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真実の……バトルロワイアル 2

134あらがうものたち ◆Mti19lYchg:2019/09/11(水) 23:57:15 ID:/EBEIy.Q0
1.

 鬼であり、修羅である猗窩座。
 人であり、虎である宮本武蔵。
 二人の戦いは終局を迎えようとしていた。

 今まで左構えだった猗窩座は、逆に左足を前に出し、左掌を突き出し、右拳を腰に沿えた。
 猗窩座の足元には、雪の結晶の様な図が浮かび上がっている。
 相手の闘気の方向、位置、強弱をレーダーのように読み取る、猗窩座の攻防一致の戦いを支える血鬼術。

 ――破壊殺・羅針

 対する武蔵。元からある刃こぼれだらけの刀は右手に構え、永井圭より渡された刀を左手に持つ。
 その刀は鍔が無く、熱したように赤い刀身をしている。鍔元から上には"悪鬼滅殺"の文字が刻まれている。

「まさかこの場で、杏寿郎の日輪刀を拝めるとはな。天命、と呼ぶにはいささか出来すぎだな!
 その刀の持ち主、煉獄杏寿郎は俺の全力を受け切れなかったが、武蔵、貴様はどうかな!?」

 武蔵は左の刀を垂直に立て、右の刀を真一文字にし、切っ先を組み合わせ、両刀で十字の形を作り構える。『円極の構え』である。
 全身のつま先から刀の切っ先まで闘気を満たし、猗窩座の放つ技を迎え撃たんとする。

 ――観えるか、武蔵。見切れるか、技の『起こり』。
 
 『起こり』とは、技を打つ前の予備動作、予兆のことを指す。
 本来なら、このようなわかりやすい突きの構えなど、肩の、肘の、足の動きで簡単に『起こり』を読める。
 だが、猗窩座の武は尋常ではない。武蔵がその孤剣で最重要視する『拍子』を読ませない一撃を放つやもしれない。

 ――相打ちではいかん。相打ちでは。

 相打ちなら狙えるし出来るだろう。だが成功したとしても、あくまで人の武蔵は死に、鬼の猗窩座は生き残る。それでは意味がない。

 ――狙うは『後の先』。打つは一点。己の剣を信じよ、武蔵!

 攻めの気を発する猗窩座。それを受け止める武蔵。
 互いの意識、時間の感覚は極限まで引き延ばされ、一瞬が一刻にも二刻にも思える。
 何時までこの状況は続くのか。互いに不明な中、猗窩座の『羅針』に微かな揺れが生じた。
 ほんの僅かだが武蔵の『闘気』が緩んだ。そう見た瞬間、猗窩座は、武蔵に向かい爆発するように『跳んだ』。

 抜重によって落ちる勢いを、後ろ足の踵で受け止め、前足の膝の力を抜くことで全身を急加速。
 深層筋である大腰筋、小腰筋を使って後ろ足を引き抜き、前足に腸骨筋の力を載せてさらに加速させ、不可視の域へ。
 勢いを殺さず武蔵の間合いに入り、地面を砕く踏み込みで、重量を数倍に増やす。
 増えた重量を余さず踵から腿、腰、背中、胸、肩、肘、手首に伝えつつ、流れる重量に合わせ筋力を連動させ、拳を大砲の如く弾き出す。
 
 ただの順突きが、鬼の膂力を持ちながらも、それに奢らず数百年の武功を積んだ猗窩座が放てば、それは必滅の刃と化す。

 ――破壊殺・滅式!


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