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アニロワ・イミテーション
1
:
◆CJzta4FZvU
:2024/01/01(月) 13:56:07 ID:JCEK/AQ20
6/6【鬼滅の刃】
○竈門炭治郎/○冨岡義勇/○煉獄杏寿郎/○鬼舞辻無惨/○猗窩座/○妓夫太郎
6/6【呪術廻戦】
○虎杖悠仁/○脹相/○真人/○五条悟/○夏油傑/○伏黒甚爾
5/5【推しの子】
○星野アイ/○星野愛久愛海/○星野瑠美衣/○有馬かな/○黒川あかね
5/5【機動戦士ガンダム 水星の魔女】
○スレッタ・マーキュリー/○ミオリネ・レンブラン/○グエル・ジェターク/○シャディク・ゼネリ/○エラン・ケレス
5/5【葬送のフリーレン】
○フリーレン/○フェルン/○シュタルク/○アウラ/○クヴァール
5/5【チェンソーマン】
○デンジ/○マキマ/○早川アキ/○パワー/○サムライソード
4/4【ダークギャザリング】
○寶月夜宵/○幻燈河螢多朗/○寶月詠子/○神様霊
4/4【Fate/Grand Order 絶対魔獣戦線バビロニア】
○藤丸立香/○マシュ・キリエライト/○ギルガメッシュ/○キングゥ
4/4【未来日記】
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨流みねね/○秋瀬或
3/3【SPY×FAMILY】
○アーニャ・フォージャー/○ロイド・フォージャー/○ヨル・フォージャー
3/3【ヒーリングっど♪プリキュア】
○花寺のどか/○沢泉ちゆ/○ダルイゼン
3/3【結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章-】
○鷲尾須美/○乃木園子/○三ノ輪銀
2/2【恋する小惑星】
○木ノ幡みら/○真中あお
55/55
【wiki】ttps://w.atwiki.jp/aaccaaaacccc/
36
:
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:09:13 ID:VAKrcv3.0
投下します
37
:
U R MY SPECIAL
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:13:02 ID:VAKrcv3.0
───領域展開『伏魔御廚子』───
旅路【Grand Order】は終わった。
一言で言って。
藤丸立香は、運に見放された。
そもそもが、奇跡のような旅路だったのだ。
魔術王ゲーティアの陰謀から一人、人類最後のマスターとして生き残り。
神話に歴史に名高い英雄たちを従え、六つの特異点と呼ばれる戦場を駆け抜けた。
そして、いよいよ最後の特異点。
神代に赴かんとカルデアのマイルームから出ようとした所で、この殺し合いに招聘された。
その首に、爆弾を付けられて。
だが、それだけなら同じくこの地に招かれた蟲毒の贄達と同じ境遇と言えるだろう。
彼が、輪をかけて運が無かったのは────
「伏黒恵と似た術式か……術式自体は更に高度な物だったが、肝心の術者が弱すぎたな」
そこで初めて出会った者が、虎杖悠二だった事だろう。
いや、本来の虎杖悠二であれば、きっと藤丸と同じくこの殺し合いを良しとせず。
サーヴァントに変わる、彼の頼もしい仲間となった事だろう。
だが、今の虎杖悠二は虎杖悠二ではなかった。
彼の中に宿る両面宿儺と、藤丸は出会ってしまったのだった。
「まぁ……今の状態を確かめる試金石位にはなった、光栄に思え」
宿儺にとっても、今の状態は想定外の事だった。
渋谷事変で漏瑚という特級呪霊に指を多量に飲まされ。
表層に浮かび上がったと思ったら、こんな蟲毒に巻き込まれていた。
故に彼は自身の状態を確かめるために藤丸に襲い掛かり───いや、これは建前か。
38
:
U R MY SPECIAL
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:13:24 ID:VAKrcv3.0
宿儺が藤丸を襲った理由は特にない。
ただ虎杖悠二が再び肉体の主導権を奪い取る前に、折角だし殺しておくか。
その程度の感覚で、凶行に及んだ。
「……にたくない」
足元で、胴から下を失った青年が、その命を失う前にぼそりと呟いた。
ただの人間の術師が半身を失ってまだ息があるのは、着ている衣服…非常に高位の呪物の恩恵か。
思えば、ちぐはぐな印象を抱く下奴だった。
来ている衣服や、伏黒恵の術式にも似た非常に高位の式神を扱っていたにも拘らず。
肉体面では、基礎的な呪力強化もできていない貧弱さだった。
簡易領域などの領域対策も見られなかった。
変わり身の呪いを多用していた事からまるっきり素人という訳ではなさそうだが、
時間制限がある中でこれ以上時間を掛けるのは面倒だと思い発動した領域の必中効果の前には無力だった。
「一体何だったんだ、お前」
地を這う地蟲を眺める表情で一度そう尋ねたが、返事は帰ってこない。
「帰るんだ……カル、デアに……!元の………日本に………!」
ずるずると、内臓の殆どを失った体で青年は生き足掻こうとする。
奇跡は起こらない。
逸れのサーヴァントが都合よく現れたりしないし、
人類悪がその身を捧げて時間を撒き戻したりはしない。
普通の人間が、人間を遥かに超えた悪意に直面し、当たり前に死ぬ。
星の導きから見放された普通の一般人が、戦場で迎える結末などそんなものだ。
39
:
U R MY SPECIAL
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:13:51 ID:VAKrcv3.0
「ドク、ター……ダヴィ……ンチ……ちゃ……マシュ……!」
思い浮かべるのは、盾の少女。
自分の事を先輩と呼ぶ彼女を置いて逝けるはずがない。
だから、もう死ぬのが分かった状態でも、藤丸は必死に生きようとしていた。
だって、まだ自分は何もできていない。
倒れるに足る、理由を得ていないのだから。
だから、だから。
「死ねない……!俺は………!」
だから────
「もう死んでいいぞ」
まぁ、そんな事は。
呪いの王にとっては、どこまでもどうでも良い話なのだった。
欠伸を一つ浮かべた後。
グシャッと、肉が裂ける調べが響いて。
人理の希望だった青年は、三枚に卸された。
バタバタと、さっきまで藤丸立香だったものが辺り一面に転がる。
【藤丸立香@Fate/Grand Order 絶対魔獣戦線バビロニア 死亡】
40
:
U R MY SPECIAL
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:14:38 ID:VAKrcv3.0
天上天下唯我独尊。
己の快不快のみが生きる指針の宿儺にとって、至極どうでも良かった。
今しがた殺した青年が彼の世界においてどれだけ重要な役目を担っていたかなど。
どれだけ、多くの苦難や冒険を繰り広げて、多くの想いを繋いできたかなど。
例え宿儺以上の強敵と藤丸が戦う運命にあったとしても、そんな事は宿儺にとっては知り様が無かった。
だから宿儺にとって藤丸立香と言う人間は、妙なところのあった下奴という評価に終わる。
彼と言う人理の希望を失った世界がどうなるかも、知った事では無かった。
盾の少女の慟哭も、賢王がそれを受けてどう動くかも。
呪いの王にとっては、至極どうでもいい話なのだった。
「さて……肉体の主導権を奪われるまであと数分と言った所か」
それまでに、まだあと一度くらいは殺せるだろう。
自分に首輪を嵌めた加茂憲倫──羂索に従うのは不服だが、顔見知りのよしみだ。
裏梅が世話になっていた義理も少しはある。
ならば肉体の主導権が奪い返される間この蟲毒を盛り上げてやるのもまた一興と言う物だろう。
「五条悟に、伏黒甚爾………」
名簿にあった、興味を引く名前は二つ。
自分がいない時代に生まれたために最強を気取った凡夫と、伏黒恵の類縁者と見られる者。
できることなら、次に会うのはこの者達であればいいな。
そう考えながら、宿儺は跳んだ。
その脳裏に、今しがた自分が殺した者の事は、もう欠片ほども気にしてはいなかった。
「ケヒッ!ケヒッ!ケヒヒッ!!」
……いや。
彼から一刻も早く肉体の主導権を取り戻さんと奮闘している少年への。
その嘲笑の材料としては、強く認識していた。
「精々噛み締めろ、小僧」
未来で藤丸立香が対峙するはずだった、名だたる人類悪。
彼らであっても遂に殺害できなかった偉業を成し遂げたのは、ありふれた”呪い”だった。
しかしそれすら認識する事も無く、呪いは、世界は廻っていく。
呪いの王は次なる戦場を求めて、夜を駆ける。
41
:
U R MY SPECIAL
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:15:09 ID:VAKrcv3.0
【1日目/C-5/未明】
【虎杖悠二@呪術廻戦】
【状態】健康、宿儺状態(あと数分で解除)。
【装備】なし。
【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品1〜3
【思考・行動】
1:肉体の主導権を奪われる前に殺せるだけ殺しまわる。精々噛み締めろ小僧。
2:───宿儺ァアアアアアアアアアアアアア!!!!
【備考】
※渋谷事変編にて、漏瑚戦直後から参戦しています。
※一時的に肉体の主導権を宿儺が奪取しています。あと数分で虎杖に肉体の主導権は戻ります。
藤丸立香の遺体と支給品がC-5に放置されています。
42
:
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:15:34 ID:VAKrcv3.0
投下終了です
43
:
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 19:18:19 ID:VAKrcv3.0
すみません、虎杖の名前が変換ミスで誤った物になっているためwiki収録の折に修正しておきます
44
:
名無しさん
:2024/01/02(火) 21:25:50 ID:c5EwrYWs0
投下乙…ですが気になることがあります
五条、真人の領域展開が禁止とルールにあるのなら、今回の話の宿儺の領域展開も禁止にすべきなのではないでしょうか
45
:
◆rKyvz0.kjo
:2024/01/02(火) 21:32:08 ID:VAKrcv3.0
>>44
指摘ありがとうございます。
制限に宿儺の記載が無かった事と、宿儺の出現条件の制約から問題ないかと思いましたが
◆CJzta4FZvU氏が修正を求めるのであれば領域発動の下りは修正する所存です
46
:
◆vV5.jnbCYw
:2024/01/02(火) 21:32:22 ID:PzSAaxoA0
新企画設立お疲れ様です。そして投下お疲れ様です。
主催者羂索かあ。呪術死滅回游の途中までしか読んでないが、一体何を目的とするか気になりますね。
未来日記はこないだのセールで初めて読んだ人間ですが、No.12を久々に見て、ああこんな奴おったなあって気分になりました
>儀式の始まり
のっけから超次元バトル始まっとるな!!
私はロワは戦ってなんぼだと思ってるので、いいスタートだと思いました。
フリーレンと五条の強キャラでありながらの軽口のたたき合い、好きです。
その2人相手に生き残ったキングゥも強い。
>色彩
うーん、アウラ、部下はおらんし天敵はおるしとんでもないのとエンカするし、ろくな未来が見えんぞ?
この世界ではマキマは一体何をしでかすのか気になる。
難しいキャラですが、続きが気になるので是非進めていって欲しいですね。
>優生
何なんだよ!どうなってんだよこれはよ!!
実は推しの子はかなと映画に出た所までしか見てないし、もう片方の作品は名前さえ知りませんでしたが、
ジョジョとか東京グールあたりにありそうなバイオレンスシーンで滅茶苦茶たまげました。
アウラ以上に最悪なスタートを切ったあおはどうなるんでしょうね。
>U R MY SPECIAL
あーアカン。これ、虎杖くんのメンタルがぐっちゃぐちゃになるまであと数分や。
だがまこーらでさえ食らったらヤバイ伏魔御逗子を食らって、僅かだけでも生きており、諦めなかった藤丸は、
ずっと冒険して来た勇ましさを感じさせましたね。
知っている作品や詳しい作品が少ないため、私は書き手として参加出来そうにないですが、続き応援してます。
面白かったので頑張ってください。
47
:
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/03(水) 01:03:35 ID:fcuVXvTs0
新ロワ開始おめでとうございます。また、皆さま投下お疲れ様です。
夏油傑、ダルイゼン、木ノ幡みらで予約します。
48
:
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:14:39 ID:Xg61tbMQ0
優生
悲愴な覚悟を胸に戦うことを決めたあお、しかしあまりにも早計すぎましたね。
あかねの容赦のなさが恐ろしいと共にとことんまで汚されたあおが悲惨すぎる。
ここからどう巻き返すのかそもそも巻き返せるのか。
U R MY SPECIAL
立香の一話死亡、FGO世界に与える影響が大きすぎて恐ろしい……。
開幕から宿儺状態の虎杖と出会ってしまったことといい運が悪いとしか言いようがありません。
虎杖は自分の預かり知らない場所で最悪の罪を背負ってしまった形ですね。
お二方とも投下ありがとうございました。
宿儺に関しましては、制限の方こちらの次の予約で調整したいと思います。
また
>>46
の方も感想ありがとうございました。とても励みになります。
ただ、大変失礼ですが書き手以外のトリップを付けての感想はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。
投下します。
49
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:16:25 ID:Xg61tbMQ0
〝それ〟は、彼にとって初めて知る感情だった。
生まれ落ちたその瞬間から人間の醜さを誰より理解し、それに親しむように生きてきた。
あるがままに殺し、奪った命の感触をもって生を実感しながら人間らしく誰かを嘲笑う。
そうして生きる以外の道を知らないから仕方なかったという話では片付けることの出来ない圧倒的な悪性を彼は生まれながらに宿していた。
彼がその感情に逆らった試しは一度としてない。
常に享楽のままに振る舞い、成功と失敗を屍という形で積み上げながら成長していく悪なる魂。
故に彼という存在に救済の余地は皆無。よって当然のように、その末路は因果応報の中へと転がり落ちた。
他者に悪意をぶつけるあらゆる行為が正当化されるのは自分が優位に立っている状況でのみだ。
必死にあがく格下どもを見下しながら虐め、弄び、嬲る。
もしもそれらの伸ばした手が、藁ではなく自身の足を掴んで転かすことに成功したのならば―――その後で待つのは所業に合った地獄である。
彼はそれを思い知らされた。恐怖し、涙すら流して無様に這い蹲り、そして誰に顧みられることもなく一人で地獄に堕ちた。
悪なる魂の物語はそこで終い。暴虐に満ちた生涯は過去のものとして消え逝き、もうその手が誰かに触れる機会は永劫に訪れない。
その筈だった。しかしもしも、その醜い生涯に先と呼べるものが存在するのなら。
絶望という大きな挫折を知った王の器は、果たして如何なる姿を描きあげるのだろうか。
呪いの時代を統べる役割を任ぜられた、誰よりも人間に近い呪いは、何を―――
▼▼▼
星野ルビーは冷静ではなかった。
いや、冷静ではいられなかったと言う方が正しいだろう。
B小町としてのライブを明日に控えているというのに突然拉致され、殺し合いをしろなどと言い渡されたのだから無理もない。
この儀式がどう転がったとしてもライブは中止だろうし、事が事だから当分活動をすることすら難しいかもしれない。
ようやくグループを結成して漕ぎ出せたところだというのに、本当に余計なことをしてくれたものだ。考えれば考えるほど腸が煮えくり返った。
そしてルビーを何より怒らせたのは、加茂憲倫と名乗った儀式の主催者がルビー達兄妹にとっての地雷を無遠慮に踏み抜いていったことだ。
名簿に刻まれたそこにある筈のない名前。
母であり、推しであり、もう二度と会うことの出来ないあの人の名前。
気付けばルビーは怒りのままに叫んでいた。その怒号が彼女の怒りを沈めてくれる他者を引き寄せたことは思わぬ収穫だったと言えるか。
「へえ……じゃあ、この星野アイって人はもう死んでるんだ」
「うん、絶対死んでる。それももう十年以上前に」
顔面にツギハギ状の傷がある男だった。
一見するとぎょっとするが、顔立ち自体は整っていて物腰も柔和。
彼女自身元々明るい性格というのもあって、ルビーが心を許すまでに時間はかからなかった。
お互いの名前を名乗り合ったところで、すわこの時を待っていたとばかりにルビーは自分の抱える一番の鬱憤を吐き出し始めた。
一番星の生まれ変わりと持て囃され、一世を風靡したかつてのトップアイドル。
ファンに刺されて命を落とした、ルビーとその兄アクアの実の母親。
星野アイ。その名前をこの悪趣味な儀式の中で出されたことは、長い時間をかけて癒した心の傷に唾を吐かれたように不快なそれだった。
「ママの名前を書いて私やお兄ちゃんをやる気にさせようとしてるのかもしれないですけど、本当にやり口最悪すぎ。
大体私達のこと馬鹿か何かだと思ってんのかって……死んだ人間が生き返るなんてあるわけないでしょ、今日びそんなの子供でも分かるっての」
50
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:16:55 ID:Xg61tbMQ0
生まれ変わりならまだしも……と付け足した言葉は、彼女が言う場合に限っては冗談ではない。
それは星野ルビーの秘密そのものだ。
彼女はその昔、末期がんに冒された少女だった。
アイドル・星野アイを生きる支えにしながら、しかし薬石効なく命を落とした娘。
神が彼女の生涯を儚んだのか、少女はアイの実娘へと転生を遂げる。
正確にはルビーだけでなくその兄もまた〝そう〟であるのだったが、ルビーがそれを知るのはまだ先の話だ。
幸福に満ちた来世はある日突然、アイの死という形で終わりを告げた。
【推しの子】として生まれた人生は予期せぬ形でジャンルを変え。
そして今、回りまわってルビーはこんなことになっている。
天国のアイも少しくらい守ってくれればいいのに! とルビーは心の中で嘆いていた。
そんな彼女の話を興味深そうに聞いていたツギハギ顔の青年は、なるほどねえと口を開く。
「でもそれはどうだろうね。もしかしたら、そういうこともあるのかもよ」
「えー、真人さんって意外とそういうスピリチュアルな話信じる系なんですか? ないない、あり得ないですって」
「げ……加茂の話を覚えているかい?」
「…………願いを叶えるなんとかってアイテムを賞品に出すよー、みたいな話?」
「そうそうそれそれ。もしも加茂が本当にそんなとんでもない力なり道具なりを持ってるんだったら、案外蘇りくらいはカジュアルに叶えられる願い事なのかもなって思うんだ」
げ? と首を傾げるルビーだったが、彼女の疑問には答えることなく真人と呼ばれた青年は続けた。
「死んだ人間の魂を何らかの形で現世に留められれば、後は肉体の再現をした上で魂を入れて受肉させればいい。
俺は専門家じゃないけど、そういうやり方なら死者の擬似的な蘇生ってのは不可能じゃないと俺は思うよ」
「え、ええっと……」
「とはいえ此処までのことをやれる奴なんだ。多分実際は俺みたいな素人が想像してるよりずっとカッ飛んだ手段を使ってそうだけど」
「……な、何かの漫画の話ですか? あはは、ルビーちゃんちょっとチェックしてなかったなー」
此処に来て安心に包まれていたルビーの心に不安の影が差す。
これまでの好青年然とした言動とは打って変わって、今の真人は怪しげな単語をさも一般常識のように撒き散らしている。
駅前で気のよさそうなおばさんに話しかけられたので対応してみたら、目が回るような胡散臭い宗教の説教をされた時のことを思い出した。
ママの話は振らない方がよかったのかもしれない。もしかして私、地雷踏んだ?
あからさまに引き気味の愛想笑いになっていることに気が付いたのか、真人は詫びるように笑ってみせた。
「ごめんごめん、別に講釈垂れようってわけじゃないんだ。いきなりこんな話されてもちんぷんかんぷんだよな」
「そうですね、まあ……」
「これは思考の整理さ。俺もこれで結構混乱してるんだ。ルビーちゃん、君とおんなじ理由でね」
「じゃあ―――真人さんも?」
死んだ人の名前を名簿に書かれてたんですか。
ルビーの質問に真人は頷き、そして答えた。
「ああ。俺の名前が書かれてた」
「……え?」
ルビーの質問に対して真人は肯定したが、厳密に言うとそれは間違いである。
ルビーは死んだ人の名前があったのかと問うた。
死んだ人の名前など、真人の知る限りでは一つもなかった。死んだ〝人〟の名前は。
51
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:17:26 ID:Xg61tbMQ0
加茂憲倫が儀式に招いた泳者達の中で、まともな人間はむしろ少数派だと言っていい。
その中の数少ない例外が、ルビーを始めとした星野アイ及び彼女亡き芸能界から招かれている面々だ。
彼女達にとって異能や死者の蘇生、願いを叶える力というものはフィクションの産物でしかなく、信じるに値しない戯言だった。
だがその認識はこの島において、時に致命的な判断の遅れを生み出す。
「えっと、それって」
「てっきり加茂……しっくり来ないな、やっぱり〝夏油〟でいいや。
夏油の術式で隷属させられてるのかと思ったけどどうやらそういうわけでもないらしい。
かと言って目に見えて術式には改悪が加えられてる。自由なんだか不自由なんだか分からない。
だからさ―――今はとにかくいろいろ試してみたいんだ。そんで考えたい。これからのことを、いろいろね」
「ま……」
現実と虚構の区別が付くことは人間社会では人として最低限の分別とされるが、この島では単なる無知だ。
此処では虚構の中にしか存在を許されない猛魚や海獣が我が物顔で泳いでいる。
腕の一薙ぎで人体を粉砕し、手で触れることなく他人の命を奪い取れる化物達が闊歩しているのだ。
そんな儀式場において常識とは美徳ではなく、むしろ枷である。
そして多くの場合、それに気付いた時にはもう遅い。
今のルビーはまさにその典型と言ってよかった。
「真人さんも、そうだってこと?」
ルビーの言葉に、真人がニコリと微笑む。
およそ害意というものを感じさせない表情だった。
誰であろうと安心して信用を預けるような、そんな顔。
だがその口元から覗いてぬらぬらと唾液で輝いている白い歯だけが、そこに不気味な印象を与えていて―――
「正解」
真人が呟いた瞬間、星野ルビーの運命は確定した。
「その人から離れてっ!」
闇の中に突然響いた、自分以外の少女の声。
金縛りに遭ったように固まっていたルビーはその言葉を受けてようやく我に返った。
アイドルとしては落第だろうが緊急時の対応としては満点だろう、なりふり構わない飛び退き。
それで真人から逃れた彼女の代わりとばかりに、彼の前に迫る金髪の少女の姿があった。
(女の子……?)
ルビーよりも年下だろう、中学生ほどに見える少女だった。
しかしその手には大振りの槍が握られており、迷いなく彼女は真人に対してそれを振るう。
年齢と体格からは想像も出来ない鋭い刺突を真人はひらりと身を躱して避けたが少女も退かない。
五月雨のように迸る突き、突き、突き……一気呵成を体現するような果敢の攻めに見ているルビーまで思わず圧倒されてしまう。
頭の中は未だ混乱しっ放しだったが、彼女が自分を助けるために割って入ってくれたらしいことは辛うじて理解出来た。
「……なにこれ?」
はて、どうしてこんなことになっているのだろう。
ついさっきまで自分は明日のライブのために、振り付けの自主練へ勤しんでいたところだったというのに。
しかし今ルビーの目の前では少女と青年が踊るように戦っており、そこでルビーはようやくこの儀式が今までの自分の人生とは明確にジャンルの違う異世界なのだと理解した。
52
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:17:48 ID:Xg61tbMQ0
―――乃木園子は勇者である。
なればこそ、その光景を前にして行動しない理由は一つも存在しなかった。
園子も未だ、自分が今置かれているこの状況を百パーセント理解出来ているわけではない。
それどころか今も頭の中は疑問符でいっぱいだ。
大赦の目を盗んで勇者である自分達を攫い、こんな儀式に参加させるなんて芸当が本当に可能なのか。
そして、何故名簿に死んだ筈の友人の名前があるのか。神経を逆撫でするための嘘なのか、それとも本当に……。
考えたいことは山ほどあったが、こうなった以上はすべて後回しだ。
勇者として大切なものを守るため戦うことを決めた園子にとって、今まさに目の前で奪われようとしている命を見過ごす選択肢はなかったのだ。
(バーテックスじゃ……ないよね、やっぱり)
勇者への転身を終え、人間を超えた身体能力を得ている園子。
にも関わらず真人と呼ばれていたこの男は、そんな園子の猛攻に真っ向から付いてきていた。
反応するし避けてくる。どういう理屈か手を変形させて反撃まで挟んでくる。
勇者に対抗出来る存在など、それこそバーテックスくらいのものな筈なのにこれは一体どういう理屈が働いているのか。
だが園子が困惑する一方で、勇者との戦いを飄々と演じている様に見える真人もまた想定外の事態を認めて現状への認識を改めていた。
(前より攻撃が痛いね、呪力まがいのエネルギーでコーティングされた攻撃ではあるみたいだけどそれにしたって喰らい過ぎだ。
夏油の奴、マジでどういう手を使ったんだか……復讐を恐れるタマでもないだろうに、興の削げる真似しやがって)
園子の刺突は、至近距離であれば真人でさえ完璧に見切れるものではない。
致命傷こそ避けられても、身体の末端に多少の掠り傷を負うことまでは避けられなかった。
単純な傷なら治してしまえばいいだけだが、問題はその際に伴う痛みが明らかに以前より膨れ上がっていることだった。
攻撃を通じて肉体に蓄積するダメージが目に見えて上昇している……掠り傷程度なら支障はないが、以前のような調子で殴られ続ければ早々に限界を迎えてしまうだろうことは明らかだ。
真人は背中から天使まがいの羽を生やして飛翔し、大鎌に変えた両腕で園子を挟撃する。
これに対し園子は得物が長物であるのを活かし、回転させて弾くことで一挙に対処した。
「ひゃははははは! やるねえ!」
アルカイックスマイルを浮かべながら、足を車輪に変えて振り下ろす真人。
受け止めるのを前提とした大振り、その次に待つのは連撃だ。
先程は鎌に変えた両腕を無数の指の集合体に変え、それを高速で伸縮させることで秒間百発以上の刺突に変える。
槍使いのお株を奪う刺突の嵐に対しても、勇者はしかし流石だった。
戦闘経験はまだ浅い。だとしても、世界を守るために最前線で戦ってきたその経験と勘は伊達ではない。
事実、園子は未だ真人の真骨頂を見ていないにも関わらず彼と戦う上で最も重要な要素を見抜きつつあった。
触れてはならない。
この男は明らかに、相手に触れることを目指して戦っている節がある。
戦いなのだから接触して殺そうとするのは当然だが、真人のそれには執拗なものが見えた。
だから念には念を入れて、一見すると臆病に見えるほど丁寧にガードと回避を徹底している。そしてその判断はこの上なく正しい。
「カッコいいねえ、でかい武器持って戦う女の子。クールジャパンって奴だっけ? まさに漫画から抜け出してきたみたいじゃないか」
真人の饒舌さには取り合わず、弾いて弾いて隙を見極め槍の穂先を走らせる。
槍使いの理想とは硬い守りと鋭利な攻めだ。
真人を相手にする上では、そのスタイルは驚くほど有効に働く。
実際、真人は前線を上げられていない。しかし油断は禁物だ、何せこの呪いは変幻自在。
53
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:18:09 ID:Xg61tbMQ0
今度は蛸のように、真人の身体から無数の触手が生えてきた。
点ではなく面で、撓らせながら接触を狙っていく。
園子はこれを受けて、ルビーとの射線上に立つことを忘れないようにしながらも距離を取った。
引き際に槍で切り下げて触手を裂きつつ残りの手数に対処する。
バーテックス相手とはまるで異なる変則的な戦闘だったが、園子は驚異的なセンスでそれに食い下がっていた。
真人という呪霊の厄介さを知る者であれば、それがどれほど困難なことかは理解出来るだろう。
(長引かせたくないね、これは……っ)
長期戦になればなるほど、こっちがどんどん不利になる。
園子は真人戦の核心を既に掴んでいた。
最低限の危険は承服する。その上で一撃も食らわず、最小限の回数の攻撃で押し破る。
それが出来なければ死ぬと、勇者の背中に走った鳥肌が物語っていた。
有言実行、一度は取った距離を勇者が自ら詰める。
真人、魔手の波を形成してその判断を凶に変えようとする。
これを容易に破る手は―――実のところをいえば一つある。だがそれは園子としては取りたくない手段だった。
満開。勇者に与えられた、奇蹟を起こすにも等しい奥の手だ。
(その顔見るに、全力出せないのはお互い様みたいだね。〝出せない〟のか〝出したくない〟のかは解んないけど)
そして真人もまた、眼前の勇者を瞬殺出来る手に心当たりがあった。
しかし彼はそれを一向に使おうとしない。彼の場合は、本当に使えないからだ。
領域展開。呪術を扱う者にとっての真髄であり、まさに一撃必殺の奥の手。
真人のそれは、彼自身の術式の性質も合わさって最悪を地で行く。
仮に真人が領域を展開したならば、如何に神樹の勇者と言えども防ぐ手立ては皆無だった。
だがその力は今、この儀式を仕組んだ呪詛師の手によって封じ込められている。
(分からないよ夏油、何故縛る? 君としては俺は儀式の進みを促進させる体のいい駒の筈だ。
オマエの腹の中はとうとう知れなかったけど―――元のプランは捨てたのか? だとしたら、何故そうした?)
今度は身体を、棘の針山へと変える。
ヤマアラシから着想を得た攻防一体の鎧は、近付くだけでも相手に死を迫らせる近接戦の反則技だ。
園子も思わず足を止める。それを見た真人は、棘を伸長させることで不動に徹さず逆に攻め込んだ。
(それともそうしなければいけないほどのことがオマエの身に起きたのか?)
園子は此処で、王手を掛けられたのだとすぐさま気付く。
避けなければ自分が針山と化すが、避ければ後ろの星野ルビーがそうなってしまう。
それは勇者にとって敗北にも等しく、従って退けない。
ではこのまま黙って刺し殺されるしかないのか―――答えは否だ。
神樹の勇者、後に大赦の神輿となる未来を持つ幼い神童は槍を点ではなく面で扱うことに活路を見出した。
奇しくも先程真人が自分の攻略に用いたのと同じ発想だ。
触れれば裂ける先端部は相手にせず、真横から衝撃を与えて砕き折る。
これならば相手取る上での危険は最低限に抑えられ、攻めと守りを両立することが出来る。
54
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:18:33 ID:Xg61tbMQ0
「は――――――」
此処が正念場と判断し、園子は裂帛の気合を込める。
生きるか死ぬかの極限状況に心臓が冷たく戦慄するのを感じながらも堪えて踏み出す。
その姿、その勇気、まさに勇者。勇者とは勇気を持って立つ者なれば。
「――――――あああああああああああああああああッ!!!!」
根こそぎに棘を砕きながら猛追し、槍を振り抜くと共に真人の顔面を蹴り抜いた。
武器を使っての猛攻ばかりを見せておいての突然の肉弾戦に反応出来ず、鼻血を噴きながら仰け反る呪霊。
崩れ去った均衡を活用しない理由はない。園子は更に踏み込んで、中空に浮いた真人の顔面へ続けて槍の柄を叩き込んだ。
岸壁を超えて漆黒を湛えた海中に、その肉体を叩き落とす。
水飛沫の立つ音を確認するなり、園子は弾かれたように振り向いてルビーの身体を抱き上げた。
「……逃げるよ、お姉さん!」
「へ!? う、うん……!」
負った手傷を自己再生させる性質さえなければ、園子は追撃していたかもしれない。
だが後ろに非戦闘員を抱えながら、どうすれば倒せるのかも分からない相手と戦い続けるのはあまりに分が悪すぎた。
よって此処が丁度いい切り時だと判断し、園子はルビーを連れての撤退を選んだのだ。
(本当に、何が起きてるのかなー……っ)
頭が痛くなりそうな思いを抱えながら、園子は駆けた。
後ろから羽ばたきの音が聞こえないことを祈りながらの撤退はぞっとしないものがあったが、幸いそれなりの有効打にはなったらしい。
乃木園子は勇者である。彼女は初陣にてその務めを見事に果たした。
▼▼▼
「は〜あ、しんどいしんどい」
真人は夜の海に浮かびながら、勇者との初戦をそう締め括った。
純粋に相手の腕が立つというのもあったが、これまでとの戦いの感覚の違いに追い付くことに労力を割きすぎた結果だった。
追おうと思えば追うことは出来たが、明らかに奥の手を隠し持っている相手に対して領域を使えない身で深追いするのは愚策だろう。
ましてや初戦。この先幾度戦うかも分からないというのに、無駄に消耗するのは得策とは思えなかった。
(……俺の場合は特にそうだ。俺の存在を知ったら目の色変えて追っかけてくる奴がいるからね)
虎杖悠仁―――その名前を名簿で見つけた時、情けなくも動悸を感じたことを真人は否定しない。
真人は彼に完膚なきまでに敗北し、それまで感じたことのなかった恐怖と絶望を味わされた。
捕食者から被食者へ堕ちる屈辱と、それを補って余りある恐怖。あれは二度と味わいたくない。
だがそうも言っていられない。真人には確信があったからだ。虎杖が、自分を決して放っておかないだろうという確信が。
55
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:18:54 ID:Xg61tbMQ0
『俺はオマエだ』
『ただオマエを殺す。また新しい呪いとして生まれたらソイツも殺す。
名前を変えても、姿を変えても、何度でも殺す。もう意味も理由もいらない』
「――――――はっ」
今思い出しても背筋が寒くなり、身体が自然と震える。
これが恐怖。死に続いて、虎杖は自分にそれまでも教えてくれた。
あの男は自分を決して許さないだろう。地の果てまででも追いかけて、探し出して必ず殺しに現れるだろう。
「ああ……怖いな。人間の感情は余すところなく知ってるつもりだったけど……これは確かに、あんまり味わいたいものじゃないや」
真人にとってこの儀式は、その時にどう備えるかの道程でしかなかった。
領域を使えず、改造人間のストックもないこの有様であれに勝てるとは思えない。
だから備えなければならない。いつか必ずやってくるその時までに、今度こそもうひとりの自分を殺せる力と作戦を。
その点、真人は初っ端から改造人間の確保に失敗したことになる。
「さて……どうなるかね。まあどっちに転んでも、俺にとっては悪くない未来だ」
自分が最初に出会った泳者と、それを守るために現れた槍持ちの勇者。
その行く末に思いを馳せながら、真人はもうしばらく浮かんでいることを選んだようだった。
何しろ考えなければいけないことは無数にあるのだ。
これまでのことも、これからのことも。夏油傑改め加茂憲倫が何をしたいのかについても。
「二度目の生……存分に堪能させて貰うよ、夏油。俺はもう誰の思い通りにもならない。虎杖も、オマエも……全員出し抜いて、掻っ攫ってやる」
人の呪いは再誕した。
死を知り、恐怖を知って花咲く呪いの貴公子は不敵に微笑む。
彼は成長する。強くなるのだ、かつて死地にて領域を会得しそれを跳ね返してみせたように。
【一日目/G-4/海面/未明】
【真人@呪術廻戦】
【状態】頭部にダメージ(中)
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考・行動】
0:全て殺す。
1:虎杖との再戦に備える。
2:どうなるかなー。どっちに転んでもおいしいなー。
【備考】
※死亡後からの参戦です
※領域の展開が出来ません。
※肉体の再生は可能ですが、蓄積するダメージの度合いが増しています。
▼▼▼
56
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:19:21 ID:Xg61tbMQ0
「お姉さん、大丈夫〜? 怪我はない?」
「あ、うん。えっと、ありがと……?」
「えへへ、どういたしまして〜」
乃木園子は近くの廃屋に逃げ込み、そこでやっと抱えていた星野ルビーを下ろした。
追撃があったならどうするかは頭の痛いところだったが、幸い今のところその気配はなかった。
ちゃんと倒せたとは正直思えない。だが、それなりのダメージを与えてやれた手応えはあった。
それが功を奏したと思っておくことに決め、今はなんとか助け出せた歳上の少女の心配をすることにした。
「私は乃木園子っていいます。お姉さんのお名前も、よかったら教えてほしいなー」
「ん……星野ルビー。一応アイドルやってるんだけど―――まあ知らないよね、デビューしたてだし」
「あははー……」
「あ、その反応で知らないってわかった。もうっ、これから有名になってやるぞー!ってとこだったのになあ……!」
見たところ、ルビーに怪我らしい怪我はない。
そのことに安堵しつつ、ルビーの言葉に園子は愛想笑いを返した。
消沈した様子を見せる彼女の頭を撫でてあげる姿には年相応の可愛らしさがある。
「…………」
「……ルビーさん、本当に大丈夫? もし痛いところとかあったらすぐに言ってね〜……?」
「大丈夫、ほんとに大丈夫。ただちょっと、あんまりすごいもの見せられたから腰が抜けちゃって」
「ならいいけど……、そうだ。ルビーさんは、〝勇者〟って言って……分かる?」
「勇者? あー……ドラクエとかクロノトリガーに出てくる、ああいう……?」
その言葉を聞いて園子は疑問を確信へと変えた。
園子のいた世界で、勇者の存在を知らない人間はいないと言っていい。
ましてやルビーのように、ちゃんとした環境で日常生活を送れているのが明らかな人物なら尚更だ。
にも関わらず、彼女は勇者のことを知らないという。
真人との戦いの最中でも思っていたことが真実味を帯びてきた。
(やっぱり、私達〝泳者〟は……違う世界同士から呼ばれてるってことになるのかな)
幼い園子だが、それでも並行世界(パラレルワールド)という言葉に聞き覚えはある。
その理屈を適用しなければこの状況はあまりにも辻褄が合わなかった。
真人という異常な存在のことも、勇者の名前にずれた答えを返してくるルビーの無知さも、出身の世界が違うと考えれば理屈は通る。
一体何をどうすれば違う世界同士から人を集められるのかという疑問はあるが、この考えはそれなりに信憑性があると園子は感じていた。
何にせよひどく厄介なことになっている。
この儀式を平定して加茂憲倫を倒す道程は思っていたよりも長く、そして大変なものになるだろうことはもはや確定的だった。
「……ごめん園子ちゃん、ちょっと今頭の中がこんがらがっちゃっててさ。
真人さんのこともそうだし、いろいろあって―――もうちょっとだけ待っててほしいかも…………」
「うん。もちろん大丈夫だよー……私の方こそごめんね、いきなり変な話しちゃって。
もしさっきの人が追いかけてきたらその時も私が戦うから、ルビーさんは安心して休んでー?」
「あはは、しっかりしてるね園子ちゃん。中学生でしょ? すごいなー、JCの頃の私園子ちゃんほどしっかりしてなかったよ」
あ、そうだ。
そう言ってルビーは園子に名簿を取り出し、見せてくる。
探してる人でもいるのかなと思い、園子はそれを覗き込んだ。
「最初はさ、ただの悪ふざけだと思ったんだけど……」
57
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:19:52 ID:Xg61tbMQ0
「うん」
「この、〝星野アイ〟って名前……園子ちゃん、知ってたり、するー……?」
「……ルビーさん? 大丈夫……?」
「大丈夫大丈夫。それより、アイの……ママのこと知ってるか、教えてほしい……」
結論から言うと―――答えは〝知らない〟以外にはない。
だがそれよりも、ルビーの様子の方が気がかりだった。
冷や汗をかいて言葉も途切れ途切れになり、見るからに不穏な様子だ。
しかしそれを軟弱と責めるのはあまりに酷だろう。
恐らくはついこの間まで、危機に瀕することもなく安穏と過ごしていた少女が突然殺し殺されの世界に放り込まれたのだ。
なんとか諭して眠ってでももらった方がいいだろうか。
そんなことを考えながら、園子は申し訳なさそうな顔でルビーへと言う。
「ごめん、ちょっと力になれないかも。でもルビーさんの大切な人なら、私もルビーさんと一緒に探すよー」
「そっ、かぁ……あのね、この人……私のママなんだぁ。
ずっと前に死んだ、殺されたはずなんだけどね。でもなんでかここに名前があって、なんでかなあってなんでかなあって思って思って」
「……うん、うん。ルビーさん、今は一回休もう? 起きるまで待っててあげるから、だから―――」
「なんでかなあって。あんなに死んじゃって悲しかったのになんでかなあって、ほんとにママなのかなって、
なんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなって
なんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなって
なんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでかなってなんでなんでなんでなんで」
咄嗟に園子が反応できたことは、やはり大したものだと言わざるを得ない。
ルビーが突然に振るった、右手。
さっきまでとは明らかに違う、鋭く尖って大きく肥大化したそれをおかげで園子は避けることが出来た。
とはいえ何が起こったのか、何が起こっているのかはまったく分からないままだ。
そんな園子の目の前で星野ルビーは変貌していく。
言葉の綾ではなく、文字通りの〝変貌〟だ。
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでアイアイアイアイアイアイアイあいあいあいああいあいあ」
目玉が巨大に歪んで、今度は腕だけでなく全身が肥大化する。
顎が外れるほど大きく開いた口から垂れた唾液が、じゅうと音を立てて床板を溶かした。
アイドルというきらびやかな職業に似合わない醜い姿への変容は明らかに人体の構造を無視している。
「る、ルビーさんっ」
「あいあいあいああいあいあいあいあいあいあいああいあいあいあいあいああいあああああいああいあいあああああああああああ」
「……っ!」
園子の動揺を無視してルビーが、ルビー〝だったもの〟が掴みかかってくる。
それを咄嗟に振り払って、園子は槍を構え直した。
その姿こそ勇ましいが、彼女の顔に浮かぶ表情に真人と戦っていた時の面影はない。
(いったい、何が……まさか……っ)
星野ルビーが最初から自分を騙すつもりだった可能性も考えはした。
だがそれよりも最悪な可能性が、園子の脳裏に浮かび上がった。
自分は間に合ったと思っていた。
間一髪で助けに入り、無事に命を守れたと根拠もなくそう信じていた。
しかしややもするとそれは違ったのではないか。自分は彼女を助けられてなどいなかったのではないか。
自分が助けに入ったあの時点でもう、真人という悪鬼の魔の手は彼女に触れ終えていたのではないか―――
「あいあいあいあいあいあいああいあいあいあいああああああああああ、あああああああああああ――――――!!!!!」
……乃木園子の推測は正しかった。
真人があの時これみよがしにルビーへ触れようとしたのは、彼が園子の存在を感じ取っていた故の行動だったのだ。
近くにどうもただならぬ気配を滲ませた存在がいる。
だからそれをおびき出すために、あえて見え透いた加害行動の予備動作を見せた。
つまりあの時、真人はルビーをどうこうするつもりなどなかったのだ。
何故ならそれはもう、とっくの昔に完了していたから。
殺すにしろ改造(かえ)るにしろ、やろうと思えばいつでもそれが叶う状況を彼は園子が現れる前に整え終えていたから。
▼▼▼
58
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:20:10 ID:Xg61tbMQ0
『俺は真人。この儀式に乗るつもりは……まあ今のところないよ』
『そこは乗らないって断言して安心させてほしかったなあ』
『はは、逆にこの方が信用出来ない? 人間の心なんてちょっとしたことで変わるものなんだから。
今はこうでもいずれ変わるかもしれないって示して貰えた方が、俺だったら安心出来るんだけどね』
『……真人さんってもしかして人付き合い下手?』
『かもね。何しろ始めたてだから』
『……確かに逆に信用できる気してきた。信じてもいい? 大丈夫?』
『大丈夫大丈夫。ほら、〝よろしくね〟の握手』
『じゃあ信じよっかな。よろしくお願いします、真人さん』
『うん。よろしくね、ルビーちゃん』
▼▼▼
59
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:20:40 ID:Xg61tbMQ0
襲いかかってくるルビーだったものをいなしながら、園子は逡巡する。
どうする、どうする―――どうすればいい。
どうすればこの人を助けられる。いや、そもそも助けられるのか。
「……ルビーさん! しっかりして、お願い―――!」
だがその言葉は届かない。
もう、ルビーの発する声は言葉になっていなかった。
肥えて歪に伸びた腕を振り回しながら襲いかかってくる。
それを捌くことは園子にとって決して難しいことではなかったが、見かけ以上の負担を彼女に与えていた。
さっきまで目の前で普通に喋っていた人間の豹変をどう対処すればいいのか。
見るからに人間ではなくなっている彼女へ、自分はどうやって臨めばいいのか。
それは園子にとって間違いなく初見の状況であり、人類の敵へ果敢に挑む勇者の心をこれでもかとばかりに掻き乱す作用を果たしていた。
この場で鎮圧すればいつかは元に戻ってくれるのか、それとも何か特殊な手立てが必要なのか。
そもそも元には戻らないのか―――最後の可能性だけは意図的に脳裏から排しながら、園子は槍を振るう。
園子の判断は決して間違いではない。
改造人間への変化という初見の事象に対してよく反応したほうだと言えるだろう。
生かさず殺さずの状態を維持しながら、自分が真に為すべきことを混乱した脳髄で懸命に判断しようとしている。
園子は正しい。彼女は人の命を救う勇者として、真に正しい働きを果たそうと最大限の努力をしていた。
「―――アイイイイイイイイイイッ!!!」
「っ……!」
だから、その時起こったことについても彼女を責めることは出来なかった。
園子は明らかに正気を失って向かってくるルビーを前にしても、それでも希望を失っていなかった。
彼女を救う方法を考え、必死に頭を回転させていたのだ。
あるいはそれがいけなかったのか。目の前で無法に暴れ狂う存在を前に、〝考える〟という行動そのものが悠長だったのか。
覆い被さる勢いで迫ってきたルビーに園子は咄嗟に槍を構え、そして。
「あ」
そんなもの知ったことか、と猛進してきたルビーの胸に、構えていた槍の穂先が突き刺さった。
「あ、え……ご、ごめん。ルビーさん、あ」
人間の域を明らかに越えた変形。
まるで、あの真人の力を再現したような人外ぶり。
それを園子に対して見せていたルビーだが、終わりはあまりにも呆気なかった。
胸に刺さった槍が抜けるなり、ごぼごぼと口及び胸の穴から血を噴き出して倒れ伏す。
「ぁ………い、アイ……ママ……おにいちゃ、アクア……」
慌てて駆け寄る園子だが、既にルビーの視界に彼女の姿は入っていない。
自分の知っている名前を繰り返しながら、叩き潰された虫のように痙攣する。
60
:
乃木園子は勇者である
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:20:58 ID:Xg61tbMQ0
「……せん……せ、ぇ………………」
〝それ〟が動かなくなるまでの時間も、胸を貫かれた人間のようにあっという間だった。
最後、先生、と呼んで一度大きく震えてからはもう二度と動かない。
昔動物番組か何かで見た、肉食獣に狩り殺されたシマウマの姿を園子は思い出していた。
違うのは息絶えたそれが曲がりなりにも人間の形をしていたこと。
そして―――それの命を奪ったのが他でもない自分自身だということだけ。
乃木園子は勇者である。
神樹に選ばれ、世界を守る資格を得て戦う勇者である。
勇者とは勇気を持って立つ者。その命に代えても世界を、守るべき誰かを守り通すもの。
その点園子は間違いなく勇者の務めを果たしていた。
真人という討つべき巨悪に立ち向かい、そしてこれから誰かの命を脅かすだろう魔物を討ち果たしたのだから異を唱えられる者は誰もいまい。
どの道彼女に星野ルビーを救うことは出来なかった。それが出来る可能性は存在しなかった。
真人がルビーに触れた、園子が彼女を発見する前のその時にすべては終わっていたのだから。
問題は、彼女がRPGの勇者のように選択肢の有無だけで動く存在ではなく。
一つ一つの犠牲を認識して足を止めてしまう、心優しい人間だったことだろう。
【星野瑠美衣@推しの子 死亡】
【一日目/G-5/廃屋/未明】
【乃木園子@結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章-】
【状態】疲労(中)、精神的動揺(大)
【装備】槍
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考・行動】
0:この儀式を止める。
1:――――――
【備考】
※三ノ輪銀死亡後からの参戦です。
61
:
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 04:21:22 ID:Xg61tbMQ0
投下終了です
虎杖悠仁、神様霊で予約します。
62
:
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 10:49:27 ID:Dl2Tz/oA0
皆様投下乙です。
自分も投下させて頂きます。
63
:
ワタシBlooming
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 10:50:24 ID:Dl2Tz/oA0
空を見上げると、満天の星が広がっていた。
地球やヒーリングガーデン、それにビョーゲンキングダムのどこでもなさそうな世界だけど……たくさんの命がある。
花が元気に咲いて、水が穏やかに流れ、光が周りを照らし、風が優しく吹いていた。
こんな時じゃなかったら、とっても楽しいだろうなって思う。
わたし・花寺のどかは中学二年生。
普通の女の子に見えるかもしれないけど、実は伝説の戦士・プリキュアだよ。
わたしたちの生きる地球とは別の世界・ヒーリングガーデンからやってきた妖精(正確には、ヒーリングアニマルだよ!)のラビリンとパートナーになって、キュアグレースに変身できるの。
「のどか……」
「大丈夫だよ、ラビリン」
ラビリンを抱きしめながら、わたしは声をかける。
うさぎさんみたいな可愛らしい姿のラビリン。でも、わたしと同じ首輪が付けられている。
これがおそろいだなんて喜べるわけがない。首輪の中には爆弾が入っていて、爆発したら誰でも死んじゃう。
きっと、キュアグレースに変身しても耐えられない。
「わたしは、ラビリンと気持ちは同じだから」
それでも、負けるつもりはなかった。
わたしとラビリンは地球をお手当てしてきたよ。
その気持ちが重なり合ったから、わたしはわたしを大好きになれた。
怖いって思う。
二人きりになって不安な気持ちはある。
けど、どこかに隠れて震える理由になんてならない。
「みんなを助けたいって思ってるよ」
「……ラビリンも同じラビ!」
ニッコリと、ラビリンはいつもの笑顔を取り戻してくれた。
優しい顔にわたしの心も癒やされる。
今までだって、わたしたちは何度もお互いを支え合ったからね。
「その為にも、まずはちゆちゃんを探さないと」
この世界にはわたしの大切なお友達がいる。
沢泉ちゆちゃん。
運動神経が抜群で、勉強がとっても得意。顔も綺麗で、凄く優しい子だよ。
でも、ちゆちゃんにはわたしと同じ秘密がある。
そう……ちゆちゃんもプリキュア。水のプリキュア、キュアフォンテーヌだよ。
他にも、キュアスパークルに変身する平光ひなたちゃんや、キュアアースに変身する風鈴アスミちゃんもいる。わたしたちが4人集まれば、ヒーリングっどプリキュアとして悪い人たちと戦えるよ。
もっと言えば、ヒーリングっどプリキュア以外にもプリキュアはいるけど……それはまた違う機会に話すね。
だけど、この儀式に巻き込まれたのはわたしとちゆちゃんだけで、ひなたちゃんとアスミちゃんの二人はいない。
64
:
ワタシBlooming
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 10:51:31 ID:Dl2Tz/oA0
「ちゆがいるなら、ペギタンもいるラビ?」
「ラビリンがいるなら、その可能性は充分にあるね」
ちゆちゃんが心から信頼するヒーリングアニマルのペギタン。
わたしとラビリンが一緒にいるなら、ペギタンもちゆちゃんのそばにいるはず。
二人を見つけて、合流することがわたしたちにとって最優先だった。
「それに、ダルイゼンとも……また戦う時が来るかもしれない」
もう一人だけ、知ってる名前が名簿にあった。
ダルイゼン。
わたしが決して忘れられない因縁深い相手。
きっと、わたしの知ってるあのダルイゼンが復活したんだと思う。
ヒーリングっどプリキュアの宿敵であるビョーゲンズの一味で、今まで何度も地球に生きるみんなを病気にしたダルイゼン。
かつて、キングビョーゲンから命を狙われたダルイゼンが、わたしに助けを求めようとした日のことは決して忘れない。
ダルイゼンは、もう二度と誰かを病気にしないと約束しなかった。
だからわたしはダルイゼンの手を取らなかったし、この手で決着をつけた。
その選択を忘れるつもりはないし、わたしは一生背負っていくよ。
ひなたちゃんやアスミちゃんの助けは借りられないけど、いざという時はわたしとラビリンだけでも戦うつもり。
「その時は、ラビリンも一緒に戦うラビ!」
「うん、みんなを守らないとね」
決意を固めるわたしたち。
一歩前を踏み出そうとするけど。
「……すみませーーーーん!」
「うわあぁっ!?」
突然、声をかけられてビックリしちゃう。
心臓が飛び出そうな程の声量に、わたしは思わず振り向いた。
ヘアバンドでまとめた髪を、ロングレイヤースタイルにしている女の人が、猛スピードでこっちに走ってきた。
「え、ええぇっ!?」
電車や新幹線、ひょっとしたらプリキュアの脚力にも匹敵しそうな速さ。
このままだと、ぶつかっちゃいそう!
驚きで身体が固まった瞬間、目の前で女の人が止まってくれた。
「あの、ロイドさんとアーニャさん……私の夫と娘を探しているのですが、ご存じないでしょうか!?」
「へっ?」
ペコリ、と頭を深々と下げながらそんなことを聞かれて、わたしはポカンとしちゃった。
◆
「ご、ごめんなさい! 私、慌ててしまって……のどかさんにご迷惑をおかけしてしまい……!」
「だ、大丈夫ですよ……わたしだって、こんなことになって驚いてますから……ヨルさんに会えてよかったです!」
「……お、お優しいですね、のどかさんは!」
「いえいえ! わたしも、ロイドさんとアーニャちゃん探しを手伝いますよ!」
わたしの隣で目をキラキラさせる女の人はヨル・フォージャーさん。
市役所で公務員をやってるフォージャー家のお母さん。
外国人なのに、こうして会話できることが気がかりだけど……今は気にすることじゃない。
65
:
ワタシBlooming
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 10:53:15 ID:Dl2Tz/oA0
「そういえば、先程のどかさんは誰かと話していたようですが、他にどなたかいるのでしょうか?」
「えっ!?」
ヨルさんの言葉に、わたしはまたビックリしちゃう。
も、もしかしてヨルさんは耳がいいの!?
「えっと、その…………ラビリンとお話をしていたんです! この子です、この子! この子は、ずっとわたしの隣にいてくれるパートナーですから!」
そして、わたしは両手に持ったラビリンをヨルさんに見せる。
ラビリンは緊張したように黙りながら、ぬいぐるみのフリをしてくれるよ。
「わたし、何かあったらすぐにラビリンとお話をするんです! ラビリンとお話をすれば、心が落ち着きますから!」
「そ、そうラビ〜! のどかと、ラビリンはいつも一緒にいるラビ〜!(←ちょっと棒読み)」
「だから、ヨルさんが聞いたのはそれだと思います!」
無言なラビリンの手を動かしながら、一人二役でヨルさんに説明する。
我ながら苦しい言い訳だと思うけど……
「そうでしたか! ラビリンさんは、のどかさんの大切なパートナーなのですね!」
「はい! わたしとラビリンは最高のパートナーですから!」
ヨルさんは信じてくれた。
わたしやちゆちゃんがプリキュアだってことは、すこやか市のみんなには秘密にしてたよ。
危険な戦いをしてるって知られたら、みんなから心配されちゃう。
だから、わたしたちは正体を隠したまま、ビョーゲンズとの戦いに勝利したよ。
……ただ、今回は緊急事態だから、ヨルさんに正体を明かす必要があるかも。
この世界にどんな敵が待っているのかわからないからね。
ビョーゲンズの他にも、リフレインやエゴエゴみたいな強い力を持った相手がいたように。
「……あの、ヨルさん。実はーー」
「えっと、のどかさん! すみませんが、もうすぐ出発してもよろしいでしょうか!?」
でも、ヨルさんは大慌てでまくしたてるから、事情を説明できなかった。
「特に、アーニャさんはまだ小さいですし、きっとどこかで泣いてるかもしれません! もし、悪い人に狙われたら……あぁっ! ど、どうしましょう〜〜!」
「え、えっと……わかりました! じゃあ、すぐに探しに行きましょう!」
今にも泣き出しそうなヨルさん。
聞いた話だと、アーニャちゃんはまだ6歳で学校に通い始めたばかりの女の子。
どうして、そんな小さな子が危険にさらされないといけないの?
ヨルさんが心配するに決まってるし、加茂憲倫って人を許せない。
「わたしも、お友達のちゆちゃんを探したいと思ってましたし!」
「そういえば……のどかさんのお友達も、どこかにいるのでしたっけ?」
「はい、沢泉ちゆちゃんです! ヨルさんみたいに、運動神経が抜群でーー」
「でしたら、善は急げです! のどかさん、わたしにしっかり捕まってくださいね!」
「へっ? それって、どういう……」
ガシリと、ヨルさんに抱っこされるわたしとラビリン。
それを恥ずかしいと思う暇もなく。
66
:
ワタシBlooming
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 10:55:52 ID:Dl2Tz/oA0
「これから、飛ばしますよ!」
「……えっ、ええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
ドガン! って、衝撃波が起きるほどのスピードでダッシュするヨルさん。
まるで遊園地のジェットコースターやフリーフォールに乗せられたような勢いで、わたしは大声をあげちゃう。
わたしもキュアグレースに変身すればこの速さで走れる。
だけど、生身でこんな速いなんて、ヨルさんは何者なの!?
「ひゃああっ!? ひゃあああぁぁぁあああああぁぁぁぁっ!?」
「ラビーーーー!?」
けれどそんな疑問は一瞬で吹き飛んで、わたしは大声をあげた。
腕の中にいるラビリンすらもぬいぐるみのフリを忘れて叫んじゃう。
でも、ヨルさんはただ真っ直ぐに前を見ているから、悲鳴が増えてることにまだ気付いてない。
止まったら、ラビリンのことを話さなきゃいけなくなりそうだけど……
「のどかさん、舌を噛みますから口を閉じてください!」
「そ、そんなこと言われても…………ああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
あり得ない速さと、周りの景色が後ろを通り過ぎていくせいで、わたしの頭が混乱していた。
顔が震えて、髪の毛が突風に巻き込まれそう。
必死にしがみつきながら、わたしはただ祈っていた。
ちゆちゃんやペギタン、それにロイドさんやアーニャちゃんと生きてまた出会えることを。
【一日目/E-8・草原/未明】
【花寺のどか@ヒーリングっど♪プリキュア】
【状態】健康、ラビリンを必死に抱えながらヨルに抱っこされている。
【装備】ラビリン@ヒーリングっど♪プリキュア、ヒーリングステッキ@ヒーリングっど♪プリキュア、エレメントボトル(花、実り、葉っぱ)@ヒーリングっど♪プリキュア
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考・行動】
0:ラビリンと力を合わせてみんなを助けたい。
1:ちゆちゃんやペギタンと合流したい。
2:ダルイゼンと出会ったら、わたしは戦う。
3:ヨルさん、止まって〜〜〜〜!
4:落ち着いたら、ヨルさんにわたしとラビリンのことを話す。
【備考】
※参戦時期はTV本編最終回後からです。
※映画の出来事は経験してます。
※ラビリンにも首輪が付けられています。
※ラビリンがいることから、ちゆもペギタンと共にいると考えています。
【ヨル・フォージャー@SPY×FAMILY】
【状態】健康、普段着を着ている、焦り、のどかとラビリンを抱っこしてる。
【装備】愛用のスティレット@SPY×FAMILY、いばら姫のドレス@SPY×FAMILY
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考・行動】
0:ロイドさんとアーニャさんを探したいです!
1:のどかさんと一緒に行動します!
2:なんだか、声が増えているような……?
【備考】
※参戦時期はまだ不明です。
※どこに向かっているのかは後続の書き手氏にお任せします。
67
:
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 10:56:09 ID:Dl2Tz/oA0
投下終了です。
68
:
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 12:49:03 ID:Dl2Tz/oA0
投下後にすみません。
参加者に本人装備が支給されていた場合、その分だけランダム支給品は減るという扱いでよろしいでしょうか。
その場合、花寺のどか及びヨル・フォージャーのランダム支給品数を修正させて頂こうと考えております。
69
:
◆CJzta4FZvU
:2024/01/03(水) 16:28:38 ID:Xg61tbMQ0
>>68
投下ありがとうございます。感想は後ほど。
取り急ぎご回答させていただきますと、本人支給もランダム支給品の枠を一つ消費する扱いでお願いします。
70
:
◆ZuV6uipv3E
:2024/01/03(水) 19:01:28 ID:Dl2Tz/oA0
返答ありがとうございます。
それでは、状態表を以下のように修正させて頂きます。
再度のご意見があれば、お手数ですがよろしくお願い致します。
【花寺のどか@ヒーリングっど♪プリキュア】
【状態】健康、ラビリンを必死に抱えながらヨルに抱っこされている。
【装備】ラビリン@ヒーリングっど♪プリキュア、ヒーリングステッキ@ヒーリングっど♪プリキュア、エレメントボトル(花、実り、葉っぱ)@ヒーリングっど♪プリキュア
【道具】基本支給品一式
【思考・行動】
0:ラビリンと力を合わせてみんなを助けたい。
1:ちゆちゃんやペギタンと合流したい。
2:ダルイゼンと出会ったら、わたしは戦う。
3:ヨルさん、止まって〜〜〜〜!
4:落ち着いたら、ヨルさんにわたしとラビリンのことを話す。
【備考】
※参戦時期はTV本編最終回後からです。
※映画の出来事は経験してます。
※ラビリンにも首輪が付けられています。
※ラビリンがいることから、ちゆもペギタンと共にいると考えています。
【ヨル・フォージャー@SPY×FAMILY】
【状態】健康、普段着を着ている、焦り、のどかとラビリンを抱っこしてる。
【装備】愛用のスティレット@SPY×FAMILY、いばら姫のドレス@SPY×FAMILY
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~1
【思考・行動】
0:ロイドさんとアーニャさんを探したいです!
1:のどかさんと一緒に行動します!
2:なんだか、声が増えているような……?
【備考】
※参戦時期はまだ不明です。
※どこに向かっているのかは後続の書き手氏にお任せします。
71
:
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:04:24 ID:xW/IZ56M0
投下します。
72
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:05:44 ID:xW/IZ56M0
私に 従え 猿共 ―――夏油傑
「生きてるってかんじ……か」
自らの身体をダルそうに見つめる一人の参加者。
名はダルイゼン。
異世界ビョーゲンキングダムに生息するテラビョーゲンと呼ばれる存在にしてビョーゲンズの幹部。地球を蝕むために活動をしていたが、最後は自分たちを率いるキングビョーゲンの一部として吸収される最後を迎えた。……はずだった。
「つまり、あの人間……加茂憲倫が持つ聖杯とやらの力は本物ってわけか」
気を失っていた内に取り込まれたため、実感はしないが、キングビョーゲンに追い詰められていたあの状況から推測すれば、おそらく自分はキングビョーゲンの一部として取り込まれた。
なら、再び生を得たとしてもナノビョーゲンとして空気中をふわふわ漂うだけである。
当然、自我は失う。
病気の代表である風邪ですら、人を蝕むには一から浸食する。
それが、いきなり全身に広がるかのように成長した元通りの身体に記憶を保持している。
確実に加茂の持つ力によるものだとダルイゼンは理解する。
「そうと決まれば、優勝するしかないけど、自分を含めて55人って言ってたよな……正直、ダルイな」
自身の存在が、どんな願いを叶ると言った加茂の言葉の言質。
願いが叶う。それは、ダルイゼンにとって願ってもないこと。
プリキュアを排除し、その力で地球を住みやすくする。
故にダルイゼンは優勝を目論む。
しかし、加茂が強制する殺し合いの儀。
泳者は自分を含めて55人。
結構な人数。これが、グワイワルなら「ハッハッハッハ!優勝するのはオレだ!」と勇んで殺しあうだろうが、自分は違う。積極的に殺し回るのは、面倒だし気が進まない。
「ま、けど泳者の多くがこれなら問題ないかな」
「う……うう」
そんなダルイゼンに鴨がネギを背負ってきた。
ダルイゼンの足元に蹲る少女。
少女の名は木ノ幡みら。
星咲高校地学部所属の2年生。
切り揃えられているオレンジ色のボブカットに星形の髪飾りも今は、土で汚れている。
☆彡 ☆彡 ☆彡
73
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:06:06 ID:xW/IZ56M0
「それにしてもさ、殺し合いを命じられているこの状況で、見知らぬ相手に平然と声掛けするなんて、お前、バカでしょ?」
呆れるように。見下すように。
そして、燃え立つ焔のような刃紋が焼き入れられた刀を片手で握る。
炎柱、煉獄杏寿郎が振るう日輪刀。
本来、その刀は人に仇名す鬼を討つ刀。
悪鬼滅殺が人の命を刈ろうとするのは、何と言う皮肉だろう。
「どうやら、加茂による横槍の所為で、お前の肉体でギガビョーゲンを生み出すこともできないみたいだから……悪いけど、ここで死んでもらうよ?」
(強化されたオレじゃないから、無理かと思ったけど、おそらく違うっぽいな)
本当なら、この木ノ幡みらの肉体にナノビョーゲンを憑りつかせてギガビョーゲンを生み出そうとしたが、できなかった。
ナノビョーゲンは問題なく発生できることから、おそらく加茂による細工。
勿論、プリキュア達に刺し仕向けたギガビョーゲンは、メガパーツを取り込み、進化したからできたことだが。
この場では、メガパーツ云々は関係ないことを直感した。
「はぁ……」
(まったく面倒なことをする。殺し合わせたいなら、わざわざそんなことする必要がないだろ。)
おそらく、他の泳者のことを考えた処置なのだろうが、ダルイゼンには全く理解できない。
「安心しなよ。どのみち人間はオレが作り変える地球じゃあ生き抜くことは厳しいと思うから」
この場を生き抜いても行き着く先は死。
作り変えた地球は死の大地となるのだから。
これはオレの慈悲だよと、いわんばかりの自分勝手な言い草。
「……し」
「?」
「私は!まだ死ねない!約束したんだから!二人で見つけるって!」
「それがお前の辞世の句ってやつ?……あのさ、この状況で死ねないってどう考えても、無理でしょ?」
やれやれと肩をすくめる。
プリキュアのように闘う力があるのならともかく。
如何にもただの人間が無駄に足掻く。
「これ以上、無駄に騒がしくされると面倒だし、さっさと済ませるか」
今の声によって、プリキュアのような正義感丸出しな泳者が現れたらダルイ。
そこの女を殺したら、さっさとこの場から離れるか。
―――スッ
目的は優勝だが、念のため首輪も手に入れておきたい。
故に首を切り落とす。
首輪に触れないように慎重に狙いを定める。
―――ブンッ
刀が容赦なく振るわれ―――
☆彡 ☆彡 ☆彡
74
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:06:35 ID:xW/IZ56M0
「……」
(一体、この状況は何だ?)
一人の青年が佇む。
青年の名は夏油傑。
呪術高専の2年。
夏油は困惑する。
無理もない。記憶が確かなら、相棒であり、共に最強を自負する親友と護衛任務の最中であった。
それが、いつの間にか見知らぬ場所へ拉致され、殺し合いという儀式に参加させられたのだから。
さらに付け加えるなら、拉致されたのは、自分だけでない。
「悟……」
拉致された人物の中に親友がいた。
幾戦の呪術師・呪詛師が束になっても敵わないはずの五条悟(最強)が泳者の一人とされていること。
それだけでも異常事態であり、衝撃が隠せない。
そして、それを主宰する加茂憲倫。
加茂憲倫といえば、史上最悪の呪術師にして、御三家の汚点。
故人であるはずの人物だが、確かに加茂憲倫なら、自分たちを拉致するに至る力を持っていたとしても納得はできないが、理解はできる。
だが、加茂憲倫の姿には理解できない。
どうして自分の肉体でいるのか。
自分でいうのもおかしな話であるが、まぎれもなくあれは”自分の肉体”であった。
肉体に呪力。偽りなく壇上にいた加茂憲倫と名乗る人物の肉体は、夏油傑だと示している。
なら、今、この場にいる自分は一体……
(それに、理子ちゃん……)
天内理子。
その名は、護衛対象の少女。
護衛することになった理由は、呪術界の要である天元の存在。
天元は不死であるが不老ではない。
故に500年に一度、同化しなければならない。
その同化する器が天内理子。
(まさか、目的の一つなのか?)
器である星漿体に選ばれた天内理子は、現在、天元との同化を望まない・呪術界の転覆を目論む、といった非術師・呪詛師達に命を狙われている。
夏油並びに五条が護衛から外された今、天内理子の命は非常に危険である。
加茂憲倫が生きているのであれば、天内理子を狙ったとしてもおかしくはない。
(どうにか、この状況を高専に伝えら「私は!まだ死ねない!約束したんだから!二人で見つけるって!」
「この声は……!」
まだまだ疑問が尽きない。
だが、考える時間は一旦、ここまで。
この声を無視することはできないから。
弱者生存。このたった一つの信念が術師である自分を形成しているのだから。
☆彡 ☆彡 ☆彡
75
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:07:11 ID:xW/IZ56M0
「一体、何が何なの!?」
木ノ幡みらは困惑する。
自分の記憶が確かなら、天体観測をしていた最中であった。
それが気づいたら、加茂憲倫と名乗る男の人が命じた殺し合いの泳者に選ばれていた。
「やっぱり……夢じゃないよね?」
正直、今でもこの状況を信じがたく思っている。
しかし、この夜風を肌寒く感じる身体。
夢には思えない夜がすっかりと主役の深淵の空に輝く星々。
見せしめとなったヒーローの死と首輪。
それらが、みらに目を背けるなと忠告している。
「加茂憲倫―――貴様ノ企テガ罷リ通ル事ハナイ。コノ私ガ……正義ノヒーローガヤッテ来タカラニハッ!」
あのときは、いきなり殺し合いをしろと命令するのもそうだが、ヒーローを名乗る人が壇上に上がったのを眺めていたとき、随分へんてこな夢だと思った。
まぁ、夢だとしても、人を殺すなんてしたくない。
撮影のエキストラのように安心しきっていた。これで、このへんてこな悪趣味をしなくてすむと。
しかし、TV番組とは違った。
ヒーローはあっけなく散った。
「とにかく、他の泳者と力を合わせなきゃ……!」
とりあえずこの状況を受け入れたみら。
だが、結果的にみらは、楽観視していた。
いくら、殺し合いといっても55人全員が殺し合いに積極的ではないはずだと。
そして、いきなり殺し合いに乗った泳者と出会わないだろうと。
「あの!私、木ノ幡みら。良ければ一緒に行動しませんか?」
「オレはダルイゼン。……ふぅん、もしかして自殺志願者?」
「えっ?」
それが、今の状況に繋がる。
☆彡 ☆彡 ☆彡
76
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:07:31 ID:xW/IZ56M0
「安心しなよ。どのみち人間はオレが作り変える地球じゃあ生き抜くことは厳しいと思うから」
死ぬの?私、ここで死ぬの?
「私は!まだ死ねない!約束したんだから!二人で見つけるって!」
助けて!誰か!!
「それが辞世の句ってやつ?……あのさ、この状況で死ねないって無理でしょ?」
約束があるの!!!二人で……あおと二人で小惑星を見つけるって!!!!
魂の叫び。
―――ブンッ
☆彡 ☆彡 ☆彡
77
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:08:05 ID:xW/IZ56M0
刀が容赦なく振るわれ―――
「ッ!!」
振るわれなかった。謎の生き物が横切り、みらの姿が消えたため。
みらの姿が消えたのと同時に、すぐさまダルイゼンは素早く後ろへ飛び下がる。
その瞬間、ダルイゼンがいた位置の頭上から質量太目なダルマが落ちてきた。
ダルイゼンは頭上へ視線を上げる。
ダルイ展開になったなと。
「え〜〜〜〜〜!!??」
みらは驚愕する。首を刎ねられるかと思ったら、いつもまにか空に飛んでいるのだから。
正確には、エイのような生き物を操る青年にお姫様だっこをされているという状況だが。
「大丈夫かい」
「は、はい……え!?」
(嘘!?この人……加茂憲倫さん!?)
ぎょっとする顔を隠しきれない。
無理もない。自分を死の直前から救い出した人が殺し合いを命じた人物と瓜二つなのだから。
「私は夏油傑。おそらくあの男と同じ顔と声をしている私に言いたいことがあるかと思うけど、今は信じてほしい」
「……」
じっと見つめる。一瞬の間であるが、みら、夏油の両者にとって永遠に感じる間。
一歩間違えば破裂しそうな緊迫。
「……うん。わかったよ」
「……ありがとう」
お互いぎこちない姿。
だが、決裂という最悪の展開へと広がらなかったことが幸い。
「へぇ……主催者自ら参加するなんて、随分チグハグじゃん」
「聞こえないな。もっと近くで喋ってくれ」
(最大で展開できる呪霊は二体までか……やってくれるな)
本来なら、頭上のダルマ呪霊だけでなく左右真横からも呪霊を召喚する予定であったが、できなかった。十中八九、あの男による仕業だろう。
脳内で舌打ちをする。呪霊操術の真骨頂は、操作できる圧倒的な数。
それを問題なく展開できるからこそ、自分は特級呪術師に数えられているのだから。
(私の体内にいる呪霊が数体しかいない謎が解決できたよ……)
あの場で加茂の口演を聴きながら感じていた歯に挟まった小骨のような違和感。
数多くの呪霊を取り込んでいたはずが、今は、両手にも満たない数しか感じられない。
自分や悟といった泳者に対する能力の制限は想定できていたことだが、いざ実戦の場に立つと、加茂に対する恨み節が生まれる。
「ふぅん……」
少女の命を奪おうとした少年の手から光弾が数発放たれる。
エイの呪霊を操作し、それを大きく廻旋して躱すと、素早く地面に着陸させる。
着陸し終えると、そこから降りて、少女を優しく地面へ下す。
「名前は?」
「え?……木ノ幡みら」
「みらちゃん。危ないからこの場から、君はすぐさま離れるんだ」
負ける想定はしていないが、同時展開できる呪霊が二体までなら、みらを守りつつの戦闘はできる限り避けたい。
故に夏油は飛行呪霊を一旦消すと、みらへ指示を出す。
「でも!……うん。わかった」
夏油の提案にみらは何か言いたげな様子だったが、渋々それに了承して、走り去った。
みらが去ったのを確認し終えると、夏油は殺し合いに乗った呪霊らしき少年へ対峙する。
78
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:08:46 ID:xW/IZ56M0
「オレはダルイゼン。加茂憲倫じゃないなら、お前の名前は?」
「呪霊にしてはペラペラ喋るようだ」
「オレは霊なんかじゃない。ビョーゲンズだ」
「なるほど、では”祓う”ではなく”消毒”か」
「……いちいちイラつかせるところ、加茂憲倫とソックリなんだけど」
チラリとダルイゼンは草を見る。
(泳者には、できなかったけど、ナノビョーゲンを発生できるってことは”可能”なはず)
先ほど、木ノ幡みらに対してギガビョーゲンを生み出すのは不可能だったが、おそらく、自然や人工物を対象にしたメガビョーゲンなら可能ではと踏んだ。
自分を制限させているとはいえ、加茂憲倫は”殺し合い”をさせたいのだから。
「進化しろ。ナノビョーゲン」
髪の毛を弄りながら、言葉と同時に発生したナノビョーゲンは、視線の先にある草に向かって一直線へ飛ぶ。
ダルイゼンの読みは当たった。
そして、誕生する。
「メガビョーゲン!!!」
メガビョーゲンが。
「ッ!!」
(呪力とは、違う力か。……用心しないとならないな)
対する夏油も呪霊を展開する。
呼び出すのは、ワームの呪霊。
地中から呼ばれたワームは、メガビョーゲンを見定めると襲う。
メガビョーゲンと呪霊が組み合う姿は、さながら怪獣映画のようだ。
メガビョーゲンはワームに任せると、夏油はダルイゼンへ向かって接近戦を挑む。
典型的な式神使いは、接近戦を苦手としているが、夏油は違う。
接近しての徒手空拳も心得がある。
一方、ダルイゼンも夏油と同様にメガビョーゲンに任せきりな実力ではない。
プリキュアとも拳で渡り合える心得がある。
夏油は、日輪刀の刃をイカの呪霊で防ぎつつ、拳で攻撃を仕掛ける。
ダルイゼンも、もう片方の手で夏油の拳を捌きつつ、反撃を狙う。
「お前さ、実力があるのに、どうして他人を優先してんの?」
「弱者生存こそ呪術師のあるべき姿。弱いものイジメは見過ごせないな」
―――ズドンッ!
ダルマの呪霊が再び、ダルイゼンに襲い掛かる。
それを避けると、ダルイゼンは夏油から距離をとる。
「ふーん、でもさ、弱者生存とかいってるけど、お前も”こちら側”だろ」
「何?」
ダルイゼンの言葉に夏油はピクッと体を震わせる。
まるで、隠していた秘密が暴露される直前の犯人のように。
「口じゃあ、プリキュアのようなことを述べているけど、本当は無理してヒーローごっこをしているんだろ?」
「なんの根拠があって「だって、オレは人間から生まれたんだから」
「だから分かる。とっくに汚染されているくせに、善人を取り繕っているのがさ」
「……」
祓う―――取り込む―――祓う―――取り込む
眼を背けたくなるような味を思い起こす。
「そら、ボーっとしてると怪我するよ」
「しまっ!?」
(呪霊を……ッ!しまった、二体だしたままだ!)
迫りくる光弾。
回避が間に合わない。
指先からイカの呪霊を打ち飛ばして、相殺できるが、呪霊は運悪く今、二体出ている。
普段ならしないミス。
無理もない。この制限。呪霊操術のハンデとしては初めてなのだから。
タタタタタ―――
―――ザンッッッ!
「「!!??」」
二つに分かれた光弾。
驚く夏油とダルイゼン。
なぜなら、その正体は刀を構えたみらだったからだ。
79
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:09:24 ID:xW/IZ56M0
「みらちゃん!?どうして戻ってきたんだ!?」
「助けてくれた恩人を見捨てるほど、私は薄情じゃないよ!何か武器がないか、落ち着いて探すために一旦この場を離れていたの!」
そう、最初からみらは夏油を置いて逃げるつもりはなかった。
しかし、夏油の言う通り、今の自分では足手まといになるのは分かってる。
そこで、自分にも何か武器がないか探すために、一時戦線を離脱していたのだ。
みらに支給された武器。
釈魂刀。
あらゆる物の硬度を無視し、魂すら切り裂くことができる呪具。
普通の刀ではない釈魂刀だからこそ、光弾を切り裂くことが可能としてできた。
「や……やぁ〜〜〜!」
「チッ……!!」
自分を鼓舞するために叫びながら突っ込む。
剣と剣の交差。 火花散る。
普通、素人が剣を振るっても脅威ではない。
むしろ、直ぐに切り捨てられてもおかしくない。
ただ、今のみらは剣なんて扱ったことが無くとも、所謂、人を救う火事場の力を発揮している。
また、ダルイゼン自身も剣を主力の武器として扱わなかった幸運もある。
故に剣と剣が互いに拮抗している。
「……あのさぁ、せっかく助かったんだから、さっさとこの場から逃げればいいじゃん」
「嫌だよ!自分一人だけが逃げて助かるなんて選択、選びたくない!」
「自分のことだけを考える方が幸せだろ」
ダルイゼンの眉間にしわが寄せられる。
みらの言葉に苛立ちが隠せない。
「ねぇ……さっき、貴方、地球を作り変えると言っていたけど、それが貴方の叶えたい願いなの?」
「ああ、それが?」
「地球には何千万という生き物が生活を過ごしているんだよ!星ごと作り変えるってことは、皆の生活を壊すってことなんだよ!?」
水の惑星地球。
地球には、多くの命が生きている。
それが地球の特色である。
また、地球に限らずいえることだが、星には、一つひとつ特色がある。
それを根底から否定し、無理やり作り変えるなんて願い。地学部に所属する身として到底受け入れられない。
「……」
それに対するダルイゼンの返答は―――
「オレが住みにくいから」
「なっ……!?」
―――理不尽そのものだった
「他の生き物なんてどうでもいいね。大事なのはこのオレ。生命が溢れている地球は、ビョーゲンズにとって住みにくいんだ。だから、さっさと死ねよ。このダルイ催しを終わらせたら、この星はオレが暮らしやすく作り変えるから」
他者などどうでもいい。
病気の化身。ビョーゲンズ。
人間とビョーゲンズは理解りあえない。
80
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:09:50 ID:xW/IZ56M0
「……双極分子流って知ってる?」
「?……知らないけど?それが?」
「星の赤ちゃん、原子星。その原始星の二方向から絞り出されるガスのことだよ」
そのガスの流れは、星が成長するのに不可欠。
でも実は、双極分子流が発見されたのは1980年と比較的新しい。
発見当初は懐疑的であった。数個の天体にだけに見られる特別な現象だと。
がその後、多くの観測例がなされたことから、今では、原始星段階で偏在する現象であると判明されている。
「一人では、星は成り立たない!支えあって形成されていくの!自分一人だけがいいなんて自分勝手な人が、星を作り変えるなんて軽々しく言わないで!」
「ッ!?」
あなたには……分からないかもしれない!
脳裏に想起されるは忌まわしき女。
地球をお手当するとか甘いことをいうくせに、オレの救いの手を降り払った女。
啖呵を切っておきながら、足をガクガク震わしている目の前のこの女とあの女が重なる。
「メガビョーゲン!コイツをやっちゃいな!」
普段から強い感情を出さない。
それが出るということは、それだけ”自分を見捨てた女”に強い感情を抱いている証拠。
「メガビョーゲンッ!!!」
主の命令に忠実に従う。それがメガビョーゲン。
木ノ幡みらの命を枯らそうと行動を起こそうとする。
が―――
―――グンッ
「私を忘れてしまっては困るな」
それは、大きな龍だった。
龍が大きな口でメガビョーゲンを咥えながら空高く昇る。
「メガ……ビョー「やれ」
抵抗する間もなく命令が下された。
その言葉に呼応し、豪快に胴体をガブリと噛み砕く。
ここは、加茂憲倫による殺し合いの儀。
日曜8時30分に放送される女児アニメのように、ヒーリングッバイなんて浄化されずに、メガビョーゲンは消滅した。
メガビョーゲンの消滅を確認すると、役目を終えた虹龍は姿を消す。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
(思ってたより、虹龍の消耗が激しいな……再び使役するには、時間が必要……か)
虹龍は自分が所有する呪霊の中でも上位の呪霊。
予感はしていたが、他の呪霊のように短時間にポンポンとだせそうにはない。
私でこれなら悟はもっとか……
ま、悟なら問題ない。
なんてったって私たちは最強なのだから
そうだろ?悟
「……」
(アイツと同じでこっちも消耗が激しいな……潮時かな)
ダルイゼンも同じであった。
すぐさま新たなメガビョーゲンを生み出すことは叶わない。
ダルイゼンは髪をガシガシと乱暴に掻くとこの場を立ち去ろうとする。
「どうした?バイバイキンと逃げ出すのか」
背を向けるダルイゼンに投げかける挑発。
チッと舌打ちをすると、ダルイゼンは二人に顔を向ける。
「本当にムカつく人間だな……おい、木ノ幡みら」
「……何」
「お前の名前、覚えたよ」
それだけ、伝えるとダルイゼンは去っていった。
「深追いは危険……か」
夏油は、この戦闘で自らの術式に制限があることを知った。
また、みらに支給された釈魂刀のようにどのような支給品があるのか、分からない状況。
無理に追うのは悪手。
そう判断すると、夏油は、ダルイゼンが去っていくのを追いかけることは断念した。
「はぁ〜〜〜〜怖かった〜〜〜」
緊張の糸が切れたのだろう。
みらはペタリと地面に座り込んだ。
その姿に夏油は微笑みを返すのであった。
☆彡 ☆彡 ☆彡
81
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:10:11 ID:xW/IZ56M0
「やれやれ、助けるはずが、助けられちゃたかな」
「ううん。そんなことないよ。私のことを助けてくれてありがとう!」
ペコリと夏油に頭を下げるみら。
その姿を見つめ、頭を上げたみらに夏油はスッと目を細めると疑問を投げかける。
「……君は怖くないのかい?」
「え……」
夏油の言葉にみらは体を膠着させる。
まるで、それは蛇に睨みつけられた蛙。
「私は、見てのとおり、この殺し合いを強制させている加茂憲倫と同じ顔や声をしている。普通なら警戒すると思うけど」
「……正直にいうとね、始めはドキッとしちゃった」
みらのその言葉に夏油は、やはりなという表情になる。
抱きかかえた自分の顔を見たときのみらの顔は忘れられない。
わかっていたことだが、夏油にとってそれはキツイ返答。
”弱者生存”それが夏油が望む術師の在り方。
しかし、守るべき対象に拒絶される。嫌悪される。
守るために、呪霊を取り込み続けなきゃいけない苦しさを耐えていることが馬鹿らしくなる虚しさ。
ていうかさ、弱者生存とかいってるけど、お前も”こちら側”だろ
虚しさと同時に先ほどの”言葉”が体中に染み渡る。
まずい、信念が揺らぐ。
弱者故の尊さ。弱者故の醜さ。
今後も出会う非術師の泳者からそんな目で見られるのか―――?
このままだと、その分別と需要ができなくなってしまう。
普段なら笑って流すことができるが、今の置かれている自分の状況は実は、結構堪えている。
ブレるな。許容しろ。
―――■め―――
「だけど……」
「……!!」
(はっ!?私は一体何を……)
良くない思考へと堕ちる所をみらの言葉で引き戻される。
元々、天内理子を護衛する前から、心が陰惨で重くなりかけていた。
現に、後に夏油傑は、非術師を■だと自分に言い聞かせる。
「……だけど?」
正直、これ以上、自分を否定されるような言葉は耳にはしたくない。
だが、気にはなる。
故に続きを促した。
「私の顔を見て、夏油君の顔……とても苦しそうに見えた。その顔を見たとき、私、本当に申し訳ないことしちゃったなと。だって、せっかく助けてくれたのに、私の顔って嬉しそうじゃなかったよね?なのに、文句も言わずに、私の安全を考えてくれた。ダルイゼンと一人で戦っていた。……だから、私は信じるよ。たとえ同じ顔や声をしていても、夏油君はあの加茂憲倫と違うって!」
「そうか。……はは!そういってくれてありがとう、みらちゃん」
夏油はみらに向けて笑い声に笑顔を見せる。
もっとも、その笑い声は、その場においての仮初の笑い声。
口では弱者生存と言ってはいるが、それを自らが実現するために行うのは、しんどい面がある。
呪霊操術は心を消耗する術式。
故に、この世界において心の底から笑えたことなんてない。
それは、親友である五条悟にも明かしていない夏油の吐露。
「だから……よろしくね、グレートG君」
「……グレートG君?」
「うん。……えっと、私、ニックネームつけるの得意だから。それで夏油傑君。夏油君の頭文字はGでしょ。それで、”カペラ””ポルックス””プロキオン””シリウス””リゲル””アルデバラン”を結んで、できた形を”冬のダイヤモンド”っていうんだけど、それとオリオン座のぺテルギウスを繋げてできたのを”グレートG”と呼ぶんだよ!だから、グレートG君!!!」
彼女は、両手を腰につけて自信満々に説明する
私にぴったりで、いいあだ名でしょといわんばかりに。
「……」
「ぷ……ふ……ふふ…ははははは!!!!!」
何なんだ、この子は。
目を輝かせながら熱弁するその姿。
先ほどまで、足をガクガク震わせていたのが嘘のようだ。
私のあだ名が”グレートG君”だって!?
今までの私だったら、そのようなあだ名、お断りしていただろう。
当然だ。そんな素っ頓狂なあだ名を悟や高専の連中に聞かれたら、一生イジられるに決まっている。
だけど―――
―――生まれてはじめて心の底から笑った
82
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:10:32 ID:xW/IZ56M0
「え!?え!?どうしたの!?そんなに笑うほどかな!?」
大笑いする夏油の姿にみらは、あたふたする。
渾身のあだ名のつもりが、まさかそこまで爆笑されるとは思わなかったから。
「いや、何でもないよ。ただ……お互い同い年だから君は付けなくて構わない。私のことはグレートGでいいよ。よろしくね、みら」
「わかった!それじゃあ、改めてよろしくね。グレートG!」
双極分子流―――それは、星の産声。
星は一人では形成しない。
人同士の絆も同様。
術師と非術師。線引きなんかない。
今、ここに術師と非術師が真に互いに歩み寄れた瞬間であった。
【一日目/E-1・路上/未明】
【木ノ幡 みら @恋する小惑星】
【状態】疲労(小)怪我(中)
【装備】釈魂刀@呪術廻戦
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
【思考・行動】
0:グレートGと行動を共にする
1:できれば、早くあおと合流したい
2:あお……約束したもんね。だから生きようね
【備考】
※参戦時期は12話学校の屋上で天体観測の最中からです。
【釈魂刀@呪術廻戦】
木ノ幡みらに支給された刀の呪具。
あらゆるモノの硬度を無視し、魂を切り裂くことができる刀。
ただし、その効果を十二分に発揮するには、無機物の魂すら観測する目が必要である。
本ロワでは、女子学生でも十分に扱える重さに調整されている。
なお価格は5億円だそうである。売れば夢のある金額だが、年末ジャンボの1等以下。
なら年末ジャンボを買おうで終わる話。
「みんなで買おうよ♪ 年末ジャンボ宝くじ♪愛と希望の年末ジャジャジャ ジャーンボ♪」byジャンボ宝くじ【交響曲】
【夏油傑@呪術廻戦】
【状態】疲労(中)虹龍使用不可(黎明まで)
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考・行動】
0:みらと行動を共にしつつ首輪の解除
1:休息をしつつ、悟との合流を目指す
3:加茂憲倫の目的は……?
4:ふっ……グレートG君か……ははは!
【備考】
※参戦時期は第27話「懐玉-参」沖縄滞在の最中からです。
みらのあだ名【グレートG】を受け入れました。
制限により、持ち込めている呪霊は以下の通り。
エイのような飛行呪霊
かたつむりのような感知用呪霊
おかっぱ小人呪霊
ワーム呪霊
イカ呪霊
だるま呪霊
虹龍(一度使用すると2時間の時間制約)
なお、一度に同時に展開できる呪霊は二体まで。疲労も蓄積される。
☆彡 ☆彡 ☆彡
83
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:10:48 ID:xW/IZ56M0
―――スタッ
「……」
「クソッ!」
ダルイゼンは怒りを隠しきれない。
周囲の草花を日輪刀で薙ぎ払うという、らしくない行動がその証。
今、ダルイゼンの木ノ幡みらに対する認識は。キュアグレースと同じとなった。
「木乃幡みら……」
「オレを苔にした代償は必ず……ッ!」
病魔は治らない。決して。
【一日目/E-2/草原/未明】
【ダルイゼン@ヒーリングっど♪プリキュア 】
【状態】疲労(中) メガビョーゲン生み出し不能(黎明まで) みらに対するイラつき
【装備】日輪刀(煉獄杏寿郎)@鬼滅の刃
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
【思考・行動】
0:優勝して、地球を暮らしやすく作り変える
1:一旦、名簿や他の支給品の確認をしつつ休息
2:木ノ幡みら……ッ!
【備考】
※参戦時期は42話、キュアグレースに拒絶され、キングビョーゲンに取り込まれた後からです。
制限により、瞬間移動はできません。空を浮かぶことはできますが、疲労が蓄積します。
同じく制限により、人間の身体を宿主として潜むことはできません。
メガビョーゲンを生み出し、使役することは可能ですが、時間の制約があります。(1回の使用で2時間使用不可)
ギガパーツを取り込めば、強化はできますが、人を媒体にするギガビョーゲンは生み出せません。
【日輪刀(煉獄杏寿郎)@鬼滅の刃】
ダルイゼンに支給された炎柱こと煉獄杏寿郎の日輪刀。
余談だが、PROOLICA発売の煉獄杏寿郎の日輪刀には杏寿郎ボイスの【うまい】モードが搭載されている。
「うまい!うまい!うまい!うまい!」by 煉獄杏寿郎
84
:
表裏一体50:50〜セカンドオニピオン〜
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/06(土) 23:11:01 ID:xW/IZ56M0
投下終了します。
85
:
◆s5tC4j7VZY
:2024/01/07(日) 10:26:17 ID:E7fENt920
すみません。恥ずかしいミスをしました。
タイトルですが、〜セカンドオニピオン〜ではなく、〜セカンドオピニオン〜 でした…
正式名称は、表裏一体50:50〜セカンドオピニオン〜 でお願いします。
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