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真実の……バトルロワイアル 2
165
:
顔
◆2lsK9hNTNE
:2019/09/22(日) 23:00:17 ID:CxA4AfeM0
雅貴は走る。男は木剣を構えるだけでその場からは動かない。しかしその呼吸が先程までとはまるで別物になっていることを雅貴は見抜いた。
二人の距離が近づく。互いの獲物が互いに届く距離になる一歩手前、雅貴は刀を抜くと同時に投合した。
居合の要領で鞘を加速装置として射出された刀は激しく回転しながら高速で男に迫る。男は涼しい顔で右手の木剣を使い、刀を弾き飛ばした。しかしそれはこっちの狙いどおりだ。雅貴は地を蹴り男が振るう木剣の頭上を飛び越えた。右足で曲線を引き男の頭に真横から叩き込む。ケンカ慣れした男でも即座に昏倒する一撃。が――
(おいおい嘘だろ!)
男はわずかによろめいたのみで昏倒どころか倒れることすらなかった。刀を捨てたいま間合いを離されたらこっちが不利。
雅貴は鞘を手放し、着地と同時にさらに距離を詰め、殴りにかかる。
顎先を狙った一撃を男は首を動かし顔面で受けた。いや受け止めた。脳が揺れることを防ぐため顔面で防御したのだ。頑丈さ任せの不格好なやり方だが、有効ではだった。回避の動作を省略することによって出来た余裕を使って男は左の拳を素早く繰り出していた。
腕を戻すのは間に合わない。雅貴は無理やり身を捩ってギリギリのところで回避する。が、男の攻撃は一つではなかった。
「ぐっ!」
胸に衝撃が走り雅貴は呻く。
雅貴の意識が左手に向いた瞬間、男は木剣を離し、右手で下から雅貴の胸を突いたのだ。
身体を後ろによろめく。男は地に落ちるよりも速く木剣を掴み直し、下から掬い上げるように振るった。
(やばっ……)
それが雨宮雅貴が最後に思ったことになった。
◆
いやならなかった。少し気を失ってしまっていたようだが大きな怪我もなく五体満足だ。
「峰打ち?」
木剣で峰打ちがあるのかもわからないが。呟きながら身を起こすと腹の上から何かが落ちた。奇妙なエンブレムの入った板と文字の書かれた紙。支給品とその説明書きのようだった。
「起きたか」
雅貴を気絶させた張本人が側に立っていた。殺す気だったならばとっくに死んでいるだろう。雅貴は慌てることなく板と紙を手にとった。
「これはあんたが置いたの?」
「俺には相応しくない代物だ」
「ふーん?」
説明を読む限りだと役に立たない代物というわけではなさそうだったが。まさか俺はオルタナティブ(代替品)などではない、なんて話でもないだろう。
ていうかなぜこの男は雅貴を殺さず、あまつさえ支給品まで渡してくれるのか。詳しく聞こうと顔を上げると、男はすでに背中を向けて去っている途中だった。
「ちょちょちょ、ちょっと待って!」
「なんだ」
呼び止めたら普通に応じたということは話す気がないわけではないらしい。なんというか……ずれた男である。嫌な予感がしてきた
「ひょっとしてさ、先に仕掛けてきたのはあっちだったりする?」
言って死体を指差す。
「ああ」
いや、ああじゃねえよ。
雅貴だってその可能性は考えていたし、最初に「ああ」と言われた時もちゃんと続きがないことを確認してから仕掛けた。
なに「ああ」だけ言って質問には答え終わったみたいな顔してんだよ。いや確かに質問には答えているけども。
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