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真実の……バトルロワイアル 2
279
:
せめて人間らしく
◆7ediZa7/Ag
:2019/10/16(水) 23:39:45 ID:bSIn833M0
──仁さん、貴方は。
悠は鷹山仁という男の歪みをはっきりと痛感した。
鷹山仁の世界は、アマゾンであるか、アマゾンでないかで分けられているのだと。
人間であるか、人間でないか、ではないのだ。
たとえそれが人喰いの異形であろうとも、仁にとっては“アマゾンでない”ということの方が明確な意味がある。
それは──どう考えても歪としか言いようがない。
「じゃあな……悠。お前、それ──殺しちゃ駄目だぞ」
すでに禰豆子に興味を失ったのか、仁は覚束ない足取りで歩き出した。
「仁さん、待ってください」
その背中に対して悠は引き止めるべく語りかける。
「この島にいるアマゾンのうち、名簿にあったクラゲアマゾンというのは──」
名簿に記載されていた五体のアマゾン。
そのうち、一つは先ほどの放送にて呼ばれていた。
イユの名について悠とて思うところがなかった訳ではない。
だが、それ以上に今仁に告げるべきことがあった。
クラゲアマゾン。千翼と並ぶ溶原性細胞のオリジナルであり──
「──厭な音がするものですね、“あまぞん”というのは」
だが、その言葉は遮られてしまった。
ゆらり、と風に吹かれて和装が舞った。
気がつけば、その女はやってきていた。
色の白い肌をした、たおやかな印象を与える女である。
「気がついたらまた一匹増えているし、草というものは早く抜かないといけないものね」
困ってしまいます、と女は、ため息と共に言い、その姿が、ふっ、と消えた。
「──ッ!」
邂逅と同時に悠は肌で感じ取っていた。
唐突に現れた彼女──鑢七実には明白に、敵意があると。
「──アマゾンッ!!」
だからこそ動くことができた。
唸りを上げるアマゾンズドライバー。炸裂する水蒸気、熱を帯びる世界。
その向こうからやってくる虚空の刃と、悠の刃が重なり、街の中に甲高い音が反響した。
「青、赤、ときたら緑なのね。花という訳でもないでしょうに」
「下がって禰豆子ちゃん!」
「後ろの音も“あまぞん”とは違うようだけど──厭な音」
七実の異様に伸びた爪と、アマゾンオメガの手鎌が重なり合う。
彼女が何者であるのかはわからない。
だがこの島において危険な存在であることは間違いなかった。
ならば、悠がとるべき道は一つしかない。
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