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真実の……バトルロワイアル 2

771鬼神爆走愚連隊・愛 ◆0zvBiGoI0k:2020/11/23(月) 20:32:00 ID:JA.y83Y60
る。


 ───思考が、読まれていたのか……? まずい……!


「……記憶は柱に頸を斬られた瞬間までか。厳密に死んだわけではない。わざわざ死んだ後から生き返らせるよりも手間が省けるというわけか。
 あの女の術は、時間の壁を超えるものとでもいうのか? ならばこの状況にも一応の辻褄は合う」

 無惨は脳の髄と幹まで刺さっている指から取り込みながら、引きずり出した情報を冷静に精査している。
 裁定は変わらない。累はこの場で処分する。これはとうの前に決定事項だ。
 意に沿わぬ思考を抱いただけで下弦程度の鬼は早々に処刑する無惨である。
 配下の鬼は何時何処にいようとも生殺与奪の権を握っている。その上明確な叛意まで抱いたとなればその結果は見るまでもない。
 そもそも無惨が累がいる教会に出向いたのは、死んだはずの下弦の状態を調べ、首輪の実験台にするため。
 最初から殺すと決めているのだから、間に何を挟もうとどれも些事である。
 念の為に、頸を千切るのではなく根本の脊髄を丸ごと引きずり出すことで、首輪が作動しないようにもしてある。
 脳に直接命令を送れば肉体の操作も容易に可能だ。

 だが、それでもだ。感情より実益を取るという方針は、尋常ならざる癇癪持ちの無惨らしからぬ選択ではある。
 無惨は怒っている。この場に連れてこられた始まりからずっと。
 集められたどの参加者よりも、最大にだ。
 今他の参加者と出会えば、すれ違うだけの縁でも腕を振り上げ肉塊にしているだろう。
 しかし何事にも例外という状況はある。
 無惨にとっての例外は、この短時間に己の意のままに動かない邪魔者が立て続けに遭遇したことだ。
 日の光に当たっても体が崩壊しない、鬼に似て非なる大男。
 無惨が認めてもいないのに鬼となり、太陽すら克服した女。
 そのどちらでもない、今しがた吹き飛ばしたばかりの正真の化物。
 どれだけ沸点が低くても、その状態がいつまでも続けばやがて喉元を通り過ぎる。
 煮えたぎる溶岩の如き憤怒と屈辱は収まらないが、その度に発散してきて僅かに熱は引いている。
 その奇跡的なバランスが、かろうじて優先順位を覆させずに保ってきていた。

「特に体に細工はされていないようだな。だが脳の一部に変容が見られる。起点は首輪からか。
 これの材質は分析できないが、爆破する際の細胞の反応を見れば効果も逆算できるだろう」

 こうして体の隅々まで調べられ、時には細胞を潰して反応を探ってる間も、想像を絶する苦痛が累に及んでいるわけだが、当然そんな瑣末事を気にかける無惨ではない。
 人間でいうなら、麻酔もかけられてないまま頭蓋骨を開かれ、脳に手を突っ込まれかき混ぜられてるようなもの。
 通常の生き物ならその時点で死に至るが、鬼の生命力なら耐えられてしまう。まして無惨の支配下にある今、死ぬことすらも許可がなければ叶わない。



 やはり、駄目だった。
 叛逆は始まる前に終わりを告げ、当然のように自分は死ぬ。
 いいや始めからわかっていたことだ。全ての鬼を統べる絶対者にかなうはずがない。
 わかっていたのに、どうして自分はこんな真似をしたのか。
 貧弱な体から救ってくれたのに。十二鬼月にまで取り立ててくれたのに。『家族』を作る酔狂まで許されていたのに。
 どうして。


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