[
板情報
|
R18ランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
シン・チェンジロワイアル part2
421
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:26:58 ID:JGnv1kCw0
「8人か…。随分、血の気の多い輩がいるもんだ。」
メトロン星人は自動的に表示されるタブレットを見て呟いていた。
指がなく、タブレットの操作が出来ない彼にとってはこの仕様は有り難かったが、
放送を見て、複雑な気持ちに駆られる。
殺し合いに乗ってない者は勿論、殺し合いに乗っても賢い者は初めは様子見に徹する筈だ。
それでも、これだけの人数が亡くなったという事は、短絡的な考えの者も多いという事だ。
(私としては、もう少し知的な駆け引きを期待していたが…、それを求めない輩もいるという事か。)
嘆きながら、引き続き画面に目をやる。
(この放送で分かったのは、眼の前の女装少年の性格が悪いって事だな。)
最初の放送で、魘夢は自身を『元・下弦の壱』と言った。
そして、犠牲者の写真の中に目に『上弦・伍』と描かれた化け物の姿が有り、
放送でも、上弦の伍が死んだ事に触れ、笑っていた。
(数から察するに、自分の元上司を殺し合いに参加させていたのか…。
『伍』というと、他の数字の上司達も招かれているかもしれないな。
…かつての上司の事を忘れないなんて、忠誠心の強い奴だね。)
嫌味を心の中で呟き、考える。
元上司の連中―上弦らが仮にこの会場にいるのなら魘夢の情報を得る為に接触したいが、今の段階では難しいだろう。
放送は続き、最後に入れ替え装置の話が出て来た。
(もうそんな特典情報をくれるのかい。…えらい早いな。)
赤い異星人はその話を切り出した事に少し引っ掛かりを感じた。
そして放送は終わり、画面は再び暗闇へと戻った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
422
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:28:00 ID:JGnv1kCw0
メトロン星人はついでに、再度“たぶれっと”が操作出来ないか、腕の先のヒダ様な部分であちこち触ってみる。
しかし、筒の様な腕では、電源は入れられても開く事が出来ず、中の情報を見る事が出来ない。
付属されている説明書も読んだが、画面の“たっちぱねる”を押して操作する為、ある程度圧力を加えないと反応しないらしい。
(少しは異星人が使う事も考えてほしいものだ。
こんなツールに頼るから人間は退化して、“お猿さん”になるんだよ。)
地球侵略に成功したら、こんな道具は廃止させようと赤い侵略者は心に誓った。
(しかし、この道具は何処から来たんだ?
地球にはまだこのような電子端末が出て来るにはまだ十数年早いが…。)
(いや、逆か。十数年後から持ってきたのか。)
地球には時間を操る怪獣が何度か現れている。
それらの技術を応用して、未来の道具を持ってきたのかもしれない。
しかし、異空間に未来の技術、ただ殺し合いをさせる為にしては手が込んでいる。
そこまでして、女装少年―魘夢は何を企んでいる?
まさか、『可愛い女の子の身体になりたかった』みたいなどこかの軍隊の総帥のような理由ではないだろう。
423
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:29:26 ID:JGnv1kCw0
(私の物差しで彼らを測るのも何だが…やはり、地球か他の星への侵略が目的か?)
人々の心と身体を入れ替える。
一見、侵略に関係のない行為だが、対象が政府の要人ならばどうだろうか。
侵略者は易々と国の中枢に入れる訳だ。
また警察、軍隊、そして光の国の様な英雄達。
市民を守る者達を入れ替え、悪事を行う。
たちまちパニックになり、無法状態が生まれるだろう。
(文字通り、正義と悪が入れ替わる…。『正義』という言葉が悪の代名詞になる訳だ。)
しかし、侵略が目的としたら、何故行動に移さない。
何故、こんな殺し合いを行うのか。
(考えられるとすれば、入れ替わる技術にまだ問題があるという事か。)
問題―、それが何なのか?
(例えば…、入れ替えが維持できる時間か?)
そもそも、初めから疑問に思っていた。
何故、殺し合いの期間が3日なのか。
5日や1週間では都合が悪いのか。
勿論、宇宙警備隊やDASHを恐れ、短い期間での開催を行った可能性もあるが……。
他にも理由があるのかも知れない。
(もしかすると…、3日“しか”入れ替わる事が出来ないのか?)
ならば、辻褄が合う。
3日では、やれる事は限られる。
国を乗っ取る事も大それた悪事を行う事も出来ない。
そして、魘夢が早い段階で『入れ替え装置』の存在を明かした事も、時間がたてば、元に戻る事を隠す為ではないのか。
424
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:30:36 ID:JGnv1kCw0
(そうなると、この殺し合いの目的は―入れ替え期間を延ばす為のデータ収集か?)
大勢の参加者を集め、その中から期間を延ばす為の要素を抽出し、
その後、改めて侵略計画を実行する。
それが目的なのか?
だとすると、必ず主催者側が参加者の現在位置や状態を把握出来る様にしている筈。
そうすれば、先の放送の様に、脱落者の情報も手に入りやすい。
その為に手っ取り早いのは、参加者らに発信器を持ってもらう事だ。
だが、身の周りの持ち物や身体にそれらしき物は見当たらない。
考えられるとすれば―
(この“たぶれっと”とか言う機械か。)
そう、タブレット内に参加者の状態を伝える計測機器や、盗聴器が仕込まれている可能性がある。
それらを調べれば、主催に繋がる手掛かりや脱出の糸口が掴めるかもしれない。
しかし…、貴重な情報源である自分のタブレットを分解する訳にはいかない。
(開始早々、“たぶれっと”を壊す輩はいないだろうし…、困ったな。)
やはり、初めに犠牲になった8人の遺体を探すしかない。
支給品は奪われていても、タブレットは回収されずに残っている可能性がある。
また、遺体を調べる事で、体内にも発信器の類いや反乱防止の為の爆弾等が見つかるかもしれない。
(遺体の状態によっては、下手人の判別や、どんな攻撃方法を持っているかも分かるだろうしね。)
425
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:31:50 ID:JGnv1kCw0
後は他の参加者と交流して、地図や支給品・参加者情報などの基本的な情報を手に入れたい。
特に名簿は確認したい。
果たして自分の知っている侵略者は居るのか。
居れば条件によっては協力出来るかもしれない。
また敵対するにしても、知っていれば対策も練れる。
(とはいえ、ワイアール星人のような他の生物を同化して来る奴がいたら困るよな…。)
他に防衛組織の隊員、かつてのウルトラ警備隊やまたはDASHのメンバーはいるのか。
個人的にいて欲しいと思っているのは、この会場に来る前に会ったトウマ・カイトことウルトラマンマックス。
そして―モロボシ・ダンことウルトラセブン。
彼らはいるのだろうか。
(思い残す事は無いと思ったが、一応あったな。)
四十年前、メトロン星人の侵略を止めたウルトラセブン。
本来なら憎むべきだろうが、あちらも“職務”を果たしただけだ。
―むしろ、地球に長居出来た事を嬉しく思う。
母星に帰る前に、挨拶をしたいとも考えていたが、“光の国”に戻ったと聞いて諦めていた。
普通ならそんな強力な存在は参加させないが、今回は身体を入れ替えるという条件が付いている。
計画に邪魔なセブンを無力化して、尚且、戦力としてセブンの身体を求めるというなら、参加させているかもしれない。
(何にせよ、取り敢えずは生き残る事が重要だ。
…仮に奴らがいて、変な姿だったらからかってやろうかね。)
426
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:33:12 ID:JGnv1kCw0
考えに纏まりがついた所で、タブレットを仕舞い、先に進む為に立ち上がる。
その時、ふと、魘夢の言葉を思い出した。
『【どんな願いでも叶えられる権利】を譲渡することを約束しよう』
(魘夢、私は地球が確かに欲しいが…、
お前さん方がどんな力を持っていようとも、四十年間、様々な侵略者が手に入れられなかった物を簡単に叶えられるとは思えない…。
それに…願いは他人に叶えて貰うのではなく、自分の力で勝ち取る物だ。
だから、私の望む願いは―お前達の命そのものだ。)
心の中で宣戦布告し、赤い侵略者は、脱出に向けて―、地球侵略の為の一歩を踏み出した。
427
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:34:41 ID:JGnv1kCw0
【一日目/D-8(C-8寄り) 湖/深夜】
【対話宇宙人 メトロン星人@ウルトラマンマックス】
[身体]:メトロン星人タルデ〈ラウンドランチャー〉@ウルトラマンオーブ
[状態]:健康
[装備]:ラウンドランチャー(初めから装備済)@ウルトラマンオーブ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:この殺し合いから生き延び、母星に帰る。そして、機を伺い地球を手に入れる。
1:ゾーフィに会うのを避ける為、湖を迂回し、市街地へ向かう。
2:タブレットを使える者を探し、基本情報を入手する。
3:犠牲者を探し、襲撃者の情報を得る為、遺体を調べる。またタブレットが有れば回収し、主催にバレない様に分解する。
4:ゾーフィと天然パーマの男(泉研の名前は知らない)は警戒。
5:参加者情報を見て知っている者がいたら、侵略者・防衛隊に関わらず、手を組みたい。
適わなければ排除する。
[備考]
※人間への擬態は出来ませんが、巨大化する事は可能です。
※ラウンドランチャーは入れ替わる前から装備しています。(タブレットを確認してないので、外し方は分かりません。)
※元の身体の方が色男と思っています。(人間に違いは分かりません。)
〔今話の考察まとめ〕
※殺し合いの会場を『異空間』と考えています。
会場内に“空間作成者”もしくは“空間を維持する道具”があると考えています。
※タブレットは未来から持ってきた道具と思っています。
※殺し合いの動機は侵略の為に、入れ替える期間を延ばす為のデータ収集と考えました。
その為、タブレット内に収集用の機器や盗聴器があると予想しました。
また、入れ替え期間は『3日』ではないかと考えています。
『入れ替え装置』の件はそれらを隠す為と思いました。
※僅かながら、ウルトラセブンが居るのではないかと考えています。
※地球侵略に成功したら、世界中のタブレットは廃止すると誓いました。
428
:
◆0ZMfbjv7Xk
:2023/10/28(土) 00:35:31 ID:JGnv1kCw0
投下終了します。
タイトルは【侵略者は思考の海を征く】です。
誤字・脱字があればご指摘お願いします。
429
:
◆5IjCIYVjCc
:2023/10/28(土) 17:35:20 ID:ewM2d0d20
投下お疲れ様です。
>侵略者は思考の海を征く
3日の制限時間は入れ替えを維持可能な時間説、そんな考え方もありましたか。
侵略性宇宙人らしい視点を兼ね備えた考察がとても良くできていると感じます。
魘夢が女装少年扱いされていることにもクスッときてしまいました。
430
:
◆NIKUcB1AGw
:2023/11/28(火) 01:01:07 ID:7zMbBcCA0
朝倉&あちゃくら、ゲリラ投下します
431
:
支給品になったおまえが悪い
◆NIKUcB1AGw
:2023/11/28(火) 01:02:22 ID:7zMbBcCA0
「ふーん……。キョンくんはいないかあ」
朝倉涼子は仮面ライダー王蛇に変身したまま、道端のベンチに腰掛けてタブレットを操作していた。
「他の知ってる名前もなさそうね。
まあ、涼宮さんや長門さんが参加させられてたら面倒なことになってたから、これは吉報だわ。
シンプルに全員殺せば……あら?」
朝倉は「その他」の欄に記載されたある名前を見て、独白を止める。
彼女の興味を引いたのは、「あちゃくらさん」という名だった。
「私とちょっと似てるわね、この名前……。
何か親近感を覚えるわ……」
その感情から、朝倉は思考を発展させていく。
「このデッキに付属してきたベノスネーカーっていう動物の名前も、名簿には載ってる。
つまり、それにも誰かの人格が入ってるってことよね。
もしかしたら……」
おのれの推論を実証すべく、朝倉はデッキから1枚のカードを取り出した。
それを読み込み機である杖・ベノバイザーにセットし、発動させる。
『ADVENT』
周囲に響く、機械音声。
それと同時に、巨大なコブラ・ベノスネーカーがミラーワールドから召喚された。
「ねえ、私の思い違いだったら申し訳ないんだけど……。
あなたの名前って、あちゃくらさんかしら?」
単刀直入な朝倉の質問に、ベノスネーカーは動揺したように体を揺り動かす。
「合ってるのね?」
さらなる問いに、ベノスネーカーは頭部を上下させて肯定を表現した。
「……ひょっとしてあなた、しゃべれないの?」
帰ってくるのは、再度の肯定。
「そう。面倒ね……。
まあいいわ。あなたは、私に関係のある存在?」
肯定。
「やっぱりそうなのね……。
おそらくは何らかの理由で変質した、未来ないし並行世界の私ってところかしら?」
肯定。
(うわー、私と思考がほぼ同じ……。
さすが同一人物……)
もう一人の自分と対峙しながら、ベノスネーカー……もといあちゃくらさんは呆れと感動が混じったような複雑な感情を抱いていた。
(まさかこんなに早く、私が私であることに気づかれるとは……。
どうしよう、殺す気バリバリの相手にあんまり協力したくないんだけど……。
でも私なら、当然協力を要請してくるわよねえ)
これからの展開を予想するあちゃくら。そしてそれが当たっていたことが、すぐに判明する。
「あなたが私なら、もちろん私が優勝するために協力してくれるわよね?」
(はい、やっぱりー!)
内心いやがりつつも、あちゃくらはあえて首を縦に振った。
「ありがとう。まあ、当然よね。
あなたは私なんだから」
(まあ下手に抵抗して処分されても困るし、今は従っておきますか……。
私に殺される人には悪いけど、どうも知り合いはいないみたいだし。
あ、でもキミドリさんはいるかも。たぶん向こうの私は、キミドリさんのこと知らないだろうからなあ。
……うん! たぶん大丈夫よね!)
懸念すべき事案を、あちゃくらは雑に流した。
「それじゃあ、あなたとの対話はこのくらいでいいかしら。
さっそく他の参加者を探しに……」
朝倉の言葉は、そこで中断される。
周囲に、ガラスの割れる音が響いたからだ。
厳密には少し前にも同じ音がしていたのだが、たまたまベノスネーカー召喚のどさくさで聞き逃していたのであった。
「わざわざ居場所を教えてくれる人がいあるみたいね。
せっかくだから、ご招待を受けましょうか」
ためらうことなく、朝倉は音の方向へと走り出した。
あちゃくらも蛇の体をくねらせ、その後を追う。
(ククク、不利になれば貴様などポイよ……!)
背後の自分が抱く不穏な思考に、朝倉は全く気づいていなかった。
432
:
支給品になったおまえが悪い
◆NIKUcB1AGw
:2023/11/28(火) 01:03:16 ID:7zMbBcCA0
【G-7 街 ロナルド吸血鬼退治事務所付近/深夜】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[身体]:浅倉威@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康、仮面ライダー王蛇に変身中
[装備]:王蛇のカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝して元の世界に帰る
1:ガラスを割った参加者の元に向かう
[備考]
※参戦時期はキョンを襲撃する直前
[意思持ち支給品状態表]
【あちゃくらさん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
[身体]:ベノスネーカー@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:生還する
1:今のうちは、朝倉に従う
2:場合によっては、朝倉を見捨てることも辞さない
3:知り合い……いないのよね?
433
:
◆NIKUcB1AGw
:2023/11/28(火) 01:04:33 ID:7zMbBcCA0
投下終了です
問題がありましたら、指摘お願いします
434
:
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/05(火) 13:15:50 ID:oWO4ZcH60
継国縁壱、ピッコロ大魔王で予約させていただきます。
435
:
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/19(火) 11:51:26 ID:x7o7jcXM0
申し訳ありません、延長させていただきます。
436
:
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:45:45 ID:qBbeUYyo0
投下します
437
:
初日の出
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:46:42 ID:qBbeUYyo0
倒れてはいけない、
この邪悪は命ある限り多くの者立ちを
そして何もかもが美しい世界を踏みにじる。
冷徹な行動で他人を冷遇する者といえば
縁壱の中では父親の存在があった。
自身を忌子と罵り三畳の間に入れた父上、
そして忌子の縁壱と遊んだことに激高し、
優しかった兄上を腫れるほどぶってしまったこともあった。
しかしこれらの過激とも言える行いは
何も悪意からではなく信仰の教えにまっすぐに従っただけなのだ。
戦国の時代では何も珍しいことではなかった。
だがこの邪悪からは事情もなく悪意をもたらす存在。
非道な行いそのものが目的の外法の権化。
今まで本当の極悪人を知らなかった縁壱でも生まれついての邪悪さを察知できた。
「先の戦い、いや蹂躙を目の当たりにしておらんようだな!
貴様如きに交代したところでなにができるというのだ!」
大魔王の憤りと疑問の言葉を意に介さず
無言のまま剣を構え、股間の肉棒に一層力をいれる。
この体では元の幼い体では可能だった相手の肉体の内側を見ることはできない。
兄、巌勝の師範を圧倒した時のような感覚で挑むのは得策とは言えない。
しかしキンターマンの肉体は僅かな時間で地球と月を往復しても
息切れを起こさない恐るべきスタミナを持つ。
男性の陰茎は勃起すれば血液で充満し、そそり立ち、陰茎とその周囲もさらに熱くなる。
超人のキンターマンがひとたび勃てば、人間のものとは比較すら馬鹿馬鹿しくなるほどの
圧巻のサイズとなり、業火すら涼しく思える熱を宿す。
元の熱に加え生まれ持った特異な呼吸法により肉体にはさらなる熱が生じている。
そして今、呼吸法を持って活動を続けた影響か
呼吸法による熱が極まった影響か額の左側から側頭部にかけて、
そして陰茎にも太陽の熱気を彷彿とさせる痣が発現した。
大魔王の極寒呪文のマヒャドが直撃しても、
凍結化するどころかしもやけのあとすら一切残らず
むしろ余裕でマホカンタの如く跳ね返せるのだ。
「先の氷塊を打ち返しただけで得意気になっているようだが…
わしの大技があれだけと思うなよ!」
ピッコロは佩狼たちを大いに苦しめた
マヒャドをたやすくうちかえされ狼狽えた。
魔族(またはナメック星人)に不要で付いていない器官の陰茎を
丸太のように太く分厚く巨大化させる時点で気味が悪く、
その上、マヒャドを苦も無く
先ほど唱えたマホカンタの如く跳ね返した。
これで動揺せず平静を保てというのは無理がある。
しかし今放てる技は何もマヒャドのみではない
単に恐ろしく温度が低く、対象の敵を等しく極寒の地獄に晒すこごえるふぶきがある。
氷の塊では跳ね返されるが、肺をも凍らせる冷気ならば打ち返せはしまい。
その巨根を振るい返そうとしてもたちまち氷結するはず。
「カアアアアァァ!!」
口から文字通りゾッとする白色の冷気がほとばしる
地面と空気を凍てつかせつつ縁壱を氷結させ
氷のオブジェにするべく邪悪な吹雪は直進する。
冷気を見据えた縁壱は微動だにせず
股間を大きく開き陰茎を戦槍のようにまっすぐ伸ばしつつ
鉄球の如くのようにぶんまわす。
438
:
初日の出
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:47:38 ID:qBbeUYyo0
「なっ…あり得るか!?こんな光景が!?」
扇風機のように激しくまわる巨大な陰茎がおいかぜを巻き起こし
すぐさま大魔王への逆風と肥大化し
こごえるふぶきを反射した。
今度はこちらが敵を死に至らしめる技を反射させられる。
ピッコロとて予想できなかった。
刃向かうムシケラを絶望させ凍てつかせる猛吹雪が
己を氷結させる危機を招こうなどとは。
「カアアァッ!」
もう一度こごえるふぶきを吐き起こし
反射された壱度目のふぶきを相殺することで掻き消す。
掻き消えている最中のふぶきから縁壱がとびだしてきた。
「き、貴様ァァ!!」
大魔王が2発目の冷気を放った時点で縁壱は地を蹴り
陰茎と託された日輪刀を構えて大魔王へ飛び出す。
ピッコロも右手で陰茎を
左手で刀を受け止めるが反応が遅れ
耐性を崩し、受け止めきれず刀は受け流せたものの
巨根による殴打は捌けなかった。
さながら民家など積み木のようにバラバラに粉砕する丸太を打ち込まれたようだった。
大魔王は溝に打ち込まれた多大な衝撃に耐えきれず
口からは血液と唾液がこぼれ
腹部を押さえながら徐々に後ずさる。
その隙を縁壱は逃さず
ピッコロの懐へ飛び込み刀を突き刺そうとする。
先ほど2連でこごえるふぶきを吐き起こしため
3発目を放つのは多少のインターバルが必要となる。
元の肉体の大魔王ゾーマにはバラモスブロスという
青い体肌のカバのような(一部では竜頭とも言うらしい)魔物がいた。
短時間でもまれに上司の大魔王にすら不可能な3回の行動をやってのける特性を持つ。
配下の魔物にできる技や呪文は上位の魔物も可能とは限らない。
そもそもできるがあえてやらないこともあり得るものの
3回行動は少なくとも元の世界ではバラモスブロスしかできない。
3回の動きは上官の大魔王もあらゆる願いを実現化する神の龍ですらなし得ない。
ようする今すぐ吹雪を吐くのは不可能で、
両手も激痛とダメージが走る腹部を押さえているため
今の大魔王に
巨根の殴打と刀による切り傷の苦痛をかみしめること以外できることはない。
佩狼と真希による疾風迅雷の斬撃と刺突の傷もますます疼く。
防御の構えも回避もできないピッコロは日輪刀の斬撃をもろにうけた。
今回の殺し合いでここまで瞬く間に
翻弄されたの初めてであった。
「やってくれたな…肉体が異なるがわしを
こんなあっという間に痛めつけたのは貴様が初めてだ。」
異なる世界の大魔王の肉体を手に入れ
先ほどの3人組を多少驚くことはあったが容易に蹴散らし
ピッコロは少なからず慢心していた。
このパワーで猛威を振るえば必ずや悪と恐怖で殺し合いの舞台を埋め尽くせる。
そして最後には願いを我が物とするのだ。
正義を振りかざす輩などこの手で退治し、
役に立ちそうな極悪な参加者は配下に引き込もうとしていた。
そして何もかもが思い通りになるとは限らないことを思い知らされていた。
唐突に現れた褐色の巨漢の刀と股間にそびえる巨根わけのわからぬ
攻撃の前に追い詰められ動揺しつつも闘志をふり絞る。
大魔王として矜持と悪への執念が敗北を許さぬのだ。
439
:
初日の出
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:48:13 ID:qBbeUYyo0
◆
嫌だ、心苦しい、やっぱり自分は武器を持って
相手を傷つけることに向いていないのだ。
目の前の者を痛めつけ破滅の渦中に引きずり込む殺し合いに
どうしても価値があるとは思えない。
この邪悪を倒さないと他の美しい命が奪われる。
だから刀を手に取って切らなくてならない。
股間に龍のように伸びた男根を叩きつけなければならない。
理性ではそう思いこもうとしても
武器で傷つけること事態に恐怖と逃避感を感じずにはいられない。
巨根で殴られ刀の切り傷を負わせられた
ピッコロを見るごとに縁壱は静かな怒りとは別に
蝕むような罪悪感が芽生える。
四肢の動き、的確な判断力、敵の技への対応
どれをとってもまるで幾多の修羅場をくぐり抜けた熟練者のような無駄のない
初めての実戦とは思えぬほど戦い様であった。
少なくとも動揺と恐怖といった負の感情を背負い
戦いに逃避感とおびえを持つ者とは思えぬ強さだった。
「可能ならもう引いて欲しい。」
「なに…?」
「こんなに痛めつけ合って何になるんだ。」
縁壱の口から戦いの終息を願う言葉がこぼれる。
素朴な感性の持ち主で争いを拒むこどもにとって
命のやりとりはこころ苦しい災厄でしかなかった。
「はっはっはははは…おかしなことを抜かしおって!
わしにあれほどのこうげきを叩きつけたヤツの言葉とは思えんわ!!」
一方ピッコロ大魔王からすればつまらんギャグにもならない
戯れ言にしか聞こえなかった。
甘ったれたしょうも無い正義感を振りかざし
殺し合いを止めようとする時点で論外だが
こいつはもう論外未満だ。
今までも正義の味方気取りの武道家どもは数えきれぬほど殺してやったが
苦痛に悶えているにも関わらず笑ってしまうほど滑稽だ。
そもそもこの大魔王を苦戦させるほどの猛者なのだから
邪魔な者は実力でねじ伏せれば済むだろうに。
この大魔王がお涙頂戴の説得や
ちょっと不利に追い込まれたくらいで降参するわけがない。
悪の権下ピッコロ大魔王にとって素朴で善良な人間の感性なんぞ
生まれ変わって善良にでもならない限り理解も受け入れもできるわけがなかった。
「しかしやってくれたな…肉体が異なるがわしを
こんなあっという間に痛めつけたのは貴様が初めてだ。」
命のやりとりを好んでも逃避感があろうとも
この戦いはどちらかがバラバラになるまで終わらない。
激しい猛攻を正面から喰らったピッコロは苦痛が多少は治まったのか
腹から手を離し闘志と殺意を燃え上がらせ構える。
440
:
初日の出
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:48:37 ID:qBbeUYyo0
氷塊の呪文も吹雪のブレスもこの棍棒男には通じない。
ならばこの肉体のパワーと技術を持って
息の根を止めるしかない。
極寒の技だけが大魔王の武器にあらず。
ローブとネックレスを身につけた外見のため
戦士のような豪快な物理攻撃は
得意ではないように見えなくもないが実際は別だ。
先の戦いで佩狼の肉体を手刀でたやすく貫いたように
大魔王ゾーマのこうげき力は人体など簡単に貫き壊せるほど凄まじい。
しかし凄まじい破壊力を備えるのは敵も同様、
肉弾戦は熾烈を極めどちらかがバラバラになるまで終わらないほどに激しくなるはず。
「ぬうぉぉおおりやあ!!」
地を蹴飛ばしたピッコロが縁壱の身を粉々に砕くために
鉄拳を握りしめ振るわんとする。
約7尺(約2メートル)以上の巨体からは想像もつかないほどの速度で向かってくる。
元の体で相手の臓腑な筋肉の流れを見れば回避はたやすいが今の肉体ではそれが不可。
無理に避けようとしてもタイミングが遅れ対処をするのは極めて難しい。
ならばとれる手段はただ一つ。
真正面から棍棒のような肉帽で大魔王の拳撃をうけとめるのみ。
「ぐんぬ…おおおおお!!」
ピッコロの片手は肉帽に止められた。
互いの動きがつばぜり合いで止まる。
縁壱の魂が宿ったキンターマンの肉体は
本来背丈の小さい50万パワーのとある超人にも
力が劣り35万パワーしかない。
筋骨隆々のマッシブな外見ではあるものの
力は並かそれ以下の可能性がある。
故に世界を闇で塗り替える大魔王のパワーにあらがえるはずもないが
縁壱が使いこなせる呼吸の特異な力によって限度を超えた膂力を引き出している。
単純な力比べで渡り合えるのは縁壱の呼吸のおかげだ、
逆に言えば呼吸の力がなければ渡り合えないことでもある。
正面から伸びた陰茎が防がれ動けなくなれば何もできない。
片手に携えた日輪刀で斬りかかれはしない。
陰茎が長すぎるあまりに先端を止められれば武器による攻撃は届かない。
その気になれば強引に陰茎を切り離して自由に動くことはできるだろうが
キンターマンの肉体を縁壱は極力傷つけず
本人に返すつもりでいるためそんなことをするわけにはいかなかった。
そしてピッコロは空いているもう片方の手に魔力を込め弾丸のように放つ。
弾の速度は半端ではなく縁壱は被弾する。
焼け付くような衝撃と痛みに眉を顰める。
(ようやくこちらの一撃が通じたわ…氷の呪文は完全に対処されたが
あらゆる技が通用しないわけではないようだな。)
攻撃が初めて通じ、ピッコロは少し安堵する。
この猛攻の手を緩めずケリを一気に付けに行く。
大魔王ゾーマの肉体で可能な技や特殊能力を調べるために
フルパワーを敢えて発揮せず、あえて茶番に興じるような
遊び感覚で戦ってきたが、
余計なお遊びは今は控え目の前の男を手加減せず
全身全霊で殺そうとする。
そのためにもピッコロは再度、指先に魔力をため込み光弾を発射する。
大魔王は光弾の連射をやめず、執拗に撃ってくる。
441
:
初日の出
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:49:04 ID:qBbeUYyo0
何発放ってきたのか、縁壱は何発喰らってしまったか。
両手ではとても数え切れないほどの
光弾を受けた縁壱の身は焦げぐったり倒れ伏せた。
日輪刀を手から離してしまい
その隙を見逃さずピッコロは煉獄の日輪刀にも光弾を放ち粉々に破壊した。
「さぁどうする?もうたちあがらんのか?」
大魔王が放つ攻撃手段に完全に対応できる人間などやはりいるはずがない。
ガンガン攻めていき、この薄気味悪い棍棒男をとっととぶち殺したいが
まだまだ手札を隠している恐れもある。
慢心を抑えた大魔王に隙は極めて少なかった。
(苦しい、背を向けて逃げたい気持ちがある、だけど。)
攻撃が初めて通じたピッコロに対し
縁壱にも初めてのことがあった、それも生まれて初めてのことだ。
それは相手の反撃で傷を負ったこと。
争いはやはり何より恐ろしく肯定しがたい。
乱暴な言葉による争い、武器を持って命を狙う争い。
父上はかつて忌子の自分と遊んでくれた兄上を殴り、
それを良しとせず烈火の如く怒りを燃やした母上と言い争った経緯がある。
あの時は悲しく苦しく気持ちでいっぱいだった。
自分の存在があったせいで命を助けてくれた母が、
信心深く武家の使命と責任に真摯な父が、
そして禁じられ発覚した時は容赦なく暴力を振るわれるのにも関わらず
自分を気遣ってくれた優しい兄が。
優しくて正しい家族が憤りを向けあい傷つく機会はもう二度と来ないで欲しい。
あの時以来縁壱はもめ事や喧騒を一層苦手とするようになったかもしれない。
まだ縁壱は諦めてはいない、
今は恐怖だがここで果てればさらに多くの者が
恐怖のそこに沈みゆく。
それでも闘志がまだ完全には霧散していない証なのか
股間の熱き肉の棒はいまだに大樹の如くそそり立っていた。
「やはり人間どものレベルはこの程度よ、
ちょっと痛めつけられたくらいでズダボロではないか
お前ら人間なんぞが魔を凌駕できるはずなどなかったのだ!」
完全なとどめを刺すべくピッコロ大魔王は縁壱の縮まらない肉棒を握り
まるで旗を陰るように中へ上げた。
そのまま大地へ振り下ろし地へ叩きつけ、次は左方向に上げて再度叩きつける。
左のつぎは右に、そのつぎはまた左に、そのまた次は右に振り上げ
叩きつけるのを何度も繰り返し地へ、さながらムチのように叩きつけた。
一度一度地へぶつけられるごとに肉体へ激痛が蝕む、
数多の手傷が生じる巨漢の肉体からは血が噴水のように噴きあがる。
地べたのぶつかり合う衝撃と轟音が生じる。骨もいくらか折れている。
鍛錬を繰り返した強靭な筋力と
丸太のような陰茎を有する肉体でもこれほど攻められば瀕死は免れない。
幾度となく叩きつけてやったピッコロは
とどめに真上に跳躍し、掴んだ縁壱を投槍の如く地面へ投擲する。
「とっておきのダメ押しといってやるわ!グチャグチャにしてくれるぞ!」
重傷を負い動けない縁一を狙い大魔王は、宙に浮いた状態でマヒャドを唱えぶつける。
さらにそのまま急接近し、魔族特有の人差し指から気光弾をゼロ距離でぶっぱなし、
とどめに凍える吹雪も吐き散らし、これも気光弾に続きゼロ距離で放った。
「これにてお終いよ…、多少は驚かせてくれたが、
貴様たち軟弱な人間がどんな力も得ようが大魔王様には足元にも及ばんのだ。」
大魔王は勝利を確信していた。
取るに足らない愚かな人間なんぞが魔に属する者たちの頂点に勝てるはずがない。
442
:
初日の出
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:49:21 ID:qBbeUYyo0
かつて大魔王を電子ジャーに封じこみトラウマを植え付けてきた
武道家どもの長を務めていた武泰斗でさえ
結局倒しきることはできなかった。
むしろ絶対に倒せないからこそ封印という手段をやむを得ず選択したのだ。
443
:
輝け日よ
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:50:04 ID:qBbeUYyo0
中編、「輝け日」をとうかします。
444
:
輝け日よ
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:50:23 ID:qBbeUYyo0
(もうなにも感じることができない、記憶だって薄れていく。)
五感が徐々に消えかけ縁壱の中で全て黒色に、
真っ暗になっていく。眠くもなってきた。
疲れだって出てくる、継国家を出奔して
赴くままに走っていても疲れは感じなかったのに。
思考も薄れてきた、今の自分はどうして戦っていたのか
そんな単純な理由だってわからない。
縁壱はもう死体も同然だった、
勇ましくそびえ立っていた肉根も今は常識の範囲内のサイズに収まり
丸太のように太く強靱な見る者を圧倒させる大きさが嘘のようであった。
忌子の自分にできることなど元から何にも無かったのだろう
なんの価値もなくこの生になんの意味も無かった。
疎まれ蔑まれる忌子の自分が誰かの役に立ち助けて、
誰かの希望となり穢れのない命と守り抜く。
そんなことを思い戦ってきたが単なる傲りだった、
身の程をわきまえずできないことを無理に実行しようとした一人の愚か者、
それが継国縁壱という子どもの全てだった。
当然の失意とまぎれもない絶望に引きずられながら幼い少年の命は死へ堕ちた。
『落ちこぼれのどこが悪い!?世の中ウルトラマンやゴジラばっかりじゃないわい!』
この声は誰の声なんだろう、死んだ自分にはもうなにもきこえないはずなのに
とっても熱く大きくて快活な叫びだ、
自分には芯の強さと揺るがない自信と決意が秘められている。
それでおいてなんだか無邪気にも思えた。
日本一の侍を目指したあにうえのような純粋なあこがれ…、
これらの声には相手を何が何でも助けたいという慈悲も感じた。
その声を耳にすると勇気が芽生えてくる。
自分ではない誰かのために力を使わなければ
この男を絶対に止めなくちゃいけない。
大魔王の氷塊と吹雪に凍てつき傷ついた
極低温のからだに太陽のような熱気が宿りはじめた。
死にかけていたとは思えない温かさ縁壱を再び動かす。
これは友情パワーまたは火事場のクソ力と呼ばれる力であった。
このキンターマンもキン肉スグルとバトルロワイヤルという形式で一戦交えた経験がある。
火事場のクソ力はその力を持って戦えば対戦相手にも移り
その移った者がさらに他の相手と戦えば火事場のクソ力もまた移る。
このようにキン肉スグルが編み出した火事場のクソ力はとめどなく広大化していたった。
その力が今継国縁壱にも渡った。
冬の凍てつきと積雪を緩やかに溶かす春の穏やかな陽光の如く静かに輝くと
輝きが縁壱を覆った段階で、夏の太陽も同然に縁壱はまばゆくも鮮烈な光を放った。
その光はまさしく夜明け、日の出だった。
「し、死体がなぜおきあがるのだ!」
こいつは不死身とでもいうのか、
なんの理由で物言わぬ骸が足を地に着け再び動くというのだ。
445
:
輝け日よ
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:50:50 ID:qBbeUYyo0
心臓を確かにとめたはずだ。
なのにまた立ち上がるのおかしい、明らかな理不尽。
急所の箇所を削られはかいされて生き延びる人間などありえない。この男はいったい何者だ、いやそもそも本当に人間なのか?
われらと同じ魔族のような正真正銘の怪物だったのか?
「だれかの温かく大きな声が聞こえた」
「声だと、わしにはなにもきこえんかったぞ…
きさま頭がおかしくなり幻聴でもきこえたか?」
「その声が倒れて弱い俺を支え動かしてくれた」
「起き上がってくる体のみならず頭も意味不明な奴め…!
事実なんぞもはやどうでも良い!今度こそ貴様を地獄に叩き落としてくれる!」
次は確実に息の根を止める、心臓を停止ではなくその肉体を消し飛ばすくらいの気概で行かねばこいつはくたばらない。
自らの口に片手を突っ込み、体内にためられたこごえるふぶきで凍結させる。
凍てついた手は氷結の剣と化かした。
真っ二つに泣き別れろ!
バラバラの刺し身にしてやることで即死を目論む。
大魔王の凍てつく魔刃が超人の肉体を引き裂かんと牙をむいた。
唐突に嵐のような風が吹き腕にとてつもない衝撃が巡ったかと思えば
凍った手が腕もろとも宙を舞っていた。
「こ、これは…?」
下人の姿に目を向けると
巨根のスイングで腕を凍った手刀もろとも弾き飛ばし
そのスイングで大風が放たれたのは疑う余地もなかった。
「ご、おおおおおぉぉぉぉ…」
胴体から右腕が根元から跳ばされ欠損の苦痛に包まれる。
ピッコロ大魔王の元々の肉体は一応自己再生力を有する
ナメック星人であり、体力を消耗するが
おそらく欠損などトカゲの尻尾の如くすぐさま復活できるはずだ。
だが大魔王ゾーマの肉体に再生能力や回復の手段は特にない。
本来ならば即再生できた重傷を治癒することは今はできなかった。
何より蔑んでいる人間如きにここまで追い込まれるのはとんでもない屈辱であった。
(やはりこいつは…ただの人間とは違う…!人外以外にはありえん!)
大魔王は確信した、こいつは人間を超えた生き物なのだ。
その推論は見事的中している。
遙か古の時代に神々が想像した種族の超人、
キンターマンもその超人の一人なのだ。
月まで往復できる異次元のスタミナ、
男根を丸太のように巨大化できる力、
こんなことはただの人間には間違いなく不可能な芸当。
まさに人類を超越した優秀な種族、それが超人。
この世を安寧に導くために
強く勇ましく造られただけにあり伊達ではない。
そして火事場のクソ力、縁壱はいまに
オメガケンタウルスの海賊超人が言うところの第二段階のパワー、
己のためではなく他人のために戦う際に発揮される力とともに戦っていた。
「もう一度言ってみる、もう引いて欲しい。」
新たな力を手に入れ格段に実力が増しても
戦いを嫌い、平穏な形での決着がつくことを臨まずにはいられない。
ものわかりの良い大人であれば説得で
ピッコロ大魔王という根っからの極悪人は応じないと断言できる。
446
:
輝け日よ
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:51:09 ID:qBbeUYyo0
こんな状況でも対話を試みるのは縁壱に宿る確かな善性ゆえか
または子ども特有の単なるわがままかもしれない。
「二度と口を開くなああ!」
激昂するままに残った手で殴りかかるも
迫力や力強さはアルもノン動きが単調で拳の軌道は読まれ回避される。
対照的に縁壱の動きには一切の無駄がなく、避けたのとほぼ同時に背後へ回り
重い男根の一発を背へ向けてたたき込んだ。
血反吐を口部から爆発させたようにぶちまけ
仰向けにピッコロは倒れこむ。
(こ、このままでは…ダメだ!!勝てぬ!!)
凍てつく冷気の呪文やブレスは通じず
膂力を活かした暴力と気光弾で黙らせるのには一度は成功した。
しかし死体となった状態から復活し、おまけにさらなる強さとパワーを発揮して
再度向かい完膚なきまでに打ちのめしてくるなど
ピッコロ大魔王からすれば理不尽な苦痛を思い知らされたようなものだ。
屈辱を晴らす以前にこのままでは殺される。
なにか打開する方法はないのか、
デイバック内にある支給品をたよってみるか、
それもだめだろう役に立つ道具を使っても
使うわずかな時間が隙となり、
使用を許さず一方的に蹂躙されてしまう。
氷のブレス、呪文が通じず肉弾戦で挑み有利に立ち回り
ついぞこの男を地獄へ葬ったと思いきや
突如やつの全身が閃光のように輝き
見たこともない力を見せつけてきた。
奴の表情からして今までこの能力を使えていたのではなく
この絶体絶命の土壇場で新たなる能力か謎のパワーに目覚めたらしい。
にわかにはありえぬ話だが強大な力に追い込まれれば追い込まれるほど
ヤツは壁を乗り越え未知の領域にまで進化するというのか。
(ま、まさか…わしがここで終わるというのか…
まだ全然恐怖も絶望も振りまけてオランというのに…!)
もちろんピッコロ大魔王にとって、引けなど言われても降参の勧めにしか聞こえない。
下等な人間と思っていた敵に降参せよと言われても後退はなにがあってもしない。
こいつの存在だけはなんとしてでも消し飛ばす。
欠損しようとも大魔王の憎悪と戦意が薄らがない。
だが度し難い力の差を埋めて勝たなくては打開は不可、
バトルロワイヤルの舞台を恐怖と悪で包み込む野望など夢幻と散る。
447
:
絶望の大魔王
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:51:47 ID:qBbeUYyo0
後編「絶望の大魔王」を投下します。
448
:
絶望の大魔王
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:52:09 ID:qBbeUYyo0
(諦めん…ワシは諦めぬぞ…!!)
大魔王に宿る悪意や憎悪の邪悪な感情がさらに燃え上がる。永久に崩れぬ闇と絶望の世界を蘇らせるためこんなところで倒れるわけにはいかない。
大魔王の足元から黒紫の火のような瘴気が生じたのはその時だった。
「こ、これは、いったい…」
突如大魔王に舞い上がった禍々しい瘴気に縁壱も怪しみ警戒する。
今から起きようとする何が尋常ではない
人の手には余るおぞましい出来事だとはすぐに理解できた。
なにか邪悪な事を起こそうするまえに
縁壱はダンコンを引き締めて膂力を込めつつ
大魔王の頭をかち割るため縦方向に上げ
ギロチンのような速度で振り下ろした。
今までは男根の一発は通用していた。
異常事態が起こってしまう前に
即死させることによってカタをつけるのだ。
だが振り落とした陰茎が大魔王の頭部を破壊することなく、
大魔王を包む未知の結界に激突し、
破壊することは叶わなかった。
「カアアアアア…。」
(これは…。)
縁壱の本能と全身の細胞が泣き叫んでいる。
今すぐ足を後方に行くために
死力を尽くして動かし逃走するべきだと。
今までに思い知った事の無い絶望が今来たると。
しかし絶大な恐怖に蝕まれても背を向けることはしなかった。
未知の力を有した今、目の前の怪物を倒せる可能性はまだまだある。
決めたことは曲げない、この男を倒し
被害と猛威を野放しにはしないと固く決めた。
前に大魔王と戦っていた3人のためにも後ろを向かない。
449
:
絶望の大魔王
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:52:27 ID:qBbeUYyo0
「この勝負どちらかがバラバラになるまで終わらぬようだな…。」
大魔王の重厚で邪悪な声が響き渡る。
「くっくっくっく…この大魔王をここまで追い詰めるとは
このバトルロワイヤルで貴様を超える戦士はおらぬだろう…」
火事場のクソ力という謎の能力を自在に使いこなし
限界を突破した継国縁壱の類を見ない力は
いかに無双を誇る大魔王でも認めざるを得ない。
この滅びと敗北へ追い込まれる危機感と戦慄は
否王でも遙か昔にむたいとなる武道かに封じられた忌まわしき過去を思い出させてくれる。
この地上にまだこのような化け物がいたとは…。
「この大魔王以外を除いてな!!」
大魔王の強靱な肉体が、
周囲に黒紫煙が竜巻のように渦巻き
やがてこの世界そのものを包み込むように覆い尽くした。
一抹の光すら許さぬ暗黒が際限なく広がり
縁壱の視界は闇で真っ暗になる。
そして静寂だけが残る、先ほど死闘を繰り広げた大魔王の姿も見えない
仮に今透き通る世界が使えてもこの深き闇によって
大魔王の姿を見ることができないという確信のみがあった。
気がつけば力は発動しているはずなのに自身が光を放たなくなっている。
しかしこの溢れ出る力の実感は途絶えていない。
この闇の空間は文字通りどんな光でも存在を許さない闇の世界らしい。
全てを覆い尽くした闇が蠢き一点に集いはじめた
天空を包む闇が
地を侵食する闇が
地平の彼方すら一色に染め上げる闇が
逆らえない引力に呑み込まれるように集結する。
縁壱がを見抜くとその場には確かに大魔王がいる。
しかし先ほど戦ったものと同一の存在に思えないほどの変化があった。
「おお…なんだこのとてつもないバリアは…
満ちていくぞ…わしすら想像つかぬほどの素晴らしい力ではないか…。」
大魔王の肉体は燃えさかる闇をまとい
以前とは別の存在に思えるほどの存在に生まれ変わっている。
宿っている魔力と闇は無限に思えるほど濃く深くなり
負の存在、この世界に存在する闇という概念そのものに化けたのではないか。
「この偉大なパワーを今の貴様で存分に試すとしよう!
簡単には壊れてくれるなよ…?」
450
:
絶望の大魔王
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:52:52 ID:qBbeUYyo0
雰囲気も次元も今までとは明確に異なる。
敵もまた絶体絶命の窮地で新しく凄まじい力に覚醒した。
先手必勝、新たな力を持って猛攻をたたみこむべく
ピッコロは手刀を再度欠損していない片方の手で構え、突撃する。
それを縁壱は下の棍棒を構え迎え撃とうとする。
敵の速度はたしかに増している。
それでも反応できないわけではなかった。
先と同じく一発打ち込めばいい。
それが過ちで致命傷に至るとは想像もできなかった。
手刀が陰茎に触れたのとほぼ同時に股関から真紅のシャワーが吹き乱れる。
「棒はなくなったぞ!」
いまいましい武器の陰茎を切断したことにより歓喜のあまり高笑いをせずにはいられない。
やつの最大の武器はあの男魂だったのだ。
それが全く使えなくなればもうアリンコのようなムシケラ同然だ。
無欠の闇、闇の衣をまとった大魔王の最大の武器は
絶対零度のブレスでも偉大な魔力から打ち出される
氷の呪文でもない。
どんな願いでも叶える神の竜と並ぶ守備力と俊敏性、
どんな大ダメージも確実に言える自動回復力、
元の世界では誰もが超えらぬ究極の膂力が大魔王の真の武器であった。
今まで体感したことのない酷すぎる苦痛に
縁壱は壊れたように泣き叫び嘔吐もしそうになる。
最大の武器にして男の象徴の男性器が切除されるのは想像を絶する苦しみ、
まさしく絶苦であった。
「その棒がなくなればもはやなにもできまい!」
息も乱れもだえが止まらない。
今後たとえ生き延びてもこの苦痛を超える痛みには遭うことがないと思えるくらいだ。
苦痛と絶望感がとれる気配がまるでない。
歯を食いしばりたとえ
五体が粉のように霧散するほど
くだかれようとも、立ち向かわなくてはならないというのに。
そうだ陰茎が切断されたからなんだ、
手も足だってまだ残っている。
武器は陰茎だけではない。
こちらから一撃をどうにかしてお見舞いし活路を見いだすのだ。
大魔王の心臓の位置めがけて突進するも、
その攻撃は両手で簡単に止められてしまう。
「素晴らしい、最高のパワーに目覚めたのは貴様だけではないようだぞ…!」
戦慄せずにはいられない、大魔王の今のパワーはまさに最高潮に達していた。
縁壱はまるで自分が生き物ではなく大地震でも生じない限り
崩落しないような大山を相手に戦っているような気分であった。
ちょっとやそっとの衝撃では永遠に動じない。
火事場のクソ力を含めて渾身の一撃も今の大魔王相手には蚊ほども効いていない。
さらに驚くべき事に今までうけた傷もいつのまにか再生している。
やみのころもはただ身体能力を恐ろしく底上げする以外に
尋常ではない回復力すらも付与するのだ。
欠損していた腕もほぼ完治し、
新たな腕がまるで何事もなかったかのように復活していた。
(ここまでパワーを身につけられるとは
下手すれば全盛期の力にも匹敵するではないのか…?)
451
:
絶望の大魔王
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:53:10 ID:qBbeUYyo0
最盛期のピッコロ大魔王のパワーはまさしく絶望的な強さであり
どんなに屈強な者でも敵わないと悟らせるほど。
その時の最強の力に並ぶほどこのやみのころもをまとった
大魔王ゾーマの実力は恐ろしい
その力を今は我が物としている
ピッコロ大魔王さえ狂喜を通り越し戦慄するほどだ。
もしこのバトルロワイヤルが自分の優勝で完遂され
元の魔族の肉体に戻れても
大魔王ゾーマの魂または精神を無に返さない限り
大魔王と大魔王の魔の真の頂点を争う決戦が待っているかも知れない。
(まぁそういったことは後に考えればよい…。)
いますべきことはまずは散々煮え湯をのませてきたこの男に
絶望を刻みながら死に至らしめることだ。
覆すのは不可能なのはわかりきっているはずだがそれでも男はまた
この大魔王に向かって攻撃を加えようとする。
「ぐはははは!往生際の悪い奴め!
貴様にはもうなにもできんというのがわからんのか!」
またこちらに向かって突進してきた、
ワンパターンで芸のないヤツだ。
単純なこうげきは通用しないというのに。
縁壱も肉体だけに頼った攻撃は控え支給された道具を活用しようとしたが
それはやめた、バックの中身に手をいれた瞬間に怒涛の攻撃を間違いなく行ってくる。
だからこの肉体に頼ったちからで未知を開くしかない。
「ハアッ!!」
縁壱の頭をがっしりにぎりそのまま捻り縁壱の頸をあらぬ方向に曲げて首骨を破壊した。
この時点でもう縁壱は戦闘不能に陥ったがそれでも手を緩めない。
さらに上空へ放り投げ、ピッコロは下半身に力をいれ真上に跳躍する。
腹部を狙い握り拳を落としあまりの力に地へ殴り堕とされるのではなく
そのまま胴体を両断されてしまう。
決着は恐怖と絶望をつかさどる大魔王の勝利に終わった。
泣き別れとなった縁壱の胴体が地面に落ちる。
後に鬼殺隊の全集中の呼吸を伝え
悪鬼滅殺へ導き繋げるはずの命はいま散った。
452
:
絶望の大魔王
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:54:21 ID:qBbeUYyo0
(なんとか…なんとかしなくては…おれが…)
それでもなお諦めたくはない。
この邪悪だけは…自由にさせてならない
その一心で消えゆく命はまだあがかんとする
いくらでも悪足掻かなくてはだめなんだ。
長きにわたって戦い抜こうとする意思と執念があろうとも
死という終わりを覆すことはできない。
幼い日輪は死という永久凍土の中で眠った。
もう覚めることはないのだ。
【継国縁壱@鬼滅の刃 死亡】
ラストのゾーマの血の文
この世と人間どもに宿る希望とひかりを絶望と恐怖の闇を持って滅ぼし
天地を暗黒に染め上げ、未来永劫崩れぬ闇と絶望の世界を招来させ
完全無欠の負の権下、それが大魔王という概念。
天に浮かぶたった一つの太陽は凍てつく大魔王という極寒によって
誰かを暖め照らし希望を残すことは二度と叶わなくなった。
(さぁ待っていろムシケラどもよ…今に…今にこの力で存分に絶望させてくれるわ!)
元の魔族の肉体を取り返したあとにおきるであろう
大魔王ゾーマとの決戦も並大抵では終わらない死闘になるはず。
しかし少なくともこのバトルロワイヤルの会場にいる今は
恐怖と絶望をまき散らすのが優先だ。
さらに言えばナギとまきとかいうゴミどもをさらに怯えさせ絶望させたい。
自分たちを助けた男がどんなに嘆くだろうか。
その絶望と旋律に染まった表情もできればおがみたい。
ただ自分が殺したと言っても信じないまたは
別の要因で命を落としたと思い込む可能性もある。
そこでピッコロ大魔王は自分が殺した証のため
切断してやった陰茎をデイバックにしまい込んだ。
闇の衣をまとい真の闇へ至ったピッコロ大魔王は
さらなる地獄と悪意を見せつけるために悪行を繰り返す。
文字通り悪の概念しかない大魔王に良心や情けは1パーセントも存在しない
絶対なる悪こそが揺るがない存在意義なのだ。
【F-3】
【ピッコロ大魔王@ドラゴンボール】
[身体]:ゾーマ@ドラゴンクエストIII
[状態]:ダメージ(小、回復中) MP消費(中)、闇の衣による児童回復。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(自分、佩狼、縁壱)、ランダム支給品1〜4 爆弾×3
[思考・状況]基本方針:優勝を目指す
1:この闇の力を持って恐怖と地獄を全ての者に思い知らせる。
2さきほどのごみども(ナギ、禪院真希)にこいつ(縁壱)の棒を見せて死を理解させ絶望させたい。
[備考]
※参戦時期は封印が解かれてから、悟空と最初に戦うまでの間
※闇の衣をまといました。
※継国縁壱の支給品を奪いました。
453
:
◆0EF5jS/gKA
:2023/12/26(火) 06:54:40 ID:qBbeUYyo0
投下は以上となります。
454
:
◆8eumUP9W6s
:2024/01/13(土) 00:55:11 ID:ULId31Hc0
五条悟、城戸真司で予約します
455
:
◆8eumUP9W6s
:2024/01/27(土) 08:52:13 ID:JzhQ7boE0
報告が遅れてしまいましたが予約を延長します
不可能なようなら一旦破棄します、申し訳ありません
456
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/01/27(土) 10:30:18 ID:l4vWfyO20
>>455
申し訳ありませんが、予め用意していたルール通り、予約については今回は破棄と扱わせていただきたいです。
なお、本来の期限から5日経てば再予約は可能であり、この予約不可期間の間でも投下自体は可能です。
457
:
◆8eumUP9W6s
:2024/01/27(土) 10:35:08 ID:JzhQ7boE0
>>456
了解しました、一旦破棄させて貰います
458
:
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 07:08:07 ID:zxwgFsis0
夏油傑、予約します
459
:
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 16:40:43 ID:zxwgFsis0
投下します
460
:
Merry Christmas
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 16:43:31 ID:zxwgFsis0
「おいおい悟…君までいるなんて、冗談だろ?」
放送を終え、タブレットで参加者の名前を確認した夏油傑は、思わずそう呟いた。
五条悟。
五条家の六眼。
最強の呪術士。
そして…親友であり敵だった男。
「あいつをあっさり攫ってこんな催しに巻き込むとは、どうやらこの殺し合いの黒幕は、とんでもない奴らしい」
あるいは…この夏油傑の気配を察知して追ってきたか…と考えるのは流石に自意識過剰か。
あの悟ならそれくらいの規格外のことをしでかしてもおかしくないが。
まあ、救いがあるとすれば肉体の方に悟の名はなく、この悟は六眼を使えない以上本来の力を使えないだろうということくらいか。
ただ、あの悟であるし肉体が変わっていても全く油断はできないが。
そして、肉体の方にも見過ごせない名前があった。
「伏黒甚爾…あの時の奴も、肉体だけとはいえ復活しているのか」
それは、まだ夏油が呪術高専にいた頃。
悟とともに臨んだ任務で、星漿体の少女、天内理子を守る任についた夏油は…失敗した。
理子を、この伏黒甚爾に殺されて。
結局あの化け物は悟によって倒されたが…それより以前に、夏油は彼に敗北している。
正直、今でも勝てる自信はあまりないし、現在のこの肉体ではなおさらだ。
肉体の方が連れてこられているとなると、下手したら悟以上の厄ネタと言えるかもしれない。
「とりあえず…彼らは今は避けておくか」
地図を見ると、見知った場所といえるのは禪院邸だが、こっちの方に行くのはやめておこう。
参加者の中には悟の教え子の禪院家のお嬢さんがいるようだから悟が合流の為にこっちに来る可能性は高いし、伏黒甚爾も禪院家関係者らしい。
甚爾のプロフィールを見た精神の持ち主が興味を引かれてそっちに向かうという可能性もなくはない。
今は避け、他の参加者に倒されるか、消耗したところを討つ。
かつて伏黒甚爾が五条悟に仕掛けた策を真似ているようなのは癪だが。
461
:
Merry Christmas
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 16:44:09 ID:zxwgFsis0
「…支給品を見ておくか」
今のこの身体だけでも召喚した剣や魔物など、手札としては悪くないが。
悟や甚爾を相手取るには足りない。
有用な道具がないか、確かめておくべきだろう。
「サンタ服…バカにしているのか?」
一つ目の支給品…サンタ服。
しかもミニスカ。
説明によると喜多郁代…参加者の中にも名前があった女子高生の私物らしい。
肉体のギラヒムは結構長身なので当然夏油にこれは着れない。
着れたとしても着ないが。
「…その喜多郁代という子に渡せばよかったんじゃないかな?」
ちなみに現在の喜多ちゃんは腰みのと変な皮というまともではない服装である。
会ったら渡してあげれば喜ぶと思うよ?(ちなみにキタキタおやじは160cm、喜多郁代は158cm)
ともかく気を取り直して二つ目の支給品を取り出す。
「…私がクリスマスに騒ぎを起こして死んだことへの当てつけのつもりかい?」
二つ目の支給品…プレゼント箱。
説明にはワッピーちゃんのぬいぐるみが入っているとしか書いてない。
脱力しつつ一応プレゼント箱を開けてみると、
『ウソだよ〜〜!!』
ビヨーンと飛び出すびっくり箱。
同時に、支給品説明の内容が変わった。
『ワッピーちゃんのぬいぐるみが入ったプレゼント箱……というのはウソだよ〜!
ほんとはびっくり箱でした〜!』
グシャリ
地獄王特製びっくり箱は無惨にも夏油の足で踏みつぶされた。
「…最後の支給品も見てみるか」
全く期待できないものの、最後の支給品を取り出し…
「なっ…!」
夏油は思わず絶句した。
彼の三つ目の支給品…それは
真っ二つになった五条悟の死体だった。
462
:
Merry Christmas
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 16:45:28 ID:zxwgFsis0
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「さ……と……!?」
死体と共に出てきた説明の紙を見る。
『2018年12月24日、両面宿儺との決戦に敗れた五条悟の死体。』
「両面宿儺…あの大昔の最強の呪術師か!?」
夏油も話だけは聞いたことがある。
両面宿儺。
1000年前、呪いの王とも呼ばれた最凶最悪の呪術師。
自分が死んだ1年後に、どういう訳かこの大昔の怪物が蘇り、悟は戦い、そして敗れたらしい。
「そうか……悟、お前負けるのか」
落ち着いた声で、夏油はそう呟いた
事情が分かれば、あっさりとしたものだった。
無二の親友の死を嘆くには、自分は知りすぎた。
人の死も、悲しみも、絶望も。
ただ、この最強が負けたという事実への衝撃だけが、なかなか抜けてくれなかった。
「はは…なんだ悟、最強のお前でも、負けるんだな」
敵対しておいてなんだが。
夏油は、この男がこうして完膚なきまでに負ける姿というのが、あまりイメージが湧いたことがなかった。
昔ならいざ知らず、天内理子の一件の後の悟は、本当に最強だったから。
「全く…とんだクリスマスプレゼントだな。それとも誕生日プレゼントだったりするか?この世界が今何月何日かは知らないが」
そんな軽口を叩きながら、夏油は先のサンタ服とびっくり箱は放置し、悟の死体だけを回収した。
死体とはいえ、あの五条悟の肉体だ。
何か使い道があるかもしれない。
「さて、動くとするか」
行き先はもう決めてある。
ここから南にあるペシミズム厭世病院だ。
名前こそ妙だが、病院であるなら医療品があるかもしれないし、手頃な負傷者がやってくるかもしれない。
「悟…悪いけどこの世界でも負けてもらうよ。『元・最強』」
463
:
Merry Christmas
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 16:46:01 ID:zxwgFsis0
【E-7 街/深夜】
【夏油傑@呪術廻戦】
[身体]:ギラヒム@ゼルダの伝説 スカイウォードソード
[状態]:健康
[装備]:召喚した剣@現地調達
[道具]:基本支給品、五条悟の死体@呪術廻戦
[思考・状況]
基本方針:優勝し、世界の清浄・非呪術師(さるども)の絶滅を望む
1:ペシミズム厭世病院へ向かう。
2:五条悟や伏黒甚爾の肉体を持つ者は今は避け、他の者に殺されるか消耗するのを待つ
2:参加者は殺す。ただし争いに使えそうな者は生かしておく。
3:この身体で出来ることをもっと試したい。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※召喚術で、魔物を一度に召喚できる数は限られています。また、全て殺されると、再召喚まで時間を要します。
(ボコブリン(赤)×5 モリブリン×2 スタルフォス×2 青ボコブリン×1)
瞬間移動(大)(原作で剣を回して消える技)は、一度使うとしばらくは使えません。
【その他】
※喜多郁代のサンタ服@ぼっち・ざ・ろっく!、びっくり箱(潰れてる)@ウソツキ!ゴクオーくんは、E-7に放置されています。
【支給品紹介】
【喜多郁代のサンタ服@ぼっち・ざ・ろっく!】
6巻の伊地知星歌の誕生日ライブにて喜多郁代が着ていたサンタ服。
ちなみにミニスカ。
【びっくり箱@ウソツキ!ゴクオーくん】
5巻21話にてゴクオーが小野天子の誕生日プレゼントとして用意したワッピーちゃんのぬいぐるみが入ったプレゼント箱。
…と見せかけたびっくり箱。
【五条悟の死体@呪術廻戦】
236話、2018年12月24日、両面宿儺との決戦に敗れて真っ二つとなった五条悟の死体。
464
:
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 16:46:57 ID:zxwgFsis0
投下終了です
465
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/03(土) 17:58:46 ID:u45v7TT60
申し訳ありません、せっかく投下してくださったところ何ですが、気になった点について話させてください。
死体の支給については、以前ここでも報告したように、専用したらばの質問スレで質問があった際、個人的に好ましくないして支給できないものとしていました。
まとめwikiのルールのページの方では「参加者以外の死体の支給はできない」となっており、参加者内に五条悟がいるため、今回の死体も支給可能なように読み取れるかもしれませんが、これは言葉の綾です。
ここで言う「参加者の死体」とは、ロワ開始時点から参加者に与えられた肉体側のもののことを言っています。
更に言えば、参加者の死体はそもそもデイパック内には収容できないものとしていました。
そのため今回の話は、支給品として登場した五条悟の死体の部分については、見直しすることをお願いしたいです。
何か意見等があれば、専用したらばの議論スレの方にお願いいたします。
466
:
◆OmtW54r7Tc
:2024/02/03(土) 18:39:14 ID:zxwgFsis0
すみません、見落としておりました
ちょっと修正とかも思いつかないので、今回の話は破棄させてもらいます
467
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/03(土) 19:50:55 ID:u45v7TT60
>>466
了解しました。
こちらこそ、このような話になってしまい申し訳ありません。
468
:
名無し
:2024/02/03(土) 20:17:26 ID:Jxdsdpvs0
何か話ぐだって来たな
469
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/10(土) 23:04:48 ID:rmFNelu20
ウルトラマン、メフィラスで予約します。
470
:
<削除>
:<削除>
<削除>
471
:
<削除>
:<削除>
<削除>
472
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/17(土) 23:09:33 ID:phIDfmDo0
投下します。
473
:
シン・剛アックス
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/17(土) 23:11:30 ID:phIDfmDo0
地図上においてA-3と記された位置、
そのエリアの大部分を占める雪の降り積もった村の中、
そこにある名前の無い民家の中に二人の外星人、ウルトラマンとメフィラスはいた。
「………それは一体、何なのかな?ウルトラマン」
「………私への支給品の一つだ。一応は…武器……なのか?」
民家の中で合流した後、最初の一時間が経つまで、二人は自分達の支給品を軽く確認しようとしていた。
その過程で、ウルトラマンの持っていたデイパックの中から一つ妙な品が出てきた。
それを見た時、2人の表情は少し怪訝なものになった。
端的に言うと、それは横断歩道の歩行者用の信号を象った斧だった。
実際にこの斧の名前も、そのまんまシンゴウアックスと言うらしい。
ご丁寧なことに(?)、持ち手部分には横断歩道においての歩行者用の押しボタンのようなボタンも付いていた。
そしてこの斧には、本来の信号なら歩行者専用等と書かれるだろう部分に、ライダー専用等と書いてあった。
それがあるのは、斧としての刃の部分の丁度横部分でもあった。
「…つまり、今の私に専用の武装というわけになるのかな?」
「待て、まさかお前の肉体もライダーと呼ばれる存在だったのか?メフィラス」
「何?……まさか、そんな偶然もあったとは…いや、こちらの肉体を決めているのは向こうだから、もしやこれは意図的に…」
支給品からそんな話題に話が膨らんできた、そのタイミングだった。
彼らの持つタブレットからアラームが流れ、映像が勝手に映し出された。
◆
「1時間で8人か…しかも中には、我々と同じく外星人と思われるものが精神側には1人いたようだ」
「………1人?」
「ああ、確かに地球人類に見えない者は2人程いたな。だが、1人はおそらく地球由来の存在だと考えられる」
「……誰がそうだ?」
「玉壺と呼ばれていた者がそうだな。目と二つに増えた口の位置が反転し、片目は額に移動していたが、アレは確かに地球人の肉体だと思われる。それに、目の方には地球の文字、漢字が刻まれていたからな」
「…なるほど。確かに、その可能性はあるかもしれないな」
「仮に地球人だとして、何故あんな姿になっているかの理由は不明だが」
放送で発表された、最初の一時間内の死亡者情報について、ウルトラマンとメフィラスは互いの意見を交換し合う。
「……まさかとは思うが、今の玉壺とやらを見て、地球人類の新たな兵器への開発の可能性が思い浮かんではないだろうな」
「………こんな環境でそれを一々気にかける暇はないだろう、ウルトラマン。それに光の星の対応からして、もう私がそのようなことをするのは難しいだろう」
メフィラスが少し興味を惹き付けられているかのような表情をしていたことから、ウルトラマンがそれを指摘する。
「今はこんなことを話している場合じゃない。とりあえず、1時間で8名死亡する程度には殺し合いに乗っている者達がいるのは分かったんだ。次にやるべきことは、データ配布された名簿の確認だろう?」
「ああ、その通りだ」
2人はタブレット画面を操作し、配布された名簿の内容を確認する。
「………私のことは、ウルトラマンと表記されているか」
「そう言えば、その名はあくまで地球人類が付けたものだったな。向こう側は、君の本来の名を把握していないのかもしれないな」
「…易々とそう断じるのも早計な気はするが。他にも、おそらく本名ではないと思われる名はあるだろう」
「確かに、他のそういった者達の違いも気になるところだな」
まず最初に気にしたのは、ウルトラマンが名簿上においてもウルトラマンと書かれていることだ。
ウルトラマンは、あくまで地球上においての呼称だ。
光の星における本来の名は、『リピアー』と言う。
「……ゾーフィ。まさか、この名をここで見ることになるとは」
「ゾーフィ…光の星の裁定者か」
「…こちらの名は把握していたか」
「先ほどと言うことは変わるが…裁定者の名があるということは、もしかしたら、君の本来の名を把握した上でウルトラマンと表記していたのかもしれないな」
「向こうはあくまで、私をウルトラマンとして扱いたいという訳か」
「もしかしたら、君への挑戦というつもりもあるかもしれないな。なあ、地球人類のヒーローさん?」
「…………さあ、どうだろうな」
名前の表記について、ちょっとした推察を少々煽るような声音で言う。
ウルトラマンはそれを軽く受け流す。
「それで、裁定者がいること自体には君はどう思う?ここにおいては、一体どんな方針でいるのだろうな?」
「……それはおそらく、私と地球人がゼットンを倒したことに対し、どう感じているかで少し変わるだろう」
ウルトラマンの認識としては、自分はゼットンを倒した直後にここに来た。
本来の歴史において、ゾーフィが迎えに来る前のことだ。
だからゾーフィについても、同じくらいの時期にここに連れてこられたという認識となる。
474
:
シン・剛アックス
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/17(土) 23:13:22 ID:phIDfmDo0
「ゼットンを倒したことについて、彼が地球人の知恵と勇気に対し敬意を抱いてくれるのであれば、全うに殺し合いの打破を目指すだろう。しかし、もしより地球人を脅威として危険視することになるのであれば、該当する者達を殺害しようとする可能性が発生すると考えられる」
「なるほど。確かにあのゼットンを倒すとなると、敬意と脅威、どちらも感じる可能性は存在するか」
「けれども、如何にせよ殺し合いの打破までならば、どの場合でも最終的には目指すと思われる」
「ならば裁定者に対しては、もしもの時は説得を行う必要があると、そのように考えても良いのだろうかな?」
「……確かに、そう見るべきだろう」
「しかしやはり、果たしてそう上手くいくのだろうかな?光の星の宇宙のためならばと起こす行動の問答無用さは私もよく知るところだ。だからこそ、私はあの時裁定者を見て直ぐに避難行動に移したのだがね」
「………それも考慮している。やはりどのように対応するかは、実際に会合したその時に判断する他ない」
本来ならば、ウルトラマンはゼットンを倒した後、吸い込まれたプランクブレーンの中で発した信号によりゾーフィと再会するはずだった。
しかしここにおいては、本来の歴史でそうなる直前辺りの記憶までしかウルトラマンは有してない。
だから、ゾーフィが地球人に対して現在どのような見方をしているのか分からない。
けれども流石に、殺し合いに積極的に乗るような者ではないことも分かっている。
今ゾーフィについて考えられるのは、たとえ地球人をどんな見方をしていようと、殺し合いの打破の方を最優先してもらいたいということくらいだ。
もし、地球人類の排除も並列しようとしているならば、その際は説得の必要性があるということになる。
せめて、もし会合することがあれば、話が通じることを今は願うしかない。
◇
「他には…明らかに外星人だと言っているような名前も一つあるな」
「ああ…思いっきり『対話宇宙人』等と書かれているな」
次に2人が気にしたのは、『対話宇宙人 メトロン星人』という名で名簿に登録されている参加者についてだ。
「対話宇宙人等と言うからには、きっと私のように対話で平和的に他の種族と交流を持とうとしている外星人なのだろうな」
「………お前の言う対話とは、相手に言葉の真意を悟らせないようにして都合の良い言質だけをとろうとする、悪質なものだろう」
「…悪質とは心外だな」
メフィラスの発言に、ウルトラマンは少し指摘を入れる。
メフィラスは少しだけ渋そうな反応を示す。
「まあ何にせよ外星人であるのならば、我々が接触する必要性はあるかもしれないだろう」
「……件のメトロン星人だが、身体側にも名前があるな。表記が違うことからして、別個体のようだが」
「確かにな…こちらには対話宇宙人等の表記は無いな」
「その代わりにあるのは、タルデという名とラウンドランチャーという表記…ランチャーと言うからには、何かを発射する能力を備えているということか?」
「そう考えると、こいつの身体を宛がわれた者は手の内が他の者達に予測されるのが少し可哀想にも思えるかもな」
「……対話宇宙人と表記されている方は、これをどう感じているのか」
「案外、その対話宇宙人にこのラウンドランチャーの方が与えられている可能性もあるかもしれないな。先ほど君が言ったように、同じメトロンでも別個体のようだからね」
ウルトラマンとメフィラスは、外星人と思われる者の話を続ける。
如何にせよ結論としては、自分達と同じく外星人の可能性が高いのであれば、とりあえず接触してみるに越したことはない。
地球外の知的生命体同士であるならば、人類に対する互いの方針を確認し合う必要性があるかもしれないだろう。
ウルトラマンとしては同じ外星人であることの責任感故に、そしてメフィラスは好奇心故に。
◇
次に2人が気にするのは、タブレット内に追加された地図についてだ。
特に、先ほどの放送で伝えられていた『精神の入れ替えを可能とする施設』については2人も気になった。
「それらしき施設は…地図に乗っている名前だけでは判別は難しいか」
「僅かでも気になるところを挙げるとするなら…何故だか人が住むだろう街から遠く離れた森の中にある『ゲームセンター』や、明らかに病院には付けてはいけない名前の『ペシミズム厭世病院』くらいか」
「……ペシミズムとは確か、それがそもそも悲観主義・厭世主義を意味する言葉。そして厭世とは生きることは苦としか感じられない、良くなものだという考え方を意味する言葉か。確かに、人間の命を救うための病院には似つかわしくない名だな」
「ええ…それらの言葉は、私もあまり好きではないですね」
475
:
シン・剛アックス
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/17(土) 23:14:23 ID:phIDfmDo0
地図にある施設にいくつか小さな違和感はあれど、それが入れ替えのためのものであるという根拠には全くならない。
結局、今ある情報だけでは一つずつ確かめてみないと件の施設にたどり着くことは不可能だろう。
「そもそも、我々がその施設に積極的に向かう必要は無いんじゃないかな?ウルトラマン。我々は今の肉体のままでも十分ではないかね?」
「それも一理あるが、もしその施設の詳細を把握することが可能ならそれに越したことは無い。我々に協力できる者で、その施設を使いたいと考えている者もいるかもしれないからな。……そのような者が必ず存在するとも限らないから、確かに優先度は高くなくても良いだろう」
「……その特殊な施設の存在が前提にあってもなくても、地図上で記された施設に行こうとする者は現れるかもしれないな」
精神入れ替えが可能なものがあるかどうかはともかくとして、地図上で施設だと記された場所は他参加者がとりあえずの目的地として設定する可能性も否定できない。
他に誰か協力できる者を探すのに、向かってみる価値はゼロでは無いだろう。
危険人物が来る可能性はあるが、その場合でも都合が悪いわけではない。
殺し合いを打破するならば、むしろそういった人物は積極的に無力化しなければならない。
「とりあえず、我々のいるこの村の中には禪院邸という施設があるようだ。一先ずはそこに行ってみるか?」
「……一応行ってみるだけ、全くの無駄ではないだろう」
「それじゃあ、次の行動は決まりだな」
2人はそこまで話すと席を立ち、荷物をまとめ始める。
実際に放送での件の施設があるかどうかはともかくとして、そこに他参加者が来る可能性は無くはない。
2人は自分たちがいた民家の中から外に出て、次の目的地に向けて歩き出した。
【一日目/A-3 村/深夜】
【ウルトラマン@シン・ウルトラマン】
[身体]:本郷猛@シン・仮面ライダー
[状態]:健康
[装備]:タイフーン&仮面ライダーの戦闘服&ヘルメット@シン・仮面ライダー
[道具]:基本支給品、シンゴウアックス&シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる
1:メフィラスはとりあえず信用する。
2:一先ずは禪院邸に向かう。
3:ゾーフィに会えたら協力するよう説得する。
4:外星人と思われるメトロン星人という者にはどこかで接触しておきたい。
[備考]
※参戦時期はゼットン撃破後
【メフィラス@シン・ウルトラマン】
[身体]:風祭真@真仮面ライダー・序章
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを破綻させる
1:一先ずは禪院邸に向かう。
2:外星人と思われるメトロン星人という者にはどこかで接触しておきたい。
3:裁定者(ゾーフィ)の説得は、果たしてそう上手くいくものなのだろうかな?
[備考]
※参戦時期は地球を去った後
[支給品紹介]
【シンゴウアックス&シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ】
仮面ライダーチェイサーが主に使用する、横断歩道用の押しボタン式信号機のような形状をした斧。
刃部分の反対側に必殺技発動のためのシグナルバイクを入れるスロットがある。
ここにおいてはその必殺技発動用のシグナルバイク、シグナルチェイサーも一応付属しているものとする。
シグナルチェイサーをスロットに入れた後、持ち手の押しボタンを押して、『マッテローヨ!』という音声が流れた後に刃部分にエネルギーがチャージされ、『イッテイーヨ!』のエネルギー充填完了音声が流れた後にトリガーを引くことで必殺技を発動できる。
エネルギー充填中は実際の信号機よろしく赤のランプが灯り、エネルギー充填が完了すれば青のランプが灯る。
476
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/02/17(土) 23:14:50 ID:phIDfmDo0
投下終了です。
477
:
◆NIKUcB1AGw
:2024/02/25(日) 00:23:14 ID:shSZXIhI0
少佐、予約します
478
:
◆NIKUcB1AGw
:2024/03/01(金) 21:16:12 ID:aPk8K/d20
投下します
479
:
森は人を迷わせる
◆NIKUcB1AGw
:2024/03/01(金) 21:17:09 ID:aPk8K/d20
夜の森の中。
暗闇に溶け込むかのような黒い男が、シャドーボクシングのごとく虚空に向かって攻撃を繰り出し続けている。
本来のその体の持ち主は、ウォーズマン。
当時のソビエト政府により戦闘マシンとして育成されるも、やがて熱き心に目覚め地球の平和を守るために戦った男だ。
だが現在その肉体に宿るのは、ウォーズマンとは真逆と言ってもいい精神性を持つ男。
戦争を愛し、戦いを巻き起こすことに全身全霊をそそぐナチスの残党。
本名は不明。彼を知る者は、主にこう呼ぶ。
「少佐」と。
「ふむ……。だいぶ馴染んできたかな」
動きを止め、少佐は独りごちる。
彼が見方によっては奇行とも感じられる行動を取っていた理由、それは今の体に慣れるためであった。
少佐の本来の肉体とウォーズマンの肉体では、身体能力に差がありすぎる。
ゆえに少佐では、その力を十全に発揮することはできない。
それでも力を引き出すために、彼は鍛錬に打ち込んでいたのだ。
全ては、よりよき戦いのために。
「こういうのは専門外だが……。たまには悪くないな。
さて、そろそろ……」
少佐が荷物に手を伸ばした、ちょうどその時。
けたたましいアラーム音が鳴り響いた。
「おお、ぴったりだ」
不気味な笑顔を浮かべながら、少佐はタブレットを手に取った。
◆ ◆ ◆
「クククク……。ハーッハッハッハ!!」
放送後。
タブレットに送信された名簿を確認した少佐は、大声で笑い出した。
そこに、見知った名前を見つけたからだ。
「アーカード」。
それは少佐の知る限り、最強の吸血鬼。
彼と戦うことこそが、少佐にとって究極の闘争であった。
そのアーカードと戦うチャンスであると知り、少佐のテンションは急上昇する。
だが時間が経つにつれ、現状は決して彼に都合のいいものでないことに気づく。
「そうか、つい浮かれてしまったが……。
やつも今は、本来の肉体ではないのだな。
それでは、最高の戦争にはならん」
精神と肉体、両方揃っていてこその最強。
たとえば脆弱な一般人の肉体に入ったアーカードを倒したところで、それが最高の戦いになるはずがない。
万が一、肉体が本来のアーカードに匹敵するような強者であっても同じことだ。
「万全のアーカードに勝ったわけではない」というしこりが残ることになる。
「うーむ、悩ましい。
実に悩ましいな」
そんなつぶやきを漏らしながら、少佐は肉体側の名簿もチェックする。
「おや、これは……」
驚愕の声と共に、少佐の動きが止まった。
彼の視線の先には、「アーカード」の名前がある。
「なるほど、やつの肉体は別の参加者に与えられているのか……。
ならば先ほど説明があった、体を入れ替えられる施設を使えば……。
とはいえ、言うほど簡単ではないか」
施設を使い、アーカードの肉体と精神を揃えた上で戦う。
それが少佐にとっての理想だ。
だが問題は、相手がそれに乗ってくれるかどうかだ。
アーカード本人と、アーカードの肉体を与えられた参加者。
両方が体の入れ替えに応じてくれる保証などない。
もちろん気絶させるなどして強引に入れ替えさせる方法もあるが、その場合も少佐と相手の戦力差によっては実行困難となる。
「せっかくのチャンスだと思ったのだが……。
どうにも障害が多いな」
愚痴を漏らしながら、少佐はタブレットをデイパックに戻す。
「何にせよ、やつの精神と肉体の所在……それに施設の位置。
これは知っておくべきだな。
そろそろ動くか」
デイパックを背負い、歩き出す少佐。
その脳裏に、ふと先ほど戦った白い鎧の男が浮かび上がる。
「そういえば、彼はどうするかな……。
……まあいいか。
戦いたいのであれば、彼の方から追いかけてくるだろう」
そう結論づけ、少佐はさらに森の中を進んでいく。
その足取りは、実に軽やかだ。
彼は、戦争が大好きだ。
そして戦争のための準備もまた、彼にとっては戦争の一部なのだ。
少佐の戦争は、すでに始まっている。
480
:
森は人を迷わせる
◆NIKUcB1AGw
:2024/03/01(金) 21:18:15 ID:aPk8K/d20
「それにしても、ここはどこなんだろうな?
森ばっかりでさっぱりわからん。
微妙に川の音が聞こえるような……」
【E-4 森・川の南側/深夜】
【少佐@HELLSING】
[身体]:ウォーズマン@キン肉マン
[状態]:疲労(小)
[装備]:鉄の爪@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ニューナンブ(残弾49)@現実、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:闘争を楽しむ
1:万全のアーカードと戦いたい
2:アーカードの精神と肉体を見つける
3:体を入れ替えられる施設を見つける
4:いずれ鎧の青年と決着をつける(アーカードが最優先なので、優先順位は低下)
5:とりあえず川に行ってみるか
[備考]
※参戦時期はロンドン襲撃以前
481
:
◆NIKUcB1AGw
:2024/03/01(金) 21:19:10 ID:aPk8K/d20
投下終了です
482
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/05/05(日) 15:22:00 ID:AQLxp4OU0
星野愛久愛海&高遠遙一でゲリラ投下します。
483
:
変な病院
◆5IjCIYVjCc
:2024/05/05(日) 15:22:58 ID:AQLxp4OU0
!?
『 今週のスローガン
潔く散れ! 』
「………何だこのスローガン。ここは本当に病院か?」
『ペシミズム厭世病院という名も、それらしくありませんしね』
『ですがこのスローガンは、殺し合いのためのものとしてなら、合致しているとも思いますね』
赤黒い装飾に身を包んだニンジャ、そこに宿る2つの人格、星野愛久愛海(以後アクアと呼ぶ)と高遠遙一は今、ある病院の前にたどり着いていた。
ついでに言っておくと、彼(ら)の手には鞘に収まった刀が一本握られていた。
とは言っても、その刀は脇差並みに短いものであったが。
これは彼に対する支給品の一つだった。
もしもの急襲があった時に護身用として念のために装備していた。
その刀の銘は『ちゅんちゅん丸』と言った。
話を戻す。
アクアと高遠は確かに病院の前にいる。
けれども彼らがたどり着いたその場所は、病院としてはかなり違和感のある建物でもあった。
この病院に掲げられている名前は『ペシミズム厭世病院』。
以前別の話でも解説したことだが、ペシミズムは悲観的、厭世的を表す言葉。
厭世的とは、自分が生きるこの世のことを良くないものだという見方をすることだ。
口の「忍」「殺」のメンポと覆面で顔をほとんど隠しているために少し分かりにくいが、目元だけでもアクアはかなり怪訝な表情をしていることが外からは見てとれた。
一応は元医者であるアクアにとっては、こんな名前とスローガンを掲げる病院の存在を受け入れ難かった。
全面的に、患者に対し「治るのは諦めてさっさと死ね!」と言って突き放しているかのような病院であった。
前々世(別に前世で死んだ訳ではない)で医者だった時、難病で若くして命を落とした少女を受け持っていたことがあるから尚更不快感があった。
高遠が言うように、スローガンは殺し合いに合わせたものだとしても、どちらにせよ最悪度合いは変わらないが。
アクアが病院前でそんなことを考えていた、その時だった。
タブレットからアラームが鳴り、最初の説明でも予告されていた連絡の放送が始まった。
◆
『涙目のルカ…その身体の名はリョースケ』
「…………え?」
最初の一時間の内に死亡した者達について発表された。
そこで最後に紹介された者の、身体側の方を、アクアは知っていた。
しかしそいつは、もう何年も前に死んだはずの人物だった。
アクアがそいつと直接会ったのは、前々世も含めてたったの2回だ。
けれどもそいつは、星野アクアの人生に決して消えない大きな傷を残した。
そいつが自分の目の前で何をしたのか、その記憶がより鮮明に蘇る。
リョースケこそが、星野アクアの母である星野アイを、直接殺害した犯人だった。
そして彼は、かつてアクアが雨宮吾朗だった頃に崖の下に突き落として殺害した犯人でもあった。
アイが彼をリョースケと呼んでいたことも覚えている。
あの時、彼の行動によって倒れたアイが、その体から段々と失われていく体温の感覚の記憶も呼び起こされていく。
「な……んで、あいつ…が」
タブレットにリョースケの顔が映った時、アクアは動揺を隠せなかった。
『落ち着いてください。彼の肉体はもう死んだと、今伝えられたばかりでしょう』
「……あ、ああ、そうだったな」
高遠の言葉にアクアは少し落ち着きを取り戻す。
死んだはずのリョースケの肉体がここで呼ばれたということは、主催側が死んだ人間を蘇生する方法を持っていることの信憑性を少し上げることになる(実際に生きているところを見た訳ではないのでまだ確定はできない)。
蘇ったリョースケの肉体が既に再度死体になっているのであれば、これ以上気にする必要は無いはずだった。
リョースケは確かに実行犯だが、アイ殺害の黒幕は他にいるはずだから、これで話はおしまいのはずだった。
しかし、そうもいかなかった。
『とりあえず、配布されたらしい名簿を確認してみましょう』
高遠はアクアに次の行動をとるように促す。
高遠もまた、名簿の内容は気になっていた。
「ああ……………は?」
名簿に目を通したアクアは、再び絶句することになる。
先ほど身体側が死亡者として発表されたリョースケが、精神側の名簿に参加者として名前が載っていたからだ。
◆
484
:
変な病院
◆5IjCIYVjCc
:2024/05/05(日) 15:25:32 ID:AQLxp4OU0
『ふむ……精神側と身体側、どちらにも共通する名前は他にもあると』
『これらもそれぞれ同じ人物を指しているとなると、精神側のリョースケもあなたが知っている者である可能性は高そうですね』
「っ……」
身体側の名簿も確認した後、高遠はそんなことを言う。
その言葉にアクアは表情を少ししかめる。
『おや、どうしました?せっかく母親の直接の仇が生きているかもしれないことが分かったのに、あまり嬉しそうではありませんね』
「……………当たり前だろ。……身体は別人なんだから、殺そうとしたらその身体側の人も死ぬ。それに、黒幕は俺の父親だから……」
高遠の言葉にアクアは少し考え込むような仕草を見せた後、少し早口気味に言葉を紡ぐ。
それはどこか、あまり考えをまとめないまま思い付きで喋っている、言い訳じみたもののようにも聞こえた。
『前に話したことに続きますが、この殺し合いにおいて乗っている者を返り討ちにできるかどうかの是非、それを気にしている場合はないでしょう』
『たとえ、肉体の方は本来は乗るような者じゃなかったとしても』
『無関係の人間をもう1人分殺害してしまうかもだなんてことを気にしていたら、それこそ取り返しのつかないことになる可能性だってあります』
『むしろ…先に殺してあげることの方が、これ以上自身の肉体で人を殺すことのないよう、本来乗らない無関係な者にとっての救いにだってなるかもしれません』
『それに件のリョースケ君とやらは自分の肉体を殺害されています』
『彼は好きなアイドルが子供を産んでいたとだけで殺しに行くほど短絡的な人物なのでしょう?』
『それならば、自分の肉体の蘇生のために殺し合いに乗る可能性が高いと考える方が自然ではないでしょうか?』
「……お前、唆しているつもりか?」
高遠に対しアクアはそう答える。
その言葉には、高遠に対する不快感も含まれているようだった。
『さあ。それよりも私は、あなたが本当に父親すら殺すつもりがあるのか少々疑問に感じてきましたがね』
高遠はそう、アクアを煽るようなことを言う。
『直接の仇に対してのその物言い…まるで、殺したくがないために、理由を探しているかのように感じましたよ』
「……俺に、どうしてもリョースケを殺せと言いたいのか?」
『そういう訳ではありません。こんな環境で復讐を優先して視野が狭くなってもらうのも困りますからね』
『私はただ、前にも言ったように、いざという時にどんな相手でも殺せるかという話をした
いのです』
『まあ、どうしても無理だと言うのならそんな時は私が変わってあげしょうか?』
「…お前みたいなのに任せられるか」
高遠に対しアクアは悪態を吐き続ける。
けれども彼の言葉にはずっと、心の中の動揺も含まれていた。
アクアはずっと、自分でもリョースケをどうしたいのかが分かっていなかった。
リョースケについては少し言い方を変えてみれば、復讐することを諦めていた相手だ。
前にも書いたが、リョースケは本来もう既に死んでいたはずの者だからだ。
それがいきなり実は生きてこの殺し合いの舞台にいますだなんてことは、すぐには飲み込めなかった。
ずっと憎しみ続けていた顔も知らない父親と違い、憎悪の継続がこれまでは微妙に出来ていない相手だった。
『まあ、あなたがリョースケ君をどうしたいかなんてことは別に今すぐ決める必要もありませんがね』
『今後必ず遭遇できる保証も無い、もしかしたら身体側と同じく会える前に死亡してしまう可能性も考えられますからね』
「………そうだな」
アクアはただそう返事する。
これについては確かに、高遠の言う通りではあった。
アクアがどう考えようと、リョースケには実際に会えなければ意味が無い。
だから高遠とこれについての話をするのは、もう終わりだ。
(………だが、僕はやはり、あいつのことは……)
高遠と話すのは終わりとは言え、考えるのを止めることはそう簡単にはできなかった。
アクアの中での感情の整理はまだついてない。
星野アイの死に関して、悪いのは全て自分の父親だという確信はある。
けれども、先ほどは殺したくないみたいな意味に捉えられることは言ったものの、実行犯であるリョースケのことを許せないという気持ちも、確かに存在はしていた。
時間をおいて考えて続けてると、やはりそんな気持ちが存在していることを自覚してきていた。
かつてアイの子供に生まれ変わったばかりの頃は、前の自分を殺害したリョースケに対し感謝するような気持ちもあった。
けれども、それは全くの間違いだった。
彼がアイを殺害した今、そんな風に考えていた頃の自分は大馬鹿者だとアクアは思う。
485
:
変な病院
◆5IjCIYVjCc
:2024/05/05(日) 15:33:15 ID:AQLxp4OU0
アイを殺害した時、そっちが先に裏切ったからだ何だと言いながらも、アイが自分を覚えていたことを知ったら一目散に逃げ出した。
そして挙げ句の果てには自殺、完全に何もかもから逃げ去ってしまった。
リョースケがそんな彼自身の心の弱さで人を傷つけ、多くの人生を滅茶苦茶にしたのは、確かなことだった。
自分の父親が元凶であることには変わりないとは思うが、あんな行動をとることを最終的に決めたのはリョースケ自身だ。
(もし奴が今もあの時と変わらないのだとしたら、俺は…)
アクアは最悪の可能性を思い浮かべる。
それこそ、高遠が言うようにリョースケが短絡的に動いて人を傷つけるようなことがあるとなると…
アクアがそんなことを考えている時、メンポの上に小さく見えるその右目には、小さな『黒い星』が現れているようにも見えた。
◆
『他に、名簿にあなたの知る名前はありますか?』
「……一応、1人いる。身体側にある黒川あかねという名がそうだ」
リョースケについての話を一通り終えた後、他に名簿から分かることについての話に移る。
高遠が知る者は1人もいなかったが、アクアは身体側のものに1人いた。
『この方は一体どのような人で?』
「………表向きは一応、俺の恋人ということになっている」
アクアはそう含みを持たせた言い方をする。
『そんな言い方をすると言うことは、実際には違うということですか?』
「……彼女は、俺の復讐の役に立つと判断した。そのため手元に置くためにそういうことにさせてもらった」
『ほう、悪い男ですね。で、具体的にはどう役に立つと思ったのですか?』
「………彼女は人に対する分析力が高い。俺の母、アイについても俺以上に理解できているかもしれない。彼女を通じてアイのことをより知れれば、当時のアイがどんな動きや考え方をしていたか等も分かり、いつか俺の父親にも辿り着くかもしれないと思った」
「……だから、精神の方の無事はまだ分からなくとも、肉体の方も生還させてやりたい」
「たとえ、もしあかねの肉体が殺し合いに乗っていたとしても」
アクアはそう、自身の希望を述べた。
『まあ確かに、元に戻った後の不足の事態に備えるといった点でも、なるべくそうした方が良いかもしれませんね』
『ですが、私にそこまでのことを話しても良かったのですか?』
「………下手な誤魔化し方をしたら、お前は変に突っ掛かってきそうな気がしたからな」
「それのせいで後から悪影響が出るのも困るし、話した方がマシかもしれないと判断した」
アクアからしてみれば高遠のことはやはりいまいち信用しきれない。
先ほどからの口ぶりからしても、そもそも高遠は人を殺すことに対し抵抗が全く無いみたいだ。
しかし今は強制的に一心同体にさせられている身だ。
下手な隠し事が原因となっていつか余計なことをされるのも困る。
『しかしまあ、そう上手くいきますかね』
『もしかしたら、黒川あかねの中身がそれこそ件のリョースケ君になっている可能性だってまだ考えられますからね』
『先ほどの連絡であった、組み合わせの分かる名簿を手に入れられれば、それに関する心配も解消されるとは思いますがね』
「だからと言ってそれを狙うために無関係な奴を殺すつもりは無いぞ」
『フフッ、冗談ですよ』
「………」
冗談にしても質が悪いとアクアは思う。
とにかく、今のところは黒川あかねの中身は話の通じるまともな人物であることを祈るしかない。
◆
彼らは次に、配布された地図の確認を行い始める。
そしてそこにもまた、アクアにとって見逃せないものがあった。
「苺プロダクション本社事務所……これは本物か?」
苺プロダクション、それはアクアが現在所属している事務所だ。
『本物か気になるのなら行ってみれば良いんじゃないですかね?』
『あなたが一番よく分かっているでしょうが……ここが先ほど知らされた「精神を入れ替える手段のある施設」では無いでしょうがね』
「……そりゃ確かにそっちの方も探しておきたいけどもな」
486
:
変な病院
◆5IjCIYVjCc
:2024/05/05(日) 15:34:51 ID:AQLxp4OU0
苺プロダクションのことは気になるが、他にも気にしてしまうこともある。
先ほどの連絡で伝えられた精神と身体の入れ替えを可能とする施設、それがどこなのかはなるべく把握しておきたい気持ちはあった。
例えば、黒川あかねの肉体の件にしても、もし今の中身が問題のある人物でも、まだ話の通じる人物と交換させるという手が使えるかもしれないからだ。
なお、それをやるためには黒川あかねの肉体の人物を生け捕りにする必要があるが。
それに今の中身でも問題なさそうなら、自分はあまりその特殊な施設を探す意味が少なくなってしまう。
それを考えると苺プロダクションの方に向かってそこの現状を確認しに行った方がまだ良いかもしれない。
『もしかしたら、リョースケ君も知っている施設として苺プロダクションの方に向かうかもしれませんしね』
『ですがやはり、私としても精神入れ替えが可能な施設については気になりますね』
『目の前の病院くらいは、少しくらい調べる時間もあると思いますがねえ…』
「……」
アクアはここで少し迷う。
高遠の言う通り、目の前の変な病院を先に調べるか、それともすぐにでも苺プロダクションの方に向かうか。
精神を入れ替える施設とやらは、どこにあるかのヒントは全く無い。
探し出すには地図上に記された施設を片っ端から調べるしかない。
少なくとも、自分もよく知る苺プロダクションの中には無いことは断言できる。
だからそっちに向かう選択肢は、一旦は件の特殊施設のことを諦めることになる。
しかし距離的には、念のため病院の方だけでも調べても問題はなさそうな気もしてくる。
リョースケがもしプロダクションの方に向かうとしても、遅れて行っても出会える可能性はありそうな気はする。
もしもの時のための治療に使える道具を手に入れられるかもという意味でも、病院の方を先に調べる価値はありそうだ。
………こんな名前の病院にまともな医療器具があるかは、少し疑問に感じてしまうところもあるが。
「俺は…」
アクアの次の目的地は…
◆
正直なところ、アクア君とはもっと別の出会い方をしたかったですね。
彼には迷いがある。
それも、自覚している分と、出来ていない分の両方が。
だからこそ、違う出会い方ができれば、良いプロデュースができる相手だったかもしれませんが…。
この環境ではあまり無茶をさせることは止した方が良いでしょう。
ですがせめて、リョースケ君との間の因縁は解消してあげたい気持ちもありますね…。
その方が今後殺し合いで生き残るための精神的余裕も生まれるでしょう。
そのための方法は、彼の手で復讐させるのがベストか、それとも別の方法が良いのか…。
この舞台に金田一君がいないことも、少し残念ですね。
ま、もう少し様子を見てみましょうか。
【一日目/F-7 ペシミズム厭世病院前/深夜】
【星野愛久愛海@【推しの子】】
[身体]:フジキド・ケンジ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康、高遠への不信感、リョースケに対する暗めの感情
[装備]:ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:すぐに苺プロダクションの方に向かうか、それとも先に病院を調べるか…
2:リョースケがあの時と変わらないなら、俺は…
3:あかねの肉体の無事は確保しておきたい。
4:復讐とは関係ない殺人が俺にできるのか……?
5:高遠はどうにも信用ならない
[備考]
※参戦時期はアニメ一期終了後です
※フジキドの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
※アクアの了承、もしくはアクアの意識が弱くなれば高遠が身体の主導権を握れます。
※アクアが聞こえるもの、見えるものは基本的に高遠と共有されます。
【高遠遙一@金田一少年の事件簿】
[身体]:ナラク・ニンジャ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る気はない。
1:しばらくは星野君に協力する。私もこんな芸術性の欠片もない殺し合いで死にたくはないので
2:復讐ですか……
3:せめてリョースケ君との因縁はどうにか解消してあげたいですが…果たしてどんな手段を取らせるべきか…
4:もし星野君が人殺しを躊躇うなら、その時は変わってあげてもいい。変われるのなら
[備考]
※参戦時期は少なくとも魔術列車殺人事件終了以降です。
※ナラクの参戦時期は少なくとも三部終了より前です
[支給品紹介]
【ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ】
カズマが日本刀を模して鍛冶屋に作らせた刀。
最初は長かったが、建物からの出入りの際に引っかかる等の理由で短く作り直された。
銘のちゅんちゅん丸はめぐみんが付けたもの。
487
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/05/05(日) 15:35:35 ID:AQLxp4OU0
投下終了です。
488
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/11(土) 17:55:56 ID:???0
投下お疲れ様です。
死んだはずの復讐相手まで呼ばれていたらアクア君も迷いますね。
この会場にリョースケぶっ殺しゾーンが産まれてしまうかは高遠にかかっている。
ドクトル、シャドウ天城雪子で予約します。
>>388
感想ありがとうございます。末期癌という、このロワでしかできない追い詰められた研を書くことが出来て私としても楽しかったです。
489
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:27:31 ID:???0
投下します
490
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:28:31 ID:???0
厄介な事になった。
放送が終わり、ドクトルが真っ先に思ったことはそれだった。
己が罪の象徴である真莉愛がこの世界に呼ばれていない事には安堵したが、もう一つ問題が発生した。
『リグレット』。リドゥの管理者たる彼女までもが肉体として、この世界に呼ばれていると言う事だ。
元々ドクトルがいたリドゥという世界は人為的に作られた仮想現実であった。
その世界では自分が望むならどんな姿にもなれた。
楽士の中には機械の身体を得た者だっている。
ドクトルが問題とする点は、それと同様にこの身体もアバターとして与えられたものなのかということだ。
それなら構わない。この世界のリグレットを殺したとしても、元いた世界のリグレットには何ら影響がないからだ。
だが、本物のリグレットの身体を奪ったうえで、別の人間に与えたのならば話は変わる。
まず、疑問となるのは、『リグレットの精神』が現状どうなっているかだ。
先ほど考えていたように、この世界がリセット中のリドゥを奪って作ったものであれば、彼女から抜き取った精神は主催者の手に囚われている可能性はある。
「……天吹真理恵の例もあるしな」
天吹真理恵、リドゥの核となる少女だ。
リドゥは彼女の為に作られた小さな世界を、リグレットがアップデートしたことで作られている。
故に彼女に何かあれば、連動してリドゥは崩壊してしまう。
だからこそ以前ドクトルは万が一に備え、天吹真理恵を捕らえて手元に置いた。
同様に、この世界がリドゥを改変したものであれば、核となる彼女とそれを管理するリグレットは主催者の手元にある可能性が高い。
ただ、これはあくまで予想だ。主催がリドゥとは関係のない別組織の可能性もある。
もしかしたら、既に用済みとして抜き取ったリグレットの精神は削除されているかもしれない。
「さて……どうする」
ドクトルの行動理由のすべては、クランケこと井手口真莉愛の為だ。
手術の失敗を無かった事に出来るなら、殺し合いに乗って優勝を目指すという行為自体は構わない。
だが、リドゥにおいて全能のリグレットの力ですらクランケの足は治せなかったのだ。
仮に優勝して願いの権利を手にしたとしても、またあの時のように失敗する可能性だってある。
ドクトルの心はもう、再び失敗することに、患者である真莉愛に自分を責める目で見られることには耐えきれない。
セカンドオピニオンというわけではないが、本来の目的通りにリ・リドゥを作り出す道筋も可能なら確保しておきたいのだ。
だからこそ、不測の事態に備え、リグレットの身体だけは無事にリドゥに戻しておきたいのだが、優勝するうえでは彼女を殺さねばいけない。
その矛盾した思いを解決する方法が一つだけある。
「身体を入れ替える装置、か……」
放送で告知のあった、身体を入れ替える装置。
それを見つけ出し、『リグレット』の身体と自分の身体を一時的に交換する。
それならば、優勝を狙っても『リグレット』を殺さずに済む。
そして、本物のリグレットの精神が、予想通り主催者の手の内にあるのなら、再び入れ替え装置を使い身体を返却する。
これなら当初の目的通りのリ・リドゥを作り出すという道筋も残すことが出来る。
とはいえ、これは厳しい道程となる。
3日という時間で現在地不明の彼女と入れ替え装置の2つを探さねばいけない。
見つけ出しても素直に相手が従うとは限らない。
リグレットの強さは、楽士として協力関係を組んでいた自分自身が一番よく知っている。
彼女は、彼女を信仰する者達の思いを力とする。
この世界においてどれほどの力を持っているかは不明だが、生半可な実力では相手になるか不明だ。
仮面ライダーの力で無理矢理従わせるというのも、通用するかは分からない。
「……現実的ではないな」
迷ったところで、拒否権は自分に無い。
決めるのは自分じゃない。
ここは最低、救いがない。
ドクトルが救われるには誰かを犠牲にしなくてはいけない。
それは自分も例外でない。
◯◯◯
491
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:29:26 ID:???0
500個以上のアトラクションを兼ね備える『ハレルヤランド』。
その中央に位置するマネーキャッスルにドクトルはいた。
ハレルヤランドは開始地点の近くであったこともあり、入れ替え装置の情報を集めるために訪れた。
これだけ広大な遊園地である、装置が隠されている可能性は高いとの判断であった。
マネーキャッスルに来た理由は、中心部に大きく備わっており、取り急ぎの探索場所として丁度良かったからだ。
アトラクションの中から装置のありそうな所の目星を付けるというのも考えたが、
場内に設置されたハレルヤランドマップがなんの嫌がらせか、縮尺が日本列島サイズとなっており探索が困難であった。
マネーキャッスルは、本来はこの施設のオーナーであり、身体としても呼ばれているハレクラニが居城としている場所である。
ドクトルの目の前にはいかにも成金趣味のような、札束とコインで埋まったプールがある。
真上のモニターには各アトラクションの売上が表示されており、金銭に浸かりながら業績を見ることが出来るという代物だ。
「理解できん趣味だ」
モニターの近くにはリモコンが転がっていた。
調べてみると、好きなアトラクションをここから爆破処分することができるという代物であった。
実際ハレクラニは儲からないと判断したアトラクションは即座にこの場所から爆破している。
とは言え、殺し合いの場において爆破という手段は余りに目立ちすぎる。
威力自体は大きいだろうが、使いどころが難しい。
それに入れ替え装置まで巻き込んで爆破してしまったら元も子もない。
「支配者という奴は……」
一見すると天国のように映るハレルヤランドであるが、その『裏側』は地獄だ。
オーナーであるハレクラニは、不要なアトラクションは客が居ることなどお構いなしに爆破するうえ、ボーボボに敗北した部下も弁明を聴くことなく一円玉へと変換する程に冷酷な男だ。
また、ドクトルがこの城に辿り着くまでにも、立ち入り禁止と称された建設現場があった。
辺りに転がった鞭や乱暴に毟られた髪の毛などを見れば、恐怖がこの天国を支えている事が分かる。
「どこも同じ、か」
彼が居たリドゥも、どんな願いも叶う天国のような世界であるが、それを維持するには『裏側』に犠牲がある。
強制的に現実世界から拉致し、元の世界への帰宅は許されず、反抗的な者は洗脳して無理やりリグレットの信者とする。
理想を叶えるには綺麗事だけでは通用しないのは、ドクトルにとって分かり切った事だ。
「……下らん」
この地の支配者と同じようなことを自分はしてきた。
少女の脚を治すためだけに、大勢のそれ以外の命を犠牲にする。
プライオリティの順序がおかしいと言われようが、そんなことは分かっている。
それでもこれ以上、少女の未来を奪った後悔に苦しめられることは耐えられなかった。
「あらあら?こんな大きなお城だもん?王子様もいると思ったんだけどぉ」
不意に声が響いた。
くるりとした眉毛に、清潔感のあるスーツと革靴。
その身体には似つかぬ、媚びる様な女性口調。
肉体は四皇の料理人サンジ、精神は檻に閉じ込められたお姫様の影、シャドウ雪子である。
「キャッ?お医者様なんてス・テ・キ?これより雪子の逆ナンコーナー始まるゾ?」
「……これより、執刀を開始する」
両手でハートマークを作り誘惑する雪子に答えることなく、ドクトルはガシャットを挿入し、レバーを引く。
覚悟はとうに出来ている。
『タドルクエストレベルアップ』
ゲームエリアが展開され、周囲にエナジーアイテムが出現する。
光に包まれればドクトルの姿は青と白の勇者、仮面ライダーブレイブレベル2へと変わった。
「あら、勇者様みたい。囚われのお姫様を助けてくれるのかしら?」
ドクトルはそんな期待に耳を貸すことはない。
ガシャコンソードを構え、雪子へと向き直った。
「……ふうん……遊園地にヒーローショーはつきものだけど……」
その行為だけで雪子はドクトルに対しての興味が冷めた。
自分を連れ出してくれるヒーローじゃないのなら、なんの興味も抱かない相手だ。
「もう私、フェザーマン見るって歳じゃ無いのよね!」
彼女が探偵少女のシャドウであれば、朝の特撮番組の様な姿に惹かれただろう。
だけど雪子が望むのは絵空事のヒーローではなく、実際に自分を救い出してくれる王子様だ。
「それにこういうの、もう見た!」
シャドウ雪子は異なる世界ではあるが、放送前に仮面ライダーとの戦闘を終えている。
襲い来るドクトルの剣術を、炎を纏った脚で軽く弾く。
中身は単なる女子高生の影、まだ完全に使い切れていないとはいえ、その身体は四皇幹部としてのスペックを誇る。
慣らし時間のうちに戦闘を経験し、コツを掴んでいた雪子が一歩有利となる。
492
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:30:33 ID:???0
「そうか、お前も機械か」
医者というものは人間の構造ならば嫌でも頭に入っている。
攻撃を受けた衝撃が人とまるで違う、鋼鉄に殴られたような感触だった。
相手が、同じオスティナートの楽士に所属するマキナのように、全身を機械に変えたサイボーグなのだと理解した。
彼の様な強者ならば、中途半端は通用しない。
ならば、さらなる力が必要だとガシャットを差し替える。
『Let's Going King of Fantasy!』
『DUAL UP! Satan appeared! Say ”MAOU” TADDLE FANTASY!』
白を基調としたブレイブのスーツの上に鎧となるファンタジーゲーマが装着された。
その名は、先ほどまでのレベル2のブレイブを遥かに上回る、仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマー レベル50。
その姿はテレビゲームの魔王の様な、禍々しい漆黒の衝動を放っている。
「……執刀準備完了」
「なぁんだ、勇者様かと思ったら魔王なんだ」
興味がそがれた様に雪子のテンションが下がる。
ドクトルが漆黒の万能マント『ウォーフェアマント』を翻せば、魔王には配下が必要だろうととはかりに異形の怪人、バグスターウイルスの群れが現れる。
「あいにくだけど、私、魔王なんかに用は無いの!」
魔王とは、王子様と同じくお姫様を外へと連れ去っていくものだ。
ハイラル王家の王女。キノコ王国の王女。カイミーン国の女王。
この地に呼ばれし達と関係深き、彼女らを振り返っても分かる、伝統的な役割だ。
「魔王なんて大っ嫌い!ほんっと、お姫様を閉じ込めるなんて酷いことするわよね!」
だけど王子と魔王がお姫様に与えるものは真逆だ。
檻から救い出すのが王子様であるが、
拉致した彼女らを狭い檻の中へと閉じ込め、自由を与えないのが魔王である。
「私の王子様じゃないなら、死んじゃってよ!クズ男!」
檻に閉じ込められたシャドウ雪子にとって気持ちを苛立たせる相手だ。
指示により襲い掛かるバグスターウイルスの群れに八つ当たりをするように、シャドウ雪子もまた、ジェルマの科学を起動する。
「本気のアタシ、見せてあげる!」
漆黒のスーツに包まれ、同色のマントとマスクが装着される。
ジェルマの科学に身を包んだ『ヒーロー』あるいは『怪物』。
その名は『おそばマスク』あるいは『ステルス・ブラック』。
足元のブースターによる加速がバグスターウイルスの群れを向かい打つ。
勢いを増した『アサルトダイブ』の突撃。
大勢いた彼らは一撃も入れることなく焼き尽くされ、瞬く間に消滅した。
四皇幹部相手に戦闘員如きでは、僅かな時間稼ぎ程度にしかならない。
『コ・チーン!』
時間稼ぎだけで魔王には十分だった。
刀から湧き出た冷気が、凍てつかせんと雪子の足元へと迫る。
ガシャコンソードは炎剣と氷剣を切り切り替える事が出来る
「そんなもの!」
すぐさま、雪子は『白の壁』を展開。
氷属性を弱点としたシャドウ雪子にとっての身を護る盾だ。
障壁に塞がれた氷の侵食は急激に速度を落とし、雪子には届かない。
相手の策を封じた雪子は、この機を逃さない。
体制を立て直す隙をついて蹴り飛ばしてやろうとし、
ドクトルの姿が目の前から消えた。
「な、……ええ!?」
493
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:31:04 ID:???0
いつの間にか背後へと回っていた、ドクトルの斬撃を紙一重で躱す。
バグスターウイルスも氷結もブラフであった。
本命はこの一撃。ウォーフェアマントには瞬間移動機能がある。
その機能を使い背後を取ったのだ。
一撃だけでは終わらない。
魔王は何度も瞬間移動し、予期せぬ方向からの攻撃を繰り返す。
海軍大将の放つレーザーにすら反応出来るサンジの肉体であるが、
予想も付かず、止まない斬撃に何時までも対応し続けるには雪子はまだ経験が足りない。次第に追い詰められていく。
「こ、これでも喰らいなさい!」
彼女らしくなく、思わず焦る。
咄嗟に放った『焼き払い』の業火は魔王へと覆い被さらんと襲い掛かる。
だけど、魔王とは絶望を与えるものだ。
希望を容易く蹂躙できるからこそ魔王なのだ。
「え……」
苦し紛れに放ったその炎が届くことはない。
咄嗟に放った炎は魔王の持つ剣に全て吸い込まれていく。
火炎を操るガシャコンソードには炎を吸収する能力もある。
かの世界のラスボスが放った炎すらも容易く受け止める程にだ。
想定外の特性により、雪子に隙が生まれた所を魔王は追撃する。
『キメワザ』『TADDL CRITICAL SLASH』
魔王は高く飛び上がり、ぐるりと回転力を付ける。
さながら少女の心に沸いた、シャドウという悪性腫瘍を身体から切除してやるかのように。
「嫌っ!こんな所で、消えたくない!」
ジェルマの科学で作られた身体といえど、扱うのはあくまで女子高生の影。
弱虫で、強くなんかない、一人で何もできない閉じこもった鳥。
自分の攻撃が通じず、迫りくる魔王の姿に、恐怖を抱くなというには無理なものだ。
打つ手の無い雪子は逃げるしかない。
「あ……」
逃げる?どこへ?
気付いたときには、目の前に壁。
この城は檻だ。自分から閉じ込められた鳥に、逃げ場なんて最初から無かった。
「王子さまっ!王子さまっ!」
目前に迫った死が迫る。
どれだけ助けを呼んだところで、彼女の兵たる白馬の王子さまはもう来ない。
「なんで……なんで来てくれないのっ!」
ドクトルは雪子へと狙いを付け急降下。
マネーキャッスルの壁を突き破り、遥か外へと飛び出した。
■ ■ ■
がらがらと、音を立てて崩れる城の壁を背にドクトルは呟く。
「……まず、一人か」
願いの為に人をこの手で殺していくことに、抵抗が無いかと言えばある。
リドゥにいた際は、毒を飲ませての殺人を試みた事はあるものの、それとはまた違う不快感が付き纏う。
「先は長いな……」
魔王の仮面に隠された医者の顔は窺うことが出来ない。
その奥で何を思うのかは、本人にしか分からないことだ。
だが、これだけは言える。ドクトルは決して悪には成り切れない男だ。
以前、毒を盛った際も、人知れず泣きそうな声で何度も謝り続けたのだ。
かつて『命を奪うならせめて自分の手で』と言ったように、一度は命と向き合った医者として最後の矜持も持つ。
悪に成りきれない中途半端な男だからこそ、罪悪感に苦しみ続け、開放されない日々を送り続ける。
口調からして中身は女だったのだろう。
もしかしたら、真莉愛と近い歳だったのかもしれない。
真莉愛の未来の為に、別の少女の未来を奪った。
そんな思いも泡沫の様に浮かび上がるが、ドクトルは魔王となると決めたのだ。
全ては贖罪。奪ってしまった真莉愛の幸福の為だ。
そう自分に言い聞かせ、進むしかない。
494
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:31:32 ID:???0
「あははははははは!」
背後から笑い声が響く。
いや、そんなはずはない、とドクトルは思わず振り返る。
その声は確かに倒したはずの少女の声であった。
「私……飛んでる!」
逃げる場所はただ一か所だけあった。
だから、跳ねた。
攻撃の直撃する直前、僅か刹那の時間。雪子はドクトルを飛び越え、瞬時にはるか天井付近まで飛躍し、回避していた。
“空中歩行”〈スカイウォーク〉
この技は元々、サンジが逃げたいと強く思った事で身についた技術だ。
サンジという男は2年程、カマバッカ王国というオカマ達の国で修行をしていた事がある。
サンジ自身もオカマになりかけた程に辛く厳しい修業であった。
ある意味では女性より女性らしい彼らから受けた経験は、その身体にトラウマとして染み付いている。
その経験が男と女を併せ持つ現在の雪子の状態と、追い詰められた状況により想起され、直撃を回避出来た。
「あっはははははは!なぁんだ、【私】って飛ぼうと思えば飛べるんだ!」
笑いのツボに入ったかの様にゲラゲラと笑う。
飛ぼうと思えば何処までも飛べる。単に勇気が出なくて言い訳していただけ。
心の何処かでわかりきっていたそのことに、どこか自虐的に笑い、雪子も外へと飛び出す。
そうして、空高く飛び上がり、空中で反撃体制をとる。
「お返し!“悪魔風脚”〈ディアブル・ジャンブ〉!!!」
先ほどの逆の構図。光と影の様に攻守が反転する。
ドクトルの真似をするように、回転しつつ勢いを増してゆく。
「まだよ!何倍にもして返してあげる!」
『コンセントレイト』、魔法技の威力を倍以上に上げるスキルを発動。
精神を集中させ高まった魔力により炎はさらなる勢いを増し、次第に全身を包み込む。
「これで消えてしまいなさい!」
脚の加速装置が更に威力を上乗せする。
二度目のステルスブラックへの変身に伴い、サンジの肉体を包む科学は以前より進行が進んだ。
その姿はさながら流星。
“流星おそばキック”。身体の料理人がそう名付けた技によく似ていた。
『キメワザ』『TADDLE CRITICAL FINISH』
向かってくる雪子に対し、魔王も迎え撃たんと駆け出す。
相手が力を高めるならば、こちらもさらなる力を望む。
『マッスル化』
迎え撃つ先のエナジーアイテムを回収し、魔王の力がさらに膨れ上がる。
ガシャコンソードの火炎と氷結が勢いを増し、混ざり合う。
そのままX字を描き、雪子へと振るわれる。
「さよなら!ガッカリ王子様!」
その彼女の、迫りくる脚へと向けて。
■ ■ ■
495
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:32:37 ID:???0
二人の必殺技の衝突により、身を劈く轟音が鳴り響いた。
それは余波だけで周囲のアトラクションを軽く吹き飛ばす。地を鳴らし、削り取り、炎が舞い上がる。
元々ハレルヤランドには不要なアトラクションを処分するための爆破設備が備わっている。
舞い上がった炎はそれに引火し、周囲の被害を更に加速させた。
さながら災害の後だ。わずか一瞬で天国は地獄へと変わった。
崩壊が落ち着いた後、立っていたのはただひとり。
過剰強化≪Overdose≫された二人の技。
方や四皇幹部、方や魔王。
聞こえは良いが、その力を扱うのは女子高生と中年男性という素人だ。
両者共に本来の肉体所持者程に熟練していない。
少なくとも今この瞬間において、二人の必殺技の威力は同等であった。
体と技で差が付かないならば、勝敗の決め手となるのは心だ。
自ずと信念の強さとなる。
■ ■ ■
「あら?貴方、思ったより弱いのね」
立っていたのは、シャドウ雪子だった。
雪子の蹴りは剣圧を突き破り、ドクトルへと到達した。
「俺は……何を」
ドクトル自身も気づいていなかったことだが、彼は無意識の内に力を抜いてしまった。
その理由はシャドウ雪子の脚技を、思わず斬撃で防ごうとしたことによるものだ。
脚とはドクトルにとって原罪の象徴であり、手に持つガシャコンソードは飛彩曰くメスである。
言わば女の足をメスで切り刻まんとしたのとなんら変わらない。
それはドクトルにとって、かつてのトラウマを想起させる行為だった。
ドクトルは決して非情になりきれない男だ。
再び女の足を機能不全にすることに、僅かながら『心の奥』で躊躇があった。
「あ、わかった!貴方……もしかして【宮司桐人】ね?」
納得がいった様にシャドウ雪子は呟く。
なぜ、自分の名前を知っている、とドクトルが疑問を上げる前に言葉は続く。
「あはは!そっか!そりゃそうよね!怖いわよねぇ!女の脚を痛めつけるのは!」
誰も知らないはずの自分の原罪まで把握されている。
そのことに心の奥を撫で回すような、ねっとりとした苛立ちと不快感を与える。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
#center(){ドクトルの心の奥に踏み込みますか?}
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「あの子を外に連れ出してあげたかったんでしょ?白馬の王子様気取りで助けられると舞い上がって」
「……黙、れ」
「黙らない!だけど、お前は王子様じゃなくて魔王様!女の子の人生を台無しにして。一生出られない籠の中に閉じ込めた!」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
#center(){本当に踏み込みますか?}
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
496
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:33:09 ID:???0
「ねぇ、そうでしょ……『せんせい』」
か細い『声』だった。
「たすけてよ」
恐怖、恨み、絶望、悲観。
それらが混ざった様な、今にも泣きそうな言葉。
ドクトルがずっと直視するのを避けてきた真莉愛の、その言葉を勝手に突き付けてやるかのようで。
「違う……お前は真莉愛じゃない!」
その言葉を否定するようにドクトルは立ち上がり、再び剣を構える。
胴を狙い、駆け出そうして。
「な……!」
そこから先は進むことが出来なかった。
鎧となるファンタジーゲーマが、RPGの呪いの装備の様にドクトルの動きを封じたからだ。
ガシャットギアデュアルβは扱うのが難しいガシャットだ。
身を包むファンタジーゲーマは、本来の所持者である飛彩でさえ意識を乗っ取られかけた程に強大な力を持つ。
長期の変身は難しく、使い始めた当初は気を失う事すらあった。
それでも、飛彩は人の命を預かるという、世界一のドクターとしての強い意志があったからこそ乗り越えることに成功した。
ただ、飛彩と違いドクトルは悪人になりきれないと称されるように軸のぶれている男だ。
彼のような、人を救いたいという強い意志を持たず、その心は贖罪と後悔が占めている。
シャドウ雪子の煽り≪テラーボイス≫によってトラウマを揺さぶられ、『恐怖』を抱いた今、魔王の維持は困難となる。
飛彩の様に現実に立ち向かうことではなく、突き付けられた現実からの『逃走』が頭をよぎるドクトルに制御出来るわけが無い。
「なんだ、これは」
よって迎える結末は、飛彩の逆となる。
目が赤く染まり、衝動が全身を支配する。
「あ……うぐ」
自発的意思が薄れていき、心が塗りつぶされていく。
さながら、リドゥにおけるデジヘッドのように。
その姿を雪子の影は熱を帯びた視線で見つめている。
「消えてしまいなさい!」
雪子が手を振れば、ドクトルの周囲を高熱の炎が囲みこむ。
そのまま炎を脚に宿し、身動きの取れないドクトルに蹴りを叩き込む。
『戦慄のロンド』、お姫様が可憐に舞い踊るかのようにリズムよく何発も。
見様見真似であり、身体の料理人には似合わぬ美しく無い動きだ。
それだけでは終わらない。
ダウンした魔王へと総攻撃として、何度も蹴りやスキルを重ねていく。
さながら、料理が絶望的に下手な天城雪子が手に取った材料を思いつきのまま調理する様に。
乱雑な技も、シャドウのスキルとジェルマの科学に後押しされれば、残り体力を表すライダーゲージはあっという間に0へと近づけていく。
「どーん!」
最後に追撃として、彼女のかつてのヒーローである里中千枝のマネで締める。
空へと天高く突き上げた蹴りは、魔王をはるか地平の彼方まで吹き飛ばした。
■ ■ ■
497
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:33:35 ID:???0
シャドウとは、人々の抑えこまれた心の奥の象徴だ。
だから先ほど、剣を振るうのを一瞬躊躇したドクトルに対して、後ろめたい過去があるのだと察することが出来た。
「読んだ通りだったみたいね」
雪子が取り出したのは二冊の手記だ。
支給品として配られていたそれには、ある医者とある患者の後悔が記されていた。
手術の失敗によって少女の足を不全にした医者と、その患者の物語だ。
「貴方……まるで【私】みたい」
それはある患者―――クランケこと井出口真莉愛のことだ。
彼女はリドゥにおいて自分の脚が治っているのに、医者と患者という関係が変わってしまうのが怖くて治っていないフリをしている。
一歩踏み出す勇気が無く、自分から檻に幽閉されることを望んだ少女。
要素を抜き出せば、本来の天城雪子とよく似ている。
だから、ある種の自己嫌悪感を抱いた。
半ば八つ当たりに近い。思わず苛立ちをドクトルにぶつけてしまうほどに。
吹き飛ばしたドクトルを追う気は無い。
受け身な天城雪子の影は、自発的には動かない。
必殺技の直撃を受けたところにさらなる連撃を浴びせたのだ。仮に生きていたとしても長くないだろうと結論付ける。
「じゃあ次の王子様、首を洗って待ってろヨ?」
飛べようになったたからと言って、本来の天城雪子の問題は何一つ解決していない。
依然として檻の中に閉じこもる。
これからも、やることは変わらない。
願わくば、今度こそ白馬の王子様に出会える事を、
祈っているだけ。
※ハレルヤランド内マネーキャッスルが一部破損。
また場内の一部施設に崩壊、爆発、火災が発生しました。
【一日目/C-4 ハレルヤランド/深夜】
【シャドウ天城雪子@ペルソナ4】
[身体]:ヴィンスモーク・サンジ@ONE PIECE
[状態]:健康、疲労(小)、レイドスーツによる科学の目覚め(小)
[装備]:レイドスーツNo3(ステルス・ブラック)@ONE PIECE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、ドクトルとクランケの後悔@Caligula2
[思考・状況]基本方針:ここではないどこかへ自分を連れてってくれる人を探す。
1:我は影、真なる我。私じゃない天城雪子/ヴィンスモーク・サンジは殺す。
2:誰かぁ私をここから連れ出して?できないなら死んじゃってよ。
[備考]
※参戦時期は本編で雪子の体に戻る前です。
※召喚を除くシャドウとしてのスキルを使用できます(二連牙、白の壁、焼き払い、アギ、コーチング、テラーボイス、戦慄のロンド、アサルトダイブ、マハタルンダ、コンセントレイト)。
※アギを纏うことで悪魔風脚を発動できるようになりました。
※レイドスーツを装備したことで肉体の科学が目覚めつつあります。具体的な影響や進展は後続の書き手にお任せします。
※空中歩行を発動できるようになりました。
【ドクトルとクランケの後悔@Caligula2】
シャドウ天城雪子に支給。
リセット段階のリドゥに残された二人の記憶の残滓。
本編クリア後に彼らとの記憶に打ち勝つことにより閲覧可能となる二冊の手記。
二人の現実でのプロフィールから語られなかった後悔まで記載されている。
■ ■ ■
498
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:34:16 ID:???0
ライダーゲージは体力を表す。
0になったとき、変身者はゲームオーバー。即ち死亡する。
「……生き残ったか」
ドクトルは生きていた。
過剰強化された蹴りにより、周囲の湖を飛び越え隣のエリアの川岸まで吹き飛ばされる。
勢いのまま地面に叩きつけられた事で、0になる直前にガシャットギアが外れ、幸か不幸か変身は解除された。
ライダーゲージは変身を解除すればリセットされる。
雪子がその仕様を知らなかったが故に一命を取り留めた。
「うっ…………ぐ」
とはいえ、限界を超えた力の代償は肉体を蝕む。
ファンタジーゲーマーの強化装置『エンハンスギアベータ』は戦闘に関わる全機能のリミッターを強制解除し、変身者の負担と引き換えに強大な力をもたらすものだ。
かつての飛彩のようにドクトルは地面に伏せる。
「……かっこわるいな……俺は」
魔王としての覚悟を突き通せず、中途半端な自分に嫌気が指す。
どれだけ分かっていても自分の限界を感じてしまう。
それでも、最後までやり遂げなければいけない。
気を失う前にデイバッグに入っていた薬を飲み、脳内物質を全開放し、無理やり目を覚ます。
成分もはっきりしていない薬品に頼ることに医者としての抵抗はあったが、この状況下で休むわけには行かない。
身体に鞭を打ち、倒れそうになりながらも、もう一度立ち上がる。
3日間という限りある時間。果たせねばならぬ贖罪と恐怖が、嫌でも身体を動かす。
「……早く、俺を解放してくれ」
願わくば、いずれ辿り着く救いの為に。
叶うか分からない夢物語であれ進み続けるしかない。
報われるか、果てるか、決めるのは僕じゃない。
【一日目/D-4/深夜】
【ドクトル@Caligula2】
[身体]:鏡飛彩@仮面ライダーエグゼイド
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:ゲーマドライバー@仮面ライダーエグゼイド
[道具]:基本支給品、ズバリ・アドレナリン(残り9個)@ニンジャスレイヤー、タドルクエストガシャット@仮面ライダーエグゼイド、ガシャットギアデュアルβ@仮面ライダーエグゼイド
[思考・状況]
基本方針:真莉愛の理想と幸福を叶え、贖罪を終える
1:医者が人の命を奪う。その行為に、最早躊躇いはない。
2:入れ替え装置及びリグレット(肉体)を捜索する。
3:リグレット(肉体)と一旦身体を入れ替え、優勝後にリグレット(精神)と装置を使い身体を返す。
[備考]
※参戦時期は第8章前
※リグレットの精神及び天吹茉莉絵が主催の手の内にある可能性を考えています。
【ズバリ・アドレナリン@ニンジャスレイヤー】
ドクトルに支給。
ヨロシサン製薬が製造する精神安定系の薬剤。10個セット。
重症を負ったニンジャ達の気付け薬や鎮痛薬として使われる。
オーバードーズを繰り返すと中毒症状を起こし、切れると頭痛や思考の鈍化などが起こって最悪死に到る。
主に注射器を介しての接種が主であるが、作中では粉末型や食料品に含まれたものもありバリエーションが豊富。
今回はZBR錠剤として支給。
499
:
◆N9lPCBhaHQ
:2024/05/25(土) 10:36:42 ID:???0
投下終了です。
タイトルは『抗うためにエスケープ・フロム・ゲンジツ』で。
シャドウ雪子の語尾のハートマークが文字化けしているのでwikiで直します。
また、シャドウ雪子のコンセントレイトとアサルトダイブ(あとマハタルンダ)については
登場話の使用可能スキルに記載されていませんでしたが、
PS2版において使用していたため使えるものと判断しました。
ただ、ゴールデン版の攻略本を確認したところ削除されていたため、そちらに準拠するならば該当箇所をカットします。
500
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/14(月) 23:41:05 ID:V6EkLBeY0
夏油傑で予約します。
501
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/26(土) 00:00:49 ID:pdVqNvDw0
投下します。
502
:
「また会えるよね」って、声にならない声
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/26(土) 00:01:56 ID:pdVqNvDw0
「何でこんなものばかりなんだ…」
夏油傑は今、F-5の街中にいる。
彼はそこで、自分へのランダム支給品の中身を確認していた。
最初に出てきたものは、額部分に「肉」と書かれて頭頂部にトサカのようなものがついた不細工な覆面であった。
付属の説明書によると、これは本来キン肉スグルという名の人物が身に付けていたものとのことだった。
…まさか名前が同じだからこんなものを自分に支給したんじゃないだろうなと、夏油は少し思った。
この覆面マスクは一応特殊機能は付いており、頭のトサカ部分はキン肉カッターと呼ばれるもので外して武器として使うこともできるらしい。
…けれども、正直な気持ちこの不細工面の覆面は着けたく無いと感じていた。
トサカのカッターにしても、今のギラヒムの身体の魔力で剣を作り出せるから必要無い気がしている。
次に出てきた2つ目の支給品、それもまた顔を隠すお面だった。
まさか1つ目と似たようなものが連続で出てきたことには驚かされた。
…けれども、それはお面と呼ぶには少し奇妙な形をしていた。
これは被ると、顔部分はまるでのっぺらぼうのようになり、額の上辺りから謎の人物の小さな頭が生えたかのようなことになる形をしているからだ。
このお面は、カマロのお面という名だった。
カマロとは、このお面に生えている頭の元となった人物の名前らしかった。
被ると、奇妙なダンスが踊れるようになるらしい。
これもまた、デザイン的にあまり着けたいという気持ちにはなれなかった。
殺し合いでダンスをする暇もあるとは思えない。
そして最後に出てきた3つ目の支給品は、2枚の雑巾だった。
これについても、何のために入っていたのか理解できなかった。
殺し合いに役立つ方法も思い付かない。
だから、直ぐにデイパックの奥の奥の方に仕舞い込んだ。
ここにあった雑巾自体はそんなに使われていないのかあまり汚いものには見えなかった。
……だが、雑巾だということで自分が元の身体で呪霊を取り込む時の味を連想して一瞬思い出してしまった。
あの、吐瀉物を処理したかのような味を――
……ともかく、まるでなかったことにするかのように直ぐに仕舞ったのはそのこともあるかもしれない。
(どれもいらないな…)
夏油は自分への支給品に対して、そんな印象を抱いていた。
趣味の悪い覆面が2つにただの雑巾が2枚、どうしてこんなことになってしまったのかと思う。
しかも後から出てくるものにつれて殺し合いに役立ちそうにないものが出てきているとも言える。
そのことに対し、夏油の中に不満が大きく現れていた。
けれども、そればかりを気にする訳にもいかなくなる。
夏油が自分への支給品を確認した直後のことだった。
チャイムが鳴り、タブレット越しに最初の放送が始まった。
◆
「………そうか、君もいるのか。……悟」
放送後、配布された名簿データを確認して、夏油はその名前を直ぐに注目した。
発表された放送前時点での死亡者達については、大きく思うことはあまり無い。
強いて言うなら、呪術界の御三家の一つである禪院家の呪術師が1人、精神側の方で名前が呼ばれたことには耳を傾けた。
非呪術師(猿)ではないが、どうせ自分と敵対するだろうことを考えるとどちらにせよ最終的には殺し合いとして殺害する必要があったことには変わりない。
それに、顔見知りの相手という訳でもないからそこまで気にする必要もあるまい。
他にも呪霊っぽい奴らが死亡者達の中にいたことも同じく、もういないのならあまり注目しなくても良いだろう。
それよりも夏油にとって重要なのは、まだ生きている参加者の方にいた。
その名前を見た瞬間、夏油は脳内に、3年間の青い春が溢れ出したような気がした。
五条悟、それはかつての夏油傑の親友だった男。
そして、現代の呪術師として最強となった男。
最後に、自分を殺してくれた男だ。
(悟……君は今も、最強なのかい?)
503
:
「また会えるよね」って、声にならない声
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/26(土) 00:05:02 ID:pdVqNvDw0
ここで気になるのは、今の五条悟がどんな身体になっているかということについてだ。
五条悟は最強になった。
しかしそれは、彼の本来の肉体に宿った術式と六眼ありきのものだ。
この殺し合いのテーマ上、五条悟も別人の身体になっている。
それに、五条悟の本来の肉体もここには存在しない。
現在は精神側の名簿を見ているためまだ後のことにはなるが、身体側の名簿も確認すればそのことも分かる。
ともかく、この殺し合いにおいては五条悟も最強では無いことはほぼ確実だろう。
五条悟が最強じゃなくなったことについての夏油の心情は、はっきり言うと彼自身にもしっかりと言語化することができない。
五条悟が最強ではなくなったことを察した時、顔には笑みが浮かんだ。
だがそれはきっと、喜びのものではないだろう。
何をあんな奴らにしてやられているんだという、そんな感じの気持ちに近い。
こんな状況を作り出した主催陣営に対しても、そう簡単に言い表せない感情が現れてきている。
その感情は、怒りにも近いところがあった。
ただ、自分の感情のことは一旦おいといて、夏油には五条悟について知らなければいけないことができた。
それは、彼が今はどんな姿でいるのかということについてだ。
そしてそのことを把握するための方法は、1つある。
先ほどの連絡で、次の放送までに誰かを殺害出来た者は、次回放送時に参加者の精神と身体の組み合わせの名簿データが配布されると言われた。
しかもそれには、顔写真もついてくるとのことだ。
それがあれば、五条悟が今現在どんな姿をしているのか分かることになる。
一々会う者に対して誰なのかを尋ねなくともよくなるということだ。
どちらにしろ殺し合いには乗るつもりではあったので、入手条件には問題はない。
強いて言うなら、次の放送までに急がなければならない。
◇
「禪院家の者達は他にもいるか…あの『猿』も」
五条悟以外にも、精神側名簿には夏油に縁のある者達の名はあった。
なお、直接的にあると言えるのは1名だけだったが。
その者たちは皆、禪院家の者達だった。
自分との縁が薄い2人(扇、直哉)については、ただ禪院家の呪術師とだけ認識している。
しかし残る1人の直接的な縁のある者…禪院真希については、思うところはかなりあった。
それはどちらかと言えば、嫌悪の情であった。
夏油がただ嫌う呪術の扱えない非呪術師(猿)というだけでなく、彼女はフィジカルギフテッドの天与呪縛を持っているからだ。
それは生まれつき呪力を得られない代わりに、超人的な身体能力を得られるというものだ。
しかし彼女は、呪力が全く無い・完全にゼロという訳ではなかったはずだ。
生きているだけで呪霊を生み出す温床である他の非呪術師(猿)と似たようなものだ。
ちなみにそうなっているのは、彼女の双子の妹は呪術師として活動できるくらいには呪力を有しており、呪術的には双子は同一人物として見なされるからということに因を発している。
…もっとも、夏油は知らぬことだが、ここにいる本人にとってそのことは既に過去のことだが。
ともかく、ただでさえ夏油にとってとても苦い思い出を作った「あの男」と同じ呪縛を持っている上に、そんな中途半端な状態の彼女は、夏油とは絶対に相容れない存在と言えるだろう。
だがそんな彼女も、ここにおいては別の肉体だ。
もしかしたら、「猿」ではなくなっているかもしれない。
しかしだからと言って、この環境では殺さない訳にはいかない。
前に自分が折本里香を狙って高専を襲撃した時とは違い、しっかりと止めを刺さなくてはいけない。
例え彼女が悟の生徒だとしても。
殺すこと自体は、他の禪院の呪術師達に対しても同じことだ。
彼ら彼女らについて思うことはやはり多々あるが、結局やることは変わらない。
◇
次に夏油は身体側の名簿データの確認を行おうとした。
そしてそこでもまた、大きく注目してしまう名前が存在していた。
504
:
「また会えるよね」って、声にならない声
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/26(土) 00:06:53 ID:pdVqNvDw0
「伏黒、甚爾…!?」
伏黒甚爾、それは前述した禪院真希と同じく例のフィジカルギフテッドの天与呪縛の持ち主。
真希とは違い、呪霊を絶対に生み出すことのない完全なる呪力ゼロの肉体の持ち主。
そして、ある意味夏油が今のようになるきっかけを作った、あのとても苦い思い出の原因となった男。
「………死者の肉体も扱えるということか」
伏黒甚爾は本来、死んだはずの人物だった。
殺害したのは、五条悟だった。
もっとも、そうだということについては自分も同じと言えるものだったが。
違うのは、夏油は精神の方がここにあり、伏黒甚爾は肉体の方があるという点だ。
夏油は伏黒甚爾の肉体の強さはよく分かっているつもりだ。
かつては自分も敗北した相手だ。
五条悟も最強ではなかった頃に敗北し、死に瀕した。
むしろ、そこで生死の境を彷徨ったことをきっかけに、五条悟は本当の意味で最強になれた。
かつて夏油と五条悟が受けたある任務、それを『失敗』させたのが伏黒甚爾だった。
だが結果的にそのおかげで、夏油は非呪術師(猿)の醜さを最初に大きく実感する機会にもなった。
伏黒甚爾の存在は、夏油と五条悟の人生を転換させるきっかけになったとも言える。
「……まさか、悟がこいつの中身になっていないよな?」
伏黒甚爾の強さはただフィジカルギフテッドの力にかまけたものではなく、本人の戦闘センスもあってのことだとは前に戦った時にも感じた。
何も知らない者なら、使いこなせない可能性はある。
けれども、そうでなければその力を活用できるかもしれない。
それこそ伏黒甚爾の本来の生まれである禪院家の者達や同じ呪縛持ちの真希、
そして自分と同じく彼と戦った五条悟ならば、力を上手いこと使いこなせる可能性も考えられる。
ここで感じるべきは、ただそうなっている可能性を警戒することだけであるべきだ。
ただ、夏油はどうも、五条悟が伏黒甚爾になっている可能性について「嫌」な感情も少しあった。
悟にだけはあの男になって欲しくない、無意識的な部分もあったがそんな風に思いかけているところもあった。
「…いや、どちらにしろ殺すことには変わらない。……あの時のリベンジとでも思っておくか」
夏油は一旦自分の思いを振り払い、何にせよ伏黒甚爾の肉体の参加者を倒すための覚悟をしようとする。
相手との因縁は肉体だけで、自分も全く違う肉体での戦いをしなければならないが、もし戦うことがあればそれはリベンジマッチだ。
よっぽどの相手で無ければ中身が何者であろうと苦戦するかもしれないことを考えながら、夏油は戦うために精神を整えようとした。
◇
次に夏油は何処に向かうかを決めようとした。
地図のデータを見ながら現在地を確認し、目的地となる場所を探した。
なお、夏油は今のところ「精神を入れ替えられる施設」を探そうとは思っていない。
地図を開いてみたら施設は数多くあり、この中からすぐに探すのは難しそうであった。
そして今のところは、その施設を利用する理由も無い。
五条悟を始めとした自分の知る者達の肉体次第では、話は変わるかもしれないが。
ともかくとして、夏油はまず自分の現在地を把握した。
この話の一番始めの方で述べた通り、彼は今F-5の街中にいる。
そして次の目的地を、同じエリアの街中にある「ゲント鉄砲店」にしようと考えた。
施設名からして、この場所は鉄砲…銃の専門店であり、そういった武器の類が多く置かれていると思われた。
その武器類を使えるかもしれないと夏油は考えた。
今の夏油の身体であるギラヒムは、保有する魔力から魔物を作り出す力があるようだった。
どんな魔物が出てくるかは既に試してある。
その魔物達にも、施設で入手した武器を持たせてみるのはどうだろうとも考えた。
魔物達の基本の武器は刀剣類や槍といったものなのだが、これに遠距離攻撃のできる銃を持たせてみて戦略の幅を広げるのも手の1つかもしれないことが考えられた。
元々の支給品があまり良くないものばかりだったというのも、新たな武器入手を目指す理由の1つではある。
そのことに対する不満を晴らしたいような気持もあった。
ちなみに、夏油の残された身体(死体)を使っているはずのある呪詛師も、術師相手なら通常兵器も積極的に取り入れるべきといった発言をしている。
F-5には他にも警察署があり、武器等はそちらでも入手できる可能性はあるが、とりあえずは専門店だと思われる方に行ってみることを決めた。
◆
「さて、そろそろ行くか…」
ある程度行動指針を決めた夏油は移動し始めた。
(悟…君は今、どうなっているのかい?)
色々と考えることはあったが、その思考の中心近くには、彼のかつての親友の姿が今もまだ色濃く存在していた。
505
:
「また会えるよね」って、声にならない声
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/26(土) 00:07:50 ID:pdVqNvDw0
【一日目/F-5 街/深夜】
【夏油傑@呪術廻戦】
[身体]:ギラヒム@ゼルダの伝説 スカイウォードソード
[状態]:健康、五条悟が巻き込まれていることに少し動揺
[装備]:召喚した剣@現地調達
[道具]:基本支給品、キン肉マンのマスク@キン肉マン、カマロのお面@ゼルダの伝説ムジュラの仮面、雑巾2枚@ボボボーボ・ボーボボ
[思考・状況]
基本方針:優勝し、世界の清浄・非呪術師(さるども)の絶滅を望む
1:参加者は殺す。ただし争いに使えそうな者は生かしておく。
2:悟を探す。
3:組み合わせ名簿を手に入れるために次の放送までに誰かを殺しておきたい。
4:伏黒甚爾の肉体の参加者に警戒。
5:禪院家の落ちこぼれの猿(真希)は、今度こそ殺害する。次はしっかりと止めを刺す。
6:他の禪院家の呪術師達(扇、直哉)も、大義のために殺す。
7:この身体で出来ることをもっと試したい。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※召喚術で、魔物を一度に召喚できる数は限られています。また、全て殺されると、再召喚まで時間を要します。
(ボコブリン(赤)×5 モリブリン×2 スタルフォス×2 青ボコブリン×1)
瞬間移動(大)(原作で剣を回して消える技)は、一度使うとしばらくは使えません。
[支給品紹介]
【キン肉マンのマスク@キン肉マン】
キン肉スグルが普段から被っているマスク。
頭のトサカはキン肉カッターという武器にもなるらしい。
額の肉マークはオナラー・タイマーというニンニクエネルギーを量を表す指標になり、肉マークは剥がすと数分で死に至る設定もあったが、現在もこれらの設定が存在しているかは不明(pixiv百科事典によればもうその設定は忘れ去られたもので、今はただの模様らしい)。
ちなみにキン肉スグルが出身の一族であるキン肉族は生まれたら直ぐにマスクを着け、最初に着けたマスクを一生身に付けるという風習があるのだが、このマスクは父親のキン肉真弓が間違えて選んだものである。
その真弓は幼少期の頃のスグルをこのマスクの容姿が元でブタと間違えて地球に捨ててしまった。
また、キン肉族にはマスクを取られて素顔を見られてしまった場合は死ななければならないという掟も存在する。
【カマロのお面@ゼルダの伝説ムジュラの仮面】
ダンサーのカマロの霊から貰えるお面。
被るとカマロ直伝のダンスを踊れるようになる。
本ロワにおいては被れば誰でも踊れるようになるものとする。
【雑巾2枚@ボボボーボ・ボーボボ】
ボーボボがキバハゲとの対決(通称:キバハゲデュエル)で発動した2枚の雑巾。
首領パッチ曰く、ボーボボが対決中にこれを使っていなければ首領パッチやビュティ、ヘッポコ丸も含めて全員死んでいたらしいが、何故そうなるのかは不明。
506
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/10/26(土) 00:08:19 ID:pdVqNvDw0
投下終了です。
507
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/17(日) 22:24:14 ID:9bUssp2.0
五条悟、城戸真司で予約します
508
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:46:25 ID:uV1YJAyw0
投下します。
509
:
「最強」なのだった
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:47:31 ID:uV1YJAyw0
『ガシャアン』
「……………は?」
『夏油傑』
その名前を見た瞬間に、五条悟の脳内に再び3年間の青い春が溢れ出す。
彼は今、初回放送でデータが配布された精神側の参加者名簿の内容を確認していた。
放送は散策していた途中で突如として始まったため、そちらの確認の方を優先した。
そこで彼は見つけてしまった。
ここに来るほぼ直前にも肉体だけは目撃した、かつて自分自身が手にかけた「親友」の名前を。
その名前を見た後、五条悟は少しの間放心していた。
それが誰のものかをはっきり理解した次に五条悟の中には、大いなる怒りも駆け巡った。
それは前述したような肉体を…別の誰かがその死体を乗っ取って活動している姿を見た時と同じようなものだった。
自分を獄門疆に封印した奴と同じように、この殺し合いの主催陣営も夏油傑の尊厳を踏みにじっているように感じた。
(………いや、それこそやはり、あの時のアイツも関わっている可能性がより考えられるんじゃないか?)
時間が経って五条は少し冷静さを取り戻す。
そして死者であるはずの夏油傑がこの殺し合いに巻き込まれている理由を考え始める。
前に夏油の死体が乗っ取っている何者か(今の五条は知らぬ名だが、羂索という)と出会った時、五条悟の呼び掛けに対し夏油の肉体が反応したかのような現象が見れた。
※以下、一々夏油傑の肉体を乗っ取っている者と呼ぶのもくどいので、地の文では羂索と表記する。
その時の夏油の体は、その体を動かしている羂索の意思に反して自分で首を強く絞めた。
まるで夏油傑の意思が、その体にまだ残っているかのようだった。
羂索本人も、こんなことは始めてだと言っていた。
だからもしかしたら、羂索がその肉体を完全にモノとするために、残っていた夏油の精神を何らかの方法で引きずり出してこの殺し合いに参加させたのではないか。
そんな考えが、五条の脳裏に浮かんでいた。
なお、本当のところは羂索が乗っ取っている夏油の体には夏油の精神が残っていた訳ではないようであった。
あの時夏油の体が勝手に動いたのは、首のもげたトンボが動いたようなものらしい。
つまり、前述のような考察の意味は全く無い。
それでもやはり、死んだはずの親友が生きてこの舞台の上にいるかのような情報を見たことによる動揺は、まだ彼の中には残っていた。
(……何にしても、この傑には直接会って確かめるしかないか)
結局のところ、夏油傑本人に出会わなければ何故死んだはずの彼がここにいるかの真実は分からないままだ。
しかし、その彼もまたこの殺し合いにおいてはその姿を変えられており、捜索は困難だ。
先の放送では顔写真付きの組み合わせ名簿を次の放送までに誰かを殺害できたらデータを配布すると発表されたが、それを狙うことを簡単に決める訳にもいかない。
もし、自分が殺害しても問題無さそうな者に遭遇できたなら、話は変わりそうだが。
例えば、余程の危険人物とか。
「………傑、できるならお前とは…」
五条悟の中には、夏油傑とは戦いたくない気持ちがあった。
こんなろくでもない殺し合いを始めるような奴らの言いなりになってほしくないと思っていた。
できることなら、あの頃のように共に並び立ちたいと感じていた。
今の別人の身体を使っている状態の自分と彼で、かつてのような"最強"になれるかは怪しくてもだ。
……自分1人だけで"最強"になってしまい、あんな別れ方をした後でこんな考え方をするのは虫のいい話かもしれない。
それでも、五条悟はあの頃の青い春を忘れられなかった。
◇
510
:
「最強」なのだった
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:48:36 ID:uV1YJAyw0
「まさか、真希もいるとはね」
夏油の名を見たことによる動揺はまだ残っていながらも、五条は名簿の中から他の知り合いがあるかどうかを確認する。
そこで、彼は自分の生徒の名を1つ見つけた。
「……って、うっわ、他にも禪院家がいるのかよ。流石に全員集合じゃないけどさあ」
名簿には自分の生徒である禪院真希の他にも、同じ禪院家の呪術師の名前が3つ存在していた。
なお、その内1人は先の初回放送までの間に死亡してしまったようだったが。
「あちゃあ…こりゃあ、真希への嫌がらせつもりか?確かクソ親父とか言っていた奴までいるし」
禪院真希と彼女が生まれた禪院家は、はっきり言ってその関係性は最悪と言える。
禪院家は呪術界において、五条悟が当主を務める五条家とも並んで御三家と称される程の呪術の名門だ。
そんな家に禪院真希は、呪術を全く扱えない身体で生まれ、落ちこぼれと扱われて酷く冷遇された。
禪院家野中では呪術師では無いものは人として扱われない、そう言えば彼女が生まれた家でどれほど酷い扱いを受けて来たかは想像に難くないだろう。
ここでの名簿には確か彼女の父親である禪院扇の名も記されているが、その親子関係もまた最悪のもののだったはずだ。
それに禪院家は他に、五条家と仲が非常に悪いという問題もある。
これは今の世代よりもずっと前から存在する問題だ。
五条悟自身も前述のような立場の真希を呪術師として教え育てようとしているから尚更だ。
この殺し合いにおいて、彼らと真っ当に協力できるかどうかも正直怪しいところだ。
(五条悟視点では)現当主である直毘人だったらまだ話はできるかもしれないが、いない者のことを考えても仕方ない。
「とりあえず真希とは合流を目指そう。向こうの現状も気になる所だしね」
禪院家の他2人はともかくとして、自分の生徒のことは一応心配していた。
本来の真希だったらこんなところでも自分でどうにかできるだろうと信頼できるが、誰の身体かも分からない状態ではちょっと怪しいところが出てくるかもしれない。
彼女を導くためにも、ここは合流を目指した方が良いだろう。
他の生存している2人については…まあ、話が通じることを祈るしかないだろう。
◇
『……チラッ チラッ』『ウズ ウズ』
「あっ、そうか。君も確認したいか」
五条が近くに置いていた手鏡…そこに映し出される鏡の世界、ミラーワールドから1体のミラーモンスターが顔を覗かせる。
そのミラーモンスター、デストワイルダーに精神を宿らさせられた城戸真司が、その場所から自分もタブレット内の画面を見たいかの様子を見せる。
また、他にも何か言いたそうでもあった。
今の真司は声を出せないため、身振り手振りだけで自分がしたいことを表すしかない。
最初に夏油傑の名前を見つけた時、五条はその精神的衝撃の大きさにより少し真司の方にまで気をかける余裕がなかった。
だから、今からようやく名簿を真司の方にも見せることになる。
五条はタブレットの画面を鏡像の先にいる真司に見えるように向ける。
なおタブレットを持つのと、名簿上の名前への指差しで両手を使うため、先ほどのような手鏡を持ってのやり方は使えない。
そのため五条は近くにあった建物の側まで移動し、そこにあったガラスに映る鏡像にデストワイルダー姿の真司がいることを確認する。
そしてそこでタブレット画面を真司に見せることにした。
五条悟はまず名簿の中から自分の知っている名を教え、信頼できる者、ちょっと微妙な者、……出来ることなら協力したい者だと教えた。
「こいつと…傑と一緒なら、僕らはきっと本当の意味での最強になれるんだろうけどね…」
自分が知る者の説明が終わった時、五条はポツリとそんな言葉も漏らした。
「………何てね。辛気臭く話すことじゃないよな」
五条はそう言って自分の話を一旦切り上げた。
「それじゃあ次は僕がこうやって1人1人指差すから、知っている奴なら首を縦に、知らないなら横に振ってみてくれ」
五条は次に精神側名簿に書かれた名前を1人ずつ見せながら真司の知り合いがいるかどうかを確認させる。
(……くっ。蓮はいないけど、よりにもよって浅倉はいるのか…)
確かにその名簿には真司が知る者の名も1つあった。
それも名簿の中では上から数えてかなり早めの方で。
だが、真司がその名前を見た時、体を少し硬直させてしまった。
言われた通り首を縦に振るのも少し遅れた。
何故ならそいつ…浅倉威は、凶悪殺人鬼だからだ。
真司が生前参戦していたミラーワールドのライダーバトルの参加者でもあり、その時も戦いには積極的であった。
自分が先に脱落してしまったため、浅倉がライダーバトルの果てにどうなったかといったこと等は分からない。
しかしあの男ならば、例えこんな環境でも殺し合いには確実に乗ることになるだろう。
だから、止めなくてはならない。
511
:
「最強」なのだった
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:49:35 ID:uV1YJAyw0
「なるほど、1人だけか。で、こいつは僕らと協力できそうな奴?」
『フルフル』
「そうか…じゃあ、逆にとっても危ない奴だったりする?」
『コクコク』
「なるほどね…」
五条からの質問に真司は首振りで答える。
詳しいことは伝えられずとも、浅倉威は危険人物だということは五条にも分かったようだった。
この殺し合いの環境ではたとえ真司が話せたとしても正確な脅威度は分からないが、とりあえずとして五条の中でも警戒対象には入った。
◇
「それじゃあ次はこっちの名簿を見ようか」
五条は次に身体側の名簿ファイルを開く。
そして真司と一緒にそっちのファイルの内容も確認していく。
「ふむ、こっちでも浅倉威ってのはいるのか。なあ、もしこいつの身体が他のヤバい奴に渡ったら危ない?」
『……ウーン…』
こちらにおいても、早い内に浅倉威の名前を見つけた。
浅倉の身体だけに関しては、仮面ライダーのことを除けば一応普通の人間であるので、それだけでは脅威としてはそこまで高いとは言えないかもしれない。
でも曲がりなりにも凶悪犯の肉体であるため、通常の人間よりは生身でも身体能力は高めかもしれない。
それに今ミラーモンスターとなった自分と共にカードデッキが五条悟に支給されたのと同じように、浅倉威の肉体の元にも同じように仮面ライダーになるためのカードデッキが支給されている可能性ももしかしたらあるかもしれない。
この場合は脅威度をまた一から考え直さなくてはならない。
そのため真司は、YesともNoとも言い難いかのような反応を見せる。
「……まあいいや。先に他の奴を…」
浅倉威の身体側の脅威度のことは一旦置いといて、五条は他の名前を見ていく。
「……うげっ!マジかよ…」
やがて見つけたある名前を見て、五条悟はすごく嫌そうな顔をした。
それは「伏黒甚爾」の名前であった。
「あー、何つーかさ、この伏黒甚爾って奴の体、けっこう強いんだよね。前に僕も殺されかけたことがあるくらい」
五条悟は伏黒甚爾がどんな奴なのかを説明する。
伏黒甚爾とは、呪力が全く無い代わりに身体能力が凄まじく高くなっているフィジカルギフテッドの天与呪縛の持ち主だ。
それに加えて様々な呪具も扱ってくるため、学生時代の五条は最初に戦った時にはものの見事に敗北した。
だけどもそれで一度死にかけたおかげで、当時の五条は呪術の核心を掴んだ。
その後伏黒甚爾へのリベンジも果たし、五条悟は現代最強の呪術師と呼ばれる程になった。
しかしそれは、本来の五条悟の肉体にある六眼と無下限呪術の術式あってのものだ。
「……はっきり言うと、もしこいつの肉体が敵になったとしたら、僕らだけで何とかできるかは難しいと思うんだよね」
少し前に言ったこととは逆になるが、本当のことを言うと今の五条悟は「最強」とは言い難いだろう。
肉体のエディータ・ロスマンの力は、そもそも十全に発揮するために必要な道具が無い。
真司…デストワイルダーが付いてきている仮面ライダータイガのカードデッキは、本来ロスマンの物ではない。
本来ロスマンの肉体で使うべきストライカーユニット等は支給品の中になかった。
そういったこともあり、今の五条ではロスマンのウィッチとしての魔法の力を上手い事使いこなすことはほとんどできないだろう。
ロスマンの体力が低いこともあり、支給品の力を借りても五条は戦いにくいだろう。
カードデッキ以外の支給品としては、1つはサッカーボールを膨らませて射出するベルトがあった。
このボールは膨らまし続ければアドバルーン大までにも膨らむという、とんでもない伸縮性のゴムを使っているらしい。
そしてそのボールは、スイッチの切り替えによって打ち上げ花火にもすることができるということだ。
しかし、花火程度では伏黒甚爾の肉体相手には少し心許ないかもしれない。
しかもボールは1回しか出せない使い切りのものだ。
そして最後の3つ目の支給品は、特殊なベルトに取り付けるための装置だ。
このアイテムの名は、「ブーストマークⅢバックル」という。
ただし、これを使用するためには「デザイアドライバー」というベルトが必要とのことだ。
そんなベルトは、ここには無かった。
つまり、今のところは全くの役立たずなアイテムだ。
しかも、例えデザイアドライバーがあったとしても、「創世の力」というものを宿した肉体でないと力を十全に発揮することができない…というか、使えないかもしれないらしい。
つまりこの場において、このアイテムは完全に宝の持ち腐れということになる。
本来なら自分が持つべきじゃない、別の所に支給されるべき品なのだ。
まあ、もし使えたとしてもこれで伏黒甚爾を何とかできるかどうかは分からないが。
「だからまあ、今のところはこいつの肉体が敵に回らないことを祈るしかないね」
512
:
「最強」なのだった
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:50:14 ID:uV1YJAyw0
伏黒甚爾の肉体を持つ者が味方になってくれるのであれば、逆に心強いことになる。
それこそ、元は同じ天与呪縛を持っていた禪院真希であれば、彼女にとっても扱いやすい身体となっていることだろう。
真希の天与呪縛が少し中途半端だったことを考えると、むしろ元に戻った時のための良い経験となるかもしれない。
これこそまさに、希望的観測なことであるが。
◆
「それじゃあ、次はこっち…」
『ガシャアン』
「……ん?」
『!』
身体側名簿を確認した後、五条は次にその他の精神側名簿ファイルを開こうとした。
しかしそうする前に、その手を一旦止めることになった。
どこからともなく、ガラスが割れたかのような音が聞こえてきたからだ。
だがその音は、そこそこ小さく聞こえた。
その音は少し遠いところから来たようであった。
真司もその音には気付いた。
ただし、真司がその音を聞いたのはこれが始めてではなかった。
実は、五条が最初に精神側名簿を確認し始めた時に、真司は同じようなガラスが割れる音を聞いていた。
けれどもその時の五条は、夏油傑の名前を見たことにより動揺していた。
そのため五条は気付かなかったのだ。
そのことと、そもそも今の自分が話せないこともあり、最初の音のことは真司は五条に伝えることが出来なかった。
最初も本当に小さな音だったこともあり、気のせいだった可能性も考えられてしまい、真司も名簿確認の方を優先する動きをしてしまった。
しかしここで五条も反応したことにより、気のせいではなかったことが証明されてしまった。
「今のは…向こうに誰かいるのか?」
五条は小さな音が聞こえてきた方角を向く。
音がしてきたことからそっちの方には人がいることが考えられる。
そしてガラスが割れるという破壊の音が聞こえてきたことから、もしかしたら戦闘が行われている可能性も考えられた。
「……ごめん、中途半端な所だけど、先に向こうの方を確認しに行こう」
五条はミラーワールドの中の真司にそう話しかける。
人がいるのならそれは自分の知り合いである可能性もある、戦闘が行われているのなら自分の味方になり得る人物がピンチに陥っている可能性も考えられる。
そのため、名簿確認の途中だが音が聞こえてきた方に先に向かおうとのことだ。
『コクコク』
真司もその考えには賛成だった。
もし遅れてしまったことで後悔するようなことが起きたら大問題だ。
最初の音には気付いていたのに五条を無理矢理引っ張ってでもすぐ向かおうとしなかったから尚更だ。
◇
「でもその前に、最後に1つだけ確認しておこう。今更になるけど、君の名前を教えてくれないかな?」
五条は移動を開始する前に、先にストップしていたその他の精神側名簿ファイルの確認を行おうとした。
デストワイルダーに宿った真司は今、この殺し合いにおいては意思持ち支給品と扱われている。
意思持ち支給品にされた者の精神はこのその他名簿に記される。
五条はこれまで、真司の名前を聞きそびれて知らないままに話をしていた。
そして今、2人は推定戦闘が行われている場所に向かおうとしている。
その場所へと、共闘相手の本当の名前を知らないまま行くのは少し問題有りと判断した。
少しでも信頼関係を築くため、五条は先に名前を聞いた。
「なるほど、城戸真司と言うのか…。遅れちゃったけど、これからよろしくね、真司」
その他に記された8つの名前の内、自分のものが指さされた時に真司は頷いた。
こうして、五条悟はようやくその名を知る。
その後、この中にも他に知っている名前が無いか聞かれたが、特に無かったためこの話はそこで終わった。
他に五条の知っている名前も特になかった。
「よし!それじゃあ向こうの方に行こうか」
話を切り上げ、五条は真司を連れて今度こそ音の聞こえてきた方へと移動を始めた。
「……なあに、きっと何とかなるさ。今はどこにいるか分からないけど…この舞台には傑だっているんだからね」
移動を開始した辺りで、五条は最後にそんな言葉を呟いた。
それは言葉だけだと楽観的なところはあったが、その顔にはどこか陰りもあった。
(……五条、あんたはその傑って奴と何があったんだ?)
夏油傑の名前を見て空の五条悟は、どこか様子がおかしいところがあった。
そのことに真司も気付いてきていた。
しかしそう思っても、それを五条悟に指摘することはできない。
鏡の中のモンスターは、人に寄り添うことはできない。
513
:
「最強」なのだった
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:51:25 ID:uV1YJAyw0
【一日目/G-6とG-7の境目付近/深夜】
【五条悟@呪術廻戦】
[身体]:エディータ・ロスマン@ブレイブウィッチーズ
[状態]:健康、疲労(小)、夏油傑が巻き込まれていることによる動揺・怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎、どこでもボール射出ベルト(花火機能付き)@名探偵コナン、ブーストマークⅢバックル@仮面ライダーギーツ
[思考・状況]基本方針:殺し合い?乗るわけないでしょ。
1:とりあえず音が聞こえてきた方に行ってみる。
2:傑を探す。出来ることなら、あの頃のように共に戦いたい。
3:真希のことも探す。今はどんな状態か分からないけど、先生としてしっかりと導いてあげないとね。
4:他の禪院家(直哉、扇)については…ちゃんと協力できるか少し怪しいところがあるな。
5:伏黒甚爾の肉体の参加者を一応警戒。協力できるような奴ならいいけど…最悪の場合、恵には悪いけどもう一度殺すことになるかも。
6:へぇ、この子(ロスマン)も先生なんだ。この子の教え子や仲間が居たら探すのもありかもね。
7:飛べないのは不便だしストライカーユニットっての、あったら探そうか。
8:あの怪物に入れられた城戸真司は、とりあえず話は通じるようだし危険人物っぽさは無いかな…?
9:浅倉威という人物は一応警戒。
10:主催側が使ったのは精神と肉体を入れ替える術式か、或いは未知の何かか…。
11:最悪の場合は僕の身体が奪われ使われてるかもとも考えとく。一先ず参加者の中にはいないようだ。
12:やはりあの時の奴(羂索)も関わっているのか…?
[備考]
※参戦時期は91話の「渋谷事変⑨」にて、完全に獄門疆に封印された後からです。
[意思持ち支給品状態表]
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[身体]:デストワイルダー@仮面ライダー龍騎
[状態]:健康、五条悟に対し少し心配な気持ち
[思考・状況]基本方針:五条に協力して、このこの殺し合いを止める。
1:こんな馬鹿げた殺し合い、止めなくちゃな。
2:浅倉や他に危険な奴が居たら、五条と一緒に戦って止める。
3:五条は傑って奴と昔何があったんだ?本当に会って大丈夫なのか?
4:蓮は巻き込まれてなくてよかった。
[備考]
※参戦時期は死亡後からです。
※二人が聞いたのはG-7の方でポプ子がガラスを割った音です。
【どこでもボール射出ベルト(花火機能付き)@名探偵コナン】
サッカーボールをどこでも射出できるベルト。
バックル部分に付いているスイッチを押すと、バックル中央からサッカーボールが膨らまされて出てくる。
ボールは膨らまし続ければアドバルーン大にまで膨らむ。
また、ここにあるものは劇場版で使われる花火機能付きのものである。
花火ボールは水中でも爆発させることができる。
花火にする場合、ダイヤル操作で爆発するまでの時間を調整することも可能。
なお、ボールを射出できるのはどの場合でも1回までとする。
【ブーストマークⅢバックル@仮面ライダーギーツ】
仮面ライダーの変身ベルト:デザイアドライバーにセットして使うレイズバックルというアイテムの一種。
『仮面ライダーギーツ』の第37話で浮世英寿が母であるミツメから継承した「創世の力」で生み出した特殊なレイズバックル。
本来の持ち主である浮世英寿/仮面ライダーギーツがそのまま使用した時はブーストフォームマークⅢとなり、創世の力により空間を創り変える能力を得た。
しかし、マークⅢのままでは創世の力を制御しきれなかった。
展開して二分割すると「ブーストマークⅨバックル」へと変化し、使用者に超常的な戦闘力やスピードを与えられるようになる。
仮面ライダーギーツがマークⅨで変身してギーツⅨとなった時は、創世の力を自在に操り、破壊と創造や事象の改変等といった神のごとき力を発揮した。
なお、「創世の力」を宿している状態の浮世英寿以外の者がこのレイズバックルを使っても力を発揮できるかどうかは不明。
本ロワにおいては、これを使用する場合の本ロワ独自の時間制限等は無いものとする。
514
:
◆5IjCIYVjCc
:2024/11/28(木) 23:51:47 ID:uV1YJAyw0
投下終了です。
515
:
◆OmtW54r7Tc
:2024/12/03(火) 23:04:16 ID:sXnH/I/c0
ゲリラで投下させていただきます
516
:
永遠なんてないけれど、それでも
◆OmtW54r7Tc
:2024/12/03(火) 23:05:48 ID:sXnH/I/c0
風間トオルとレミリア・スカーレットの二人は、風間の提案により身体を休めていた。
とはいえ、ただ休むだけというのも時間がもったいない。
名簿は確認したものの、ランダム支給品はまだちゃんと見ていないし、地図でどこを目指すのかも決めたい。
そういうわけで、まずは支給品を調べることになった。
「僕の支給品、一つ目は…」
「…メイド服ね。後藤ひとり…名簿にも名前があった人が着ていたものらしいわね」
「そして二つ目は…」
「…メイド服ね。名簿には名前がないけど、朝比奈みくるって人が着ていたものみたい」
メイド服&メイド服。
風間トオルの肉体もまたメイドである十六夜咲夜であるから、トオルは今、3着のメイド服を手に入れたことになる。
「いやなんでだよ!?なんでメイドの咲夜さんに別のメイド服を支給したんだよ!?」
思わずデイバックを床にたたきつけて突っ込む。
物騒で殺傷力の高そうな武器が欲しかったとは言わないけど、それにしたってあんまりだろう、これは。
着替えには困らないけど、今欲しいのはそういう気遣いじゃ絶対にない!
「ふうん、後藤ひとりの方のメイド服はともかく、朝比奈みくるのピンクのメイド服はうちの咲夜にはあんま似合わなそうね。フラン辺りが着たら似合いそうだけど。でもピンクの咲夜ってのも、それはそれでちょっと見てみたいかも」
「何変な分析してるんですか!?こんなのでどうやって戦えっていうんですか!?」
「何よ、余裕のない男はモテないわよ、トオル?まだ支給品はもう一つあるかもしれないのだし、落ち着きなさい」
「うう…」
レミリアに諭され、ともかくトオルは気を取り直して最後の支給品を探す。
出てきたものは…
「これは…木の棒?」
「良かったじゃない、メイド服じゃなくて」
「これ…なんでしょう?棒の先端にピンク色のナニカがついてる。見た目はソフトクリームっぽいけど…」
トオルはその木の棒を自分の顔に近づける。
その瞬間、プ〜ンといやあな臭いが漂ってきた。
そう、それは形こそ似ているが、ソフトクリームではない。
その正体は、ウ…
「うわああああああ!」
トオルは思わず棒を振り回してそのピンクの物体を振り落とした。
ピンクの物体は、べちゃりと地面に潰れた。
517
:
永遠なんてないけれど、それでも
◆OmtW54r7Tc
:2024/12/03(火) 23:06:33 ID:sXnH/I/c0
※ここから先、書かれている文字と実際に喋っている内容が違うことがあります。
台詞の中の「ウ●チ」は「ほにゃらら」と読んでね。
「な、な、なんでこんなものが」
「トオル、その棒…復活してるわよ」
「え!?」
レミリアの指摘にトオルが木の棒を見ると、取り払ったはずのピンクのそれが再び先端にくっついていた。
「うわあああ!」
再びトオルはそれを振り払うが、やはりピンク色の物体は復活してくる。
「…トオル、私たち、ここでお別れしましょうか」
「なんなんだこれはああ!」
頭を抱えて叫びつつ、トオルは説明書の紙を読んだ。
「なになに…『プリンプリンのウ●チ(※)棒。プリンプリンがウ●チ(※)を投擲するのに使う木の棒。特別仕様としてウ●チ(※)を投擲するとすぐに次のウ●チ(※)が補填されます。いくら投げようが無限に補填されます。』……何の嫌がらせだよ!」
「ま、まあ、ある意味投擲武器として役に立つんじゃないかしら?」
「確かに嫌がる人は多そうですけど……ええっと、まだ続きがあります。『また、この棒を持って強く念じるとウ●チ(※)がトラップウ●チ(※)に変化し、粘着力が上がります。これを踏んだものは身動きが取れなくなります』」
「敵の動きを止めるなんて、結構使える武器じゃない!やったわねトオル!」
「そういいながら距離を取らないでくれます…?」
レミリアはいつの間にか、トオルから3メートルくらい離れた距離に立っていた。
「念じる、か…こ、こうかな?」
トオルは棒を持って念じてみた。
ムクムク
すると、先端のウ●チが一回り大きくなった!
「うわあ!」
驚いて再び棒を振り回す。
トラップウ●チは地面にベチャっと落ちた。
「これが粘着力の上がったナントカって奴ね…トオル、どれほどの効果があるか触って確かめてみたら?」
「触らないですよ!」
518
:
永遠なんてないけれど、それでも
◆OmtW54r7Tc
:2024/12/03(火) 23:07:32 ID:sXnH/I/c0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「うう、なんで僕がこんな…」
メイド服なんかよりはるかに酷い支給品に落ち込むトオルを尻目に、レミリアは自分の支給品を確かめることにした。
トオルみたく変なものでないといいのだが。
「これは…トマト?」
一つ目の支給品は、マキシムトマトというらしい。
説明を見てみれば、その効果はなんと食べると体力が全回復。
大当たりといっていいが、一つしかないし使いどころは慎重になった方がよさそうだ。
「次のこれは…巻物ね」
二つ目の支給品は、魔法の巻物。
巻物に書かれた呪文を唱えれば誰でも使える魔法の巻物(消耗品)である。
その効果は『味方の誰かを超人にする』…というものなのだが。
主催陣の嫌がらせか、あるいは実際に使うまで効果が分からないというスクロールの特性を重視したからか、説明書には魔法効果までは書かれていなかった。
「うーん…効果の分からない1回きりの魔法って、使いどころに困るじゃないの」
とりあえず、この巻物はどうしてもという時にだけ使うようにしようと決めるレミリアだった。
「ああ〜!こんなのは僕のキャラじゃないのに〜!こういう下品なのはしんのすけの役回りのはずだろ〜!」
「…まあ、彼よりはマシよね」
咲夜本人は到底しなさそうな狼狽えぶりを面白そうに眺めながら、レミリアは最後の支給品を取り出した。
「これは…バッジ、なのかしら?」
説明書には、「K・Bバッジ。カスカベ防衛隊の証のバッジ」ということしか書かれていない。
特に役に立たなそうでガッカリだが…はて、カスカベ?
どこかで聞いたような…
「それは…!」
ショックから立ち直ったらしいトオルが、レミリアの持つバッジを見て驚いた顔をしていた。
ああ、そうだ、思い出した。
カスカベ防衛隊、それは確かトオルの…
「レミリアさん…そのバッジ、譲ってもらえませんか?その、代わりになるようなもの、メイド服くらいしかないんですけど…」
「…いいわよ、交換なんてケチなこと言わないわ。これはあなたがつけてなさい、トオル」
そういってレミリアは、そのバッジをトオル…咲夜の胸元に取り付けた。
519
:
永遠なんてないけれど、それでも
◆OmtW54r7Tc
:2024/12/03(火) 23:08:34 ID:sXnH/I/c0
「う、うう…」
バッジをつけられたトオルは、そのバッジをしばらく見つめると。
その目には、涙が流れていた。
「ネネちゃん、ボーちゃん、マサオくん……しんのすけ」
そのバッジ、カスカベ防衛隊バッジは。
風間トオルにとっての友情の証だった。
『じゃーん!』
『何それ?』
『カスカベ防衛隊バッジのデザインさ』
『バッジぃ?』
『みんなの団結を深めるためにも こういうの必要だと思うんだよねぇ』
この直後、しんのすけが引っ越すと聞いて、ショックで思ってもないことを言ってしまって。
そう、彼らといた時間は、決して楽しいだけのものではなかった。
時には喧嘩して、ぶつかって。
それでも最後には仲直りして、また遊んで。
トオルは知っている。
あの輝かしい日々が、永遠に続くものではないと。
エリートの道を行く自分は、いつかは彼らと違う道を歩まなければならない。
だからこそ、彼らとの今を、大事にしたい。
同じ幼稚園にいる今のうちに、沢山の思い出を作りたい。
それなのに、こんなところで終わってしまうのか。
もうこれ以上、思い出を増やすことはできないというのか。
みんなと、一緒にいられないなんて、そんなの…
「嫌だ…嫌だ!みんな…みんな……!会いたい…会いたいよう…!」
風間トオルは、まだ5歳の子供だ。
どれだけの冒険を経験しようが、ピンチを乗り越えようが、まだ幼い少年なのだ。
そんな彼にとって、殺し合いという環境は、みんなに会えないかもしれないという恐怖は、とても辛いもので。
今までなんとか考えないようにしていたそれに思い至り、限界を迎えた。
「トオル…しっかりなさい」
その場にうずくまり泣き崩れるトオルを、レミリアは口ではたしなめつつも、宥めるように頭を撫でた。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
トオルとレミリアは、休息を終え出発していた。
目的地は紅魔館。
ここから南西にある、レミリアの屋敷である。
「トオル、屋敷に着いたら、特訓するわよ」
「特訓…ですか?」
「ええ、私が知る咲夜の戦いを、あなたに叩きこんであげる。わたしが…そして、あなたが生きて、みんなと会えるようにね」
「!…はい!」
520
:
永遠なんてないけれど、それでも
◆OmtW54r7Tc
:2024/12/03(火) 23:11:19 ID:sXnH/I/c0
【G-2/森/黎明】
【風間トオル@クレヨンしんちゃん】
[身体]:十六夜咲夜@東方project
[状態]:健康
[装備]:プリンプリンのウ●チ棒@コロッケ!、K・Bバッジ@クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 〜サボテン大襲撃〜
[道具]:基本支給品、後藤ひとりのメイド服@ぼっち・ざ・ろっく、朝比奈みくるのメイド服@涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:紅魔館に向かい、レミリアさんと特訓する
2:レミリアさんと行動する
3:何かあったらレミリアさんを守らなきゃだけど…僕にできるのかな…いや、やらなきゃ
4:身体しか載ってない人って精神の方はどうなってるんだろう…
[備考]
※殺し合いについて理解しました
※映画での出来事を経験しています
【レミリア・スカーレット@東方project】
[身体]:風間トオル@クレヨンしんちゃん
[状態]:健康、主催に対する怒り(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、マキシムトマト@星のカービィシリーズ、スクロール@魔法陣グルグル
[思考・状況]基本方針:主催をぶっ飛ばす
1:紅魔館に向かう。咲夜たちとの合流を期待しつつ、トオルを鍛える。
2:トオルと行動
3:子供の身体なんて…私も舐められたものね
4:トオル…想像していた以上に凄い経験してるわね…
5:いざとなったらトオルに守ってもらうつもり、その為に彼を鍛えるわ
6:咲夜はどう行動するのかしら…
7:フランの身体を扱っている参加者とは極力会いたくない
8:身体しか載ってない者の精神は捕らえられている…?それとも魂だけがさまよっている…?
※G-2のどこかに、トラップウ●チが設置されました。
踏むと引きはがすことはほぼ不可能です。
【支給品紹介】
【後藤ひとりのメイド服@ぼっち・ざ・ろっく】
後藤ひとりが文化祭で来ていたメイド服。
「オムライス美味しくなれ…へっ」
【朝比奈みくるのメイド服@涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ】
朝比奈みくるのメイド服。
ピンクミニの方。
【プリンプリンのウ●チ棒@コロッケ!】
バンカー、プリンプリンの武器である、先端にウ●チがついた木の棒。
特別仕様として、木の棒からウ●チが離れるとすぐに別のウ●チが補充され、念じると粘着力の高いトラップウ●チに変じる。
トラップウ●チを踏んだものは、基本的に引きはがすことは不可能。(靴を脱いだり地面ごとくりぬいたりという抜け道はある)
ちなみに実際のプリンプリンがどうやって大量のウ●チをストックしているのかは不明。
【マキシムトマト@星のカービィシリーズ】
シリーズお馴染みの回復アイテム。
体力を全回復させることができる。
【スクロール@魔法陣グルグル】
6巻でトマが使っていた魔法の巻物。
巻物を開きそこに書いてある「魔の山より大男が生まれた!その男は無敵のつよさ。そのこぶしは岩をもくだく!」という呪文を唱えることで味方をランダムで超人にする呪文を発動させることができる。使えるのは1回きり。
ちなみに説明書には魔法の効果の説明は書かれていない。
【K・Bバッジ@クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 〜サボテン大襲撃〜】
風間トオルの提案によりつくられた、カスカベ防衛隊の友情の証であるバッジ。
手作りのただのバッジであるが、映画の敵であるキラーサボテンを倒す切り札として使われ、しんのすけを救った。
2024年公開の『オラたちの恐竜日記』では恐竜のナナにバッジ代わりの首輪を作っており、各映画間でのつながりが基本薄いクレしん映画では珍しく、バッジの存在について言及されている。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板