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真実の……バトルロワイアル 2

126THE KING OF MONSTERS ◆KbC2zbEtic:2019/09/11(水) 22:22:45 ID:wpfq6j5c0


雪の様に白い髪と肌。髪と同じく白い肌の屈強な全裸の肉体、緋色の瞳。
黒を基調とした無惨の恰好とは真逆の印象を抱かせる風貌の男だった。


「―――いい朝だ…実にいい朝だ。ここまで爽やかな目覚めは四百年の内でもそうはない」


軽い調子で今しがた生き埋めになっていたはずの男は言う。
邪悪なまでの存在感。無惨はその姿を見て思わず声を漏らす。
「お前は“何“だ」という誰何の声を。
白髪の男はその問いに微笑みを浮かべ答える。

「ハ、煉獄の言っていた通り…そうか、貴方が『鬼』か。
――――であれば私は、この雅は、君と近似種という事になるな。古き同胞よ」

鬼舞辻無惨と雅。
真祖の鬼と真祖の吸血鬼。
人類の進化の系統樹より生まれ出でて、その先へと至った新たなる血族。
双方人間を超越し、悠久の時を生きながら人類を揺るがす病(シック)と悪性を抱いた疫病変異種。

「ふむ、瓦礫の下に居た時から薄々感じてはいたが…近しいとはいえ似て非なる存在のようだな。
だが、例え同種でなくとも、貴方が凡百の吸血鬼とは違う高位な存在であることは確信できる」

雅と名乗った男は瓦礫の上から羽の様に降り立ち、無惨の立つ場所まで歩み寄ってくる。
その瞳は好奇心に満ち、雅もまた無惨が似ている存在であるという事に感づいているらしい。

「そこでだ。これは提案なのだが…可能なら貴方の血を私に分けていただけないだろうか。
貴方の血を取り込めば、私はきっと新たな境地に立つことができるだろう」

鬼にとっても、吸血鬼にとっても同種の血を入れる事は非常にリスキーな行為だ。
適合しなければ、否、与えられた“血に打ち克つ”事ができなければ驚異的な生命力からくる再生も意味をなさず死を迎える。
しかし雅はそんな事に頓着しない。70年前、日本軍の実験に志願した時もそうだった。
例え身が裂け果てるとしても雅にとっては『それはそれで面白い』事態でしかない。
リスクが大きい程、彼にとっては良い暇つぶしになるのだ。

微笑みを浮かべて提案してくる雅に対して、無惨は張り付けたような無表情で、無言のまま雅を見据える。
奇妙な感覚だった。この雅という男の声を聞いていたら、いきり立っていた筈の気分が安らいだ。気味の悪いほどに。
故にここまで無惨にしては本当に珍しい事に大人しく雅の話に耳を傾けていた。
だが、もういいだろう。

「千年に渡って生きてきたが」

返答は簡潔だった。


「―――これほど不快な気分にさせられたのは久方ぶりだ」


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