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真実の……バトルロワイアル 2
108
:
通常攻撃が円卓でデミサーヴァントの妹は好きですか?
◆0zvBiGoI0k
:2019/08/25(日) 22:29:27 ID:pxNsbO.20
「今は生かしておいてあげるよ。どの道鬼になるにはあのお方の許しを貰わなければならないんだ。
聞きたいことも出来たし、兄さんが移動の手段を見つけてくるまでの時間つぶしには丁度いい。
この硬さの糸を形成し続けるのは疲れるけど、君の血があれば問題なく体力も回復できる」
だがそれはマシュの解放を意味しない。むしろさらなる責め苦の続行に他ならない。
糸の切断に耐えきれるといっても、あくまで現時点での話だ。
このまま絶え間なく責め続けられ、マシュの体力が落ちていけば、それだけ生死の天秤は傾いていく。
結果は変わらないのだ。何もしない限りは。
拘束を抜け出せないでいるのは、オルテナウスの出力を基底状態にまで落としてるからだ。
薬で眠らせられている間に雁字搦めにされて以降は一度も出力を上昇させてはいない。
霊基を覚醒させ戦闘状態に移行すれば、突破の可能性は残されている。
だがマシュはそれを選べない、今するわけにはいかない。
主武装の盾を奪われているが、単独でなら脱出する程度の余力はあるはずだ。
あの包帯の少年を置き去りにしていくことになるのを除けば。
今もってマシュは少年の事情を知らない。
累とはここで初めて会ったばかりで、人間であることは確かだ。
だから彼を、累に強要されて家族を演じているものと考えるのは自然だった。
我が身可愛さに、放置して見捨てることは出来ない。
逃げるだけならまだしも、累になんらかの制裁を負わせられてしまう危険すらありえるのだ。
外に出ている少年はマシュにとって、障害のみならず人質としての機能も持っていた。意図しているかはさておき。
「だから、ちゃんと考えておいてね。
喰われて死ぬか、鬼になるか。どちらを選ぶかなんて考えるまでもないけどね」
語りかけてくる言葉も今は遠い。
必死になってマシュは考える。この鬼を無力化し、少年を救い出し、この場を脱出する方策を。
ここにマスターはいない。他の英霊も、後方からサポートしてくれるカルデアの面々との通信も届かない。
そうだ、ひとりだ。
ひとりなんだ。
ひとりぼっちだ。
私はいま、ひとりだけなんだ。
その事実に、今更になって気づいた。
どうしようもなく気づいた寂しさが心を震わせた。
「―――――――――――――せん、ぱい」
寂しさを食い縛って、名を零す。
折れるな。挫けるな。心の盾を強く掲げる、立ち上がれと強く叱咤する。
守られてばかりの時間はとっくに過ぎている。
何も出来ないと嘆く暇などありはしない。
この窮地を乗り越えなければいけない。たとえマシュひとりでも。
マシュただひとりの戦いが、人知れず、始まろうとしていた。
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