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lily Crown Battle Royale

7鬼隠し ◆9rj3OvFOmY:2023/06/26(月) 02:44:19 ID:lVM5Sm.M0


「……まずは一人、か」
 首と胴体が泣き別れになった少女の亡骸を前にして、鬼がそう呟いた。
 デイパックから名簿を取り出して改めてそれを確認する。
 道の真ん中で筆記用具を取り出すのも億劫だ。
 赤座あかり。名前の上に載せられた笑顔の顔写真に指先を当て、力を込めて穴を空ける。それだけで一人の少女の命がこの世から消えたことが鬼の名簿に記録された。
「先は長いね。殺し合うのが見たいなら、いっそあの場でおっ始めさせてくれたら楽だったのに」
 血に濡れた刀を鞘に収めて舌打ちをする。
 まだやることがある以上、こんなつまらない余興の席で死ぬわけには行かない。
 それに考えようによっては都合のいいこともあった。
 名簿の紙面で猫を被った笑顔を躍らせている青髪の少女、古手梨花の名前を見て鬼は顔を歪める。
(オヤシロさまの祟りの元凶……古手家の巫女。こいつはきちんと此処で殺しておかないと)
 園崎家の次期当主として果たさねばならない使命。
 全ての惨劇を自分の代で終わらせ、祟りの歴史に終止符を打つこと。
 「魅音」にとっては目先の生存よりもそちらの方がよほど大事だった。
 自分のためでなく村のために殺す。生き残ってやり遂げる。
(沙都子は……生かしてあげてもいい。あいつが祟りの実行者の一味じゃないかどうかは、見極めなくちゃいけないけど……)
 そのために誰の犠牲も厭うつもりはなかった。
 もしも生存者の椅子が一つしかなかったなら、「魅音」は躊躇なく妹のような少女のことも殺しの勘定に含めていただろう。


『■都■のこ■、頼■■■ね』


 頭の中を走る雑音が頭痛を呼ぶ。
 知っている誰かの知らない言葉が煩い。
「誰にも邪魔はさせない」
 決意表明のように言うと少しだけ痛みが和らいだ。
 代わりに首元が痒くなり、爪を立ててガリガリと掻いた。
 血が滲んで白い肌が汚らしく彩られるが、気にはしない。そんな余裕はない。
「私が……魅音が全てを終わらせるんだ」
 そう言って赤座あかりの首を蹴飛ばし歩き出す、愚かな鬼は気付かない。
 いや、気付いていながらわざと見ないふりをしているのだ。


 ───園崎詩音。
 それは「魅音」がその手で殺したはずの名前だった。
 死んだ人間は生き返らない。
 ならばその名前が、今此処にあっていいはずはない。
 祟りの実行者が用意した替え玉だ。もしくはひょっとすると鷹野三四も村の暗部と繋がりを持っており、その一環でこんなことをしでかしているのかもしれない。
 真実がどちらであるにせよ、殺すしかない。まだ無関係の余地がある沙都子以外は全員この手で裁いてやる。
 参加者も鷹野も全て、全て……。

『詩音』

 また雑音が聞こえる。
 私は「魅音」だ。御三家を背負って立つ園崎の鬼として使命を果たすんだ。その名前で私を呼ぶな。
 誰であろうと私は止められない、止めさせない。「魅音(わたし)」が全ての悪業を断ち切ってみせる。

『沙都子のこと、頼むからね』 

 煩い。煩い。煩い。
 私は「魅音」だ。「園崎魅音」だ。
 「詩音(そいつ)」は死んだんだ。「魅音(わたし)」が殺したんだ。
 黙れ、黙れ、黙れ、黙れ。
 うわ言のように呟きながら鬼が喜劇の島を闊歩する。
 自分が本当は誰であるのか、“あの日”の真実さえ狂気の澱に見失いながら。
 祟りを断ち切る新たな祟りは、血飛沫浴びた幽麗な姿でさまよい歩く。

【赤座あかり@ゆるゆり 死亡確認】


【一日目・深夜/D-4】
【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に巡】
【状態:健康、「魅音」、雛見沢症候群発症(レベル5)、雑音】
【装備:日本刀、赤座あかりの支給品】
【方針:皆殺し(ひとまず沙都子以外)】


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