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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

774一世の夢と名も無き鳥 ◆e9TEVgec3U:2020/11/09(月) 01:46:21 ID:7dG6hTvE0


その佇まいは先程と変わっていない様に見受けられる。黒髪もその衣も変貌を遂げたという事すら無く。
だと言うのに、その立ち上がった体からはこれ以上無いとでも言いたげなぐらいの違和感を放ち続けているのを青娥はしっかりと感じずには居られない。
そもそもあの状況、昏睡した状態からまるで何も無かったかの様に急に起き上がったという事実そのものにも特異的な感触を抱いているというのに。
藤原妹紅の体には、屋内で対峙した時以上に黒炎が漏れ出してその体に纏わり付いていて、最早狂気を隠そうとすらしていない。
いや、黒炎が蛇のように蜷局を巻いて妹紅の体を締め上げているのかもしれないとも思わせる程の苛烈さ。
それは最初から彼女から正気と狂気の境界線すら取り払われていたのかとすら。

何も感じ取れた相違点は外見だけに留まらず。妹紅から来る気の淀みも、先刻感じた物とは似ても似つかない。
精々乱れている程度にしか思わなかったのと対比すればその差は歴然。肌を刺し穿つかの様な痛みや圧迫感となって、その圧は気迫の領域に達している。
それも何も欲を感じ取れそうに無い混沌すら携えて、青娥の仙人としての感覚にこれ以上無い程の警邏を巡回させるのだ。



「■■■■■■、■■、■■■■■■■■、■■■■■■!!!!!!!!!」


突如青娥の耳に雷鳴の様に押し寄せたのは、悲鳴のようなナニカ。
発生源が目の前の少女だと考えるには培ってきた知識や状況からすれば想像に難くないが、それを青娥は理解してしまいたくなかった。
藤原妹紅の口から放たれたソレが、ヒトの発する言葉であるとはお世辞にも言い難い物であったが故に。
放つと表現してしまう事すらも悍ましい、嗟傷と激情と悲嘆と憤怒と全ての負の感情を詰め合わせて一つの釜に詰め込んだかの様な金切り声。
自身の感覚と相手への評価が正しい物であったと、それだけの事によって否応なしに気付かされてしまったのだから。

その精神性の更なる変容のきっかけを青娥は決して知る由も無い。一度は会話は成立しかけた相手がものの数分でこんな事になるとは誰が想像できようか。
そもそも何故こんな短時間で急に覚醒してしまったのかすら定かでは無いと言うのに、そのきっかけの類推など不可能に等しいだろう。
深淵の現に舞い戻った目の前の少女には舌先三寸も通用しないに違いないという確信めいた物すらも青娥に抱かせてしまえるこの状況。
今この場に存在しているのは、相手が何をしてくるのか分からないというブラックボックス要素でもある。


であるならば、先手必勝という言葉は、今の青娥に使うのが最も相応しい。
その思考回路とリソースの全てを相手の無力化に使うのだという強固な意志を体現したかの如く、踏み締めた大地を瞬間的に沈みゆく。
数メートル、青娥の体が三個縦に並んでいれば届いてしまえるぐらいの距離に全速力を賭けて。
酒瓶が残り一本しか無いという事実など知った事では無く。さっき使ったばかりの戦法をもう一度行わんとして。
自らのスタンドを纏い、地表面を水面と捉えて妹紅の立っているその足元を目標地点に一直線に泳ぎ抜く。


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