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真実の……バトルロワイアル 2

721FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】 ◆0zvBiGoI0k:2020/09/14(月) 21:00:02 ID:p2F40R1k0



「上の上、その更に上……あれこそは極みか」 
「まったくだ! 至高の領域とはいったものだな!」

 煉獄と武蔵。言葉を交わさずとも胸中に懐く感慨は同じくしていた。
 即ちは、極められた武練への感嘆と畏敬だ。
 意思無き馬を手足の延長上で自在に操り、標的を過たず射を放つ馬術。
 天性の膂力と柔軟性が融合した理想の玉体。そしてそれを余す事なく活用する技量。
 武に生きる者であれば思わず見惚れるほどの、武者の体現がそこにはあった。

「だがしかし───」

 だからこそ討たねばならぬと、武蔵は奮する。
 なればこそ止めねばならぬと、煉獄は抱く。
 この武は本来、武蔵達のように鬼相手に向けられるべき力だ。
 泰平を築く為の力だ。
 それが今、民草に向けられんとしている。それが激しく、我慢ならない。


「………………きゅうじゅうろく、きゅうじゅうなな、きゅうじゅうはち……」

 縦横無尽の輪動を止めた黒縄地獄が、何事かを呟いてるかと耳を澄ます。 
 指で刀を弄くりながら、数を数えて唄っている。
 楽しそうに。遊び時間が来るのを待ち望んでる子供のように。
 そしてその時は、訪れた。

「きゅうじゅうく、ひゃく……。
 おや、まだあんなところまでしか進んでないのですね。目で見える距離ではないですか。
 ですが仕方ありません。きちんと百まで数えた事ですし、ね?」

 おもむろに矢を上に掲げて放つ。
 武蔵も煉獄も大きく外れた軌道が通過するのを怪訝に見送り───先にあるものを察知するに至った。

「───総員、上空!! 退避命令!!」

 思わず命令口調にして声を飛ばす。街の一画にまで及ぶ大声は果たして届き、驚いた面々が振り返る。
 放物線を描いて数秒の後、着地。次いで衝撃と悲鳴。
 音から推測する感覚任せだが、恐らく当たってはいない。だが、安全からは程遠い。守るために遠ざけておきながら、いまだ射程内だった。
 そして、背にいる者を守る戦いにおいては、騎乗物の差が如実に表れる。


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