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真実の……バトルロワイアル 2
172
:
壊音
◆0zvBiGoI0k
:2019/09/22(日) 23:56:28 ID:.yRa2Kvk0
「変し――――――お?」
渾身の構えを取りいざ―――というところで、前方の動く影に咄嗟に中断してしまう。
放送といいどうもさっきから決めさせてくれないようだ。
ふらふらとおぼつかない足取りで、佐藤に気づいてもないのか無防備に近づいてくる。
佐藤との距離は20メートルもない。遮蔽物なし、逸れる横道もない路地での正面からの対峙。
銃弾の有効範囲。握った刃を飛びかかって振るう間合い。
命のやり取りが行われる領域(ライン)に、完全に足を踏み入れている。
「――――――、――――――――――――――…………」
それでも一向に反応はない。
距離が狭まってきて、ぶつぶつと、口から漏れ出る言葉が聞こえてくる。
「…終わりだ…………………………なにもかも、全て…………………………ぜんぶ……………………………………」
意味など無い、壊れたゲーム機が同じセリフを繰り返してるみたいだと佐藤は思った。
白髪の少年の容姿は、佐藤が記憶しているマンションで見かけた先客と一致していた。
そして少年の様子にも、佐藤は思い当たる節があった。
だから思った。よくあることだ、と。
「やあ。お互い大変な催しに巻き込まれて災難だね」
このまま撃ってもよかった。
見るからに隙だらけで、誘ってるでもない。変身するまでもなく、生身のまま刀で首を落とせた。
だが佐藤は撃たずに、声をかけた。
それは打算や情に基づくものでなく、やはり駅の待ち合わせ場所で隣り合う他人に声をかけてみたような気まぐれだった。
佐藤が声をかけて、ようやく少年は気づいたのか視線を向けた。
死んでいる眼だ。こちらに関心を持ったのではなく外からの刺激に反射的に動いただけ。佐藤の予想通りだ。
「僕さ、これからあのマンションを壊そうと思ってるんだ。
で物は試しなんだけど、君、爆弾とかそういうの持ってないかな?」
事も無げに放たれた物騒極まりない発言を、少年は一切の反応も見せず俯いたままで無視している。
やがて肩にずりさげていったデイバッグを逆さに掲げ、内容物を地面に無造作に落とした。
「おお。言ってみるもんだね」
言い出しっぺに佐藤にしても、まさか本気で期待したわけでもないだけに意外な声を漏らす。
果たして、中身は佐藤が言ったままの品であった。
どこの誰がどう見ようとも爆弾としか言えない造形のそれが束になって纏められている。
間違っても投げ捨てていい代物ではないのだが、当人には誤爆する危険性すら思考に入ってないのだろう。
一応妙な動きをしないよう意識を向けつつ爆弾を確認する。確かに本物かつ良品だ。
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