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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
801
:
宇宙一巡後の八雲紫
:2021/02/13(土) 19:22:47 ID:WSuwR3hw0
「───貴方は〝マエリベリー〟なのですか。それとも〝八雲紫〟なのですか」
気付けばジョルノは立ち上がっていた。
自分で驚く。無意識に立ったことにも。今は問うべきでない疑問を質した、らしくもない焦りにも。
かつてサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会以降のブチャラティの肉体に抱いた疑問……胸に秘めたままか、問うべきかを迷っていたあの時。今のメリーに抱く疑惑は、あの時とよく似ていた。
そして今回は、問い質してしまった。かつてと今で、何が違うのか。その差を考えることを、ジョルノは放棄した。口に出してしまった以上、今はただ彼女の返答を聞きたかった。
隣で目を丸くさせる鈴仙に構わず、ジョルノはメリーと視線を交えた。どこか後悔するようなジョルノとは対照的に、メリーの含む視線はあくまで穏やかであった。一切の波紋すら立たない、広大な海の朝凪のように。
「タブーにでも触れたような顔、しちゃってるわよ。貴方らしくもない」
脈絡なく会話の流れを断ち切ったジョルノの問い掛けへ対し、メリーは微笑みを浮かべて受け入れる。
「……いえ。貴方らしくもない、って返しもおかしいわよね。私と貴方たちはついさっき知り合ったんだから。うん」
否定をしないことの意味は、即ちひとつしかない。穏やかではあったが、微笑みの中にある種の物憂げさがぽつんと混ざっていることにジョルノは悟る。
次に彼女は、ハッキリと答えた。
持って生まれた力と格を備える、人智及ばぬ賢者の顔ではない。
先刻の、あの、友を救えなかった無念にも潰されることなく立ち上がってみせた一人の少女の顔だ。
人間の、顔だった。
「私はこの世で唯一無二のマエリベリー・ハーン。それだけは確かです。ただ、この肉体に紫さんの意志の残滓が介入しているのもまた、ひとつの事実です」
少女の浮かべる朝凪の海に、一際の波紋が立った。
「物事とは必ずしも一つの側面から覗くものではないわ。安泰の裏では厄災が生じたりもする。逆もまた然り。この世の全ての物事は、そういう相即不離のバランスの下に成り立っている」
木々の隙間からほんの僅か差し込まれる最後の黄昏が、少年と少女の黄金に輝く髪に迎えられた。
見下ろす少年の視線に呼応するかのように、少女もゆっくりと立ち上がる。大妖怪の衣を借り受けた、ちっぽけな少女の瞳の奥はどこまでも勇ましく、儚げで、捉えどころのない───ひらひらと蒼空を翔ぶ蝶を思わせる存在感が渦巻いていた。
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