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真実の……バトルロワイアル 2
702
:
FILE04「辻斬り出没!首狩り武者」
◆0zvBiGoI0k
:2020/07/11(土) 22:01:06 ID:GpLTpfs60
なるほど。聞いてみれば確かに姐切の症状とも類似した点もある。
接触感染して体の部位に異常が現れるなど、どうやら呪いとはウイルスに近い性質かもしれない。
普段の前園であれば眉唾のオカルトなど一笑に付すが、身近に起き得るとあれば多少なりとも参考に留め置いておいても。
「呪いだって?ざけんじゃないよ……あんなモヤモヤしたやつにアタイが一杯食わされたってのかい」
「なに、対策はわかってんだ。あの蛇女……呪いの元を絶てばいいのよ」
進行した呪いを解くには、その呪いを発生させてる元凶を消す事。除霊の手段など知りようもない工藤達三人には、そもそもはじめから他の選択肢もない。
「また出てきた時に、今度こそブチのめせばいいってワケかい。いいじゃないか、分かりやすくてさ」
「呪いが物理でどうにかなるものなのですか」
「バッカこっちにはコイツがあんだよ。口裂け女の呪いは効いたんだ。もっとぶん殴って弱らせればいけるって。対消滅ってやつよ」
荒縄で口を絞められたズタ袋を振って、自信ありげに笑う工藤。口裂け女の髪が詰まってると言っていた工藤の所有物だ。
ドローンの不鮮明な映像では対決の一部始終は撮れなかったが、まさか本当に効果があるのかと訝しげな視線で見た。
"だが、まあいい。これで都合よくこいつらを移動させられる"
前園にしてみれば、姐切が呪いで死のうが、蛇女を倒せようがどうでもいい。
自分で手を下さずして参加者が減ってくれるというのは、ありがたいとすらいえる。
それでも姐切を心配し話に乗るよう振る舞ってるのは、ひとえにここからすぐにでも離れたい事情があるからだ。
マシュ・キリエライトの存在とその殺害に、二人が気づいた様子はない。
蛇女の呪いという、直近で起きたセンセーショナルな事態に目を奪われているせいだ。
工藤は怪異の捜索に熱を上げ、普段なら反発する姐切も我が身の事となれば自然と意識が向く。
このまま前園が誘導してこの場を去れば、マシュと前園を繋ぐ痕跡は消えてなくなる。
マシュを逃したという鬼も、所在はここからほど遠い教会だ。
採取したナノロボを調べる研究所が一番の候補だが、ただでさえ僻地。参加者がいない事にイライラを募らせてる工藤は承諾しまい。
姐切を休ませる建前もあって、やはり病院を目指すのが妥協案とした。
しかしこうも自分の証拠隠滅を都合してくれるとは。
呪いとやらには感謝したいぐらいだ。自分に降りかからない限りは、この調子で他の人間を陥れて欲しいものだ。
「でも、これじゃあちと手が足りねぇかもな……。あーどっかに霊能力者いねえかなー!ていうかなんで誰にも会えねーんだよー!」
『コワすぎ!』スタッフが怪異に遭遇し、曲がりなりにも撃退できていたのは、彼らの独力によるものではない。
口裂け女と関わりのあった犬井。陰陽師に修行を受け河童打倒に執念を募らす鈴木。
そして道玄に、真壁栞。
偶然のめぐり合わせか依頼した必然か、傍らには常に呪術師の助けがあり、命からがら生還してきた。
撮影のためなら危険も忠告も聞かない工藤だが、必要と思った準備はする男だ。
ついでに番組の盛り上がり的にも、専門家がいると便利だという打算もあった。
「ここにいるぞ!!」
道の先から、明朗快活なる返事が返ってきた。
前園の薄暗い算段を軒並み吹き飛ばし、燦々たる太陽が照らすような、実に気持ちのいい声だった。
声の主、煉獄杏寿郎は背後に数人を控えさせて、自身は隠れも臆しもせず、堂々たる威風で工藤達の前に現れたのだった。
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