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真実の……バトルロワイアル 2

366獣性目掛けて銃声は鳴る ◆3nT5BAosPA:2019/11/01(金) 00:34:47 ID:umByYa/g0
「無駄なのにあがき続けるその努力! 動かずにいた方が楽だろうに、それでも藻掻く愚かしさ! 君のその、最後の一瞬にとびっきりの輝きを見せる花火のような儚さと美しさに、感動せずにはいられないよ! いったい、何が君をそこまで突き動かすというんだい?」
「知るか……」

 ズタズタになっている肺からようやくと言った様子で息を吐き出しながら、浅倉は語る。

「……俺の心にいつもあるのは我慢できねえ苛立ちだけだった。だけど、戦えばそれを忘れられた。それだけだ」
「だから死ぬまで戦い続けるというのかい? それは……貧弱な人間が選ぶには随分と過酷な道だったろうねえ。だけど、もうそんな困難を選ぶ必要は無いんだよ。心を苛む何かに苦しまされる必要もない。だって、これから俺に救われるんだからさ」

 『炎』刀という己が扱う血鬼術とは真逆の銘を持つそれの照準を浅倉に合わせる童磨。
 生きている限り絶対に逃れられない苦しみを抱えた男を救うために、殺すために、銃を構える。

「イライラするんだよ……お前のその顔」
「この顔がかい? 信者からの評判は結構良いんだけどねえ……ああでも、君と同じように戦いばかりの日々を送っている俺の友人からの評価はそんなに良くなかったかなあ。なんでだろ」憐みの涙を流しながら、童磨は言葉を続けようとした。「面白くもないのに笑って、悲しくもないのに泣くな。イライラする」浅倉の言葉で童磨の台詞は止まった。

 何をやっても満たされることのない、苛立ちのみの心を備えている浅倉は、自分と同様に満たされることのない心──いや、そもそも心自体が無い童磨の性質を感じ取っていた。刀が刀を感じたり、鬼が鬼を察知したりするのと似た、同類ならではの共感覚じみた何かを受け取っていたのである(もっとも、『共感』から最も遠い位置にいる、何も感じない童磨ではそれを受け取ることが出来なかったが)。
 だからこそ、浅倉は童磨に腹が立つ。同族嫌悪じみた苛立ちを感じてしまう。
 
「オ……オオオ、ォォォォォ!!!!」
 
 会話を打ち切るようにして、獣の如き咆哮を上げる浅倉。手足に力を込める。だが、それで立てるはずがない。そもそも今こうして生きていること自体が奇跡のような重傷なのだから。
 しかし。
 それでも。
 彼は立ちあがった。立ち上がってみせた。そこに理屈や言い訳は必要ない。
 戦いと共に生きた狂人である浅倉が地面に倒れたまま死を迎えるなど、天と地獄が許しても彼自身が許すはずがないのだから。
 立ち上がると、そのまま前方へと特攻する。その手に武器のようなものは無い。素手だ。だがそれがどうした。武器がなくても爪がある。拳がある。歯も足もある。己とよく似てありながら、決定的に違う何かと決着をつけるには十分に余りある。
 一方童磨は、スムーズな動きで両手の引き金を絞るだけだった。
 何発かの銃声が轟く。勝負はそれだけで決した。勝利したのは童磨だった。
彼の表情は、先ほどとは打って変わって、何の感情も感じさせない冷たい氷のようなそれになっていた。
 だが、それもほんの一瞬のことであり、すぐに顔面の筋肉が働き、いつも通りの表情に戻るのであった。


【浅倉威@仮面ライダー龍騎 死亡】


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