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真実の……バトルロワイアル 2

457鬼気怪壊 ◆0zvBiGoI0k:2019/12/15(日) 22:53:42 ID:jtH9pDfU0



「何故、貴様は」

 再び、そして最後に身を翻して鬼に向き直り。

「私が失せろと言ったのにまだそこにいる?」

 興味深く見入る童女の華奢な体躯に、噴出した怒気ごと拳を叩きつけた。


 研鑽も技術もない感情に任せた乱雑な一撃。
 だがそれで十分だ。そんな小手先の産物を付随させるまでもなく、肉体の性能(スペック)だけで事は足りる。
 鬼舞辻無惨。鬼の始原。全ての鬼は無惨の血によって生まれ、その肉体は全ての鬼の頂点に君臨する。
 ただ拳を振るう。触手を飛ばす。そんな単純な攻撃だけで、あらゆる上弦の攻撃を凌駕する破壊を齎すのだ。
 童女の格好をしているからといって関係ない。躊躇もなければ加減もない拳で子鬼は容易く吹き飛び、地面を転がっていった。
 
 分かり切っていた結果だ。
 予想するまでもない結末だ。
 太陽を克服すること叶わずとも、これまで遭遇した化け物達は全て、直接無惨と対峙して対等に渡り合えた試しがない。 
 戦いにもならない掃討であり、生きていられているのは太陽光を始め、たまたま運に救われただけに過ぎない。
 やはり太陽を除けば自分を阻むものなど存在しないのだ。そんな当たり前の事実、摂理とでもいうべき今更な結果に溜飲を下げる。
 だからこそ―――前に出したままの右腕がだらんと垂れ下がっている光景に気づくのに、数秒の刻を要した。


 骨が、ない。
 血が一滴も溢れずに、無惨の右前腕を支持する尺骨が綺麗に抜き取られていた。

「――――――――――――?」
 
 なんだこれは。
 去来したのはそんな単純な感慨だった。
 不死身であり『斬られた端から傷口が閉じる』ほど図抜けた再生力を持つ無惨は痛覚に疎い。
 故に、自分の身に起きた予期せぬ知覚に対する反応が一手遅れていた。

 何故こんな損傷を受けている。
 あの子鬼は倒れてる。無様に吹き飛ばされている。確かな手応えがあった。反撃できる余地などあるはずもない。
 ただ、そう。ただ少しだけ、拳が肌に到着する寸前に何事かを呟いていただけだ。
 鋭敏な聴覚が風切り音と共に聞いたのは確か――――――


―――――――――百花繚乱・我愛称(ボーンコレクター)


 そんな風に、言っていた。



「ああ―――効いた効いた。六腑がひしゃげるかと思うたわ。実際ちょいと『ズレ』ちゃってるわぁこれ」

 声がした。
 あいも変わらず腐った酒の匂いを漂わせて。
 腹部から血を流しながら、けろりとした様子で起き上がって鬼は―――酒吞童子は笑っていた。


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