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真実の……バトルロワイアル 2

503君のこと思い出して ◆Mti19lYchg:2020/01/16(木) 23:56:05 ID:5kbOZPJc0
「嘘だ……。そんな……事で……命を懸けられるはずが、ない……」
 震える声で、訥々としゃべる累。
「……口をはさむけど、そんな事でも命を懸けられる事もあるんだ、弟」
 今まで表情を変えず黙っていたクロオがここで口を開いた。
「ミクニ君は、ただクラスメートというつながりだけで、人を救おうと何度も命懸けの行動をしてきた。家族の愛情なんか信じていなかったのにね」

 家族の愛情なんか信じられないという部分はクロオ自身も同じだった。ただ、ミクニには友人との絆があり、クロオには何もなかった。
 それはクロオ自身が愛情に、情緒に欠けているからだと思っていた。だからクロオは口ではマシュに援護しながら、実は累の方に共感を覚えている。
 累が言う『本当の絆』の方を求めたい。だが恐怖や暴力でそれが作れないことは十分知っている。
 『真実の愛』に関しても自分にはあらかじめ愛情など欠けていると分かっている。
 いや、分かっていたつもりだった。
 最後の瞬間、自分がそんな人間じゃなかったことに気づいた。
 今なら本当に家族を作れるかもしれない。幻影でも妄想でも母さんに、誰かに愛されたという記憶があるのなら、他の誰かに愛を注ぐことが出来るかもしれない。
 累の言う『本当の絆』も今なら結べるかもしれない。
 だから――累が絶体絶命の危機で変わる事が出来るのなら、累の方に助けを差しのべる。

「私はあなた達の家族にはまだなれません。でも、死ぬのが怖いなら、私はあなた達を命懸けで守ります」
 累の手を包むマシュに対し――累はもう片方の手を突き出した。
「違う。お前は、僕の……家族だ、妹だ」
 累は虚ろな表情で、両指から糸をだし、マシュを籠目模様の球体で包む。
 ――血鬼術・殺目篭
 それを大小二重にしてマシュを覆った。
「兄は妹を命がけで守るものだ」
 虚言だな、と累は内心自嘲した。累自身実際にそのような事を行った事がない。
「お前だけは逃げろ」
 ただ、累の中にある妄執ともいえるものが、マシュを放逐するという選択を取らせた。


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