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表裏バトル・ロワイヤル 2nd Stage

352Last battle4 正しさのその先で、君と手を取りたい ◆vV5.jnbCYw:2023/06/02(金) 20:56:29 ID:g4PHLZmo0

彼女は気づいていただろうか。
カゲに飲まれた勇者を倒したことで、新たなヒーローになっていたのだ。
たとえ勇者が、消えたとしても、闇に堕ちたとしても、死したとしても。
勇者はカゲから蘇るし、もしそれが出来なかったとしても、新たな勇者が現れる。
それはかつて勇者ではなかった者なのかもしれない。


「私の出来ること……。」

話も終わらない内に、マリオは光に包まれて消えてしまった。
何度もキノコ王国を救ったヒーローとは思えないほど、一瞬で、あっけなく。


「え?ちょっと待って!?」


マリオが消えたと思った時、奇跡は起こった。
黒一色で包まれたカゲの世界の中、上空に一筋の光が差した。


(あれは……)


観察眼に優れた彼女なら、小さい光でも見つけることは容易だった。
そして、勇者というのは。足元に転がっている奇跡を見つけ、手繰り寄せられる者のことだ。
表の世界で偽りの安寧を貪ることを良しとせず、裏へのカギを見つけられる者のことだ。


「マリオ……。」


彼女は、今の状況を受け入れた訳ではない。
マリオとずっと居たかった気持ちは変わらないし、罪悪感が消えたわけではない。


「それでも、行くしかないよね。」


彼女の口元が弧を描く。
英雄がくれた言葉は、彼女に勇気を与えていた。
大切な人に託された以上は、命尽きる限り、戦い抜こうと決意した。



「ねえ、シュン。お願いがあるの。」
「何だい?」
「私を、あの光の所まで飛ばすことは出来る?」
「それぐらいなら出来るよ。」


今、この瞬間。
クリスチーヌという、未来を他者に委ねることしか出来なかったクリボーは。
新世界の扉を開く、新しい英雄へと姿を変えた。


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