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終末世界ロワイアル
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◆5ddd1Yaifw
:2020/04/03(金) 21:46:39 ID:bIh6UlaI0
間桐シンジは天才を自負している。それは自他共に認められるくらいには確固としたものだ。
かつては天才少年だったシンジは、いつしか青年になって、なって――進み続けた。
最初に奪ったのは共に笑った友達だった。その次に奪ったのは、見も知らぬ誰かだった。
奪った代償はある、泥に塗れた天才はその重みを背負うことに決めた。
そして、抗い、負けないことを誓ったはずなのに、いつしか思いは消えて、空を茫洋と見上げるだけになってしまった。
その結果がどうだ、下から上がってきたアイツに逆襲を果たされた、
抗いは無意味に消えた。世界は終わった。自分自身も終わった。
終わって、終わって、全部が藻屑と消え去って。
そうして、それで――?
結局、何も生み出せないまま終わって、満足だったのか。
「んな訳、ないだろ」
その声は嗄れたものだった。
頑張って、疲れて、それでも頑張って、諦めた者にしか出せない臭いがした。
「そんな訳、ないだろ――――っ!」
できることは全てやった。泥しか生まれない世界で黄金を生み出そうと藻掻き続けた。
その果てで、アイツと会って、それから―――。
「ああくそっ、思い出した。思い出してしまったじゃないかよ」
元来、自分は諦めが悪い人間だった。
辛い現実を見続けて大人になったつもりで、斜に構えていた。
どれだけ努力を重ねようとも、成果は実らず。
だから、諦めた。もう無理だって夢を見ることを捨てて、思い出に浸っていた。
「僕は人間が負けることを認めたくなかったんだ」
それでも、残ったものが一つ。
偽りの空を見上げて、右手を伸ばして。
本物の世界が、その先に待っていると信じ続けた。
黄金の奇跡なんてものよりも強く、鋭く。
運命を掴み取る意志の力に、シンジは気づいてしまった。
全部、アイツが悪いのだ。諦観の海に浸ることを許さなかった、かつての友。
終わってしまった世界、夢を、もう一度、と。
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