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真実の……バトルロワイアル 2

703FILE04「辻斬り出没!首狩り武者」 ◆0zvBiGoI0k:2020/07/11(土) 22:01:42 ID:GpLTpfs60




 ◆



 煉獄達が敵でないと確認が取れたところで、真っ先に工藤は情報提供を要求した。
 当初からこれまで約十時間、誰とも接触がないまま行動してた事で周囲と遅れが生じていると危惧していたからだ。
 ほんの数日、いや数時間の差で新鮮なネタは腐り行く。失踪も絡む怪異となれば尚更だ。
 ディレクターとしての観点からも、周回遅れで決定的な場面を逃していたとしたら気が気でない。情報収集を急務としたのは当然といえた。

 つつがなく対話は進み、もたらされた収穫は工藤の満足のいくものだった。
 人を喰らう凶暴な鬼、鬼舞辻無惨とその配下。それを狩るべく日夜刀を振るう剣士、鬼殺隊。
 工藤もまた、鬼を追って『コワすぎ!』の企画を進めてきた。
 現実と空想の境に潜む、恐怖と異常を映像という確たる証拠に収めてきた。

 その線がここで、別の箇所から延びた線とピタリと合わさった。鬼が工藤と煉獄を引き合わせた。
 これを逃さぬ手はない。いま自分は空前のネタを掴んでいる。
 天啓にも等しい直感と、監督としての経験が即断即決に走らせた。
 工藤はすぐさま、鬼殺隊の炎柱、煉獄杏寿郎に鬼討伐(捕獲)の密着取材を申し込んだのだ。

「なぁ、頼むぜ煉獄さんよ!」
「うむ、断る!」

 そして、この様であった。

 取材の了承を得ようと工藤が頼み込む。
 すげなく拒否する煉獄。
 そのような構図が、ここ十分ばかり変わる事なく繰り広げられていた。
 
「なにも俺達はあんたらの邪魔をしようってんじゃねえんだ。
 プロの指示だからね、ちゃんと聞くよ。なんなら協力だってするよ。
 たださ、あんたらが鬼退治するその瞬間をカメラで撮りたいだけなんだよ!」
「いいや、まかりならん!」
「だぁー!なんでだよ!人がこんなに頼んでやがるのに!」

 『コワすぎ!』の投稿者や、情報を持つと思しき取材相手にも、断る者は複数いた。
 世間体が悪い、秘密がある、恥部を晒す……様々な理由で渋る相手に対して、工藤は無理矢理にでも口を割らせてきた。
 怒声を上げ、恫喝し、暴力すら頻繁に振るい、震え上がった提供者から情報を搾り取った。
 その手の強制手は、煉獄という男にはまったく通じないでいた。
 凄みをきかせた睨みにも目線を逸らさず、掴みかかっても微動だにしない。
 大声はさらなる大声で塗り潰され、飛んだ手には岩でも殴りつけた痛みが返ってきた。


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