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真実の……バトルロワイアル 2

388アザナエル ◆0zvBiGoI0k:2019/11/09(土) 04:11:44 ID:lo0/.jkY0


 形勢は立香の優位にあった。 
 たとえ無限の刀があっても、使い手の体力には限りがある。攻め続けていても一向に傷をつけられないジウが先に消耗するのは明らかだ。
 
「余裕だな。僕ぐらいいつでも殺せるってわけか?」
「殺す気なんてないよ。それに余裕もそんなにない」

 余裕に見えるとしたら、それは震える脚を隠してるからだ。単に取り繕いが上手くなっただけ。

「……はっ、殺す気がないだって?殺し合いでそんな甘いことを言って、それが余裕じゃなくてなんなんだ」
「そうかもしれない。でも親友なら分かってるでしょ。ミクニくんも、同じことを言っていたって」
「お前がミクニを語るんじゃない!」

 新たな千刀を握り吠えるジウ。視線で人を殺せるなら既に二人を三度殺しても余りある。
 そんな気迫を受け止めていながら、立香は怯みもせずまっすぐにジウを見つめている。
 男のような影を使役するのはいい。謎の技術にいちいち驚いているようではラブデスター実験を生き延びてはいない。
 かつてあれほど管巻いていながら今は震えてる猛田と同様に、ミクニの死体を、転がる生首を見ていながらまるで動じてないこの女の方が、よっぽど不気味で不可解だ。
 ジウと同じ地獄を味わったならともかく、この女の目は澄んでいた。ミクニを思い出させる、毅然とした決意に満ちた目。それが尚更に許せない。

 後方での爆発―――沖田達を狙う砲撃に立香が目を向けた隙に、ジウが動いた。
 手持ちの千刀を正面に投げ、空いた両手で掴んだ追加に二本上空に投げ飛ばす。
 計三本の飛刀を、冷静に立香は迎撃させる。旋回する二本は前進して軌道上から離れる。
 このまま距離を詰め動きを封じようとして―――第四の投擲物に目を見張った。

「って、爆弾……!?」

 立香が知る由もない、さる亜人に丸ごと渡した爆弾の余り物。
 飛び込んできた円筒の束に急停止。炸裂して起こる爆風と轟音を辛くも盾(レオニダス)が防ぐ。
 視界を塞ぐ土煙に奇襲の警戒を高め、そこで反射的に振り返った。
 先程無意味な投擲に思えた二振りが、いまだ腰が上がらない猛田の頭上で煌めきながら落下していく光景を見た。
 
「ひ……っ!」
「レオニダス!!」

 号令一喝。
 宝具に至らないまでも、英霊の投擲する槍は戦場では必殺の武器に変わる。
 自然落下に任せただけの二刀は呆気なく中空で砕かれ、新たな墓標となった。
 起死の間隙、不意を凌いだ瞬間に本命が来るか―――と思えばこの場から遠ざかる足音が聞こえ、爆風が晴れた道路にジウの姿はかき消えていた。
 
「猛田くん、立てる?」
「は、はい……」

 警戒のためサーヴァントは維持させて、立香は猛田に手を伸ばす。
 微笑でこちらを向く立香に対しおずおずと尻込みする猛田だが、やがて手を取って立ち上がった。


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