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真実の……バトルロワイアル 2

689Alive A life〜Revolution〜 ◆0zvBiGoI0k:2020/06/02(火) 22:59:59 ID:qa8Zn0Lc0



「いやだよ」


 零れる。


「死にたく、ないよ」


 関節の軋みより小さな音が、空洞に反響し重なり合う。
 体の内側から食い破られる。
 仕掛けられた爆弾が起動する。
 胸の奥底の、一番深い暗闇で弾けた火花が、瞬く間に全身に燃え広がった。
 
「消えたくなんかないよ。離れ離れになんかなりたくないよ。誰にも取られたくないよ。
 これから、やりたいこといっぱいあるのに。伝えられなかったことがいっぱいあるのに……っ!
 わたし、まだなんにもできてない。頑張ったのに、本気の気持ちなのに、嘘のままで終わっていいわけないよ……!
 ぁ─────ぁ、ぁぁああああああああ──────────────!
 やだ、やだやだよ……っ!こわいよ、さびしいよ、助けてよ……っ!」

 託す。残す。信じる。見守る。応援する。
 全部嘘だ。
 どれもこれも浅ましい自己弁護だ。
 風太郎を、好きな人をこんなにも求めている。欲しいと思ってる。
 彼の視線も思いも行動も独占しなければ気が済まない。
 なのに何も言えず、気づいてももらえずに消えるなんて耐えられない。
 告白する勇気がないまま隠していた想いが無駄だったと、諦められるはずがなかった。
 
 失いたくないもの。
 嘘にしたくないもの。
 諦められないものを抱えて沈む事に怯え、少女は泣き喚く。
 涙を止めるすべは、どこにもなかった。幼い子どものように泣きじゃくる事だけが、最後に許された自由だ。

 涙は希望を起こさない。本音は条理を覆さない。
 奇跡は積み重ねる行為が必要だ。
 例外には選ばれるだけの資格が要る。
 中野一花にはどちらもない。少ない瑕疵はあれど邪悪さは微塵もない、普通の善良な彼女にはそれだけの因果がない。


 生まれる命の存在しない境界。
 現実と切り離されたこの場所で、彼女が何を思い、何を残そうと聞く者はいない。目にする者はいない。
 だから全てを吐露しても構わない。
 もう隠す必要はない。嘘をつかなくていい。耐えなくていい。弱い自分を許してそのまま晒してもいい。





「私の気持ち(こい)を、選んでほしいよぉ………………!」





 そうして、言葉は途切れた。
 他愛のない嘘のように。
 魂なんて淡い幻想は痕跡すら見当たらず。そこにいた証など一辺も残らない。
 恋も、思いも、ここにはもう、なにもない。



 ◇


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