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真実の……バトルロワイアル 2

278せめて人間らしく ◆7ediZa7/Ag:2019/10/16(水) 23:39:20 ID:bSIn833M0

「う……」

仁の歪な有り様は禰豆子にも伝わったのか、不安げに声を漏らした。
そんな彼女を守るように悠は一歩前に出た。その間、視線を仁から一切離すことはなく。

「そこにいる奴──臭いがするな」

盲目であるが、仁の感覚は鋭敏であり、禰豆子の存在を掴み取ったようだ。
虚空を睨みつつ、だが一歩禰豆子に近づくように彼は前に出て、

「血の……人の臭いだ」
「仁さん、禰豆子ちゃんは」

仁を遮るように悠は語りかけた。
悠にとっての危惧は──仁がこの島において、どう立ち回るかだった。
声をかけることを惜しむ気は無いが、仁がこの島で戦うことを止めることはしないだろう。

問題は、仁にとって何が“標的”なのかだった。
この島にて開かれている奇妙な催しに彼が積極的に乗ることはないだろう。
何故ならば──仁は人間の味方であるからだ。
鷹山仁は人間を守る。そのためにアマゾンを狩る。それが彼が自らに強いてきた一線だった。
この島においてもそれは変わらないだろう。
少なくともその点においては、悠は仁のことを信頼していた。

だが──アマゾンでなくとも、人間でない者は?

悠は今握りしめている小さな手を意識した。
禰豆子。この島で出会った少女は、アマゾンでなくとも、自分と同じく異形であった。
では──

「ああ、なるほど、そこにいるのは子供かぁ……」
「仁さん、聞いてください。禰豆子ちゃんはアマゾンじゃないんです!」
「ああ、わかってるよ。じゃあ──」

──守らないとな。

あっけなく告げられた言葉に、え、と悠は思わず声を漏らした。
仁は禰豆子にその爪を向けることなく、一見して朗らかに笑いながら、

「ああ、でも人の臭いがするなぁ……喰ったのか」

虚空へと告げられた言葉に、びくり、と禰豆子が肩をあげるのがわかった。

「駄目だぞぉ……言われなかったか? そういうことをやると、地獄に落ちるって」
「……ぅ」

その言葉に敵意は感じられなかった。
だが虚空へと告げられた言葉は、明らかに歪で、それでいて奇妙なほど明瞭だった。


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