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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

809宇宙一巡後の八雲紫:2021/02/13(土) 19:38:45 ID:WSuwR3hw0
 数瞬の沈黙の狭間に、両者様々な思惑が交錯していき、気まずい空気が流れた。
 やがて糸を切ったのは、ジョルノの方からだ。

「…………どうやらその『力』についての詳細は、黙秘のようですね」
「というより、今はまだ分からないことが多すぎて話せる段階にない、というのが正確ね。一番混乱しているのも、他ならぬ私自身だし」

 メリーも一瞬、躊躇った。信頼出来る仲間に対しては、隠した虎の子を開示するべきだろうか、と。
 考えて、不確定要素が多すぎると却下した。切り札は最後まで隠すことが効果的であるし、例えばディエゴの翼竜などから情報が外に漏れ出た場合、最悪主催にまで伝わる可能性もある。十中八九、ディエゴは既に気付いているだろうが。メリーからすれば、ディエゴだってDIO並にきな臭い部分を持っている。

 最終的には、主催二人が敵。
 とはいえ、やはり元凶へ辿り着くまでの最大の壁はDIO一派だ。
 奴らを倒す手段……メリーには既に見通しがついていた。

「えっ? えっ!? んっとじゃあ、DIOがジョジョを狙って来る、というのは!?」

 ワンテンポ遅れて、鈴仙が話題を出してくれた。寧ろ良いタイミングで。

「それについては鈴仙も直に聞いていたでしょう。あの男は息子である僕を……もっと言えば、ジョースターの血を恐れていました。ただならぬ執念とも言える、強烈な敵意で」

 ジョルノが語ってくれた、DIOとジョースターの因縁。ヒントはそこにあった。

 始まりは百年前。
 ジョースター家の男───ジョナサン・ジョースター。
 かつてDIOを倒したらしい人間。
 そして、ジョルノの父親……かも知れない人間。
 詳細は、未だ不明。放送ではまだ呼ばれていない。

「〝DIOはジョースターを恐れている〟……それもジョルノという子供を産ませ、ジョースターの因子を再確認した上で殺害を目論むほどに」

 先程ジョルノから語られた話を、メリーは確認の意味も込めて噛み砕く。改めて、人間性の欠片もない話だ。ここまで来れば異常を通り越して臆病とまで言えた。更に言えば、肉の芽で支配したポルナレフを使ってジョースター狩りまで行っていた経緯も判明している。筋金入りだ。
 慎重の上に慎重を重ねるような。叩いて通った石橋を余さず破壊して痕跡を消すぐらいの徹底さと用意周到さを兼ね揃えた男だ。慎重なのか大胆なのか、もはや分からない。

 全てはジョースターから始まった。
 ならば全てを完結させるのも、ジョースターで然るべき。DIOの異様な執念が、それを物語っている。

「ジョースター根絶を狙うDIO。奴を滅ぼすには、同じくジョースターである貴方……『ジョジョ』しかいないと、私は思ってます」

 ジョルノの表情にほんの一瞬、陰が曇った。自分に奴が倒せるだろうか、という不安か。まさか今更、父への情が湧いたわけでもあるまい。
 陰りはすぐに掻き消え、ジョルノの顔はいつもの色味を取り戻した。淡々とした、けれども堂々たる自信を内に構えた顔だ。本人には口が裂けても言えないが、こういう所はDIOとよく似ている。

「つまり、僕らが今後取るべき行動は……」
「……ジョースター、達との接触?」

 メリーがあらぬ思考を浮かべる間、ジョルノと鈴仙が同時に解答を出した。対DIO作戦を重点とするなら、誰であれここに辿り着く最もベターな対抗手段だろう。

「ぴんぽーん」

 出題者としては嬉しい限りの、満足いく解答が無事得られた。何故だかほくそ笑むようなメリーを見て、ジョルノも鈴仙もふうと息を吐いた。またしても八雲紫の悪い癖が垣間見えた、と。
 あるいはそれも、メリー本来の顔なのかもしれない。その判断は付かないが、そうだとすれば喜ばしい限りなのだろう。


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