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真実の……バトルロワイアル 2
725
:
FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】
◆0zvBiGoI0k
:2020/09/14(月) 21:04:11 ID:p2F40R1k0
「────よぉ」
「災難だったよなお互い。いきなり意味のわからない事に巻き込まれてさ。
酒でも奢ってやれればいいけど、それはもうちょい待っててくれよな」
「俺もさ、何回か死にそうな目にあってよ。そん時ゃ色々な奴に助けてもらったりしてまあ、なんとか生きてるわ。
みんないい奴だったんだけど、水澤はともかく、冨岡がなぁ……。
いやいい奴なんだよ。いい奴なんだけど、すっげえ鉄面皮なの。返事が簡潔すぎんの。なに考えてんのかわっかんねえの。
そもそも名前だってさっき知ったばっかだし? ナイチンゲールさんにこってり絞られてようやくだよ。
人間じゃないっぽい水澤や禰豆子ちゃんよりとっつきづらいってどうなってんの? 広斗でもあんな無愛想じゃねえよ」
「ああそう、広斗だよ! あいつさ、これが始まってから何してたと思う?女連れて、バイク乗ってんの。すぐそこに俺がいたのに、気づかないで、素通りして!
あーあー今頃ふたりっきりでイチャコラしてんだろーなー……お兄ちゃんはそんな子に育てた覚えはありませんよまった──────」
誰に向けたわけでもなく、一人で延々と喋り続けていた男の声が、そこで止まった。
自分が何からしくない、みっともない真似をしているのに気づいたような、ばつの悪い表情をしていた。
雅貴はいま一人だ。自衛隊基地の広い敷地の、ある一画の倉庫でしゃがんでいる。
要救護患者を運んでから、いやにチェックの厳しい診断をクリアしていち早く部屋を抜け出していた。
趣の違う美女三人とお近づきになれるチャンスだったが、重傷者と未成年、残る一人もなんか恐いという点でいまいち気分にはなれなかった。
連れ立った冨岡は今も詰問を受けている。部屋を出る際にちらと見た顔はあいも変わらずなに考えてるかわからない無愛想さだった。
これからどうなるか、どうするかと考えながらぶらつきながら、とりあえずと決めていた目的を済ませることにした。
雅貴以外、ここには誰もいない。
どれだけ声をかけようと、言葉を投げようと、答え返すものは誰もいない。
見知った顔がそこにいても、死んだ人間は何かを自分に返してくれたりはくれない。
それを、雅貴は知っている。
ムゲン時代でも山王連合会時代でも、コブラとは仲がいいわけではなかった。
というより、SWORD地区で仲がいい相手なんてのはまったくといっていいほどいない。
あの場所での記憶はいつだって拳の遣り取りばかりで、いい思い出なんてひとつもない。
なのに、いつの間にやら妙に長い付き合いになってしまっていた。言ってみれば腐れ縁だ。
「……琥珀達には、うまいこと伝えとくわ。俺に言われても迷惑かもだけど、何も知らないよりゃマシだろ」
悲しみなんて気取った名前を背負ったりはしない。
仇討ちなんて殊勝さは沸いてこない。
涙なぞ、どれだけ捻っても一滴たりとも出りゃしない。
薄情だとは思わない。好き好んで男の理解を深めたくはないが、拳を交え、共に戦っていけば、見えるものもある。
コブラが慕っていた琥珀という男は、下手な馴れ合いや気遣いをするのも無粋だというぐらいには理解している。
最期を教え、形見のひとつでも渡せばいい。せいぜいが、それくらいの軽い縁だ。
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