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真実の……バトルロワイアル 2

723FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】 ◆0zvBiGoI0k:2020/09/14(月) 21:01:15 ID:p2F40R1k0





「おいヤベエヤベエヤベエ、追って来てるぞあのキ○○○!」

 事態が急変したのは、逃げていた工藤達にも伝わっていた。

 殿を受け持って戦っていた煉獄がここまで届く大声を出したかと思えば、空から振ってきた矢が足元に突き刺さってきた。
 ここにいる全員、多少なりとも荒事に慣れている。自分に向かう殺意、なにかしらの感情が向かう事には常人よりも鋭敏だった。
 周りの地面が陥没し、迫撃砲でも撃たれてるかのような緊迫が心身を締め上げる。
 元から足早で去ろうとしていたのが、今や全力疾走だ。

「ああ撃ってきた!? また撃ってきたよ!? ああクソ、ふっざけんなぁあああああ!!」

 普段から危険を冒すのに躊躇ない工藤だが、手に負えないと判断する嗅覚は鋭く、逃げる時は逃げる。
 この威勢のよさと小心の微妙なバランスが、今日まで男を今まで生かしてきたのだった。


 一行は背を向けて必死に走りながら、しかし誰も逃れられてるという気はしないでいた。
 後ろを振り返らずとも自分達を追跡する鬼武者の姿が脳裏に映る。心臓を震わすエンジンの爆音は死神の足音そのものだ。
 たまに起こる剣戟は煉獄達が足止めしている音だろうが、それも一旦バイクが遠ざかるだけで、すぐさま別ルートからまた接近してくる。

 それもそうだろう。如何に煉獄達の腕が立つとはいえ、相手はバイクという軌道手段を持っている。
 瞬発的な加速では上回るとしても、燃料が続く限り速度を常に維持していられるバイクでは持久力に明白な差が生まれる。攻めるも退くも、主導権はあちらにある。
 
「ハァッ……ハァッ……どうすんだい、このままじゃジリ貧だよ……!」

 息を切らし途切れ途切れに苦悶を漏らす姐切。限界があるのは煉獄達のみではない。
 特にこの中で一番の年配の工藤はグロッキー寸前だ。遠からず足を止めてしまう。そうすれば後は相手の狙い放題だ。


 窮地に陥った一行に追い打ちをかけるように、振動と爆発が起こった。
 だが後ろからではない。前に見える、塀で覆われた物々しい雰囲気の敷地の中からだ。

「この方角……施設……くそ、まさか……!」
「永井もそう思ったか! 意見が一致してくれて嬉しいがそれどころじゃねえぜ! アイツらこんなとこにいやがったのか!」

 とにかく逃げてるうちに近づいていたらしい施設を目にして、圭と善吉は同じ想定をした。
 陽光を苦手とすると仮定し、後で煉獄から確証を得た、鬼という種が身を潜めるに適した場所。
 交戦した二体の鬼が逃げた先として候補に上げていた施設、入間自衛隊基地。
 その入口の正門に、五人は差し掛かろうとしていた。
 
 
「……っ」

 最悪だ。悪い事というものは、こうも続いて重なるものらしい。
 あれから数は増えてるが、剣士二人がいなければ凌ぐ事もできない。
 この苦境をどう凌ぐかについて、圭は既に計算を終えている。
 そも考えるまでもない。これはもう、以前に使った手段だ。


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