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真実の……バトルロワイアル 2
781
:
鬼神爆走紅蓮隊・轟
◆0zvBiGoI0k
:2021/04/21(水) 08:29:10 ID:4zUlIlqM0
◇
音が聞こえる。
ただ一人が音を束ね、階を振り分け。大小、高低、重軽、多種多様な音を発し、ただ一人で協奏している。
それは歌だ。
声に宿るのは哀切に、瞋恚。奏でる者の心火と愛が多重に響き、交わり、旋律が紡がれる。
それこそは校歌斉唱。戦う者が己を奮い立たせる為、背負い携えるテーマソング。
此度の主題(テーマ)は即ち、鬼殺。尊き花を無惨に散らすを防がんとす、千年続いた同胞の歌。
血を流す少女の歌。
鬼を討つ戦歌を、黒髪めだかは絶唱していた。
日之影空洞が一時的に取得した光速移動のスキル、鬼神モードによる強化で可能となった『光化静翔(テーマソング) めだかスタイル』の真価。
教会地下の狭い中での疾走は範囲を床一面といわず壁に天井まで広がり、堂内を足の踏み場もないほど埋め尽くす。
比喩とは違う、本当に残像の分身は実像と全く変わりない質量を伴って、縦横無尽に暴れ回る。
「くだらぬ真似を……」
無数不停止のめだかによって包囲され、動きを物理的に封印されながらも無惨は冷ややかな顔を崩さない。
鬼神モードの影響下でも余裕のない決死の形相のめだかとは対象的だ。
どれだけ加速が乗った威力で吶喊しても、無惨の体は完全に破壊することは出来ない。鬼の再生力はこの程度で突破されはしない。
砕くだけでは足りぬ。
裂かれた程度では届かぬ。
頂点の座は未だ健在。猿真似の紛い物如きに、この超身体が遅れを取るなどあり得ない。
こんなものは分かり切った結果だ。
不老であり不滅である己が最後に勝つのは自明の理だ。
無惨が「くだらぬ真似」と毒づいたのはこの無意味な撹乱に対してではなく、別にある。
めだかが跳ね回る砲弾となって地下空間につけた夥しい亀裂は、石壁の耐久限界をとっくに超過している。。
累の糸で補修しなければすぐにでも大量の瓦礫が雪崩込み、満遍なく太陽の光が入ってくるだろう。
どんな攻撃もたちどころに再生する無惨に残った、唯一の弱点。
真に倒そうとするなら、特効となる太陽の下に引きずり下ろす他に無い。
外から壊すだけでは逃げられる。目の前でやろうとすれば阻止される。
その諸問題を解消する為の、新たなる黒神ファントムであった。
取り入れたのは箱庭学園風紀委員長、雲仙冥利がめだか戦で使用した対人兵器「超躍弾(スーパーボール)」。
室内を異常に跳ね回り、人体に穴を空けるほどの弾性を、鬼神モード下の肉体に適用。
人間大の質量に、異常(アブノーマル)な域の剛性と柔軟性を獲得させる。
鬼の体は強度だけではなく、斯様な応用法にも対応できる。
接触時の跳ね返り、方向転換に伴う減速(マイナス)を極限までなくす事で永続的な跳弾を可能とした。
直線軌道で一発技だった黒髪ファントムの新たなバリエーション。いうなれば、黒神タイフーンとでも呼称されよう。
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