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真実の……バトルロワイアル 2

649GATE OF SKY ◆0zvBiGoI0k:2020/04/30(木) 18:10:50 ID:0GVKN/Ew0


「アマゾ───」

 インジェクターを挿入しアマゾン細胞を活性化させる内部薬液が注入される。
 ───その直前に、ドライバーの光沢が急速に黒ずみ、侵食した。

「ぐ、ぁ!?」

 顔を走り抜けた痛みに体がくずおれる。
 奇襲を警戒していながら、ずっと自分を付け狙っていた狩人がいたことを察知できなかった。
 仮面ライダーの名称は知っていても、"それ"の性質までは知らない千翼は気づけないのも無理からぬことだ。
 "それ"は食欲のままに喰らうだけの獣(アマゾン)とは違う。愛着があり執着があり復讐心を備えていた、守護を始原に造られた怪物であることを。

「なんだ!?」

 隣の七花はよりはっきりと異常を捉えた。
 千翼が巻いたドライバーが反射する光から、明らかに収まるはずのない大質量の黒い蝙蝠───ダークウイングが出現し千翼を切り刻む瞬間を。

 空に飛び上がり旋回した蝙蝠は再び千翼めがけて急速落下する。
 ミラーモンスターもミラーワールドの性質も知らない七花だが、それ故に疑問も驚愕も置いて、まず迎撃を優先した。

「虚刀流"雛罌粟(ひなげし)"!」

 落ちて来る目標に合わせた切り上げる手刀をすんでのところで方向転換して逃れる。
 曲がった方には十字路に置かれたカーブミラーがあり───そのまま鏡の中に飛び込み消えていった。

「逃げた?いや消えたのか?ひょっとしてまにわにか?」

 壁に溶けて消える怪しげな術は、十二本の変体刀を巡って争う忍者集団・真庭忍軍の頭領達を想起する。
 頼みもしないのに馴れ馴れしく自己紹介する輩ばかりだから無言で奇襲するのはおかしい気もするが、考えてる余裕はありそうもない。

「まずいな」

 千翼は顔から血を流している。致命傷でもないが軽傷でもない。じきに傷は治るだろうが、今すぐではない。
 そして数の優位も失われた。未だ姿を見せない相手と、正体不明の蝙蝠。無策のままでは、七花も無傷ではいられない。
 
「よし、逃げるか」

 素早く判断し、実行する。
 千翼を肩から持ち上げ、地面を蹴り飛ばし一直線に駆け走る。 
 姿を隠す障害物も曲がり角もない、一本道のルート。そここそは単独で敷かれた包囲網の唯一の抜け穴だ。

「倒す策は思いつかなかったが───実は逃げる策ならとっくに思いついてるんだよな!」

 撤退するだけなら最初から簡単にできていた。ただそれを選ばなかっただけで。
 無論逃がす気がないならさせないと塞ぎに来る可能性もあるが───なんの妨害もなく七花達は通り過ぎていく。

「やっぱり深追いしてこないか。武器か体か、自分の状態を試すのが目的だったんだな。舐めてくれるぜ。刀を研ぎの練習台にするなんてよ。
 けどここにも四季崎の完成形変体刀があるのか。とがめのために集めといたほうがいいのか?」

 とがめよりずっと重い体を抱えてるので全速力とはいえない。ある程度距離を稼いだら降ろして千翼にも走らせればいいだろう。
 とがめの元に戻るには死ぬわけにはいかない。その思いだけは確かに刻まれて脱兎の如く逃げ出した。


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