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真実の……バトルロワイアル 2
291
:
FILE03「暗黒奇譚 蛇女之怪」
◆7ediZa7/Ag
:2019/10/18(金) 16:58:04 ID:cCF3JV8U0
──信用できないね、まったく。
夜明け直後の街を歩きながら、姐切は胸中にてこぼす。
それは共に歩く工藤に向けたものであり、あの妙なオブジェに執心している前園に向けたものでもあった。
この島で出会った大人たちは、どちらも方向性こそ違えど信用できなかった。
この後に及んで撮影をしている工藤は論外として、前園だってどうも胡散臭い匂いがする。
腹に一体何を抱えているのか、全くわからない。
彼女は直感的に前園に対して警戒心を抱いていた。
──しかし、ファウストもフィオロもまだ出て来ない。ラブデスター星人とは本当に関係ないのか?
バトルロワイアルだのなんだのと言っているが、当初はまたラブデスター実験の延長だと姐切は考えていた。
閉鎖空間におけるデスゲームという状況が酷似していたことや、あのBBという女のテンションがどこかラブデスター星人に通じるものがあったからだ。
だが、ラブデスター実験における最も重要なルールであった“愛を証明すれば帰れる”というルールがここでは機能していない。
ある意味、どの参加者にも生還の目があったあのルールと違い、このゲームは直接的な暴力が物を言う場だ。
そして、当然のように犠牲になるものもいる。
──愛月も、クソッ……! 結局何もできなかった。
ぐっと拳を握りしめる。
先ほど告げられた放送にあった愛月しのの名前。
わかっていた。あの映像や状況を考えて、彼女が生きている可能性が低いことは。
それでも一縷の望みにかけていたが、それも絶たれてしまった。
近くにいたのに守れなかった己の不甲斐なさに、姐切は胸が締め付けられる想いだった。
同時にはっきりと認識する。
ラブデスター実験ではいざ知らず、このゲームにおいて中学生である自分たちは明確な弱者なのだ。
信用のならない大人たちに囲まれる中、安穏としていられる余裕は一切ない。
それは姐切の他の知り合いについても同じだろう。
──とっとと若殿や皇城とも合流しないとね。
名簿に記されていたうち、姐切の知っている名前は五つあった。
どういう訳か載っている猛田や、今ひとつ腹の底が読めない神居はともかくとして、その二人とは早めに合流しておきたかった。
──特に皇城は、アイツ……。
中でも気にかかるのは皇城ジウだった。
彼はこのバトルロワイアルに呼ばれる前、ラブデスター実験においても既に不安定なように見えた。
彼は──とにかく追い詰められていた。
実験開始直後から縁あって行動を共にしていた彼女は、彼のことがまず心配であった。
──愛月が死んだからって、アホなことやるんじゃないよ。
嫌な胸騒ぎがする中、姐切は黙々と街を歩いていた。
近くに危険な存在がいる可能性が高いため、道中の会話は最小限だ。
工藤もそのあたりのことはわかっているのか、警戒しつつ慎重に進んでいる。
まぁその間もドローンは確実に回るように常に見ているのだが。
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