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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

805宇宙一巡後の八雲紫:2021/02/13(土) 19:31:14 ID:WSuwR3hw0

「……紫さんの判断は、果たして正しかったのでしょうか」

 大切な誰かを守る為、やむを得ない事情があったにせよ。
 ひとりの人間を妖の者へと変貌させるような行いを、彼女が心から望んだとも思えなかった。
 幻想郷という独自の掟を背負った土地において、それは特に重罪でもあるから。
 八雲紫には郷での比肩なき立場がある。その重役ゆえに、天秤に掛けた秤は傾いた。
 幻想郷の賢者としての肩書き。能力。知恵。どれを手放すにしても、郷の維持に甚大な影響が出ることは火を見るより明らかだった。
 彼女が死の間際……何を思って死んだのか。何を託して死んだのか。

 彼女がもしも───端からただ力を持っただけの〝普通の女の子〟であったならば。
 結果はまた違ったのかも、しれない。

「過去の選択が正しかったのか、過ちであったのか。未来を知る術のない私たちにとってその判断は、きっと……すごく難しい問題なのでしょうね。私に『力』を継がせる判断を決意したあの人も、最期までそこに苦悩していたわ」

 遠い何処かを見つめるように、メリーは虚空を仰いで淡々と言う。
 未来を知る術。そんな手段があるのであれば、まさに『天国』のような場所なのかもしれない。何処かの誰かが執拗に憧れた、そんな夢みたいな到達地点。

 メリーはしかし、夢は夢であるとかぶりを振った。元より其処は、紫が焦がれた虹の先とは違う。
 未来など、やはり知るべきではない。それが成せずに苦心し、手に取ったあの人の選択を否定するような考えはしたくなかった。

「ジョルノ・ジョバァーナはブランドーか、ジョースターか。この命題と同じに、現在の貴方はマエリベリーか、八雲紫か、という致命的な自己矛盾に陥っているのではないですか?
 同情心、なのかも知れません。僕がメリーを酷だと感じているのは、そこです」

 ひとひらの白雪が、ふわりとジョルノの肩へ舞い降りた。小さな妖精が音もなく溶け、少年の体温をちびちびと奪っていく。
 ただ時間が経過する。これだけの出来事に、掻き毟りたくなるほどのむず痒さを覚える。考えなくてよいことを考えてしまう。大切にしてきた色々な何かが色褪せ、どんどんと体から抜け落ちていく感覚だった。

 DIOは百年前、ジョナサンを殺害しその肉体を奪った。意思はDIO。依り代はジョナサン。人の意識や記憶が必ずしも脳に残るのではないとすれば、己の存在とは『どっち』なのか? これが自身に立ち塞がった命題なのだと、DIOは豪語していた。
 そして今また、その息子であるジョルノも同じ命題にぶち当たっている。DIOは既に命題に自ら答えを見出していた節があるが、ジョルノはこれからなのだ。皮肉な因果としか言えなかった。

 もしかしたら。
 娘を殺し、その肉体を奪ったディアボロにも同じ事が言えるのかもしれない。そう思ったからこそ、始めにディアボロの話題を膨らませたのだ。

「───話を戻します。かつて『レクイエム』によって強制的に肉体を交換させられた者……彼らが『最終的』にどうなっていくか、僕は目撃しました」
「それは私も気になっていたの。世界規模で拡がった異変が、どのような形で『終結』を迎えるのか? ジョジョやブチャラティ達は『何』を阻止したのか、是非聞きたいわ」

 レクイエムの齎した肉体交換現象の末路。あの能力の真髄とは、入れ替わった者が最終的にこの世のものでは無い〝別のナニカ〟へと変貌させられるという、げに恐ろしき力である。それも世界規模で範囲が拡がっていくというのだから、ともすれば幻想郷とて被害を受けかねない大異変。水際でこれを阻止したジョルノ一行の功労は計り知れない偉業であった。
 己自身やDIO、ディアボロといった前例だけでなく、このような大規模での実体験もジョルノは通過している。そんな彼が目の前の少女の行く末を危惧するのは、至って自然な思考だ。


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