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真実の……バトルロワイアル 2
734
:
FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】
◆0zvBiGoI0k
:2020/09/14(月) 21:17:58 ID:p2F40R1k0
「ああ、それに俺はとても気分がいいんだ。ようやく、お前と隣に立てる力を手に入れられたんだからな、■■」
「会長?」
違和感が生じたのは、そこが始まりだった。
会長の口調はどこか浮ついてるというか、高揚してるというか、地に足が着いてないようだった。
飲酒?まさか。ただ近似した記憶が蘇る。これと同じような振る舞いをした人物を、かぐやは知っている。
けどそれは有り得ない。会長はそんな態度を取ったことはないし、取るような人柄ではなかった。
だって、かぐやが見ている白銀の在り方は。
酒に酔い。権力に酔い。
自分で得たわけではないものを、何か見当違いをして振りかざし悦に浸る、四宮家の会合で見てきた醜い大人達、そのものだったから。
「勿論、今のままじゃまだ駄目だ。実際に■■の隣に立つにはまだ俺は強くない。恥ずかしい限りだが腹が減って仕方ないんだ。空腹なんて慣れてるのにな。
思えばそれがよくなかったんだな。強くなりたくば喰らえ。その通りだよ。人を食べるほど俺はどんどん強くなれる」
拭えぬ違和感は歪みになり、修復できぬ亀裂を生み出していく。
会長はかぐやを見ていない。
誰かがいることは見えていても、現実の目に見えてはいなかった。
男はただ、目の前のかぐやから虚像を投影して、何か自分に都合のいい独り芝居をしているに過ぎない。
「ああ、すまないな■■。だからもう少し待っていてくれ。
俺はもうすぐそっちに行く。お前の隣に立つのに相応しい、いや■■以上の男になる。誰もが俺を認めざるを得なくなり、見下せなくなる存在に」
亀裂は止まず、かぐやの信じた世界を崩落させていく。
断崖の端に立たされたに等しい恐怖に駆られたかぐやは、それでも白銀に呼びかける。
これは悪い冗談だと。藁にもすがる思いで。
「かい、ちょ?」
声は、震えていた。
恋も愛も、何も内に宿らないがらんどう。
余りに空虚で、空気が漏れただけのか細い音でしかなかった。
棒立ちする女を見て、男は愛おしそうに笑みを形作る。
獲物を前に舌舐めずりする、それは獣(ケダモノ)の貌だった。
「ほら───目の前に、ちょうどいい女(えさ)がいるんだ」
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