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終末世界ロワイアル
80
:
渚にて
◆87GyKNhZiA
:2020/03/17(火) 18:10:52 ID:6L3DK2yE0
『遍く衆生を救うことのできなかった彼。雷の鳳の呪詛を手にし、しかして人の世を照らすことの叶わなかった彼。
此処に黄昏の女神はなく、此処に黄金と薔薇の魔女はなく、ガクトゥーンへと至ることなきカルシェールが紡がれるのみ。
ならばこそ、彼は嘆くのです。もう誰もいなくなってしまった世界の果てで』
そこは暗がりだった。沈黙の内の沈黙が囁く声の中にあって、静寂と暗黒が包む世界であった。もしその世界に属さぬ者が見たならば、あまりの無と理解を越える広大さにたちまち正気を失うような完全な虚無の空間に、女の声は音でない音として、たちまちのうちに広がっていく。
暗い。ああ、此処はなんと暗いのだ。星々の光に満ちる先までの空間とは比ぶべくもない。それはここに囚われたる「彼」の認識によるものだと、彼らは女に言われるまでもなく理解した。
「誰だ」
声。聞こえる。
男の声だった。女のそれとは違い、単なる空気振動の結果としての、当たり前の声だった。
「お前は誰だ」
───私/俺/僕/自分は……
名を告げる。
それは数百の異なる人名であり、そしてただ一つの確たる名前でもある。
「岸浪ハクノ」
───……そう。それが俺の名前だ。
名を呼び、呼ばれることで、今この瞬間に初めて彼らが収斂した。
揺蕩う彼らが一つの像を結び、年端もいかぬ少年の姿となって〈彼〉の前に降り立つ。
───あなたは、誰だ?
「私は……」
───あなたは?
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