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真実の……バトルロワイアル 2
654
:
GATE OF SKY
◆0zvBiGoI0k
:2020/04/30(木) 18:23:53 ID:0GVKN/Ew0
◆
再び意識が戻れば、元の殺風景な道に戻っていた。
全身を縛る戒めも強烈な飢餓感も消えていた。周囲も殺風景な町中に戻っていた。
唯一の変化は、あれだけ散らばっていた死体の残骸が、きれいさっぱり無くなっていたこと。
下唇を指で拭うと、赤い液がべっとりと塗られていた。
無人の街路で気配を感じ視線を巡らす。現実に姿を見せない影は、鏡像の中のみにあった。
二人組の片割れを襲いカーブミラーの中に消えた黒い獣を。
ダークウイングはじっとこちらを見つめた。羽を上下に羽撃かせて鏡面に留まり睨めつけている。
襲うでも逃げるでもない行動に意図を判じかねるスモーキー。これ似た意匠をした生物のことを思い出しポケットに収まっていた小箱を取り出した。
仮面ライダーインペラー。契約モンスターが斬られて力を失ったブランク体になったデッキ。
デッキを目にしたダークウイングが反応した。
「……来るか」
デッキに指をかけカードを引き抜く。他と比べて絵柄の抜けた札───契約のカードが光を放つ。
光に捕まり、抵抗もせず吸いこまれていくダークウイング。
居場所のなく、彷徨うばかりの命ならば、たとえ人間でなくても。
光が収まれば、札にダークウイングそのままの絵が記されていた。理屈は知らないが、どうやらそういう仕組みらしい。
鏡に姿は見えなくなったが、近くでなんとなく気配を感じる。
闇と化した帝王。新しい僕を引き連れスモーキーは歩み出す。
頭にあるのは鏖殺の決意しかなく、眼の色は最早洗い流せない血に染まってる。
けれど、耳にはあそこで聞いた潮騒の音がまだ残っていた。見上げた空は、何物の支配も及ばないあの蒼さより、ずっと鈍って見えていた。
男が見た海の名をニライカナイ。
身分なき者、棲みかを奪われたまつろわぬ民が異界に求めた幻の都。そのひとつである。
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