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真実の……バトルロワイアル 2

109通常攻撃が円卓でデミサーヴァントの妹は好きですか? ◆0zvBiGoI0k:2019/08/25(日) 22:30:02 ID:pxNsbO.20




   ◆   ◆


「どうなるかな、あの子」

マシュ・キリエライトと名乗った少女の行く末を神居クロオは想像してみる。
このまま物言わぬ骸と果て人外の餌と運ばれるか。それともクロオと同じように鬼として生きる道を選ぶのか。
ないだろうなと、己の中で結論づける。
自分のような外れた側より、愛月しのや、恋陽みむらのように、陽の側に属する側だ。
だからといって、どうするでもないが。

クロオは今、地図上に名付けられた施設のひとつにある教会にいた。
正確に言えば、その跡地だ。荘厳たる神の家は既に世界の滅びの日の如く崩れ落ちた。

元は累が『あのお方の気配がする』と言って赴いた場所だ。
生憎肝心の主とやらとお目通り叶わなかったが、地下室という鬼に都合のいい潜伏場所を見つけられたのだから結果オーライいうやつだろう。
崩落する危険も鬼にはたいした問題にならない。クロオにとっては一大事だが。

彼女と一緒にいた学生服の男(高校生にしても大人びてたように見えたが)は追ってきてるだろうか。
移動は累の糸で固定したマシュとクロオごと引っ張っていくという荒っぽい手段だ。
その分速度はクロオの全力疾走の比でないから、簡単に辿り着けはしないだろう。

首尾良く拠点を得て落ち着いたところで、クロオは地上を出て辺りを探索している。
累になくクロオにのみある強みは、言うまでもなく日の下を自由に歩きまわれる点だ。このアドバンテージを活かさない手はない。
あと半日もここで日が暮れるのを待っているのも余りに非効率だ。
鬼の累にとっては時間の感覚など気にしないのかもしれないが、人であるクロオはそのロスを深刻に捉えていた。

なので、何かしら太陽に身を晒さないまま移動できる手段がないか模索しているところだ。
自動車を操縦した経験なんて当然クロオには無い。せいぜいリヤカーがいいとこだろう。
そう、例えば。あの男が使ったファウストの移動装置なんかが丁度いい。
もしマシュを奪いにこちらに来ているとしたらなお好都合だ。迎え撃つにもおあつらえむきだ。

これは累の指示ではない。クロオが自ら申し出た案だ。
兄として弟を気遣うのは当たり前と言ったのに、勘繰るような目で睨まれてしまった。

「荷物ごと丸ごと渡すなんて、逃げれるものなら逃げてみろってことかな?
 そんなつもりなんて、はじめからないのにね」

足元に置かれてある、累に投げ渡されたデイバッグを見やる。
食料以外必要ないから好きに使え、ということだ。
どうやら中身を禄に見てないらしく、それで都合に合う支給品があったらとんだ笑い話だ。

「ま、笑ったら刻まれそうだけど。
 兄弟なら、くだらない失敗談に花を咲かせて笑い合うものだろうにね」

誰に記聞かせるでもない、空虚な所感だ。
ひとまず瓦礫に腰かけて、もうじき訪れる放送を待つ。
その中で流される時間内に出た死者の情報。
内容によっては、クロオの今後を決めるかもしれないなと、静かに待ち続けていた。


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