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真実の……バトルロワイアル 2

731FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】 ◆0zvBiGoI0k:2020/09/14(月) 21:15:29 ID:p2F40R1k0

 

「へ、蛇女…っ!」


 今度ははっきりと輪郭を顕にしていた。
 異端の長髪。時代錯誤な着物。頭頂に生えた二つ角。眼は血走り、脚ではなくのたうつ尾が見えている。
 見れば誰もが疑わぬ蛇女そのものの姿が鏡には映っていた。
 
「うおおおっしゃあ! 出やがったなまたバケモン! ……あれ?」

 突如出現したターゲットを見て、興奮を取り戻す工藤。
 髪飾り入りの袋を取り出して再度捕獲に乗り出そうと勇むが、振り向いた方角に何故か蛇女の姿はなかった。

「いねえ、いねえぞコイツ!?、そこに映ってるのにどこにもいねえ!」

 どこに目を向けても、倒れる姉切、前園達の他には無人の路地が広がるのみで、怪物は影ひとつ見当たらない。
 改めて鏡を見れば、なおも変わらず怪物はそこにいて禍々しい眼で睨めつけている。

「まさかこいつ……鏡の中に……?」

 誰もが有り得ないと思いつつも、思わずにはいられなかった想像を口にした、その瞬間。

 ばん!と、音がした。衝戟でコンビニ全体が震え出す。
 怪物が、両手を壁に激しく叩きつけて生まれた音だった。
 いや……工藤達からの視点ではそう見えるが、怪物は鏡像の中にしかいない。
 ならば怪物側からすれば、今のは『扉』の外にいる工藤達に狂ったような動作で飛びかかろうとした動作だ。

 怪物は『扉』を叩き続ける。何度も、何度も。コンビニは全体が激しく揺れ、今にも倒壊しそうだ。
 それでも破れないことに業を煮やすように、怪物は手をぴたりと『扉』に張り付ける。
 押し付けられた掌が指紋までもくっきりと見えるほど。
 そのまま指をついと離し、しかし唯一離れず壁に垂直に立てた爪を、割れんばかりの勢いで思い切り手をずり下ろした。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」 

 身の毛もよだつ、金切り声の如き音が鳴った。
 それは、怪物が現れる直前に聞いたあの高音と同じ音であり、怪物が外に出ようとして『扉』を引っ掻いていた音だったのだと全員は把握した。

 先程からずっと流れて、急速に密度を濃くしていった異様な空気は、ここでひとつの臨界を迎えた。


「ア─────────あああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
「姉切!?」

 耳を劈く、身が竦むほどの絶叫。 
 横臥していた姉切の片目が突如大きく見開かれ、そして口が壊れたように開かれて───
 その蒼白な顔は一瞬にして凄まじい恐怖の色に彩られ、凄まじい悲鳴が迸り出た。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ─────!!!」


 悲鳴は終わらない。
 人間が許容する肺活量をとっくに越えた声量声音はサイレンにも似て、基地内全てにくまなく行き渡っていきそうなほど深く響いた。
 
 そのサイレンが呼び水となったのか、コンビニはおろか周囲のあらゆる建造物が土台から震動する。


 鏡の中の怪物が壊れたように笑う。


 そして───







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