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真実の……バトルロワイアル 2

564かぐや様は困らせられる〜天然達の狂騒曲〜 ◆0zvBiGoI0k:2020/03/08(日) 22:32:48 ID:IPoAWe9c0

 
「あ」

 かぐやは呆けた声を出した。
 見覚えのある立ち姿だった。
 隻腕の侍姿の男から庇われる形で、一度出会っていた羽織の青年。
 あの時は後ろ姿ぐらいしか見ていないのだが、背格好から同一人物だと判別はつく。
 そして一分も無かっただろう出会いの記憶が蘇り、かぐやの背筋が"ぞわり"とした。

「誰ですか貴方達は。
 今はこの方の治療で手が空いていません。話は後にしなさい。それともどちらかは傷病者ですか?」
「いや怪我とかはしてないよ?ちょっと叩かれたり刺されかけたりはしたけどさ。
 怪我人の手当てを邪魔する気もねえよ。ただ俺達もここに用があって来たら先客がいて……って」

 警戒を解こうと弁明する男───雅貴はそこで、一歩引こうか引くまいかちょっと葛藤してるみたいに身を反らしてるかぐやに気づいた。
 視線は、自分の後ろで会話に参加せずあらぬ方を眺めてる義勇に向いていた。 

「……なあ、あっちの女の子ずっとお前のこと睨んでんだけど、
 ひょっとして知り合いだった?」
「いや」
「えっ」

 またしてもかぐやの一声だった。
 かぐやにとって義勇は命を救ってくれた身であるが、同時に得体の知れない男である。
 義勇にとってもかぐやは弦之介の凶刃を防いだのみで、その名も人となりも知らない。
 そういう意味合いの『知り合いではない』の否定であり、間違ってはいない。困った事に。
 
「いやって……あの子『えっ』て言ったぞ『えっ』て。
 やっぱ、なんか嫌われるような事したんじゃねえの?」
「俺は嫌われてない」
「どっから出てくんだよその自信」
「弦之介……隻腕の侍が彼女に刀を振り下ろそうとしたから、防いで先を行かせただけだ」
「命の恩人じゃねえか!だけで済ましていい話かそれ!」
「鬼殺隊の義務を果たしただけだ」
「うわ、ちょっとカッコいいと思っちまった……!」

 悪意ある人物でないのはわかってる。連れ合う雅貴にも悪い人ではなさそうだ。
 つまり警戒するような事はない。状況はひとまず安心ではあるのだ。尚更に気が重いのだが。
 救われた身で失礼な物言いをするのは四宮の名に傷をつける行為だ。
 逆に言えば、口に出すと失礼な台詞を言ってしまいそうになるという事だが。
 いずれにせよかぐやの心の平静は瞬く間に崩れ去った。


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