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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部
787
:
一世の夢と名も無き鳥
◆e9TEVgec3U
:2020/11/09(月) 02:19:55 ID:7dG6hTvE0
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緊張の根が解けて青娥がまず最初に感じたのは、想定していた腹部の生暖かな感触を全く感じないという事だった。
それどころか腹部への痛みはほぼ僅かで、体が後方に倒れて地面に倒れ込んだ時の物以外の痛みは殆んど感じずに至って健康体のまま。
あれ程までに青娥自身の五感や第六感へと訴え掛けていた死へのビジョンは今や完全に消え失せていたのだ。
自身の体が五体満足であるというのはこの上ない上出来だというのを改めて実感しながら、恐る恐る目を開け立ち上がって周囲の状況を睥睨する。
藤原妹紅の体は、すぐ目の前に。地面の上で横たえて瞼を閉じているが、体を再生させながら肩を微動させているからにはやはり生きている。
だが、その状況だけでは両者共に生きている理由を青娥自身が説明し切れない。こちら側に飛んでくる威力を完全に相殺した上で互いに五体満足であるという事実。
何がどのようにして、もしくは体が動いたのならどのようにして、この運命的な場面が作り出されているのかは分からない。
思考回路は至って冷静だった。あのようなモノを目前としながらもそれだけは軽快で、されど体は鈍重で。意識的に行った動作は思い当たらず、無意識下で行える動作も限られていた。
けれどもそんな最中でこのような状況が作り出されてしまえば、過程を省かれて結果だけを見せられたようにしか思えない。
だが、それよりも驚かされたのはその藤原妹紅の体の近くに転がっていたソレの存在で。
「あの円盤は……記憶DISC……?」
空っぽだったゴミの格を宝物まで引き上げた張本人だからこそ、それを見紛うはずが無い。
他の記憶DISCがどのような色形をしているのかは分からなくとも、少し離れた場所に落ちているそれは、間違いなく先程まで青娥が所持していたハズの八雲紫の記憶DISCであると言えた。
であれば当然湧き上がる疑問。何故というその二文字に尽きる。旧地獄に入る前に確かに背面に隠したハズなのに、どういう訳かあんな場所にあるのだ。
藤原妹紅の倒れている姿と、転がっている記憶DISC。現状存在している二つの点を線で結ぶ事は出来ず、類推もままならない。
走馬灯に意識を集中させていた間、自分が何をしていたのかが分からない。偶然の出来事か、それとも必然の出来事だったのか。
けれども、その思考に専念するよりも先に。青娥には青娥なりのケリを付けなければならないという意志がどうしても色濃く。
指先を天に掲げ気を練る。精神的にも肉体的にも疲労が来ている青娥だったが、決して満身創痍には至っていない。
曲線を描く数条のレーザー弾を、その天を埋め尽くす岩盤に向けて発射する。
今は青空の見えぬ地の下だけれども、レーザーは天へ吸い込まれるように前へと。
ただ、それらは着弾すらしない。
岩肌にフジツボの如くびっしりと張り付いて離れそうにも無い桜色の結晶群が、それらの軌跡を吸収して。
しかし、その光景がまるで想定の内であるかのように、青娥はなお表情を崩さない。
「邪符『グーフンイエグイ』」
そう邪仙が言葉を奏でるや否や、天蓋の上で結晶達がガサガサと揺れ動き。
次の瞬間には、その眼前は桜色の雨で埋め尽くされていた。
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