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真実の……バトルロワイアル 2

770鬼神爆走愚連隊・愛 ◆0zvBiGoI0k:2020/11/23(月) 20:31:02 ID:JA.y83Y60


 奥では『兄』が準備を進めている。
 鬼に覿面だという酒に、電気を流す工具。
 累には理解の及ばない道具だったので手配は任せていた。配置の作業は糸でやったが。
 試しに垂らした一滴を糸に当てると、みるみるうちに糸が溶けた。効果自体は本物らしい。
 問題は、これが下弦でなく、上弦のさらに上に位置する者に通用するかだが。
 こればかりは試すこともできないので本番任せになるしかない。

「さあ───」

 思案ばかりしても甲斐がない。今すべきことに集中する。
 累の役目は無惨の誘導。奥の霊安室───兄が言うには───まで連れ込み罠を作動させること。
 
「……?」

 だが、いつまで待っても無惨から動きはなかった。
 折檻するにせよ、言葉で責めるにせよ、なんの反応もないというのはらしからぬ態度だった。
 流石に怪訝に感じ、累は伏せていた顔を上げて無惨の様子を窺った。



「───、………………?」

 いや。窺おうとした。
 頸を動かし、目の前に立つ主を見ようとした。
 たったそれだけ。それだけの動作を、累は果たすことができなかった。

「まさか、叛逆を企てるまで支配が緩んでいたとはな」

 どういうわけか、頭上から声がした。
 意識を向けても、やはり視界に収めることはできず。それどころかあらゆる体の自由が利かない。指一本すらままならない。
 一向に動かせない視界の中で、何か、白いものが転がっているのが目に入った。
 びくびくと痙攣しながら、赤いモノを吹き溢して床を汚している。



「あ─────」



 それがさっきまで累の頸を乗せて繋がっていた自分の体だと認識した瞬間。
 世界と感覚を断絶させる痛みが、脳髄という脳髄を支配した。

「あ"、ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!???」
「喚くな。今の私は貴様の断末魔に耳を貸す暇も惜しい」
「……! …………ッ!!」

 部屋中に響き渡っていた絶叫がぷつりと止まる。
 こめかみに食い込んだ五指から流れる、より上位の命令に上書きされ、塁という個の意思が塗り潰された。
 懲罰のためか痛みだけは依然続いている。痛みに悶絶して転げ回ろうにも体がない。叫ぶ自由すら剥奪されている。


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