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児童文庫ロワイヤル
382
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:42:04 ID:???0
コトコトコトコト。
給湯室、と入り口のドアにプレートを付けられた部屋は、8畳ほどの広さの真ん中にテーブルが置かれている。そこに鍋敷きをひくと、エリンはコンロから鍋を持ち上げて慎重に置いた。
「陽人君。」
「うおっ!?」
窓辺の和泉陽人は、声をかけられると飛び起きて、慌てて周囲を見渡すと。
「悪い、寝てたか……」
「だいじょうぶだよ、何もなかったから。」
「なにも、か。」
バツの悪そうに言うも、エリンにそう言われて、心配そうな顔をした。
エリンたちがこの美術館に来てから数時間が経った。ハンターから逃げようと動いていた時、周りが駐車場や庭園になっていて近づく者に気づきやすい建物を見つけて入ったのだ。屋内に入った途端に大量の銃器があることに驚いたり、監視カメラを見つけてホッとしたり、電話が繋がらなくてガッカリしたりと、他の参加者がここ数時間でやったことを一通り経験して。他のグループと違うところというと、その間陽人が気を張り続けていたことだ。
(長いな……)
逃走中ではなかなか無い長丁場に、陽人はすっかり疲れ果てていた。彼のこれまでの経験が裏目に出ていた。これほどまでに何も無い時間が続いたことなど、逃走中では無かったのだ。
立ち上がると、心配を顔に出しながらモニターを眺める。高価なものもあるからか、防犯はしっかりしているらしい。まさか殺し合いの場に怪盗などいないだろうに、どうやらちゃんと監視カメラ機能しているようで、その無意味さが不気味に感じる。視線を外しかけたその時、モニターに動く影を見つけて、陽人が二度見したと同時にけたたましいアラームが鳴った。
敵か! ハンターか! そう思ってモニターに近づくと、制服姿の少女の慌てた様子が映っている。そしてカメラの方に向かって何やらジェスチャーをして、慌ただしく駆け出した。数分もせずにガチャリと部屋のドアが開く。だが陽人は動くことはなかった。それが誰かわかりきっていたからだ。
「ごめんなさい……」
そう言いながら入ってきたのは、このチームでは最後の一人、小川凛である。陽人はため息をつくと笑って防犯センサーを切った。
つくづく、自分の知るゲームとは違うと思う。こんな頼りになる設備を自分が使えれば、ハンターから逃げるのももっと楽になるだろう。時間といい自分の常識の通じなさを感じる。
そう思うとようやく、少し肩の荷が下りた。これまでの何時間かは、いつハンターが四方から殺到してこないか、実は美術品に紛れていてタイマーで放出されるんじゃないかと気を張り続けていた。なにより、あまりに何も起きない時間が長過ぎたのだ。いつ襲われるかと思いながら過ごすのは、とてつもなく時間の流れを遅く感じさせる。
(こんなことなら、小清水を拾ってきてやったら。)
そうなると自然、目の前で死んだ小清水凛のことが思い出される。あの硬直していく姿は、目を閉じれば今も瞼の裏にこびりついて離れない。あの死に顔を忘れることは、きっと無いのだろうと思う。
それでも陽人は、冷静になろうと考えた。自分が一番ハンターの脅威をわかっている。彼女ですらハンターに見つかれば振り切るのは容易ではなく、あんなにもアッサリと命を落としたのだ。そしてアイテムのように置かれた銃や刀。仮にハンターがいなくても、危険な人間はおそらくいるだろう。そうなれば自分一人で死体を運ぶなど無謀でしかない。もちろんエリン達を巻き込むわけには行かないので、己一人で死体を──
(死体……アイツを死体として……)
「陽人君?」
「……ああ、ありがとう、いただきます。」
見知った仲間を、人間ではなく物として運ぶような発想に行き着いて、陽人は不機嫌に立ちすくんだ。遺体1つ弔ってやれないことに、どんな顔をすればいいのかわからない。
それでもエリン達が無理矢理でも明るく振る舞っているのを見て、陽人はなんとか強張った顔を緩めようとしつつテーブルについた。
383
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:42:49 ID:???0
「この匂いなんだ……飯でも食ってんのか?」
陽人たちがいるその美術館の駐車場で、毒づく1人の少女。
名前は竹井カツエ。彼女のその手は、右手はテーピングで固められ、左手は拳銃が握られている。小学生には似つかわしくないその姿は、眼光の鋭さもあって、胡乱な雰囲気を感じさせるには充分であった。
空寺ケンとの戦闘から時間にすれば、数時間というほどは経っていなかった。互いに空手の実力者、男女の性差も小学生同士ではむしろ女子に有利に働く。銃ではなくあえて己が信を置くステゴロを選んだ2人の戦いは、ルール無用のバーリ・トゥードと化し、最後はハンターの乱入によって決着となった。
あれからしばらく。その間カツエは手傷の手当てに当たっていた。組手もやるのだ、その辺りの知識は運動しない子供よりはある。彼女はひとまず動けるようになると、街をさまよい、見つけたドラッグストアを漁って必要な物を手に入れた。熱を持った傷をアイシングし、ガチガチにテーピングで固める。彼女にできる限りのことをすると、最後に痛み止めをがぶ飲みした。
それが効いてきたのか、しばらくすると小走りできるぐらいには痛みが引いてきた。傷を痛めないように念入りにストレッチすると、適当に食べ物を口にしようとした時、ふと防災バッグを見つけたのでそれに詰め込む。苛立たしげにグミを口に放り込んで、とにかくもう少し安全な場所に移動しようと、カツエは足早に、しかし痛みからゆっくりと歩き出した。このドラッグストアは外から中が丸見えすぎる。店としてはそれで良いのだろうが、安心して腰を落ち着ける場所には程遠い。
(なんなんだこの平たいビル、まあなんでもいい、中の奴をぶっ殺して……)
そうして街を歩いている時に見つけたのが、凛たちがいる美術館だった。霧の中から突然現れた、開けた空間の奥にある建物。場違いに思えるほど手入れがされた庭園には、謎のオブジェも点在している。カツエは遠巻きにそれを見ると、侵入できる場所を探して駐車場へと行き着いた。1つだけ換気扇が回っている小部屋(といっても他と比べてだが)があり、そこからは美味そうな匂いが流れてくる。そう言えばここに来てからろくに何も食べてない、そんなことが頭をよぎった時だ、後ろからかすかに足音が聞こえたのは。
「しいっ!」
「うわっ!」
ズガン!と銃弾が停車してある自動車を撃ち抜く。カツエが躊躇無く発砲した弾丸は、元々狙いなどつけていないのでどこかに飛んでいき、その隙に尻餅をついた少年、陽人は素早く車の影に転がり込んだ。
「待て! 殺す気はない!」
「るっせえ!」
振り向きざまに撃って当たるなどカツエ本人も思っていない。拳銃を連射しながらダッシュすると、陽人を蹴り殺そうと距離を詰める。見敵必殺、人を見たら見つけ次第殺す、頭にあるのはそれだけだ。
車の周りをカーブするタイミングで更に撃ち、すぐさま突っ込む。陽人は同じタイミングでカツエから対角線になる位置に駆け込んだ。発砲するが、素人の腕ではわずか数メートルの距離でも当たらない。舌打ちをして追いかけるが、再び角を回ったときには陽人の姿は無かった。どこに行った?その疑問は直ぐに解決した。視界の上方から何かが飛んでくる。とっさにバックステップをすれば、ボンネットから屋根を足場に飛び込んできた陽人が、目の前にいた。
「ヤバ──」「死ねえ!」
叫んだのは同時、動いたのも同時。
カツエが引鉄を引いた瞬間、陽人は反射的に腕を上げる。その腕がカツエの手をずらし、そして銃口からは弾が発射され、ない。
384
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:43:51 ID:???0
(弾切れ!?)
「ガッ!?」
撃ち尽くしたことを理解するより先に、今度はカツエが反射で殴りつける。今度も腕を動かされるが、体に染み付いた武道の動きは、人間の反射をも超える。鳩尾こそ外したとはいえ正中線にガードも虚しく正拳突きが突き刺さり、陽人は肺の中の空気を出しながら吹き飛ばされた。
「はっ……なるほど、罠だったってわけね。」
「違っ! ぐっ……!」
上体を起こしている所に横から蹴りを入れてうつ伏せにすると、カツエはその上に乗った。にわかに鼓動を早くした心臓を落ち着かせるように深呼吸して辺りを見渡す。すると中空に赤い光が見えた。よく見ればそれが監視カメラだと気づく。なるほどこれで気づかれたかと、他にも何かないか探すと、車の脇に立ち竦む2人の少女と目が合った。
(……なんだこいつら。)
少女たちが動かないように、カツエも硬直した。この銃弾が飛んでくるがもしれないところに突っ立っている2人は何なのか。殺し合いの場だどいうのに手ぶらである。ではカツエのように腕に自身があるのかというと、とてもそうには見えない。片方は中学校の制服だろうか、天然なのかパーマなのか、とにかくウェーブした髪が特徴的な少女だ。もう片方は、緑の髪に緑の瞳、さらに民族衣装らしきものに身を包んだ奇抜な格好の少女である。2人とカツエは見つめ合っていた。
「……お前ら動くな、コイツ殺されたくなかったら武器捨てろ。」
「は、はい……」
弾の切れた拳銃を陽人に向け、弾が無いのだからこれでは脅しにならないかと2人に向け、いや2人に向けても脅しにならないのは同じだと思ったが、とりあえず格好として向ける。すると2人は、慌ててポケットなりから拳銃を地面におっかなびっくり置いた。
すると拍子抜けするのはカツエである。まさかこんな、ド三流のチンピラムーブを自分がすることになるとも、それで相手が従うとも思っていなかった。コイツらは弾切れだと気づいてないのか?その可能性に気づいてカツエは薄く笑う。どうやら頭の弱いいい子ちゃんなのだろう。ならカモだ。
「あ、あの、こんなことやめませんか。」
「うるせえ! 早くその銃、こっちに滑らせろ。」
「そんな……」
「早くしろぉ! 撃つぞゴラァ!」
「凛さん、それは……」
「だ、大丈夫……もう撃てないから……」
「チっ!」
いやバレている。ならなんなのだコイツらは。さっき銃を出したときそのまま撃っていれば良かったではないか。カツエから見れば不合理な行動に困惑が深まる。目的がわからない。殺し合いを前提としたその頭では。
カツエは銃を捨てると、陽人にバックチョークをかける。もういい、まずはコイツを殺ってから、次はお前らだ。そう考えると、首輪が邪魔でうまく締められずまごついているところに曲が流れ出す。
『──強くなれる理由を知った。』
「なにっ?」
陽人の首輪だけではない、カツエ自身の首輪からも、横に停まっている車のカーラジオからも、美術館の館内放送からも、エリンたちからの首輪からもだ。
「お前ら動くな!」
「ち、違うよ、私たちじゃないよ!」
「……ミッションか?」
「みっしょん?」
混乱する3人と、1人ダメージに顔を歪めながらも冷静に何が怒るかを察する陽人。気色ばむカツエを無視するように、第一回放送が始まった。
385
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:44:18 ID:???0
コポコポコポコポ。
ぬるめのお湯を注ぐと、4人分の湯呑みから茶葉の香りが匂い立つ。
エリンはお盆を持つと、それをテーブルの上に置いた。
「ありがとう。」
反応を示したのは陽人1人だ。カツエはポトフをがっきながら鋭い目を向けるだけだった。そして、凛は、泣いていた。
『広瀬崇』
その名前が呼ばれた時が、戦いに水が入ったタイミングだった。放送が始まって直ぐにその趣旨が当の放送によって伝えられ、自然と全員がそれに耳を傾けることになる。エリンたち3人は元より、カツエも自分の家族の名前が呼ばれていないかは当然気になる。そうして無事に『た』で名前が呼ばれなかったことで安堵し、小清水凛の名前が呼ばれてもわずかに身じろぎするだけだった陽人を締め直し、さてこれからどうコイツらを片付けるかと思っていた時だ。
「広瀬、崇……?」
膝から崩れ落ちる人間など、空手をやっていてもそうそう見ることはない。その貴重な実例をカツエは目にした。
その名前が呼ばれた瞬間、凛の体から全ての力が抜けたように見えた。横のエリンがとっさに支えていなければ、打撲は免れなかっただろう、ストンという落ち方。
カツエが何もしなくても、少女たちは無力化された。エリンは凛を見捨てて動けるようなたまでないことは短い間にわかった。その凛は明らかに顔面蒼白、1人では動けもしないだろう。そして陽人は自分が首に手をかけている。負ける要素など、ない。
それでもカツエは、放送が終わるまで、自分の腕に陽人が手をかけるまで動けなかった。
「……殺し合いなんてやる気はないよ、みんな。あんたもそうじゃないか。」
「ア……チっ!」
違う、そう言い捨てようとして、しかし、言葉に詰まった。殺し合いに乗っている。そう口にするには、あまりにも、あまりにもこの場の空気は死んでいたのだから。
(……いや、待てよ、そもそも、そもそも最初は同盟相手探そうとも考えてたんだ。ならコイツらって使えるんじゃねえか? たぶんクッソお人好しだもん。)
「俺は和泉陽人、あんたは?」
「……殺し合えば何でも願いが叶うんだろ? 信用できるか。」
「あんなくそみたいな放送の方が信用できねーよ。だろ?」
「……そうか、竹井カツエだ。」
それにもう1つ、カツエが方針を改める理由があった。
放送していた死野マギワは、カツエの参加していた絶体絶命ゲームの進行役である。ゆえに、彼女はその放送を真実だと受け取った。たとえ織田信長が呼ばれようが明智光秀が呼ばれようが、あの放送内容自体が何かのヒントも兼ねたのだと受け取った。残念ながらメモを取ることはできなかったので全部は憶えきれないが、それでも人数は把握した。
だが陽人たちはマギワもツノウサギも知る様子を見せなかった。だから真に受けない、信じない、値千金の死亡者情報を。信じることなどできない、あんな非現実的な内容を。
(家族の名前とか呼ばれればともかく、そうじゃないなら信じないもんなのか。てことは、コイツらが殺しに行く可能性は低い……?)
そして信じないからこそ安心できる。カツエは十中八九、追加ルールによるキル数レースは真実だと考えていた。あんなルールが追加されれば、集団で動くことなどできない。人数が集まれば集まるほど、殺し合いに乗るメリットが増える。だが、あの放送を信じないのであれば、その意味は大きく変わる。カツエだけが3人殺せるポイントをキープしているに等しい。
386
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:45:13 ID:???0
(なら、今ここで無理して殺す必要はないよな……あと6時間、放送ギリギリまで、こういうバカを集めて、最後にぶっ殺せば──)
「あの……」
「あ?」
エリンに声をかけられて、カツエはスプーンが止まっていることに気づいた。どうやら考え込んでいたらしい。ちょうど小腹も空いていたところに出てきた暖かくて優しい味の飯に、張っていた気が緩んだのは仕方のないことなだろう。これではいかんと出されたお茶をゴクゴクと飲み、飲んでからこれに毒が入っている可能性を考えて、青い顔になるが、何も起きないのでホッとする。当のエリンはというと、凛の横に座って話しかけていた。
(アタシだけかよ……)
「竹井、大丈夫か?」
「……なにが?」
「いや……ほら、手だよ。」
「あぁ……アンタは?」
「俺は……あー、いいパンチだったぜ。」
「あっそ。」
陽人も、無理をしているのが明らかだった。顔は強ばり、じっと監視カメラの映像を見ているかと思えば、落ち着かないように部屋の棚や引き出しを漁ったりしている。そうしてしばらくすると、袋菓子の小袋を1つ開けて、また監視カメラの映像を見始めるのだ。
誰も彼もが疲れた顔をしていた。たった6時間、知り合いの名前が呼ばれた信用できない放送が流れただけで、それまで保っていた連帯が崩れている。カツエはこの3人がまともなグループだった頃を知らないので、やけに辛気臭い奴らに潜り込んでしまったと思った。
(やっべ眠くなってきた……この空気も疲れるし……いやでも、さすがに寝たらやばいか?)
現に今、こうして自分は飯まで食っている。エリンたちはあの戦闘にも関わらず、カツエをパニックになっていただけだと判断してなんと受け入れたのだ。実際問題あの時のカツエは殺られる前に殺ろうと思ったから撃ったので出会い方が違えばもっと表面上は穏便に殺るはずだったのだが、ともかく寝れるときに寝るのはいいかもしれない。自分に気づくぐらいには注意深いのだし、センサー代わりと考えればアリだろう。
「そこのソファー借りるよ。」
これはある意味賭けだ。凛たちが度を越したお人好しならば、利用価値はでかい。なにせ81人の死者だ。カツエが首輪を外すには1人で10人近く殺さなくてはならないかもしれない。その時のために、同じようなお人好しを集めるお人好しホイホイとして、そして肉の盾として使えるか。
「カツエさん、どうぞ。」
「お、あんがと。」
直ぐに立ち上がりパタパタと小走りで棚からタオルを渡してきたエリンを見て、カツエは思う。特にコイツは使える。何人だか知らないけどきっと利用できる。後は、カツエ次第だ。
(せいぜい利用させてもらうよ、エリン。)
(カツエさんはよく見張ってないと。)
そのエリンがカツエを危険視していることに気づかぬまま、彼女は眠りにつく。その緑の瞳の慧眼さは、彼女の予想を超えていた。
エリンはこのグループで、実は放送を真実だと誰よりも思っていた。そして同時に同じぐらいに疑っていた。いわばフラットな中立の視点である。
親が処刑され天涯孤独の身となった彼女を助けた蜂飼いのジョウンから学んだ様々な知識は、この場ではほとんど役に立たない。だがそれでも、人の話というものが、時に自然と、つまり真実を言い表していることもあれば、誤りや過不足があることもあることは、変りなかった。
エリンはツノウサギのことを知らない。死野マギワのことも知らない。彼女たちがどのような立場で、どのような知識を持って、どのような事情で、どのような目的であの放送をしているのか、正しいことは何もわからないのだ。また彼女がリョザ真王国の、大公領の、その中でも異端の霧の民ということも大きいだろう。生まれからして本来なら言葉が通じるかも怪しい異民族の中で、異民族の文化を受けて育ったのだ。必然的に己の見え方が他とは違うことを、環境が教える。たとえ差異が無くてもあることになる。
だからエリンは、竹井カツエという生き物を最初から観察していた。彼女の闘蛇を思わせる殺気立ち方に、なぜそうなったのか気になったのだ。そうして気づいたのは、違和感だ。なにか、なにか思い違いをしているように思えてならない。凛や陽人と同じような、単に殺し合わさせられている子のはずなのに。
緑の瞳は見えないものまでまなざせるのか?
387
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/06/04(水) 07:48:21 ID:???0
投下終了です。タイトルは『緑の瞳は見えないものまでまなざせるのか?』になります。
388
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:37:58 ID:???0
状態表忘れてました
【0624 『東部』都市部・美術館】
【エリン@獣の奏者(講談社青い鳥文庫)】
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
凛さんたちが心配した。
●小目標
カツエさんに違和感。
【和泉陽人@逃走中シリーズ(集英社みらい文庫)】
【目標】
●大目標
この殺し合いから脱出する。
●中目標
監視カメラを見張る。
●小目標
小清水……
【小川凛@泣いちゃいそうだよシリーズ(講談社青い鳥文庫)】
【目標】
●大目標
???
●小目標
???
【竹井カツエ@絶体絶命ゲーム 1億円争奪サバイバル(絶体絶命シリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
生き残り人生をやり直す。
●中目標
凛たちを利用して殺しまくれるタイミングを待つ。
●小目標
寝る。
タイトルは『緑の瞳は見えないものまでまなざせるのか?』になります。
それでは投下します。
389
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:39:22 ID:???0
一つはっきりしたことがある。このままではこのグループはダメだ。
アスモデウス・アリスは、睨み合う宮美ニ鳥と山田奈緒子を見て、言葉が通じないのに思った。
「ここで時間を無駄に使うわけにもいかない、しかし、言葉が通じるのはかぐやだけ……悩ましいな。」
「石川さん、もうええやろ。三風探しに行っても。アイツだってこの辺にはおらんのとちゃいます?」
「すみませ〜ん山田ですけど……ま〜だ時間かかりそうですかね……」
10人の殺し合いを良しとしないものが警察署に残ったのは30分ほど前のことだ。
5名の動ける人間が病院の捜索に向かっている。それもこれも、ニ鳥が山田を銃撃したためである。そうアリスは理解していた。
先の戦いでは、元から警察署にいたらしい双葉が意識不明の重態となった。彼女に何が起こったかはわからないが、そうとう傷は深いようで、今はもう喋ることもできなくなっている。ハッキリ言えば、彼女だけであれば病院を探そうという話にはならなかったかもしれない。医者がいるかもわからないこの場所で見ず知らずの子供1人助けるために危ない橋を渡る者はそういないだろう。その意味ではニ鳥が呼んでいたチョコというドレスの少女も同様である。こちらも意識不明の重態だ。しかも双葉のように原因がわかっているわけでもない。頭というどうしようもない怪我も、原因がわからないどうしようもない昏睡も、見捨てるには十分な理由だ。
怪我と言えば、五エ門と白銀もである。直接戦闘した五エ門は深刻な打ち身らしいし、白銀も首を痛めている。だが彼らの怪我も、命に別状は無いだろう。治療は必要だろうが、最優先に考えるほどかは場合による。
問題は山田だ。腕を貫通する傷を負った彼女は、早急に治療しなくては確実に死ぬ。だが治療さえすればおそらくは生き残る。これが厄介だ。彼女を中心に考えざるをえない。
「……まだ待て。そろそろ連絡がある頃合いだろう。」
そう言う五エ門も、病院が見つかれば治療すべき程度には負傷している。アリスもだ、割と消耗している。ハッキリ言えば、シャワーでも浴びて一眠りしたいほどだ。それもこんな空気でなければできたのに。
あらためてアリスは思う。これだけの、おそらくは今すぐには殺し合う気のない人間が集まっているのに、まるで組織として成り立っていない。10人の殺し合いに反対する人間のうち、満足に戦えるのはほぼゼロである。それどころか、その内の2人は殺し合った中である。命に関わる怪我をした子供もいる。未だ目を覚まさないどれほどの症状化もわからない子供もいる。これでどうやって一枚岩になれというのか。10人もの人間が大量の武器を手に入れられる状況でありながら、状況は好転するどころか、いつ血を見てもおかしくない一触即発である。
「……い、ぬ……?」
「……あー?」
「刺激すると寝言みたいのは出てくるが、また直ぐに気絶してしまう。これは……」
寝たきりの女児ふたりを看病するのは、首を動かせない同年代らしい人間。アリスからすればいっそ食い殺して傷を直したくなる光景だ。死んでも困らずむしろ疎ましい足手まといがいなくなると喜びさえする者も、この空間にはいるだろう。もちろんそんなことをすればかぐやの不興を買うリスクがあるのでしないが。それにそもそも人間は入間に献上することが第一である。
会話が無くなり、また重苦しい空気が漂う。寝るわけにもいかずに無駄に起きていることにストレスを覚え始める。そのいらだちに拍車をかけるように何かの音が鳴った。
「はい、もしもし……ええ。」
かぐやがスマホで通話していた。彼女は真剣な顔で答えている。もしやようやく、そう思ったアリスはすぐにその判断の正しさを知った。
「神楽さんたちが病院を見つけたそうです。」
390
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:39:48 ID:???0
「待つネ、双葉はどうする気なんだヨ。」
神楽は病院内の武器を集めていくナルト達の前に立ちはだかった。
警察署を出発して病院を探しに出かけた神楽、ナルト、サスケが目的地を見つけたのは10数分前のこと。だがそれから今までの間に、彼らの中には亀裂が生まれていた。
「それは……でも、サクラちゃんが……」
「お前、双葉が死にそうなのに死んだ仲間に会いに行く気──」
バツの悪そうに言うナルトに、食ってかかろうとした神楽は、しかし最後まで言い切れない。顔を赤くしていたのに一転して血の気が引いて、握り拳を力無く落として呟いた。
「ゴメン……言いすぎたヨ。」
「……わかってるってばよ。」
らしくないしおらしさを見せる神楽に、ナルトは気にしていないという感じで言う。だがその言葉が出てくるまでの顔は今にも神楽をぶん殴ろうと言わんばかりの表情だった。それを無理やり押し込んで、笑って誤魔化そうとして、出たのは上ずった声と、ひきつった顔と、ひと粒の涙だった。
春野サクラが死んだ。証拠写真付きでその事実を知らされた時、ナルトはそれまでの優先順位とか、そういった物が一気に吹き飛ぶ感じがした。
ナルトはサクラが好きだ。自分と同じものを感じるサスケを、ライバルと決めたサスケを、一途に愛しているかわいい女の子だ。顔とか才能とかでサスケに負けているからだけではなく、親がいなくて非常識だからだとかで彼女に嫌われていると知った時には、それは傷ついたものだが、それでも見返してやると思って、修行や任務に励んだ。この間は波の国で命がけの任務だったが、それでもなんとか達成して、身も心も強くなっただけでなく、少しは彼女に認めてもらえるようになったのだ。
春野サクラが死んだ。彼女の死体の画像を見せられた時、ナルトはそれまでの色々なものが一気に崩れる感じがした。火影になってみんなに認められる。その最初のみんなが、もういない。自分を好きになってほしかった一番の人が、もういない。自分を蔑む木の葉隠れの里のみんなのように、自分を嫌う彼女を見返したい、認めさせたい、そう思っていたのに。
言葉にできない様々な感情が腹の中でグルグルしている。熱を持ったそれが身体中をかけ巡る感覚がする。ミツキにかつて木の葉を襲った化け狐がお前だと言われた時のような、目の前でサスケが殺されたと思った時のような、あの感覚がする。それがなんなのかわからずに、ただ力として振るうこともできたのにそれをしなかったのは、傍らに同じように彼女の死を悲しみから憤るサスケがいたからだ。
「オレたちの任務は病院の捜索だったはずだ。目的は達せられた。ここからは好きに動かせてもらうぞ。」
「そんなこと──」
「神楽、お前だって知り合いとここで合流できるから双葉の所に戻りたくないんだろ。」
赤い瞳──写輪眼でそう言うサスケの目は、憎悪に光っていた。ナルトがサクラの死に名前のわからない感情を抱いたままだったのは、先に憎悪を表に出したサスケがいたからだ。
サスケもまた、同じだった。一族郎党を殺され、復讐を誓った中で、忍としての初めての仲間の1人がサクラだった。孤独というものを知らずにナルトの陰口を叩く彼女をウザいと思ったこともあるが、彼女にチームワークをはじめ能力があることをサスケは知っている。なにより、サスケにとっては数少ない繋がりだった。ただ擦り寄って来る女と同じに見えても、芯が一本通っている、そんなサクラが、殺された。自分が臆病に双葉を着けていた間に、サクラは殺されていたのだ。またサスケは、己の無力で、繋がりを失ったのだ。
391
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:40:14 ID:???0
「……そうだヨ。銀ちゃんと会えるって思ったらホッとしてるヨ。でも双葉も見捨てらんないネ。」
「……クソっ。」
だがそんな憎悪を、神楽は受け止めてはくれなかった。挑発交じりの言葉に返ってきたのは、ボロボロの少女の、沈んだ声と顔だった。
サスケも理解している、神楽はあの銀髪の侍と誰よりも戦っていた。全身に生傷が刻まれ、その動きはぎこちない。服の下は見えている部分よりも更に深手かもしれない。彼女にこそ医者が必要だ。そんな時に仲間の情報が手に入り、そして傷ついた人間の情報もある。
もしサスケが神楽の立場なら、当然迷う。迷った末に双葉を優先しようとするだろう。実際には体が勝手に動いてしまうが、理性では双葉を優先する。
そんな割り切りも欺瞞も神楽には通用しない。真正面からジレンマを口に出されて、サスケは己の不甲斐なさに直面させられた。これでは舌打ちしか出ない。せっかく双葉の救助に協力しない理由はあるのに、神楽のこんな態度を前にして、それを押し通すだけの恥知らずさもなかった。
サスケは写輪眼を解いた。やけに息が上がると思ったら無意識に使っていたことに気づいたのだ。上がった洞察力が、神楽の内面まで読み取ってしまったのだろう、その感情を理解してしまえば、サスケもまた動けなくなっていく。
「あの……みなさま。」
「……誰ネ。」
「はい、風間トオルです……その……みなさま、病院を探しに来たんですよね。」
「それがどうしたんだ? アァ?」
「ヒイッ! い、いえ、そのですね、探してるものが見つかったのなら、お友達に知らせたほうがよろしいかと……」
神楽の圧力で半ベソを書きながら言うトオルの言葉に、3人は固まった。そう言えば誰か警察署に連絡しただろうか?
「……サスケ、お前さっき電話してただロ?」
「いや……ナルトは、してないよな。」
「だって神楽がやってるかなって……」
「でも、医者いないんだから教えてもしょうがないヨ。」
「そうとも言えるしそうでもないとも言える。医者の手がかりも探せばあるかもしれない。それに警察署の奴らが医者と合流した可能性もゼロというわけじゃない。」
「……電話する?」
「早くかけるネ!!」
ここでようやく神楽たちは誰も警察署に電話していないことに気づいた。全員が全身知り合いの情報を手に入れてそれどころではなかったのだ。しかしこれは忍としてはありえないミスだ。誰が連絡するかの分担も、それをチェックする体制も何もかもなかったのだ。これでは三人一組などとても言えない。
「こっちは準備できたぞ……なにしてんだ?」
「タイガ、悪い、オレら警察署の仲間に電話すんの忘れててさ、もうちょっと待っててくれってばよ。」
「それはいいけどさ、ちょっと問題があるんだ。武器集めすぎて乗るスペース無くなったから、ジャンケンで負けた奴がシートベルト締めらんなくなるんだけど、大丈夫だよな?」
「……ああ、1人減るからな。」
サクラの遺体の場所を知り、案内役を買って出た藤山タイガの言葉に、電話を終えたサスケは答えた。「どういうことだってばよ」と聞くナルトを横目で見て言った。「お前、ニ鳥の妹探しに行け。」
「なっ!」
「ナルト、お前アイツに妹探してやるって約束したよな。」
「そうだけど……」
「だったら警察署まで戻れ。双葉たちはこっちに来るがニ鳥とオッサンは警察署に残るらしい。お前が行ってここまでの道のつゆ払いをしつつ合流しろ。神楽、お前は病院の近くで医者を探せ。それなら銀ちゃんだかとも合流しやすいだろ。」
「……いいのか? 仲間は?」
「あぁ……オレが行く。サクラは必ずオレが連れ帰る。いいな、ナルト。」
サスケの判断は早かった。それは警察署と同じく、別のグループとやりとりしたことで換気がされたからだ。
ニ鳥の妹を探す、医者を探す、サクラを殺した犯人を探す。考えるべきはこの3つだ。3つだけ考えることにした。三人一組で当たるとなれば、必然それぞれで手分けすることになる。そうなった時、最も余裕のあるサスケが戦闘の予想されるサクラ奪還を担当し、治療が必要な神楽が病院周辺での活動を受け持ち、チャクラ切れのナルトが残りの1つをやるのが最もバランスがとれている。それになにより、それぞれにやらなくてはいけない理由がある組み合わせになった。
「…………わかった。サスケ、サクラちゃんをぜってー連れ戻してくれよ。」
「ああ。サクラはオレが連れて帰る。一生の約束だ。オレにとっては‥‥やっとできた繋がりだからな。」
392
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:40:46 ID:???0
「──ていうことがあったんです。」
「なるほど、それでこの騒ぎってわけか。」
ボリボリと白髪頭を掻きながら言うその姿からは、いかんせん真剣味というものが感じられない。
こいつ大丈夫かと思いながら名波翠は、着流しにブーツという和洋折衷な男にそう説明した。
サスケたちが出て行った30分弱あと、ほぼ同時に2組の訪問者が現れた。
1つは山田や双葉といった負傷者を連れた警察署のグループである。軽傷の白銀や、彼と知り合いのかぐや、かぐやとしかコミュニケーションができないアリス。彼ら5人の間には、その着流しの男を見たとき大いに動揺が走ることになった。その男、坂田銀時の『銀髪の侍』というのが、あまりにも雪代縁に似ていたからである。
「新田真剣佑ほどの筋肉はねえよ。それあったら変態仮面やってるよ。」
「変態……?」
(なんやねんこの死んだ眼の兄ちゃん、思考が読みにくい、能力者か?)
「で、神楽もここにいるんだって?」
「ええ、でも今はいないんです。近くでお医者さんを探してます。」
「医者か。」
翠から頭の中を覗かれているなど知らず、銀時はシリアスな空気をまとう。神楽の宛がついたのは良かった。これで少しは肩の荷が下りる。あとは新八だ、とっとと合流するに越したことはない。しかし医者が必要となると、既に死んだらしい東方定助のことを考えざるをえない。
銀時も軽くだが、警察署から来た者たちの情報はこうして翠から聞いているところだ。あのヤンクミみたいな貧乳はともかく、子供の方は、ハッキリ言って助からないだろうなと思った。こんなニートみたいな侍でも、幕末の血生臭さは知っている。人間ああなったらもう助からない。死ぬしかない。手当ては確かなものだったが、あれをやったならもう手遅れだとわかっていそうなものだ。
少しして彼女が神楽が助けようとしていた少女と聞いたときには嘆息せずにはいられなかった。なるほど神楽が頼んだのだろう。となるとますます気が重くなる。神楽が走り回ってるのは、これから死ぬしかない双葉を助けようとしてなのだから。
(あの痙攣の仕方はかなりヤバイな。いつ死んでもおかしかない。こんなの神楽になんて言やいいんだ。)
死んだ魚の眼のような瞳から更に光を失くして考える。神楽と行き違いでよかったと思えるほどに、かける言葉が思いつかない。悩んでも答えが出なさそうで、銀時はため息をつきつつ、「そんなに遠慮してないでとっとと話してみな」と、後ろに来ていた白銀に言った。
「すみません、あなたが神楽ちゃんの言っていた銀さんですか。」
「まあな、お前さんは「白銀御行です」そうかい、それでなんの用だ。」
「あの子……たしか、双葉ちゃんのことです。」
その話か、そう思ったのが顔に出たのだろう。「話しにくいかもしれませんが」と続けられ、言いたいことは察しがつく。
「ああ、俺から言っとく」と答えるが、何を言うべきかなどまるで思いつかなかった。神楽たちと一緒にいた彼らなら、銀時よりも双葉のどうしようもなさもわかっているだろう。それでも、いやそれだから神楽にかける言葉はない。
こういう時は、そういった事情からは無関係で、かつ神楽と関係が深い銀時がうってつけではある。
「……動くのに理屈なんていらねーか」
涼真と紅絹との合流は遅れそうだな。そう思いながらバイクへと向かう。やるべきことは一つだ。神楽が医者を探しているのなら、自分もそうするまで。たとえ無意味なほどに低い可能性でも、魂がしたいと思うことが大事だ。
「人一人駄目になるかどうかなんだ、やって見る価値はありますぜってんだ。」
銀時はバイクのアクセルを吹かした。
393
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:41:10 ID:???0
「あれは警察署じゃないですかい?」
医者探しに出た銀時と時を同じくして。
警察署には1台の四駆が近づいてきていた。
ハンドルを握り問いかけたのは、黒ずくめの男、ウォッカ。犯罪組織の幹部である彼は、当然その素性など話すはずもなく。そしてその真後ろの座席で心配そうに景色を見ているのは宮美一花である。反社会的勢力と女子中学生という犯罪的な取り合わせであった。
彼らが安全そうな駅から離れて1時間ほどの間車を走らせていたのは、一花の頼みに理由がある。彼女の妹である二鳥の目撃情報が手に入ったからだ。
「そうですね……景色に見覚えがあるし、この辺りで会いました。」
その目撃情報というのが、後部座席で一花の隣に座る深海恭哉である。実のところ、彼はルーミィという幼女を殺そうとしたところを二鳥たちに見つかってごまかした。そんな事情で二鳥たちから離れたのでもちろんあまり会いたくない相手なのだが、既に3時間ほど前だということを考えて、割と正確な情報を答えていた。どうせ死んでいるだろうとは思うが、不自然にならないように時間を稼ぎつつ、彼女たちの遺体を見つけることを願う。
そして助手席で氷室カイは、この状況をどう楽しむかを考えていた。主催者の1人でありながら自らジョーカーとなった彼にも予想のつかない展開になりつつある。果たして行く先に何が待ち受けているのか、そう期待を込めて前を眺めていると、思いの外早くそれは現れた。
(オレンジのジャージ、うずまきナルトか。)
警察署から飛び出してきたのは病院からこちらへと向かったナルトだった。車に手を振っている姿からは殺し合いの緊張感というものを感じないが、それを表情には出さずに「ウォ、魚塚さん!? 人です!?」とカイは気弱な青年の演技をする。もちろんウォッカは言われるまでもなく目視しているだろうが演出というものは大切である。
(チッ、面倒だな。)
それはウォッカも同じである。不用心だか減速する。本当は跳ねてしまいたいところだが、麻薬捜査官というロールはまだ価値があるし、さすがに子供を跳ねるのは印象が悪すぎる。うっかり一花の知り合いについての情報など持っていられるとこの面倒なドライブを続けなくてはならないのかもしれないのも手間だ。
そして、その心配はすぐに現実のものとなった。
「二鳥!? なんでお前こんなのに乗ってんだってばよ!?」
「二鳥!? あなた二鳥に会ったの!?」
「二鳥はお前だろ!」
会話が始まってすぐに情報交換が始まった。幸か不幸か、出会ったのは二鳥の同行者である。さてどうしようかと恭哉とウォッカが考えていると、決断を出すより早くナルトが煙となった。
(ワオ。これが影分身か。)
驚くカイ以外のリアクションを楽しみつつ、カイ本人も初めて生で見た忍術に興奮を覚えざるを得ない。参加者全員の情報は事前に把握済みで頭にも入っているが、身を持って体験するのはやはり違う。やって良かった、バトル・ロワイアル。そんな風にカイが感動していると、4人の前に警察署の中から一花と瓜ふたつの少女が駆け出してくるまで1分も経たなかった。
「一花!」
「二鳥!」
同じ顔で同じ制服の少女たちが駆け寄り、抱き合う。鏡合わせのような光景にカイは微笑みを、恭哉とウォッカは複雑な顔を作る。果たして自分が殺し合おうとしていたとバレてないか、果たして有益な情報が取れるような人間か。値踏みする視線の先には、更なる人影が現れる。
394
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:41:35 ID:???0
(まあ、1人じゃねえよな。)
(あの子はいない……死んだのか?)
先のナルトに、和服の少女、そして和服の男が警察署から出てきて、彼らは超常現象を起こしたナルトよりも他のことが気になる。ウォッカは和服の男、石川五エ門の只者ではない雰囲気を、恭哉は二鳥と一緒にいたはずの野原しんのすけたちがいないことを気にする。
「二鳥! ああ良かった、無事で。待ってその血はなに? 怪我してるの? 早く手当てしないと。」
「落ち着いてって。それより三風は? この辺りにいるらしいねんけど。」
「皆さん、どうぞ中へ。」
「不逞の輩が潜んでいるかもしれぬ。話は中でしよう。」
関織子に続いてそう言う五エ門は明らかに負傷している。にもかかわらずその覇気はウォッカをして戦慄させるほどのものだ。確信する。絶対にカタギではないと。
「……うごっ。」
(コイツは確か、チョコか。)
そして中で黒鳥千代子を確認し、桃花・ブロッサムの探していたチョコお姉ちゃんも見つける。気絶しているのは気になるが、情報は集められそうだ、少しの間ここに腰を落ち着けよう。
これまでの4時間の間の情報交換はすぐさまに始まった。
「それで三風はどこにいるの?」
「それがわからないから困ってるんや。チョコちゃんはこの辺りで見たって言うとったやけども……」
「チョコって、この子? 生きてる……よね?」
「うん……」
「気絶してる? 何があったの?」
「それが……わからへん。変な侍と戦っとったみたいやけど。」
「サムライ……?」
まずは自己紹介より先に、一花と二鳥の妹探しを一同は優先した。どちらのグループも宮美家の四つ子のノリは知っているので、扱い方も同じになる。実はこうまで切羽詰まるのは稀なのだが、そんなことはわかりようもない。
そうして話させていると、次第に話題はそれぞれのこれまでへと移っていく。他の人間ならいざ知らず、姉妹となるとさすがに情報交換を優先するようだ。
「私の方は……そうだった、これ。」
切り出したのは一花の方からだった。そういえばと、新庄ツバサのメモのコピーをポケットから取り出す。駅での情報交換のメモを彼から出発する時に渡されたのを思い出して、一花はそれを広げた。
さてこうなると困るのは二鳥である。彼女はこれまで銃撃のショックと妹を探すことでほとんど情報交換らしきことをしていない。これまで共にいた五エ門やナルトにサスケはもちろん、最初に出会った花丸円や黒鳥千代子の苗字もわからない。警察署に集まったメンバーなど半分以上は名前すら知らなかった。なにより、話せるはずがない。自分が人一人殺したかもしれないなどと。
「こっちは……その……」
「ごめんなさい、辛いことを思い出させたわね。」
だがそんな妹を一花は優しく抱きしめた。一目見て尋常な状態じゃないことはわかる。それなのに嫌なことを考えさせた自分を一花は恥じたのだ。
「違う……謝らんといて……」
「ううん、謝らせて。悪かったわ。」
そんな一花を見て、今度は二鳥が恥じ入る。自分が言い出せないでいるせいで、姉に余計な申し訳無さを感じさせて、傷つけている。そんな自分がたまらなく情けないのに、姉に人殺しだと知られることがたまらなく嫌で、何も言い出せないのだ。
「皆さん、お茶いれてきました。」
織子ことおっこがそう言ったことで軽食をつまみながらの情報交換へと移行したことで、二鳥はほっとした。この針のむしろから開放されたことに。そうしてほっとしている自分に嫌になって、今すぐ三風を探しに行くと言って外へと出て行きたくて、しかしそれが姉を危険に晒すことになることもわかっていて、何も言えずに湯呑みを握りしめることしかできなかった。
395
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:42:00 ID:???0
「すみません、医者の情報はありません。」
「まあ、そうだろうな。それでだ、病院に行くのは。」
「はい、お願いします。」
「お前さんは。」
「……『おねがいします』。」
警察署で情報交換が進む頃、銀時は風見涼馬と桜木紅絹と合流していた。
これまでの道すがら、銀時は単車を2人の待つ方角へと向けながらも、人の痕跡が無いかを調べていた。待たせている相手もいるので、医者探しを行う場所は自然と決まる。
そして今この場に3人しかいないことがその結果だった。
(仗助が生きててくれりゃってのは、言えねえな。)
医者は見つからなかった。代わりに見つかったのは、医者よりも頼りになったであろう東方仗助の死体だった。
涼馬と紅絹を見つけた民家から少し離れた場所できな臭さを感じ、近づいた所で発見したのは、斬殺された仗助の息を引き取った姿。その傷口から下手人は相当の剣客だとわかる。たとえば、雪代縁のような。
怪我を治せる人間は死人として見つかり、それを殺ったであろう人間の実在を信じることになる。警察署から来た人間の話と合わせても、確実に縁がいるのだろう。そもそも銀時がこうして医者を探しているのも、もとを正せば縁が双葉を傷つけたからに他ならない。
それどころか、交番で見つけた4つの死体、あれも縁が殺ったかもしれない。特にあの中の1人、制服姿の少女は確か宮美四月だと涼馬から聴いている。というのも、彼が四月の姉の三風と共にいた時に妹の死体を見つけたからで、彼に代わって三風の捜索も引き受ける気でいた。そしてその三風は、警察署のグループの1人が探している少女でもあるらしい。
四姉妹全員攫って縁にぶつけられたせいでとんでもない被害が出ている。一刻も早くなんとかしなくてはならない。
だがそれは、もう確実に助からない双葉よりも優先すべきことなのだろうか?
「銀さん、病院には怪我をしている人がいるんですね?」
「ああ、お前さんたち届けたら医者探しに行くよ。」
「……わかりました。」
サンケツするシートの最後尾から話しかけてきた涼馬の声はわずかに重かった。返事にあった間にはどんな感情があるのか。おそらくは、銀時と同じだろう。
これから直面するのは死ぬのを見守るしかない相手だ。病院だというのに、怪我人を治せる者などいない。唯一の希望も今は死者。銀時は涼馬のことをボーイスカウトか何かぐらいに考えているが、それでも彼が責任を感じるだろうなと察せられた。
「飛ばすぜ。」
銀時は背中に抱きつく紅絹が密着したのを感じてアクセルを吹かした。
確かに仗助は死んでいた。だがそれは、1つの可能性を意味していた。
仗助以外にも人を治せる人間がいる可能性を。
(ナルトがいんなら医療忍者とかもいんじゃねーか? だいたいバトルもんには1人ぐらいヒーラー役がいるもんだ。)
銀時の方針は固まっている。継続して医者や治癒能力持ちの人間を探す。
双葉が助からないなど、医者でもない己(テメェ)が決めて諦める真似はしない。神楽が諦めていないのに、銀時が止まっていたら、魂が死んでしまう。
「おい知ってるか!」
風を切る音に負けないように叫ぶ。
「諦めたらそこで試合終了ですよ!」
銀時は一層アクセルを吹かした。
396
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:42:26 ID:???0
「諦めたらそこで試合終了ですよ……か。」
それから小一時間後、涼馬と紅絹は警察署に居た。
銀時は病院の人間と引き合わせると直ぐに単車を走らせ、残された2人はその場の人間と情報交換を行った。
自分たちを襲ったあの白髪の侍が警察署を襲撃したことや、三風と四月の姉が警察署にいることを知れば、どこへ向かうかはすぐに決まる。事前にある程度銀時から話を聞いていたのもあったが、涼馬自身の人間性から手早く行動をしていた。
「送っていただいてありがとうございます白銀さん。」
「『ありがとうございます』」
「いや、首のお礼だ。」
ここまで来るまで連れてきてくれた白銀に、紅絹と2人で頭を下げると、白銀は首のコルセットを軽く叩きながら薄く笑った。一通りの救急救命技術を習得している涼馬が手早く病院にあったコルセットを装着すると、むちうちの痛みが驚くほどに、とはいかないまでも、だいぶ軽減された。これまではコーヒーのカフェインで無理矢理痛みを飛ばしていたが、飲む量を半分に減らしても良いと思えるほどの改善に、涼馬を信頼しても良いと思えるほどのものを感じたのが2人に協力した理由である。でなければかぐやを置いて殺し合いの場で動きなどしない。
「帰る時も探しておくよ。」
「お願いします。」
「おっと、もう出るのか。ならこれを。」
「貴方は……魚塚さんでしたね。」
帰りがけに同じように車を走らせようと準備していたウォッカがツバサのメモを渡す。駅のグループとの情報交換よりも帰還と医者探しを優先しているのだが、思いもよらない収穫物に素直に受け取る。嘘や偽りや間違いがある可能性を考えても情報があるに越したことはない。
「こちらでも情報を纏めておきます」と残して車に乗り込む白銀に続いてウォッカも車を出す。こちらは医者を探すのと駅の人間を警察署に連れてくるという名目で、独自に情報収集するのが目的だが。この調子なら放っておいても情報は警察署と病院に纏まっていく。ウォッカとしては自分だけが把握している地理なり武器なりを集めておくことを優先したい。
「うん……まだ起きないんだ……」
カイが桃花に電話している横を抜けて、涼馬は寝かされているチョコの元へと向かう。彼が警察署に来たのは彼女も理由の1つであった。
自分では双葉の処置は不可能だがチョコならば可能かもしれない。三風の捜索はもちろん大事だが、助けられる命があるとわかっているのならそちらを優先する。もし手のうちようがないのならすぐに出発する気でいた。
(脈はしっかりしている。呼吸もだ。意識レベルは悪くない。五エ門さんの見立て通りだ。)
そうしてチョコを診て彼は直ぐに出発を検討した。聞かされたとおり、この失神は外傷などのものによるとは見えない。服で隠れている部分は同性の紅絹に診てもらったが、素人の彼女から見ても怪我は無いようだ。仮にあったとしても、頭部に傷が見られないことからそれが失神と関係ある線は薄かったが、手がかりに違いはない。
発見時に多量の発汗が見られたことから、自律神経の失調や強いストレスと予想した。過労による貧血の線もあるが、二鳥から聞いたチョコの数時間前の様子からその可能性は低いと見る。医者と比べれば拙い判断だと自覚はあるが、生還士としての訓練と経験から、彼女の容態が急変するリスクは少ないと判断できた。
なら次に行うべきは。
■
397
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:43:21 ID:???0
「氷室さん、宮美さんたちはどちらですか?」
「えっと……あっちのベンチにいたかな。」
「ありがとうございます。」
電話を終えて手持ち無沙汰そうにしていたカイに案内されて宮美姉妹の元へと向かう。ここに来た目的としては、三風の捜索である。それが第一義だ。だがこれはやっておかなければならない。
宮美四月の死を伝えることを。
「……」
「はい、行きましょう。」
紅絹の無言の、しかし雄弁な頷きを見て、涼馬も覚悟を決めた。四姉妹全員と巡り会った自分がやらなければならない。これはそういったことなのだ。足取りが重いのを自覚しながらも、しっかりと踏み出して、歩む。長いようにも短いようにも感じる一瞬のうちに、涼馬は瓜ふたつな少女たちの前へと進んだ。
「宮美さん、お話したいことがあります。」
「……」
「……風見くん、だったっけ。なにかしら?」
反応したのは一花の方だった。姉妹は互いへの思いから、三風を探すことよりも互いに寄り添う今から抜け出せずにいた。それが切り替わるのは、すぐ後のことだった。
「──四月さんが亡くなられていたのを、三風さんと確認しました。」
5分か、10分か。その間、その場から音が消えた。
覚悟はしていた。こうなることは。この沈黙を味わうことは。
「……しづ……三風と、会ったのね。」
そう言う一花の顔面は蒼白だった。何かを言おうとしては口を開け、二鳥と顔を見合わせては口を閉ざし、それを何度も繰り返した末に出たのがそれだった。
「はい。その後雪代縁に襲われ、安否不明です。」
努めて涼馬は、淡々と話した。「雪代縁」と二鳥が呟くのが聞こえた。彼女の手は一花の手を固く握りしめ、また握りしめ返されているようだった。ブルブルと震えるその手が跳ね上がり、次いで姉妹は同時に立ち上がった。
「……三風を探さないと。」
「うん、早く探そう、行かな。」
「手伝います。」
未だ雪代縁が近くにいる可能性は高い。そう判断しているにも関わらず、涼馬は決断した。状況から考えれば、既に三風も死亡している可能性は高い。だがそうであっても2人を三風捜索に往かせることは重要だ。
今も武装している精神不安定な人間を隔離するためにも。
(桜木にはここに残ってもらう。アイツを庇いながらじゃコイツらに対処できない。)
いつ暴発するかわからない爆発物にも、悲劇に見舞われた遺族にも、どちらにも見える。そしてその2つは両立し得る。人は故あれば人を傷つける。それが本意ではなくてもだ。
宮美家の為に妹を探す。他の参加者の為に宮美家を隔離する。非情でもやらなければならない。彼女たちにこれ以上の悲しみを背負わせないためにも。彼女たちが悲しみを生み出さないためにも。
だがそれは、2人の殺し合いに巻き込まれた被害者と己自身を危険に晒すような悪行を肯定するのだろうか?
「じゃあオッチャン、頼んだってばよ。」
「ああ。ここを頼む──」
「石川さん、私たちも三風さんの捜索に向かいます。」
三風の命を諦めたくないのか、それとも一花と二鳥の鎮静を諦めたくないのか、それとも自分でも無意識なうちに既に諦めた後なのか、答えは涼馬自身にもわからなかった。
398
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:43:43 ID:???0
そうして時間は、第一放送が流れる6時を迎えた。
幸運にもこの何時間かを身の危険なく過ごした一堂に、その情報は容赦なく与えられた。
「もしもし。」
「もしもし、サスケ!」
「叫ぶな、聞こえてる。」
放送から10分ほどしてからだろうか、慣れないスマホに戸惑いながらも耳に当てれば、サスケに聞こえてきたのはナルトの声だった。
「もしもし、松野さん。これ聞いたらすぐに折り返してください。」
警察署ではおっこがおそ松に何度目かの通話を試みていた。留守電に入れると、今度は涼馬に持たせたスマホへと発信する。
「大変だぁ、双葉ちゃんが、双葉ちゃんが死んだあっ。」
「メイ子、電話や! 神楽と銀さんと、ええっと後、そうや、警察署にも!」
「かけてます。通話中? タイミング悪いな。」
そして病院ではトオルに看取られながら吉永双葉がついに息を引き取った。翠もその感覚で双葉から命が喪われたのがわかる。
新しい情報とその共有が、参加者を大きく変えていく。
399
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:44:14 ID:???0
そうして時間は、第一放送が流れる6時を迎えた。
幸運にもこの何時間かを身の危険なく過ごした一堂に、その情報は容赦なく与えられた。
「もしもし。」
「もしもし、サスケ!」
「叫ぶな、聞こえてる。」
放送から10分ほどしてからだろうか、慣れないスマホに戸惑いながらも耳に当てれば、サスケに聞こえてきたのはナルトの声だった。
「もしもし、松野さん。これ聞いたらすぐに折り返してください。」
警察署ではおっこがおそ松に何度目かの通話を試みていた。留守電に入れると、今度は涼馬に持たせたスマホへと発信する。
「大変だぁ、双葉ちゃんが、双葉ちゃんが死んだあっ。」
「メイ子、電話や! 神楽と銀さんと、ええっと後、そうや、警察署にも!」
「かけてます。通話中? タイミング悪いな。」
そして病院ではトオルに看取られながら吉永双葉がついに息を引き取った。翠もその感覚で双葉から命が喪われたのがわかる。
新しい情報とその共有が、参加者を大きく変えていく。
400
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:45:07 ID:???0
【0610 『南部』警察署とその周辺】
【宮美二鳥@四つ子ぐらし(1) ひみつの姉妹生活、スタート!(四つ子ぐらしシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
四月が……死んだ?
●中目標
三風を探す。
【石川五エ門@ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いからの脱出。
●中目標
次元が死んだか、それとも首輪を外したか。
●小目標
警察署に戻る。
【黒鳥千代子@黒魔女さんと最後の戦い 6年1組 黒魔女さんが通る!!(20)(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いを止める。
●中目標
ギュービッド様と古手梨花さんを探す。
●小目標
???
【うずまきナルト@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
サクラちゃんを殺した奴を殺す。
●中目標
二鳥の妹を探す。
●小目標
警察署を警備する。
【ウオッカ@名探偵コナン 純黒の悪夢(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
桃(桃花)や氷室たちを利用する。
●小目標
なんだこのいい加減な放送? まあ情報にはかわりねえか、このまま集めよう。
401
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:45:23 ID:???0
【宮美一花@四つ子ぐらし(1) ひみつの姉妹生活、スタート!(四つ子ぐらしシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●大目標
四月が……死んだ?
●中目標
三風を探す。
【深海恭哉@ギルティゲーム(ギルティゲームシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
対主催に紛れ込み、自分の信頼を上げる。
●小目標
今呼ばれた名前……ギルティゲームで死んだはずの子の名前まで……
【氷室カイ@天才謎解きバトラーズQ vs.大脱出! 超巨大遊園地(天才謎解きバトラーズQシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
主催者兼ジョーカーとしてゲームを楽しむ。
●中目標
対主催に紛れ込み、ステルスマーダーする。
●小目標
81か、予想より少ないかな。
【風見涼馬@サバイバー!!(1) いじわるエースと初ミッション!(サバイバー!!シリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
生き残り、生きて帰る。
●中目標
警察署を拠点をとし、殺し合いに巻き込まれた方を保護する。
●小目標
宮美家を見張りつつ三風を探す。
【桜木紅絹@天使のはしご1(天使のはしごシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
死にたくないけど……今起こっていることを受け止めきれない。
●中目標
お姉ちゃん……
【関織子@若おかみは小学生! 映画ノベライズ(若おかみシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
白銀さんたちとみんなで殺し合いから脱出する。
●中目標
ピンフリにあかねさんが……でも嘘かもしれないよね。
●小目標
色々電話する。
402
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:46:06 ID:???0
【0610 『南部』病院とその周辺】
【アスモデウス・アリス@魔入りました!入間くん(1) 悪魔のお友達(入間くんシリーズ)@ポプラキミノベル】
【目標】
●大目標
会場を探索し、入間がいれば合流。
●中目標
シノミヤ・カグヤたちを入間に献上する。
●小目標
81か。参加者はそれなりに多いようだ。
【山田奈緒子@劇場版トリック 霊能力者バトルロイヤル 角川つばさ文庫版@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
上田さんが、死んだ?
【白銀御行@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
情報を集めて脱出する。
●中目標
家族や生徒会の手がかりを探す。
●小目標
人数も内容も信じがたいが……
【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― まんがノベライズ 恋のバトルのはじまり編@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、脱出する。
●中目標
家族や生徒会の手がかりを探す。
●小目標
人数も内容も信じがたいが……
【神楽@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
定春──?
403
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:46:34 ID:???0
【風間トオル@映画ノベライズ クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
しんのすけ……ねねちゃんまで……
●小目標
双葉ちゃんが死んだあっ
【坂田銀時@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫 死亡】
●大目標
デスゲームものなんて一時期のマガジンかよ。今のジャンプでこういうのはウケねーぞコノヤロー。
●中目標
定春の名前が呼ばれた──
●小目標
病院に戻る。
【名波翠@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
●大目標
知り合いと合流して脱出する。
●中目標
蘭……やっぱり……
●小目標
色々連絡する。
【玉野メイ子@サイキッカーですけど、なにか? (1)ようこそ、ウラ部活へ!?(サイキッカーですけど、なにか? シリーズ)@ポプラキミノベル】
【目標】
●大目標
まず死にたくない、話はそれから。
●中目標
とりあえず翠に従っとく。
●小目標
この首輪で死者をカウントしてる? それとも放送自体ブラフ?
404
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:46:58 ID:???0
【0610 『不明』 森近くの民家】
【うちはサスケ@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
サクラを殺した奴を殺す。
●中目標
宮美三風を探す。
●小目標
情報交換する。
【藤山タイガ@絶滅世界 ブラックイートモンスターズ 喰いちぎられる世界で生き残るために@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
主催者をぶちのめして生き残る。
●中目標
胸に刃物が刺さってる男子(タイ)から情報を吐かせる。
●小目標
情報交換する。
【脱落】
【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル@角川つばさ文庫】
405
:
◆BrXLNuUpHQ
:2025/07/12(土) 07:49:31 ID:???0
投下終了です。
タイトルは『鮮明になったのは──』になります。
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