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真実の……バトルロワイアル 2
363
:
獣性目掛けて銃声は鳴る
◆3nT5BAosPA
:2019/11/01(金) 00:32:10 ID:umByYa/g0
氷柱に圧し潰される直前、浅倉はライダーデッキを取り出し、氷柱の表面に映すことで変身を完了していた。少しでもタイミングが遅れていれば即死を免れない限り限りの変身だ。
王蛇への変身を遂げた彼は、そのまま落下している氷柱からミラーワールドに飛び込み、そこを通って童磨の傍までやって来たのである──そして今。
蓮の氷像から姿を現した浅倉は、童磨目掛けて飛びかかった。
「ハッハハッハァーー!!」
戦闘の最中にいる興奮からか、哄笑を叫びながら浅倉は突撃する。
予想外の方向からの敵の出現に驚く童磨。迎撃しようとしたが、振り向いた頃にはベノサーベルが顔面に深々と食い込んでいた。
禍々しい刀身が頭蓋骨を突き破り、脳を破壊する。即死間違いなしの重傷だ。
「おっとっと」
しかし当の童磨は緊張感のない声を放つだけだった。
「その声はさっきと同じ人かな? 俺の氷の中から現れるなんて凄い術を使うね。反応が間に合わなかったよ」
言いながら童磨は腕を、真横に伸ばすようにして構える。
彼が見せた並外れた生命力に驚かされた浅倉であったが、その動作から次に何かが来ると獣の勘と言うべき鋭さで察した彼は、ベノサーベルを引き抜き、後方に飛び退いた。
次の瞬間、構えた腕は空気を薙ぐように振り払われていた。鬼の膂力をもってすれば、これだけでも当たれば致命傷になる一撃なのだが、童磨の場合はこれだけではない。その動作に追随するように氷の霧が再び現れ、周囲に散布された。先ほどと同じ、吸っただけで肺胞が壊死する死の霧である──血鬼術・凍て曇。
退避した浅倉を追撃すべく、童磨は蓮の氷像から氷の蔓を何本も生やし、刺突するように伸ばす──血鬼術・蔓蓮華。術を次々と出す彼の所作は、肉体の操作を司る期間に深刻な損傷が与えられているにも関わらず、淀みない動きだった。いや、もうそこに損傷など無い。彼の端正な顔立ちに刻まれていたベノサーベルの痕は、まるで最初からなかったかのように綺麗さっぱり完治していた。
「うおおおおおあああああああ!!」
威勢のいい叫び声と共に、ベノバイザーを四方八方に振り回す浅倉。ばきばきと音を立てて、蔓の何本かは折れた。しかし、ひとつの得物で全てを捌くのは難しい。
なので、浅倉は一枚のカードを取り出し、ベノバイザーに挿入した。
アドベント──淡々とした機械音声が流れる。
それが合図だったかのように、どこからともなく巨大なコブラが現れた。これぞ、浅倉が契約しているミラーモンスターが内の一体、ベノスネーカーである。
参上したベノスネーカーは、ぶんと尻尾を振った。勢いよく振るわれた尻尾は氷の蔦を一本残らず粉砕し、その際に生じた風圧で氷の霧を吹き飛ばす。
──どうやら彼は氷……いや、鏡のように光を反射するものから出入りしたり、そこからあんな大蛇を呼び出したりできるようだね。今まで見たことが無い術だ。
浅倉が振るう異能を分析する童磨。
──姿が変わる前は、特別な力なんて何も感じさせない人間だったのに、不思議だねえ。……あの大蛇を呼ぶ時に使った絵札や、それが収納されていた腰巻が関係しているのかな?
そこで彼の考察は中止させられた。こちらを向いたベノスネーカーが口を大きく開き、そこから液体を吐き出したからだ。
攻撃の意志を持って放たれた行動に、童磨は氷の盾を生成することで対応しようとする。だが、それは無意味な防御だった。なぜなら、ベノスネーカーが吐き出した液体に触れた途端、氷の盾が蒸発したからだ。まるで、炎に炙られたみたいに。
ベノスネーカーが清姫を取り込んだことにより、炎の性質を得たが故の現象だ──もちろん、本来の性質もしっかりと残っている。
「グッ……あああああ!!」
防壁を突破され、ベノスネーカーが吐いた液体を身に浴びた童磨は、悶えるようにして仰け反った。当然の反応だ。毒と炎の両方の性質を持つ毒液を頭から浴びて、呻き声一つ漏らさぬ者など、いるわけがない。
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