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真実の……バトルロワイアル 2
55
:
ファイナル本能寺・エピソード2(後編)
◆hqLsjDR84w
:2019/07/29(月) 22:02:31 ID:hTGsSQhI0
【4】
沖田総司が出て行ってからもう何分も経っているというのに、未だに猛田トシオの震えは収まる気配がなかった。
日本刀のように冷たく鋭い眼差しは鮮明に頭に残り続け、もう今後どのようなことがあっても忘れられる気がしない。
ただ睨みつけられただけで身体は震え、鼓動は早鐘と化し、呼吸は過剰であるのか不足であるのかの判別さえつかなくなった。
特段激しい口調で罵ってきたワケでもなく、淡々と断じて許されるべき罪ではないと告げてきただけだというのに、猛田の知るなによりも恐ろしかった。
ラブデスター実験主催者・ファウストよりも、フィーリング測定機を渡してきた狂人・神居クロオよりも、騙されていたことを知って掌を返してきた生徒(バカ)たちよりも――ずっと怖い。
一度死んでしまう以前の猛田は、武力よりも話術を信じて立ち回ってきた男である。
沖田が許してはくれないと判明した時点で、「じゃあどうすればよかったって言うんだよ」とそんなことを言おうとした。
恥も外聞の捨ててみっともなく泣き付こうとした。他の面々の同情を集めて、沖田が悪いかのような空気を作り上げようとした。
死を前にすればプライドなど消え失せるということを、この場において再び知った。どんな醜態でも晒す覚悟があった。必要とあれば涙以外を出すつもりもあった。
これもまた、猛田が武力よりも上等と信じる話術である。
だが、機会すら与えられなかった。
そんなことをする余裕はたったの一睨みで掻き消えたし、仮にやったところで沖田の心が揺らぐことはなかっただろう。
おそらく、沖田はこともなげに言うのだろう。
首に爆弾がついているんじゃあるまいし、手首を斬り落とせばよかっただろうに――と。
「バカ殿……やってくれたな。お前はやっぱりバカ殿だ」
よくある蔑称だ。
若殿会長、転じてバカ殿会長。
こんな低俗なニックネームが定着するような民度の学校だ、測定機さえあれば永遠に支配できる。猛田はそう思っていたが、あっさりと覆されてしまった。
あの生徒会と新生徒会の戦いを経て、猛田はミクニに対する認識を改めていたが、改めたこと自体が過ちだった。
若殿ミクニはバカがつくほどまっすぐで、バカがつくほど先のことを考えていない、バカ殿会長のままだ。
「俺は……もしかして間違っていたのか? オメェの言うように黙ってたほうが、もしかしたら……」
「それくらい、考えればわかるだろうが……!
誰が受け入れてくれるんだよ。同じ学校の生徒を騙していいように使ってた人殺しなんだぞ。そんなヤツを受け入れる強さの持ち主なんて……!」
バカがつくほど強いお前くらいしかいない――と。
猛田は苛立ちながらも、どうにかそれだけは口にしないで済んだ。
「ミクニは間違ってないよ。猛田のやったことを隠さない意味、前に自分で説明してたでしょ」
二人で言い合ってくるところに、歩み寄ってきたのは中野三玖だ。
彼女は猛田への嫌悪感を隠そうともせず、露骨に距離を取っている。
すべて知られているのだから当然だとわかっていながら、猛田はきまりが悪くて視線を逸らしてしまう。
「三玖さん……でも、俺のせいで……」
「まあ……こうなるときもあるよね、それはね……。沖田さんって人が許せないのも当然だと思うし。でも、やるって言ってたじゃん」
「それは……」
「別に無理して続けないで諦めてやめてもいいと思うけど、たぶんもう遅いよ。
この人数にバレちゃったら、もういまさら隠せないと思う。私だって誰かにあったら話すし」
ミクニが言葉を失っているのが、猛田には憎たらしくて仕方なかった。
なにをいまさらになって驚くことがあるのか、まったくもって理解ができない。
一度知られてしまった以上、もうどうにもならないことくらい予想がつくはずだ。
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