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真実の……バトルロワイアル 2

500君のこと思い出して ◆Mti19lYchg:2020/01/16(木) 23:54:43 ID:5kbOZPJc0
【マシュ・キリエライト】

 放送で先輩の名が呼ばれなかったことにひとまず安心し、同時に清姫さんなど失われた命に対し何もできなかったことを悲しく感じます。
 放送の後、鬼の方が急に意識が飛んだように呆然となった後、次は頭を掻き毟り始めました。皮がちぎれ、辺りに血が飛ぶほどに。
 それでいて表情は、茫洋としています。焦ったりしている感じではありません。心の内側までは分かりませんが。
 いつの間にか私を縛っていた糸も解れています。
 彼は一瞬私を見つめ、そしてそのまま動きを止めました。
 静寂が支配する中、上からもう一人の男の人が地下室に降りてきます。

 ――――――――――――――――――

「弟。丁度日光を遮断できそうなものがあったよ。『呪碗のハサンの黒布』ってやつで、魔神を抑える効果があるんだってさ。
 まあ、この場じゃ魔神も鬼も大して変わらないよね、多分」
 クロオは笑い、累に布を差し出した。
「それで、この飛び散った血は何だい?」
 クロオは周りを見渡し、改めて累を見る。
 そう言えば、累は人形のように動こうとせず、布にも手を伸ばさず、クロオに顔を向けようともしていない。
「……行きなよ、どこへでも好きなところに。家族はもうおしまいだ」
 投げやりな調子で、虚ろな声で累は言った。
「兄に対してそれは無いんじゃない? 結構楽しかったよ、この数時間」
 糸で縛られ、打たれながら、それでも楽しいと言った事にクロオは少し可笑しさを感じた。その感情が事実であるのがより一層笑えてくる。

 クロオは養護施設で始めて出会ったころのミクニのように、累にシンパシィを感じていた。
 それは、予測ではあるが一つの共通点、そこから生まれる暗闇があるからだろう、とクロオは思っている。
 クロオは初めから『普通』から外れていた。母親に対する愛情はあったが、それ以外の感情が薄く、気味悪がられていた。
 だから、義理の父親になった男から憎まれ、殺されかけ、逆に殺した。そして、それは恐らく累も――。

「いきなりどうしたの? 放送まで乗り気だったじゃないか」
「状況が変わった。僕はあのお方の逆鱗に触れた。このままだと僕はあのお方に殺され、兄さんもこの女も食われる」
 累の口調は自分の死についてだというのに、淡々としたものだった。
「それを知って逃げようとしないのかい? または戦ってみるとか」
「無駄だ。あのお方は僕の居場所を特定できるし、戦っても勝てるはずがない。当然、お前が僕を守れるはずもない」
 ふうん、と自分の死についてだというのに、やはり累と同じように他人事のようにクロオは呟いた。
「それなら、あの娘をどうする? 選択肢は三つあるけど。
 1.このまま放置して僕たちが逃げるための囮にする。
 2.君が食べて、力を少しでもつける。
 3.家族にして戦うか逃げる手助けにする」
 クロオはマシュを指差しながら、彼女の目の前であっさりと命を犠牲にする選択肢を口にしてのけた。
「言っただろ? 僕達はもうお仕舞だ。僕にはあのお方の気配と憤怒がここまで感じ取れる。どの方法をとってももうどうしようもない」
 それでも累の虚無な声は変わらない。もう既に命を投げ捨てているからだ。
 その累の空虚な顔を見たマシュは、先程累に感じた憐憫とは違う何か、やりたい事が湧き上がってきた。


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