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真実の……バトルロワイアル 2
577
:
I Wanna Be...
◆ZbV3TMNKJw
:2020/03/21(土) 00:52:33 ID:fKS6UALg0
一同の視線は、声の主、一花へと思わず集中する。
「一花、気持ちはわかるけど、その」
遠慮がちに立香が言いよどむ。
迎撃に向かった彼らの安否が気になるのは皆、保身を優先する猛田ですら同じだ。
それをしないのは単純な理由。彼らでは誰が出向こうが五人纏めて向かおうが、戦闘の足手まといでしかないからだ。
一花もそれは十分に理解している。
「わかってる。私もそこまで馬鹿じゃない」
言って、一花は微笑みながらカードデッキをかざし、腰のベルトに装着する。
「変身」
その言葉と共に、一花の身体が緑の装甲に包まれた。
その異形に思わず二乃と三玖と猛田の三人はぎょっと目を見開いた。
「仮面ライダー、って言うんだって。これを着てると身体が強くなるの」
仮面ライダー。その存在自体は真司から軽く触れられていたが、実際に目の当たりにするとやはり異様に目をひくものだ。
「これがあれば私も」
「ダメ。それがあったところでなにも変わらない」
役に立てる、と言おうとした一花の言葉を遮ったのは立香。
「身体が強くなったところで経験の差は埋められない。一花が行ったところで足手まといになるだけだよ」
厳しい言葉を投げかけているとは思う。
けれど、身体能力が上がった程度で戦いに勝てるなら苦労はない。
経験。戦略。相性。時の運。
それらが己の有利に傾いた時にようやく勝利への権利を手にすることができる。
数多の英霊の戦を見てきた彼女だからこそ実感していることだ。
それに、一花を引き留めるのは彼女自身だけの問題ではない。
「ダメ。絶対に行かせないわ」
一花の両脇を、二乃と三玖が固める。
「一花。一人で決めてツッ走るのはあんたの悪い癖よ」
「行かないで。もし一花までいなくなったら...」
なによりも立香が一花の単独行動を拒むのは彼女たちについてだ。
中摘むまじい五ツ子姉妹。そのうち、すでに二人が欠けてしまっている。
その中でも生き残った姉妹が無事に会えたというのに、誰が好んで引き離せるものか。
彼女たちの安息は穢すべきではない。故に立香は一花の離脱を拒む。
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