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真実の……バトルロワイアル 2
290
:
FILE03「暗黒奇譚 蛇女之怪」
◆7ediZa7/Ag
:2019/10/18(金) 16:56:33 ID:cCF3JV8U0
「誰かがここで戦っていた、ということですか」
「誰かじゃねえ、こりゃバケモンだよ」
「そんな断言できるってのかい? バケモンなんてさ」
「あん? 姐切。その辺のチンピラの喧嘩でこんなもんつくと思ってんのかよ。
こんなもんができる奴はな、もう人間とは呼べねえんだよ。だったらバケモンしかありえねえだろうが」
「それは……」
工藤の言葉に姐切は言葉尻を濁す。
その発言はいささか論の飛躍があるが、まぁ──間違ってはいないだろう。前園も内心で同意していた。
これは明らかに、怪物同士の戦闘の痕跡である。
「と、なるとバケモンとバケモンが戦った痕って訳だ。いいじゃねえか」
「何で嬉しそうなんだよ、工藤」
「ばっかお前、雷だよ? 樹だよ? コンクリ破壊だよ? 面白いじゃねえか。
絶対見つけて、取っつかまえてやる。捕獲すんぞぉバケモノ」
「あ? こんな状況で面白いだ? クソ野郎。こんな──」
「待ってください、姐切さん。ここで争っても仕方がないでしょう」
再び口論へ発展しそうに成ったところを前園が割って入る。
出会ってから何度も起こっていた口論であり、前園としても一々仲裁が面倒になりつつあった。
「工藤さんの言動は確かに問題がありますが、しかし近くにバケモノと呼ぶに足る存在がいるのは事実でしょう。
ならここで下手に時間をかけてしまうのは危険です」
「おい!問題ってなんだよ!」
前園はふっと小さく微笑み、
「工藤さんも、例のバケモノの調査をするなら早くした方がいいのでは?
まだ遠くまで行ってない可能性があります。捕獲を狙うのなら、早く動いた方がいいかと」
「……まぁ、そりゃあな」
「それに、位置的にも──このバケモノが愛月さんを殺した、あの“鬼”である可能性もあります」
その言葉を告げた途端、姐切の表情が変わるのがわかった。
愛月しの。
先ほどの放送でその名は明確に死者として告げられた。
愛月しのを救えるかもしれないという、姐切のかすかな希望は絶たれたことになる。
まぁ前園としては──すでに知っていた事実なのだが──それに対して、神妙な対応をしたのがつい先ほど。
「直接の戦闘は避けた方がいいかと思いますが、調査は必要です。
他にこの戦闘に巻き込まれた人もいるかもしれません」
「おう、そうだな、前園さん。ちょっくらこの辺見回ってくるか」
「…………」
姐切は不満げに口を閉ざしていた。
その胸中のもやが晴れることは早々ないのだろうが、彼女とてここで争っても仕方がないことは理解しているのだろう。
「では三十分後にこの樹にて再度集合しましょう。くれぐれも、お気をつけて」
「あん? 前園さん、アンタは来ないのかよ」
「ええ、私は少々、あちらの樹を調べようかと思いまして」
前園は前方に立つ巨大なオブジェを示した。
それは──ハートとリンゴの生命の樹である。
◇
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