決意……?
[装備]: チノ(せんし)の剣@きららファンタジア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1、ご隠居の猛毒薬@遊戯王OCG(6時間発動不可)
[思考・状況]
基本方針:ハ・デスや檀黎斗達を倒して平和な日常に――ココアさんのいる場所に帰りたいです
1:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)と遊戯さん、凌牙さんの友人を探したいです
2:ロゼさんや凌牙さんに協力します。
3:ココアさんやみんなを探したいです
4:ティッピーはここにはいないんでしょうか……?
5:マヤさん……リゼさん……
6:平行世界のココアさん…私の知ってるココアさんとは違うんですか?
7:エボルトを警戒。何なんですかこの人……。
8:本当に死んだ人が生き返るとしたら……?
[備考]
※どの方角に向かったかは次の書き手氏にお任せします
491
:
メインフェイズ
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:38:13 ID:aeZHeRXk0
【神代凌牙@遊☆戯☆王ZEXAL】
[状態]:動揺、怒り
[装備]:デュエルディスクとデッキ(神代凌牙)@遊☆戯☆王ZEXAL
[道具]:基本支給品×2(自分、遊馬)、
[思考・状況]基本方針:遊馬の導いた希望の未来のために主催者を倒す
1:カイトは協力を頼んでおく。ベクターは……会ってから判断
2:不動遊星、仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)と遊戯、チノの友人を探す。
3:魔法を破壊出来る上にあの攻撃力……あの女(ジャンヌ)厄介だな。
4:こいつ(蛇王院)の怪我はもう大丈夫か
5:遊馬を殺した奴は気になるが、復讐心にはかられるな
6:村雨を持った奴を警戒
[備考]
※参戦時期は最終回後。
※どの方角に向かったかは次の書き手氏にお任せします
【ハイポーション@ソードアート・オンライン】
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに支給。
主街区の店で売っているポピュラーな回復アイテム。効果はかなり高い。
本ロワでも飲むと回復するアイテムだが、効果は多少制限されている。
【プレミアムクランチ@Caligula2】
涼邑零に支給。
ちょっと贅沢な大人のためのクランチチョコ。香ばしいアーモンドと奥深いビターな味わいが高級感を演出する。
ひと口噛むと心地よい食感と共に本格的な香りが口いっぱいに広がる。(アイテム詳細より)
使用するとHPが1500回復するアイテム。
本ロワでも食べると回復するアイテム。
【ご隠居の猛毒薬@遊戯王OCG】
香風智乃に支給。
①:以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分は1200LP回復する。
●相手に800ダメージを与える。
(遊戯王デュエルモンスターズOCG カードデータベースより引用)
本ロワでは発動するとイラストに描かれたご隠居が出現し、上記の効果を持つ薬のどちらか選択した方を渡してくれる。
薬は飲むことで効果を発揮する。
片方を渡すと姿を消すのでもう片方も欲しいならもう一回発動しよう。
なお、ダメージを与える薬も飲ませないと効果を発揮しないので、攻撃したいときは飲ませ方を各自で考えよう。
このカードは一度発動させるとどちらの薬を選んでも六時間使用不可となる。
【モウヤンのカレー@遊戯王OCG】
閃刀姫-ロゼに支給。
ライフポイントを200ポイント回復する。
(遊戯王デュエルモンスターズOCG カードデータベースより引用)
このカードはライフ回復カードだが、使用した際自身か相手のライフかを選ぶことができる。
本ロワでは発動すると自分と自分以外の選択した参加者を回復させることができる。どちらか片方だけでも可能。
ただし回復効果を自分または相手に重複させることは不可。
一度発動させると二時間使用不可となる。
492
:
◆7PJBZrstcc
:2025/03/29(土) 13:38:28 ID:aeZHeRXk0
投下終了です
493
:
◆QUsdteUiKY
:2025/04/04(金) 10:08:10 ID:cMBXxcTE0
キリト、空、尊、ユキで予約します
494
:
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:01:05 ID:5/YixKfI0
投下します
495
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:02:57 ID:5/YixKfI0
何気ない日々 交わした言葉
その裏側など探ることもなく
心の奥の絆を信じて、誰もが幸せを願い続けていた――
○
尊徳とユキは、しばらくコントみたいなやりとりをした。
それを俺――桐ヶ谷和人と空は見守る。
デスゲームのクリアは急ぎたいけど、仲間が全員呼ばれたユキのメンタルも不安だ。それに尊徳も影山っていうこのデスゲームで知り合った相手を殺されて、後を託されてる。表向きは仲良くコントしてるけど、正直に言うと心配だ。
空もそこら辺は察してるらしくて、二人のやり取りに口出しせずカードゲームのルールを再確認していた。
「その麗華って人は本当にボクより美しいの?このボクより♪」
「当たり前だ。麗華様ほど可憐で美しい方はなかなかいない」
こんな感じに、仲良くやり取りしてる二人を見ていると少し微笑ましい。
これがデスゲームっていうのを忘れそうなくらい――
『御機嫌ようプレイヤー諸君。まずはおめでとうと言わせてもらおう』
――その声が聞こえた瞬間、俺は気を引き締めた。これは間違いなくデスゲームだって――現実に戻されたみたいだ。
まるで死者を冒涜するような言い方に、怒りが湧く。こいつはヒースクリフ――茅場よりも最悪な性格のゲームマスターだ。
「何様だ、こいつは……!」
尊徳が怒りの声をあげる。
影山を理不尽に殺されて、こんなふうに煽られたんだ。誰だって怒りたくなるだろう。
ユキは、悔しそうな表情で顔を俯かせていた。アユミと影山のことを思い出したんだろうな……。
そして空は嫌悪感を出しながらも、冷静を保つ。俺もあくまで冷静に放送を聞いていた。
この放送は貴重な情報源だ。聞き逃すわけにはいかない。
496
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:06:08 ID:5/YixKfI0
『ニノン・ジュベール』
「……え?」
ユキは不意を突かれたように……そう口にした。
「嘘、だよね……?」
ニノン。ユキが言ってた仲間の一人だ。
そんな存在が、俺達の――ユキすらも知らないうちに死んだ。
「ニノンさんが死ぬわけないよね?」
信じられない――とばかりに周囲を見渡すユキ。
きっとユキは、パニック状態に陥ってる可能性がある。だから「生きてるかもしれない」なんて優しい嘘をつく奴がいても、俺は批判出来ない。
でもデスゲームを生き抜いた俺だからわかる。デスゲームで、人の命は簡単に失われることを。取り戻せないことを。そして――きっとこのゲームマスターが嘘をついてないことを。
だから俺は、残酷な真実をユキに突き付けなきゃいけない。
「いや……たぶん本当にニノンは死んだよ」
「どうして?ニノンさんが死んだ証拠はあるの?」
「それはないけど……あのゲームマスターは嘘をつかない気がするんだ」
「そんなの、キリトくんの勝手な思い込みじゃ――」
「いや、キリトの言うことが正しいだろうな」
「ソラくんまでそんなこと言うの!?証拠は!?」
「……放送で死んでもない奴の名前をあげても、そいつやそいつの同行者にはすぐ嘘ってバレる。そんな嘘をつくような奴に思うか?」
「……空の言う通りだ。ユキ、キミが信じたくない気持ちはわかるけど――ニノンは死んだんだよ」
「そんな……。ニノンさんは強いよ?タカノリくんなら嘘って信じてくれるよね?」
「――――ッ!」
尊徳は悔しそうに歯噛みして、苦虫を噛み潰したような表情をした。……きっと、尊徳も察してるんだろうな。
497
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:07:46 ID:5/YixKfI0
「……ユキ。よく聞いてくれ。キリトや空が言う通り、ニノンは死んだ可能性が高い」
「――! そ、んな――」
ユキの瞳から、涙がどんどんと溢れ出る。今まで嘘だと思い込んで我慢してたのが、解放されたみたいに。
でも俺はそんなユキに、なんて言葉を掛ければいいのかわからない。……まだ知り合ったばかりだし、デスゲームで大切な人を失う辛さを知ってるからこそ、安易に優しい言葉を掛ける気にならなかった。
流石の空もカードゲームのルールを確認する作業を一度やめてユキの方を見るけど……何も口は開かなかった。
「ユキ、しっかりしろ!」
涙を流しながら崩れ落ちるユキに声を掛けたのは、尊徳だった。
「お前は麗華様ほどじゃないが、美しいんだろう。そんな体勢をしていたら自慢の美貌が汚れるぞ」
「タカノリくんは、優しいね……♪
たしかにこんなボクは可愛くないかもしれない……。でも……今だけは、美しくないボクを許してくれないかな……」
「……やれやれ。仕方ないな」
そして尊徳の胸でたくさん泣きじゃくるユキを――俺と空は黙って見ていることしか出来なかった。
作戦会議とか、情報整理とか。そういうことも今はする気になれなかった。
デスゲームは無情に命を奪っていく。俺達の事情なんて知ったことかってくらい、次々と命が刈られていく。
498
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:08:48 ID:5/YixKfI0
「最初はみんなバラバラだったけど……ボクはヴァイスフリューゲルを気に入ってたんだ。まずモニカさんがボクとクウカさんとニノンさんを勧誘して、それからニノンさんがアユミを誘って――ねぇ、どうしてこんなことになっちゃったのかな?」
「そうか……。全てはあの悪趣味な自称神のせいだろうな。そしてニノンを見つけられなかった僕の責任でもあるかもしれない」
――――ッ!
悔しい。
もしもニノンと合流出来たら――まだ死なずに済んだかもしれないのに。
それかレッドプレイヤーを減らせば、犠牲は減るのに。
俺はこの6時間、何をしてたんだ……!
自分の不甲斐なさに思わず怒りが湧いてくる。
同時にアスナ達がまたソードアート・オンラインみたいな危険なデスゲームに巻き込まれなかったことに少し安心して、その考えに虫酸が走る。
目の前に仲間を失った娘がいるのに、俺はなんてことを考えてるんだ……!
これじゃもうアスナに――みんなに合わせる顔がない。ごめんな、ユージオ。やっぱり俺は、英雄なんかじゃないんだ……。泣いてる娘一人、救えやしない。
「……ねぇ、タカノリくん」
「……ん?なんだ?」
「さっきの放送で、優勝者には死をも覆す権利を与えるって言ってたけど……それって死んだ人達を生き返らせることも出来ると思う?」
「貴様……まさかそんな内容を真に受けたのか?こんな悪趣味な殺し合いを開いたことの言うことだぞ?」
「でもキリトくんやソラくんやタカノリくんは、ニノンさんが死んだ可能性が高いって言ってたよね。放送で嘘をつくはずがないって……」
「それはそうだが……それとこれは別だろう!?」
「タカノリくん。もし本当に死んだ人を生き返らせれるなら……アユミも、ニノンさんも、カゲヤマさんも……みんな生き返るのかな?」
「そんなわけないだろう!死んでしまった相手は……もうどうにも出来ないんだ」
尊徳は現実を受け止めて、ユキを説得する。
「そうだ。死んだ人はもう帰ってこない……」
サチ、ユウキ、ユージオ――
今まで何人も失ってきた。
でもみんなは絶対に生き返らない。そんな都合のいい話、あるわけないんだ。
だから俺は尊徳の言葉に同調した。ユキを少しでも落ち着かせるために……。
「でもボク達、いつの間にかこんな場所に連れてこられてたし……こんな大規模な殺し合いを開ける技術があるなら、もしかしたらみんなを本当に生き返らせることも出来ないかもしれないよ」
「だが……!」
499
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:11:48 ID:5/YixKfI0
「ねぇ、タカノリくん」
「……なんだ?」
「もしボクが優勝を目指すって言ったら、共犯者になってくれるかい?」
「ふざけるな!誰がなるものか!目を覚ませ、ユキ!」
尊徳が怒号と一緒に、ユキの頬を叩いた。
ユキから出てきたのは、最悪の言葉だった。
尊徳はそれを真っ向から否定したけど……万が一に備えて俺は臨戦態勢に入る。空もいつでもカードがドロー出来るようにデッキに手を添えていた。
「……やっぱりそうだよね。じゃあボクが優勝を目指したら、どうする?」
「今、ここで止める。俺に後を託した影山のためにもな」
「殺さないと止まらないかもしれないよ♪」
「殺さなくても止められる方法を探すだけだ」
「エリートだから?」
「わかってるじゃないか。……それに貴様が誰かを殺すのも気に食わん」
「……なるほど。タカノリくんって意外と優しくて仲間思いなんだね」
「ふん。誰が仲間だ、ナルシストが」
500
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:12:47 ID:5/YixKfI0
「ボクに対して口は悪いけど、実はなんだかんだ優しいよね。……そんなタカノリくんだから、殺しづらくなっちゃう……。後で生き返らせるにしてもだよ。それにモニカさんやクウカさんを殺すのも嫌だしさ」
「麗華様や彩お嬢様ならともかく、貴様のようなナルシストに優しくする気はないぞ」
ひとまず険しい空気が落ち着いて、ユキと尊徳の表情が多少は穏やかになる。
「ユキ。僕達は託された身だ。自暴自棄になるより、やるべきことがあるだろう」
「そうだね……。アユミやニノンさんやカゲヤマさんが死んだのは悲しいけど……そうだよね」
「……俺の言いたかったことを言ってくれてありがとう、尊徳。そしてユキも……苦しい中、納得してくれてありがとう。俺も色々と仲間が死んだことがあるけど……残されたやつに出来ることは、そいつらの意志を継ぐことだけなんだ」
――そうだろ、ユージオ。
「うん。だからボクはアユミと、ニノンさんと、カゲヤマさんの意志を継ぐよ。キリトくん、ソラくん、そしてタカノリくん――これからもよろしくね♪」
「よく立ち直ったな、ユキ。とりあえずふんぞり返ってる神を一泡吹かせてやろうぜ。人類をナメるんじゃねぇってな」
空は不敵な笑みを浮かべる。本当に頼りになる相棒だな、こいつは。
「……そういえばリリスが終始無言だけど、どうしたんだ?」
リリスが急に黙り込んでいたことが不自然で、思わず疑問が出る。
「たぶん、放送と同時にキバットと同じで口封じされたんだろうな。1回目の放送まで喋れたのは、神を自称するような奴のことだからあえて野放しにしてたんだろ。そしてある程度実力者が絞られた放送後からは口封じ――って可能性があるな」
空の言葉にリリスの依り代――ごせん像が頷いた。どうやら本当に喋れないらしい
○
「黎斗様……どうしてリリスを口封じしたのですか?」
ハデスが、檀黎斗に尋ねる
その質問に対して檀黎斗は大袈裟な動作で声を張り上げた
「第一回放送までリリスが話せたのは神の恵みだァ!
だがあまりプレイヤー以外がいつまでもペラペラと情報を話すのはフェアじゃない。あくまでゲームの主役はプレイヤーだ。まあ第一回放送までの情報源を元に、色々と考えるがいい!」
「なるほど……。ゲームの主役がプレイヤーというのは、一理ありますね」
501
:
fortissimo-the WeiβFlügel crisis- side:YUKI
◆QUsdteUiKY
:2025/04/05(土) 02:13:57 ID:5/YixKfI0
○
「ユキ。もしまた何か気の迷いが起こったら貴様は必ず止める」
「わかってるから大丈夫だよ、タカノリくん♪ボクはもう迷わないから――死んでいったみんなの分までがんばるよ♪」
「それでいい。貴様はナルシストだが、そうして前を向く姿は麗華様や彩お嬢様ほどじゃないが――」
「なになに?」
「……なんでもない。このナルシストを一瞬でも見直した僕がバカだった」
「素直にボクの美しさを認めたらいいのに♪」
「ユキ、貴様は美しいというよりナルシスト成分が強すぎる」
「美しや可愛さ成分は?♪」
「僕が知るか」
「ほんとはボクの可愛さに魅了されたんでしょ?恥ずかしがらなくていいよ。可愛いものに惹かれるのは当然のことなんだから!」
「……その自信はどこから湧いてくるんだ」
相変わらず軽口を叩き合う尊徳とユキ。
なんだかんだ、この二人は相性が良いのかもしれない。正直、ユキを踏みとどませてくれたのも尊徳のおかげだからな。
「タカノリくん。これからも美しいボクを間近で見て、もっと目に焼き付けてほしいな!」
「本当にナルシストだな、貴様は。だが僕も影山から託された身だ。守ってやるくらいはしてやろう」
ニッコリと微笑むユキに対して、尊徳の口角は少し上がっていた。
尊徳が、ユキの心を救ってくれたんだ……。
俺もパーティーメンバーを守れるように、がんばらなきゃな。
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